【参考情報】QUAD CORTEX のアップデート情報_Ver 1.3.0~Ver 1.3.2(2022/02/05時点最新)

プロも注目し、注目を浴びている フロア型モデラーである Neural DSP社の「QUAD CORTEX」。

今回は、そんな「QUAD CORTEX」の バージョン1.3.0 ~ 1.3.2 がリリースされたので、情報をまとめます。

Ver 1.3.0 では、大幅な機能向上や仕様変更があります。中にはコアとなる機能の更新も含まれますので、過去のバージョンからのアップデート時は注意が必要です。

Ver 1.3.1、Ver1.3.2は、それぞれVer 1.3.0、V1.3.1 までに含まれた緊急性の高いバグの修正のみが入っているようです。

スポンサーリンク

新規追加

新規追加の内容について、以下にまとめます。

バーチャルデバイス > ルーパー

本バージョンから新しく搭載されたエフェクトブロックです。他のエフェクトブロックと同様に扱えます。

ルーバーの最大記録時間は、4分44秒です。フットスイッチで操作するためには「Performモード」を使うことになります。

 

上図にある「A」~「H」コントロールの説明としては、以下のようになっています。

フットスイッチ項目説明
ADuplicate元のループをX倍で繰り返しながらオーバーダブを作成し、オーバーダブを録音するときに元のループを拡張できるようにします。

※録音開始時は「ARMED」となり、録音待機状態になります。入力信号を検知すると、録音を開始します。

IncreaseDuplicate 実施時に表示される「繰り返し回数」です。
BOne Shotループを1回再生してから停止します。
Re-Loop「Duplicate」実施時に、ループの長さをトリミングします。
CHalf Speedループを半分のスピードでスロー再生します。
DPunch Inオーディオ(録音データ)を置き換えを始めます。
Punch Outオーディオ(録音データ)を置き換えを終了します。
ERecord録音します。

※録音開始時は「ARMED」となり、録音待機状態になります。入力信号を検知すると、録音を開始します。

Overdub記録した録音データに、さらに音を重ねて録音します。
FPlay/Stop再生と停止を行います。
GReverseループを逆再生します。
HUndo最後のアクションを元に戻します。
Redo「Undo」で元に戻したアクションを復元します。

また、上部にある「Params」ボタンを押下することで、様々なルーパーの設定を変更することができます。

「PLAYBACK LEVEL」「OVERDUB LEVEL」の設定はもちろんのこと、「HIGH PASS」「LOW PASS」のフィルターや「RECORD MODE」と「OVERDUB MODE」では、「トグル」または「モーメンタリー」を選択することができます。また、「QUANTIZE」によりルーパーを「QuadCortexのテンポ」もしくは「外部MIDIクロック」に同期させることもできます。また、関連付けられたCCメッセージによって、MIDIで制御することもできるようになっています。

バーチャルデバイス > Freeze

デバイスメニューに新しいカテゴリー:Morphが追加され、Freezeという新しいエフェクトブロックを利用できるようになりました。

設定は以下のようなものが、存在しています。

少しいじった限りでは、「Freeze」は「ON/OFF」を「ON」にした瞬間に入力されて流れている音を、半永久的に流し続けるエフェクトブロックのようです。ピアノのダンパーペダルのようなイメージですが、「ON」にしている最中に入力された音に対しては機能しません。

追加デバイス > Amp

以下の新規デバイスが追加されています。

表示される名称モデルとなった実機
Brit UBL LeadMarshall® Silver Jubilee®
Brit UBL Lead ClipMarshall® Silver Jubilee®
UK C15 BoostVox® AC15®
UK C15 NormalVox® AC15®
US PrinceFender® Blackface Princeton Reverb®
US Tweed Basslad BrightFender® Bassman® Tweed
US Tweed Basslad Bright JumpedFender® Bassman® Tweed
US Tweed Basslad NormalFender® Bassman® Tweed
US Tweed Basslad Normal JumpedFender® Bassman® Tweed

追加デバイス > Delay

以下の新規デバイスが追加されています。

表示される名称モデルとなった実機
Analog Delayなし
Analog Delay (Mono)なし
Slapback Delayなし
Slapback Delay (Mono)なし

