【電子ドラム】TD-50SC-Xの基礎知識~空間演出(前編)~

電子ドラムを利用する上で音にこだわりたい場合、「響き方」は重要な要素になってくるのではないでしょうか?

今回は、ドラムキットにおける残響音(空間演出)に関する設定の前半部分について、まとめています。

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演奏する場所の残響を再現する

ドラム・キット全体を集音するオーバーヘッド・マイクや、ドラムを演奏する場所の残響や鳴りかたを再現します(AMBIENCE)。

オーバーヘッド・マイクの音や、部屋の種類や大きさ(ルーム・アンビエンス)や残響音(リバーブ)などを調節することで、より自然で臨場感のあるドラム・サウンドが得られます。

手順は以下です。

  1. 「AMBIENCE]ボタンを押下する。

    • AMBIENCE 画面が表示されます。
  2. アンビエンスの設定を変更する。
  3. 「KIT」ボタンを押して、DRUM KIT 画面に戻る。

AMBIENCE画面(1ページ目)

AMBIENCE画面(1ページ目)で可能な設定は以下のようになっています。

コントロール設定値説明
F1PREV OFF、AMB ONLYマスター・アウトとヘッドホンに、一時的にアンビエンス音(オーバーヘッドとルームの音)のみを出力します。

再び「F1」ボタンを押すか、画面を移動すると解除されます。

F3OVHEAD OFF、OVHEAD ONオーバーヘッドをオン/オフを設定します。
F4ROOM OFF、ROOM ONルーム・アンビエンスやリバーブをオン/オフを設定します。
R1INF ~ +6.0dBオーバーヘッドの音量を調整します。
R2INF ~ +6.0dBルーム・アンビエンスの音量を調整します。

OVERHEAD画面(2 ページ目)

OVERHEAD画面(2 ページ目)で可能な設定は以下のようになっています。

パラメータ設定値説明
R1(TEMPLATE)
  • STUDIO 1 ~ 3
  • SMALL CLUB 1 ~ 2
  • RECORDING 1 ~ 3
  • ROOM 1 ~ 3
  • STAGE 1 ~ 3
  • HALL 1 ~ 2
このパラメーターを変更すると、オーバーヘッドのすべての設定(Level を除く)と、各パッドごとのインプット・フィルターの選択とセンド量が最適な設定に変わります。

好みのテンプレートを選んでからエディットをすると、目的のサウンドに早く近づけます。

各パラメーターの設定によっては、テンプレートの名称と効果が一致しない場合があります。またテンプレートの初期値と現在の値が一致しない場合は、テンプレートの設定値に「*」が表示されます。

「*」が表示された状態でテンプレートを変更しようとすると、テンプレートの設定値を適用するため現在の値を破棄する旨のメッセージが表示されます。現在の値を破棄してテンプレートの設定値を適用する場合は、「OK」を選んで[ENTER]ボタンを押します。

R2(Level)-INF ~ +12.0dBオーバーヘッドの音量を調整します。
Mic TypeTYPE1 ~ 14マイクの種類を設定します。
Mic Width0~2マイク間の距離を調整します。
Time-64~0オーバーヘッドの残響音の時間を調整します。
F2PREV OFF、AMB ONLYマスターアウトおよびヘッドホンより、一時的にアンビエンス音のみを聞くことができます。

ただし、マスターアウトは、MASTER DIRECT がNORMAL 時のみ有効です。

F3SEND 画面に移動します。
F4OFF、OVHEAD ONオーバーヘッドエフェクトのオン/オフを設定します。
F5各種SETTING 画面に移動します。

SEND 画面での設定

OVERHEAD画面(2 ページ)で「F3」ボタンにより移動する「SEND 画面」で可能な設定は以下のようになっています。

【「F1」ボタン(SENDタブ)】

パラメータ
コントロール
設定値説明
OVERHEAD SEND-INF~+6.0dB各パッドのオーバーヘッドのかかり具合を調整します。
F4OFF、OVHEAD ONオーバーヘッドエフェクトのオン/オフを設定します。
F5(H & R)H&R OFF、H&R ONヘッドとリムなどのインストをセットで選ぶか(ON)/独立して選ぶか(OFF)を設定します。

【「F2」ボタン(FILTERタブ)】

パラメータ
コントロール
設定値説明
Type前段のフィルター:

  • THRU
  • HICUT
  • LOCUT
  • PKG

後段のフィルター:

  • THRU
  • LPF
  • HPF
  • LSF
  • HSF
オーバーヘッド・インプット・フィルターの種類を設定します。

フィルターは前段・後段の2 つが直列で接続されていて、前段と後段で選べる設定値が異なります。

【THRU】
入力された音をそのまま後段のフィルターに送ったり、オーバーヘッドに送ったりします。

【HICUT】
基準周波数以上の周波数をカットして、後段のフィルターに送ります。
Q の調整が可能です。

【LOCUT】
基準周波数以下の周波数をカットして、後段のフィルターに送ります。
Q の調整が可能です。

【PKG】
基準周波数を中心に増減して、後段のフィルターに送ります。
Q の調整が可能です。

【LPF】
基準周波数以上の周波数をカットして、オーバーヘッドに送ります。

【HPF】
基準周波数以下の周波数をカットして、オーバーヘッドに送ります。

【LSF】
基準周波数以下の周波数を増減して、オーバーヘッドに送ります。

【HSF】
基準周波数以上の周波数を増減して、オーバーヘッドに送ります。

Q0.5 ~ 8.0周波数帯の幅値を大きくするほど幅が狭くなります。

「前段のフィルター」かつ「Type:HICUT、LOCUT、PKG」で利用可能です。

Freq20Hz ~ 16kHz周波数のカット/増減させる際に基準とする周波数を調整します。

設定に影響しないTYPEがTHRUの場合は、設定できません。

Gain-40.0 ~ 15.0dB増幅または減衰の量を調整します。

TYPEが「LSF」「HSF」「PKG」の時に設定できます。

F4
  • OFF
  • OVHEAD ON
オーバーヘッドエフェクトのオン/オフを設定します。

【「F3」ボタン(ASSIGNタブ)】

パラメータ
コントロール
設定値説明
OVERHEAD FILTER ASSIGNBYPASS、1 ~ 4各パッドのオーバーヘッド・インプット・フィルターを選択します。

【BYPASS】
インプット・フィルターを使用せず、そのままオーバーヘッドに送ります。

【1~4】
指定したインプット・フィルターに音を送ります。

F4OFF、OVHEAD ONオーバーヘッドエフェクトのオン/オフを設定します。
F5(H & R)H&R OFF、H&R ONヘッドとリムなどのインストをセットで選ぶか(ON)/独立して選ぶか(OFF)を設定します。

SETTING 画面での設定

OVERHEAD画面(2 ページ)で「F5」ボタンにより移動する「SETTING 画面」で可能な設定は以下のようになっています。

「R3」ノブを回すことで、設定メニューを切り替えて、設定値を変更してきます。

【SEND/FILTER】

各パッドのオーバーヘッドのかかり具合を調節します。

パラメータ
コントロール
設定値説明
Pad Filter Select
  • BYPASS
  • 1~4
各パッドのオーバーヘッド・インプット・フィルターを選択します。

【BYPASS】
インプット・フィルターを使用せず、そのままオーバーヘッドに送ります。

【1~4】
指定したインプット・フィルターに音を送ります。

Pad Send Level-INF ~ +6.0dB各パッドのオーバーヘッドのかかり具合を調整します。
F2
  • PREV OFF
  • AMB ONLY
マスターアウトおよびヘッドホンより、一時的にアンビエンス音のみを聞くことができます。

※マスターアウトはMASTER DIRECT がNORMAL 時のみ機能します。

F4
  • OFF
  • OVHEAD ON
オーバーヘッドエフェクトのオン/オフを設定します。
F5(H & R)
  • H&R OFF
  • H&R ON
ヘッドとリムなどのインストをセットで選ぶか(ON)/独立して選ぶか(OFF)を設定します。
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【PRE COMP】

オーバーヘッドに入力する前段のコンプレッサーです。

パラメータ
コントロール
設定値説明
Pre Comp Switch
  • OFF
  • ON
プリ・リミッターのオン/オフを設定します。
Gain-24.0 ~ +24.0dBプリ・リミッターの出力音量を調整します。
Threshold-60 ~ 0dB圧縮を始める音量レベルを調整します。
Ratio1:1 ~ 100:1圧縮比を調整します。
Knee
  • HARD
  • SOFT1~3
圧縮がかかった瞬間の音の立ち上がりを調整します。
Attack0.1 ~ 100圧縮を始めるまでの時間を調整します。

