数あるエフェクターをそろえると、エフェクターボードを組みたくなってくるかもしれません。その際に「気を付けなければならないこと」「知っておいた方が良いこと」がいくつかあります。それはボードの作り方やノイズです。ノイズは、電気機器があれば必ずついて回るもので、その量も環境によって異なります。このノイズをエフェクターボードが拾って雑音になってしまう可能性もあります。
ここでは、その内容について、話していこうと思います。
エフェクターボードって?
持ち運ぶことやエフェクター同士をつなぐことを想像してみて下さい。エフェクターを使いだすと大抵の人は複数のエフェクターを組み合わせて使うことでしょう。1、2個であれば、ひどくかさばることもないし、接続も手間ではないかもしれません。しかし、4個、5個となっていくと、それは色々な苦労を強いられます。これを避けるために、あらかじめ1つの板など(ボード)に、各エフェクター同士の接続も済ませた状態にしたもの。それがエフェクターボードです。
エフェクターボードのサイズや重量は、持ち運びも「手提げかばんサイズ」のものから「キャリーカートで運ばなければならないサイズ」のものまで様々です。使用する場合は、エフェクターボードの「電源」「入力(インプット)端子」「出力(アウトプット)端子」の3つを接続するだけで済むようにするのがベストで、ほとんどがそのようになっています。
エフェクターボードを作ることが、どういう利点をもたらすか分かってもらえたでしょうか?
エフェクターボード作成時の必需品
まず初めに、エフェクターボード作成時に必要なものを記載します。
パッチケーブル
エフェクターとエフェクターをつなぎます。10cmから1m以上など幅広く存在します。用途に応じて必要な長さを選ぶようにしましょう。
大は小を兼ねると言いますが、楽器の機材に関しては、短いものを用いた方が良い効果を得る傾向があります。かといって短すぎると、エフェクターを操作する時に隣のエフェクターやスイッチも押してしまう恐れがあります。エフェクター同士を接続させる際は、ケーブルはU字の逆(上方向)に向けることをおすすめします。BOSSなんかのエフェクターを想像すると良いかと思いますが、足で踏むスイッチ部分にケーブルを挟んでしまうと「ケーブルの断線」「ON/OFFができない」といった事態に陥るかもしれません。
ちなみに、市販で決まった長さのものを買うこともできますが、自作の「ソルダーレスケーブル」というものもあります。
9V電池もしくは電源ユニット
エフェクターの電源供給用です。エフェクターの数が多ければ、電池を使わなくて済む「パワーサプライ」の利用を考えるといいと思います。
エフェクターボード
エフェクターなどの機材を固定する板です。
マジックテープ
エフェクターを固定するのに必要です。
結束バンド
ケーブルをまとめるのに必要です。
エフェクターボード作成のコツ
まず、エフェクターボードを作る手順です。
- エフェクターの配置
- 電源の配線の決定
- 信号(パッチケーブル)の配線の決定
- 各エフェクターやケーブルの固定
この手順に沿って、ノイズ軽減のコツ/ボード作成のコツとなるものを以下にまとめます。ノイズ除去のポイントは「ケーブルやエフェクターで輪を作るな!」です。
エフェクターの配置
使用しないエフェクターは外す
これは、必須です。エフェクターボードの小型につながる他、ノイズ軽減、エフェクターボードのトラブル発生リスク軽減につながります。「今は使う予定ないけど、とりあえず入れたい」という考えは止めた方が良いです。
隣接するエフェクターを付けない
エフェクター同士をくっつけることで、互いのエフェクターで生じたノイズをもらってしまう可能性があります。特に歪み系と空間系は離れた配置にすべきです。離すことで、空間系の本来のキレイな効果を活かすことが可能になります。
ノイズリダクションの利用
歪み系の種類によっては、エフェクターがOFFの状態でもつないだだけでノイズの発生源となる場合があります。そう言った場合は、ノイズリダクションのエフェクターを利用するのも手段の一つです。
スイッチャーの利用
