【参考情報】QUAD CORTEX の使い方 ~プリセット作成 発展編~配線~

プロも注目し、注目を浴びている フロア型モデラーである Neural DSP社の「QUAD CORTEX」。

今回は、そんな「QUAD CORTEX」の使い方の中でも「プリセット作成において、少し凝ったことをしたい」という人向けの内容をまとめます。

なお、情報は、CorOS 1.3.0時点でのものになっています。

質問がありましたら、遠慮なくどうぞ!

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グリッド内の配線設定

QUAD CORTEXでは全部で4つの行を駆使して、エフェクトブロックを置くことができます。(別記事でも少し触れています。)各行は上から「Row1」「Row2」「Row3」「Row4」と呼んでいます。

この機能を使い、各行の「インプットブロック」「アウトプットブロック」を変更することで、複数の楽器を同時利用できるなど、様々な利用方法が可能です。(後述)

初期状態ではRow1のみが表示されています。配線を追加する方法は「グリッド内の空きスペースをタップして離さない」というだけです。ただし「分岐」を作成する場合に配線を増やせるのは、2行目と4行目のみです。1行目の分岐が2行目に、3行目の分岐が4行目に作成できるようになっています。そのため、3行目の分岐を2行目に作ることもできません。

実際に操作を行うと、以下のような配線を作成するエリアが表示されます。

別れる箇所(青い S マーク)を「スプリッター」、合流する場所(赤い M マーク)を「ミキサー」と呼んでいます。

以下では、「配線パターン」、「スプリッター」「ミキサー」のそれぞれのパラメータ、「インプットブロック」「アウトプットブロック」の選択肢についてまとめます。

配線パターン

グリッドの配線は、4つのパターンが存在します。以下に記載します。

パターン イメージ図
左から1番目

(赤枠)

左から2番目

(赤枠)

左から3番目

(赤枠)

左から4番目

(赤枠)

なお、「スプリッター」と「ミキサー」の位置は、任意の「○」の位置にドラッグすることで自由に変更できます。そのため、上記のパターンを押下しなくても、ドラッグすることで接続を変更することも可能です。

また、この設定したルートは「Mute」ボタンで有効/無効の切り替えを行うことも可能です。特にSCENEモードでは、有効な機能となるでしょう。

スプリッター

項目 説明
TYPE 通過する信号(音)の分岐させる際の基準を設定します。

【Crossover】
指定した周波数で分けて分岐させる設定です。

【A/B】
分岐させていない経路(横に進む経路)と分岐させた経路(下に進む経路)を互いの影響を受けることなく出力レベルを設定できます。
そのため、片方の出力を上げる場合でも、もう片方の出力は維持することが可能です。

【Balance】
分岐前の信号を分岐させる際に、分岐後の2つのルートの出力を比率で設定します。
そのため、片方の出力を上げる場合は、もう片方の出力は下がってしまいます。
初期値は、この設定になります。