追加デバイス > Modulation

以下の新規デバイスが追加されています。

表示される名称モデルとなった実機
Chief CE2W ChorusBOSS® CE-2W®
Chief CE2W (Mono)
BOSS® CE-2W®
Chorus 229T
TC Electronic® TC-2290®
Chorus Engine
なし
Dream Chorus
TC Electronic® Dreamscape®
Dream Chorus (Mono)
TC Electronic® Dreamscape®
Flanger Engine
なし
MX Flanger
MXR® Flanger M117R®

追加デバイス > Cabs

以下の新規デバイスが追加されています。

表示される名称モデルとなった実機
110 US PRN C10R
Fender® Princeton® with Jensen® C10R drivers
112 UK C15 Blue
Vox® AC15® with Celestion® Alnico Blue drivers
410 US Basslad PR10
Fender® Bassman® Tweed with Jensen? P10R drivers
スポンサーリンク

新規のFactory Preset

以下の変更がありました。削除されたプリセットはすべて、Neural DSP CortexCloudアカウントにアップロードされているようです。また、一部のプリセットは新しいスロットに移動しました。

ブロック変更内容
4B
  • 「Dano Sol」は「22F」に移動
  • 新しい「Bogna Vishnu Clean」に変更
4D
  • 「Dual Trverb」は「22G」に移動
  • 新しい「Captain 50」に変更
5A
  • 「Egyptian Dream」は「22A」に移動
  • 新しい「Brit UBL Lead」に変更
5H
  • 「Cinematic Shimmer」の内容が更新
    • Row 2 の Reverb が shimmer に変更
6D
  • 既存の「4 In 1」は削除
  • 「Captain Morgue」に変更
6E
  • 「Wet Dry Wet」は「22B」に移動
  • 新しい「Looper X」に変更
6F
  • 「Bright Brit」は「22C」に移動
  • 新しい「Freeze Me」に変更
22A
  • 「5A」から「Egyptian Dream」を移動
  • 「Clean YourToilet」を削除
22B
  • 「6E」から「Wet Dry Wet」を移動
  • 「Crunchy Yet Gainy」を削除
22C
  • 「6F」から「Bright Brit」を移動
  • 「Shooting Star」を削除
22F
  • 「4B」から「Dano Sol」を移動
  • 「SlowSol」を削除
22G
  • 「4D」から「Dual Trverb」を移動
  • 「California Ch3」を削除

クリップボードの導入(デバイスのコピー方法の変更)

クリップボードの機能が導入されました。これにより、異なるプリセット間でもコピー/貼り付けができるようになっています。

これに伴い、エフェクトブロックのコピーの方法が以下のように変わります。

  1. コピーしたいエフェクトブロックのパラメータエディタを開く
  2. [コンテキストメニュー] > [Copy device]を押下する
  3. コピーしたいグリッドをタップすると表示される「Paste device from the clipboard」を押下する

なお、手順3の代替として、既存のデバイスに上書きしたいときは、対象のエフェクトブロックをタップし、コンテキストメニューから、「Paste device」を押下してください。

タップテンポのLEDの有効無効

Tap Tempo の LEDが、Tap Tempo の画面で、無効/有効にできるようになりました。

フットスイッチのLEDの明るさ変更

LEDの明るさは、メインメニューの [Settings]> [Device Options]> [Brightness] で調整できるようになりました。

ダブルタップによるバイパスへの変更

グリッド上のブロックをダブルタップして、エフェクトブロックのOn/Off の切り替えができるようになりました。

ミュートとソロ

「ミュート」と「ソロ」ボタンが、Output ブロックに追加されました。

これらは、シーン割り当てまたはエクスプレッションペダルに割り当てることができます。

チューナーの追加機能

セント値を表示するようになりました。

また、複数の入力(入力1と2 など)に対してチューナーが機能したり、ミュートのOn/Offも選択できるようになりました。

さらに、メイン出力は常にミュートOffのため、チューナー使用中でも 「USBからの入力」「ルーパーの再生音」などは流し続けることができます。

画面とボリュームのロック機能

電源ボタンを押すと、「タッチスクリーン」と「マスターボリューム」をロックするオプションが表示されるようになりました。下図の「Lock Touchscreen and Master Volume knob」です。