単位は、「msec」です。

Release10 ~ 1000圧縮を元に戻すまでの時間を調整します。

単位は、「msec」です。

F2
  • PREV OFF
  • AMB ONLY
マスターアウトおよびヘッドホンより、一時的にアンビエンス音のみを聞くことができます。

※マスターアウトはMASTER DIRECT がNORMAL 時のみ機能します。

F4
  • OFF
  • OVHEAD ON
オーバーヘッドエフェクトのオン/オフを設定します。

【MIC SETTING】

オーバーヘッドのマイクのセッティングです。

「F5」(MIC RESET)を押下することで、初期値に戻すことが可能です。

パラメータ
コントロール
設定値説明
Mic TypeTYPE 1 ~ 14マイクの種類を設定します。
Mic Width0 ~ 2マイク間の距離を設定します。
Time-64 ~ 0オーバーヘッドの残響音の時間を調整します。
Distance0 ~ 6マイクと演奏者の距離を調整します。
Output Width
  • DEFAULT
  • WIDE +1 ~ +6
オーバーヘッド音の広がり感を調整します。
F2
  • PREV OFF
  • AMB ONLY
マスターアウトおよびヘッドホンより、一時的にアンビエンス音のみを聞くことができます。

※マスターアウトはMASTER DIRECT がNORMAL 時のみ機能します。

F4
  • OFF
  • OVHEAD ON
オーバーヘッド効果のオン/オフを設定します。

【EQ】

オーバーヘッドのEQ の調整です。

「F5」(MIC RESET)を押下することで、初期値に戻すことが可能です。

パラメータ
コントロール
設定値説明
MODE
  • STEREO
  • MID/SIDE
EQ のモードを切り替えます。

STEREO:
入力音の音質を左右等しく調節します。

MID/SIDE:
入力の左右の位相が近いもの(MID /同相)と遠いもの(SIDE /逆相)を個別に音質を調節します。
また、各Q/Freq/Gain の設定値は、EQ モードSTEREOとMID/SIDE のMID 側で共通となります。

Low Frequency20 ~ 16k [Hz]低域の基準周波数を調整します。
Low Gain-40.0 ~ +15.0 [dB]低域の増幅/減衰量を調整します。
Mid Frequency20 ~ 16k [Hz]中域の基準周波数を調整します。
Mid Q0.5 ~ 8.0周波数帯の幅で、値を大きくするほど幅が狭くなります。
Mid Gain-40.0 ~ +15.0 [dB]中域の増幅/減衰量を調整します。
High Frequency20 ~ 16k [Hz]高域の基準周波数を調整します。
High Gain-40.0 ~ +15.0 [dB]高域の増幅/減衰量を調整します。
F2
  • PREV OFF
  • AMB ONLY
マスターアウトおよびヘッドホンより、一時的にアンビエンス音のみを聞くことができます。

※マスターアウトはMASTER DIRECT がNORMAL 時のみ機能します。

F4
  • OFF
  • OVHEAD ON
オーバーヘッドエフェクトのオン/オフを設定します。

【POST COMP】

オーバーヘッドに入力する後段のコンプレッサーです。

パラメータ
コントロール
設定値説明
Post Comp Switch
  • OFF
  • ON
ポスト・コンプのオン/オフを設定します。
Gain-24.0 ~ +24.0 [dB]ポスト・コンプの出力音量を調整します。
Threshold-60 ~ 0dB圧縮を始める音量レベルを調整します。
Ratio1:1 ~ 100:1圧縮比を調整します。
Knee
  • HARD
  • SOFT1~3
圧縮がかかった瞬間の音の立ち上がりを調整します。
Attack0.1 ~ 100圧縮を始めるまでの時間を調整します。

単位は、「msec」です。

Release10 ~ 1000圧縮を元に戻すまでの時間を調整します。

単位は、「msec」です。

F2
  • PREV OFF
  • AMB ONLY
マスターアウトおよびヘッドホンより、一時的にアンビエンス音のみを聞くことができます。

※マスターアウトはMASTER DIRECT がNORMAL 時のみ機能します。

F4
  • OFF
  • OVHEAD ON
オーバーヘッドエフェクトのオン/オフを設定します。

商品情報

TD-50Xの音源を採用されている中、最もコスパが良いと考えている機種です。

V-drumsのフラグシップシリーズで、島村楽器限定モデル

まとめ

回は、音源:TD-50Xに搭載されている「ドラムキットの残響音(空間演出)に関する設定」の前半部分について触れてみました。

音作りの重要な要素にもなってくると思います。

ROLANDの音源モジュールであれば、操作感は似ていると思うので、参考にしてみて下さい。

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