スイッチャーのループに各エフェクターを利用することで、互いのエフェクターの影響を最小限に抑えることが可能です。また前述ですが、MIDI制御が可能になったり、フットスイッチが不要になるメリットがあります。複数のエフェクターの切り替えが必要な場合は、スイッチャーの導入を考えても良いと思います。
電源の配線の決定
デジタルとアナログのエフェクターの電源は別々に
デジタル回路はその特性上、少なからずノイズが発生してしまいます。また、アナログ回路はノイズの影響を受けやすい特性があります。双方の回路の電源が同じ場合、デジタル回路で発生したノイズが電源を経由してアナログ回路に影響を及ぼしてしまうのです。ただし、パワーサプライの中には、1つ1つの電源が分離してあったり、デジタル用とアナログ用で端子を分けてある場合もあります。こういった電源ユニットの場合は、適切な端子を使用することで本問題が回避されます。
ケーブルは、突っ張らない程度の長さを保つ
直角を意識して配線をするようにしましょう。その際にケーブルが短いと、「断線」「エフェクターから抜ける」といった問題が発生する感性があります。
輪にせず束ねて固定
ケーブルが長すぎる場合は、束ねておくことでノイズの発生を軽減できます。輪を作ってしまうと、輪自体がノイズの発生源になってしまいます。束ね方のイメージは、電気機器を購入時を思い出してください。アダプタやコンセントのケーブルが、ビニールで覆われた針金でまとめられていると思います。あのような束ね方です。
結束バンドの使用
電源ラインと信号ラインをそれぞれまとめておくことで、見た目すっきりするのはもちろんのこと、ノイズの侵入を防ぐ役割もあります。実際は複数のケーブルではありますが、疑似的に1本のケーブルのように見なせるからです。
信号(パッチケーブル)の配線の決定
ボード内配線の組み方
特にスイッチャーを使用する時ですが、エフェクターとケーブルで輪(ループ)を作らないようにしましょう。どう回避するかは、入力側と出力側のケーブルを2本1セットと考え、配線を1セットで考えると良いです。(下図参照)仮にこのループの中にエフェクターが置かれていたら、確実にノイズの餌食になります。下図の「良い例」のようにすることで、一種のノイズキャンセリングの効果を得られます。詳細は電磁気学の話になるので詳細には述べません。
突っ張らない程度の長さを保つ
こちらは、前述の「電源の配線」と同様です。ケーブルにも同じことが言えます。
テスターなどで導通チェック
特に自作の場合は、必ず接続前にテスターなどで導通確認をしてください。全て終わって鳴らすときになって「音が出なかった」では手戻りが大きすぎます。面倒だとは思いますが、必ず導通確認は行うようにしましょう。
各エフェクターやケーブルの固定
ジャックの掃除
ジャックの「汚れ」「くすみ」もノイズの原因となるので、接続する前に一度磨くことをお勧めします。
結束バンドの使用
電源ラインと信号ラインをそれぞれまとめておくことで、見た目すっきりするのはもちろんのこと、ノイズの侵入を防ぐ役割もあります。実際は複数のケーブルではありますが、疑似的に1本のケーブルのように見なせるからです。
締めすぎる緩すぎず
結束する際に締め過ぎれば、長さに余裕がなくなったり、断線を招く可能性があります。また、修理やエフェクターの入れ替えで結束バンドを切る場合に、他のケーブルも傷つけてしまうかもしれません。かといって緩すぎれば、結束している意味がないので、ケーブルに触れるけど、動かせる余裕があるくらいだと良いと思っています。
固定具の使用
より安定して固定したい場合は、、固定具(結束バンドベース)を使用するのも手です。持ち運び時にケーブルの束が意図している位置からずれてしまったりすることがあるかもしれません。また、隙間がないところにケーブルを通さなくてはならない場合もあると思います。そのような時に固定具は役立つのではないでしょうか。100均やホームセンターなどで入手することができると思います。
まとめ
複数のエフェクターを使いだすと、様々な要因でノイズが音に乗ってしまう可能性があります。エフェクターの種類・つなぎ方、電源、配線。気にするところは多岐にわたります。あえてノイズを活用する場合もありますが、ノイズを減らしたい場合は、参考にしてみてください。
参考
エフェクターボードの作成時の便利グッズについては、以下の文書をご覧ください。