ロック中は、画面の右上にロックインジケータが表示されます。ロック解除を行う際は、電源ボタンを長押しです。

仮の、ロック中にマスターボリュームのつまみを動かした場合、動かし始めの位置からロックした際の設定値になるまで音量は変化しません。

出力端子のペアリング

「OUT 1」と「OUT 2」、「OUT 3」と「OUT 4」は、ペアリング(リンク)することができます。

バージョンアップ直後は、上図のように各ペアリング相手との間に「⊂⊃」が表示されます。これは、ペアリングが解除されている状態です。ペアリングされている時は、双方の間に「⊂-⊃」が表示されます。各出力端子を長押しすることでペアリング(リンク)のセット/解除ができます。

なお、ペアリング時の「出力をタップすると表示される各設定」は、「OUT 1/2」もしくは「OUT 3/4」となり、1つの設定にまとめられます。

USB経由での再生時のオプション設定

I/O Settings の「USB」の設定において、「HP SELET」は、「NONE」、「USB 1/2」、「USB 3/4」、「BOTH」から選択できるようになりました。

Quad Cortexをオーディオインターフェースとして使用する際に、ヘッドホン端子に送信される信号を設定できるようになったことを意味します。

更新内容の明示

CorOSのバージョンアップ時の再起動後に更新内容が表示されるようになりました。

その他

他にも以下のような追加機能があります。

  • エフェクトブロックのパラメータ設定画面にある一部のパラメータタイトルの横に情報ボタン(「i」マーク)が表示され、詳細情報を含むポップアップが表示されます。
  • MIDI DINを介した受信MIDIのクロック信号をサポートするようになります。
  • 同期パラメーター(SYNC NOTE)が全モジュレーションデバイスに追加されました。これにより、そのエフェクトを「Quad Cortexのテンポ」もしくは「外部クロック信号」と同期できるようになりました。
  • LEDの色が、グリッド上のデバイスの色により近くなるように調整されました。
  • Splitter / Mixerシェイプショートカットの2つが削除されました。シーンモードでは、代わりにシーンナビゲーションメニューが表示されます。
スポンサーリンク

仕様変更

仕様変更の内容について、以下にまとめます。

シーンに関するもの

  • シーンパラメータの割り当てが見直されました。
    • シーンモードでパラメータを調整するときに、パラメータがシーンに割り当てられなくなりました。
    • パラメータを長押しして、シーンに割り当てます。
    • シーンに割り当てられたパラメータを長押しして、割り当て解除ダイアログを表示します。
    • シーンパラメータの割り当て/変更は、現在アクティブなモードに関係なく実行できます。
  • アクティブなシーンがギグモードで表示されます。
  • バイパスがシーンに割り当てられている場合、パラメータエディタの電源アイコンの代わりにシーンアイコンが表示されます。
  • Splitter / Mixerシェイプショートカットの2つが削除されました。シーンモードでは、代わりにシーンナビゲーションメニューが表示されます。

その他

他にも以下のような追加機能があります。

  • パフォーマンスが向上し、1つのプリセットにさらに多くのキャプチャを追加できるようになりました。
  • Windowsドライバーが更新され、再生用にOut1 / 2またはOut3 / 4のいずれかを選択できるようになりました。その他の各種改善点も含みます。
  • 電源ボタンのポップアップテキストが変更されました。(「画面とボリュームのロック機能」を参照)
  • Quad CortexでUIクラッシュ時の、エラーメッセージが変更されました。
  • 「Row 1/2」から「Row 3/4」へドラッグした時の処理が「複製」から「移動」になりました。(「クリップボードの導入」を参照)
  • ゲインとレベルのパラメーターの最小値が「オフ」になりました。
  • バンドルされたキャプチャをダウンロードまたはアップロードするときに、既存のキャプチャが同一である場合に既存のキャプチャを上書きするためのプロンプトが表示されなくなりました。
  • パラメータエディタが開いているときにグリッド上のブロックをタップすると、タップしたブロックのパラメータエディタがすぐに開きます。
  • その他、細部のUIの変更
  • その他、内部仕様の変更