STEREO ステレオ信号(Input 1/2 など)を使用する際の動作を設定します。

【Split】
ステレオ時の RIGHT 信号として扱われる「Input 2」「Return 2」「USB input 6 or 8」のみを分岐対象とします。

【Normal】
LEFT/RIGHTに依らず、すべての信号を分岐対象とします。
初期値は、この設定になります。

BALANCE 「TYPE」が「Balance」の時のみ、有効になる設定です。

分岐させる後の信号(音)の出力バランスを設定します。

デフォルト値は、5.0(両者の出力が等しい状態)です。

LEVEL TO A 「TYPE」が「A/B」の時のみ、有効になる設定です。

分岐させていない経路(横に進む経路)へ出力されるレベルを設定します。

デフォルト値は、0.0dBです。

LEVEL TO B 「TYPE」が「A/B」の時のみ、有効になる設定です。

分岐させた経路(下に進む経路)へ出力されるレベルを設定します。

デフォルト値は、0.0dBです。

FREQUENCY 「TYPE」が「Crossover」の時のみ、有効になる設定です。

分岐させる周波数を設定します。

過変域は、20Hz ~ 20kHz です。

デフォルト値は、400です。

MODE 「TYPE」が「Crossover」の時のみ、有効になる設定です。

設定した周波数で分岐させる際に、進む経路を低域と高域で入れ替えるかどうかを設定します。

【Invert】
低域と高域を入れ替えます。

【Regular】
低域と高域を入れ替えません。
初期値は、この設定になります。

ミキサー

項目 説明
LEVEL A 分岐させていない経路(横に進む経路)の信号レベルを設定します。

デフォルト値は、0.0dBです。

PAN A 分岐させていない経路(横に進む経路)の信号の定位(聴こえる方向)を設定します。

デフォルト値は、C(中央)です。

LEVEL B 分岐させた経路(下に進む経路)の信号レベルを設定します。

デフォルト値は、0.0dBです。

PAN B 分岐させた経路(下に進む経路)の信号の定位(聴こえる方向)を設定します。

デフォルト値は、C(中央)です。

PHASE 分岐させた経路の位相を反転するかどうかを設定します。

【ON】
位相を反転させます。

【OFF】
位相を反転させません。
初期値は、この設定になります。

MIXER LEVEL 2つの信号を合流させた後の信号レベルを設定します。

デフォルト値は、0.0dBです。

入出力ブロック

ブロック 選択肢
インプット
  • Input 1
  • Input 2
  • Return 1
  • Return 2
  • USB Input 5
  • USB Input 6
  • USB Input 7
  • USB Input 8
  • Input 1/2
  • Return 1/2
  • USB Input 5/6
  • USB Input 7/8
  • Not In Use
アウトプット 【STEREO】

  • Multiple Outputs(1/2 + 3/4 + USB3/4)
  • Output 1/2
  • Output 3/4
  • Send 1/2
  • USB Output 3/4
  • USB Output 5/6
  • USB Output 7/8

【MONO】

  • Output 1
  • Output 2
  • Output 3
  • Output 4
  • Send 1
  • Send 2
  • USB Output 3
  • USB Output 4
  • USB Output 5
  • USB Output 6
  • USB Output 7
  • USB Output 8
  • Not In Use
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利用例(配線例)

ここでは、インプットブロックとアウトプットブロックの設定や、グリッドの配線方法を駆使して組める配線例の一例を示します。

利用シーン 利用方法
1つのルートで8個以上のエフェクトブロックを扱いたい Outputを「Row 3」とすることで、「Row 3」と直列に接続されることから、最大16個のエフェクトブロックを直列接続することができます。(分岐を考慮しない場合)

なお、この際の 3行目の Input には「Prev. Row」が自動で設定されます。

上図の例では、楽器を「Input 1」に挿して、「Multi Out」なので任意の出力端子(ヘッドホン端子、OUT 1 など)から出力させることで利用できます。

1台でギター/ボーカルの2つの配線を組みたい QUAD CORTEXは、任意のインプット端子を設定することで、複数の楽器などの入力を扱うことが可能です。

そのため、分岐させる場合も考慮し、Row 1-2 と Row 3-4 を利用してプリセットを作成します。

上図の例では、ギターを「Input 1」に挿して「Out 1」から出力し、マイクを「Input 2」に挿して「Out 2」から出力させています。

3つ以上の楽器で使用したい SEND・RETURNを使用することで、4つまで利用することが可能です。

一例として、以下のようにインプットブロックとアウトプットブロックを設定してエフェクトを組んでみましょう。

1台目:「INPUT 1」「OUTPUT 1」

2台目:「INPUT 2」「OUTPUT 2」

3台目:「SEND 1」「RETURN 1」

4台目:「SEND 2」「RETURN 2」

1つの音を2台のアンプ(キャビネット)で鳴らしたい

ステレオで使用したい

アウトプットブロックを「Multiple Outputs」に設定しておけば、下図の赤丸部(Output の1/2 + 3/4 + USB3/4 + ヘッドホン端子)から出力が可能です。

そのため、2台以上のアンプで慣らしたい場合は、「OUT 1/2」もしくは「Output 3/4」から出力すると良いでしょう。

低ノイズでミキサーやオーディオインターフェースに出力したい 上記と同様です。

アウトプットブロックを「Multiple Outputs」に設定し、「Output 1/2」から出力すると良いでしょう。

もちろん、「FRFRシステム」でも活用が可能です。

※FRFR:Full Range Flat Responseの略。全帯域において削られることがなく、広い周波数帯域を限りなく平坦に出力される方式。より自然でありのままの音を視聴できる。

別途エフェクターの実機を使用したい エフェクトブロックの「FX Loop」を使用すると実施が可能です。

「FX Loop」は、「SEND」と「RETURN」がセットになっているものです。通常のエフェクターはTS(フォン)端子のため、こちらを使うと良いです。

※もし、相手がラックエフェクターなどのXLR端子を使用する場合は、「OUT 1」「OUT2」から出力した信号を外部エフェクターに接続し、エフェクターの出力は「INPUT 2」などの入力端子に入力するのが良いでしょう。

アンプのSEND・RETURN端子に接続し、空間系のエフェクターとして使いたい 通常のエフェクターと同じように扱えば問題ありません。

アンプのSEND端子から「INPUT 1」に入力し、「OUT 3/L」から出力した信号をアンプのRETURN端子に入力してください。

「OUT 3/L」を使用するのは、SEND・RETURNの端子は往々にしてTS(フォン)端子であることが多いためです。

商品リンク

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まとめ

今回は、「QUAD CORTEX」でのグリッド内での配線と利用例について記載しました。

音色作成のヒントにしていただければ、嬉しいです。

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