バグ修正

バグ修正の内容について、以下にまとめます。

  • USB MIDI経由でMIDIクロックを停止して再起動した後、テンポBPMが正しくない
  • 「Download All」ボタンがIRライブラリの現在のページのIRのみをダウンロードする可能性がある
  • Neural CaptureをダウンロードまたはアップロードするときにUIがクラッシュする可能性がある
  • 利用可能なWi-Fi SSIDs list を拡張
  • FX Loop ブロックをグリッドに追加すると、「ポートの競合(Port Conflict)」エラーが誤って表示される
  • 特殊文字を含む名前のプリセットをアップロードすると、上書きメッセージが正しく表示されない
  • 名前に$記号が含まれるプリセットまたはキャプチャをアップロードするときにエラーメッセージが表示
  • グリッド上の別のブロックの上にブロックをドラッグすると、ブロックの1つが消える
  • USBケーブルを抜いた後、またはUSB経由で接続されたコンピューターがスリープ状態になった場合に、テンポLEDが点滅する
  • パラメーターエディターに2ページある場合、エクスプレッションペダルからパラメーターの割り当てを解除した後、パラメーターが割り当て済みとして誤って表示される
  • Factory Reset を実施中に、元に戻す/やり直しのために保存しているデータがクリアされない
  • Tap Tempo画面が自動的に閉じた後、Tempo LEDが同期しなくなる可能性がある
  • 「UP」もしくは「DOWN」のフットスイッチでモードを変更した後、パラメータエディタが開いているときにダウンフットスイッチLEDが点灯したままにならない
  • 「Envelope Filter」の「RESO」パラメーターの低い値でのステップが多すぎる
  • プリセットを変更するときにレーン出力コントロールメニューが開いたままになる
  • パラメータエディタの上でテンポまたはチューナーが開いている場合、フットスイッチAまたはBを回転させたときにブロックのパラメータが変更される
  • デバイスオプションのすべてのサブページに黒いスクロールバーが誤って表示される
  • フットスイッチを使用してレーン出力制御パラメーターを調整するときに、プリセットがダーティ状態にならない
  • デバイスオプションで明るさを調整するために、「UP」のフットスイッチを押したときにプリセットが変わる
  • その他、細部のUIの変更
  • その他、内部仕様の変更

V1.3.1でのアップデート内容

このバージョンは、V1.3.0リリース翌日(2022/02/04)にリリースされました。

更新内容は、Ver 1.3.0 に含まれた緊急性の高いバグの修正です。

  • I/O Settings メニューに入るときにクラッシュが発生する。
  • Plate Reverb の「Mod Depth」パラメーターが100%に設定されている場合、1分後に出力信号がミュートされる。
  • エクスプレッションペダルに「Bypass」パラメーターが割り当てられているバイパスブロックを移動または削除した後、UIがフリーズする。

V1.3.2でのアップデート内容

このバージョンは、V1.3.1リリース翌日(2022/02/05)にリリースされました。

更新内容は、Ver 1.3.1 時点に含まれた緊急性の高いバグの修正です。

  • 更新プロセス中に接続が中断された場合にQuadCortexが更新されない。
  • MIDI over USBが無効になっている場合、タップテンポLEDが点滅しない。

商品リンク

競合他社の機能をコンパクトに凝縮したフロア型モデラー

まとめ

今回は、「QUAD CORTEX」の最新バージョン 1.3.0 ~ 1.3.2 の更新情報について記載しました。

中でも、コアとなる機能の更新もあり操作感が変わる部分もありますので、ぜひ参考にしていただければ、嬉しいです。

本記事を記載していて思ったのは、Neural DSP社は、「バグ修正などの対応も早く、顧客のことをしっかり考えてくれているメーカーだなぁ」と言うことです。

私もこうありたいですね。

スポンサーリンク