動画編集ソフトのDaVinci Resolveでは、ページ毎に役割を設けて、やれることを分けています。
今回は、その中でも編集に関わるカットページでの「インスペクタ」の内容をチュートリアルとしてまとめていこうと思います。
なお、ここで紹介する内容は、DaVinci Resolve Studio 18 に基づいた内容になっています。
インスペクタ
基本的には、メディアページのインスペクタと同様です。詳細は<<メディアページ~インスペクタの設定内容~>>を参照ください。
そのため、ここでは、差分のみを記載します。
ビデオ
ビデオパネルでは、動画素材の解像度や合成、レンズ補正などを行うためのさまざまな設定が備わっています。
スマートリフレーム(Studioバージョンのみ)
アスペクト比において極端な変更を行った際に、素材をすばやくリフレームすることができる機能です。
スマートリフレームは手動で使用することも、DaVinci Resolve Neural Engineを使って自動的に実行することもできます。
設定項目は、以下になります。
項目 | 説明 |
関心対象 | リサイズの対象を選択するためのツールです。 【自動】 【リファレンスポイント】 |
リフレーム | 「スマートリフレーム」の処理を実行します。 クリップの内容によって、処理時間は変わってきます。 |
速度変更
メクリップの速度を直接変更することができます。
この方法は、カットページの他、エディットページでも利用できます。
設定項目は、以下になります。
項目 | 説明 |
方向 | クリップが動く方向を選択します。 |
速度 % | スライダーにより、クリップが動く速度を調整できます。 |
フレーム/秒 | スライダーにより、クリップを再生する際の1秒あたりのフレーム数を調整できます。 |
長さ | HH:MM:SS:FF のフォーマットに基づいて時間を設定することで、クリップを再生する時間を直接設定できます。 これにより、クリップの速度は自動で調整され、設定した時間内でクリップが再生されるようになります。 |
シーケンスをリップル | 有効時は、速度変更でタイムラインをリップルし、新しいクリップのサイズに合わせてすべての後続クリップを移動させることができます。 |
ピッチ補正チェックボックス | 有効時は、クリップのオーディオピッチ補正が行われます。 これにより、速度変更によるオーディオへの影響を軽減し、自然に聞こえるようになります。 |
スタビライゼーション
いわゆる手ぶれ補正に相当し、カメラの動きを滑らかに安定させることができます。
項目 | 説明 |
スタビライズ | 選択したモードと設定に基づいて、スタビライズ処理が行われます。 |
モード | 以下の3つのモードから、スタビライズのベースとなる「分析方法」と「適用方式」を選択できます。 【遠近】 【遠近なし】 【縦横のみ】 |
カメラロック | 有効時は、「クロップ比率」と「スムース」が無効になります。 また、すべてのカメラの動きを除去するため、カメラの動きが固定されます。 |
ズーム | 有効時は、エッジの欠け(ブランキング:黒い箇所)がなくなるようにイメージがリサイズされます。 「ブランキング」は、不要なカメラモーションを除去するための処理結果の副産物です。 「クロップ比率」の値が低いほど、ブランキングをなくすためにイメージをさらにズームする必要があります。 |
クロップ比率 | スタビライズの適用強度を制限するための値です。 「1.0」はスタビライズを適用しないことを意味し、値を下げるほどスタビライズの適用度合いが高くなります。 この値の変更を反映するには「スタビライズ」ボタンを再度クリックする必要があります。 |
スムース | 手ブレなどの不要な揺れを除去するために、クリップのスタビライズに使用される分析データにスムース効果を数値で適用できます。 設定値が低いほどスムース機能が弱くなり、高いほど補正されます。 この値の変更を反映するには「スタビライズ」ボタンを再度クリックする必要があります。 |
強度 | この値は累乗となる値で、不要な揺れを排除する度合いを指定します。 スタビライズの最大値は1で、値が小さいほど自然な仕上がりになる傾向があります。 ゼロに設定すると、すべてのスタビライズが無効になります。 |
エフェクト
クリップにエフェクトが適用されている際に、有効になります。
「Fusion FX」「Open FX」「Audio FX」に対し、それぞれ独立したタブで設定変更を行うことになります。
また、各タブ内は、適用したエフェクト毎にセクションが作られ、開閉しながら設定していくことになります。
なお、エフェクトの種類の紹介は、別記事で今後まとめようと思いますので、ここでは基本的な共通する設定のみに留めます。
項目 | 説明 |
有効/無効のトグルスイッチ | エフェクト名(グループ名)の左にあるトグルスイッチでエフェクトの有効/無効の切り替えが可能です。 スイッチの表示は、有効時はオレンジ色で右側にあり、無効時はグレーで左側です。 |
適用順の切り替え | 上矢印と下矢印のボタンを使用することで、複数のエフェクトが適用されてるときの適用順を変更できます。 |
削除ボタン | 適用したエフェクトを削除します。 |
リセットボタン | グループ内の全パラメーターをデフォルト値に戻します。 |
Fusionで編集(Fusion FXのみ) | Fusionページで編集できます。 |
カスタマイズ(Audio FXのみ) | リセットボタンの代わりに、表示されるボタンです。 適用したエフェクト専用の編集ウィンドウ(プラグインであれば、プラグインのウィンドウ)が開きます。 |
トランジション
トランジションが適用されたクリップを「ダブルクリックする」もしくは「クリック後に、インスペクタを開く」を行うと、トランジションの設定を行うことができます。
各トランジションには、編集可能な以下のプロパティがあります。
項目 | 説明 |
トランジションの種類 | 現在選択されているトランジションです。 ドロップダウンメニューから選択することで、トランジションに変更することができます。 選択できる項目は、32項目あり、「ワイプ系」「アイリス系」「ディゾルブ系」などが備わっています。 |
長さ | トランジションの継続時間を秒数とフレーム数の両方で表示します。 なお、双方の値は連動しています。 |
配置 | 編集点を基準としたトランジションの位置を選択します。 左から、「編集点で終了」、「編集点が中心」、「編集点から開始」から選択できます。 |
ボーダー(ワイプ系・アイリス系) | トランジションにより、発生する前クリップと後クリップの境界(双方が重なる部分)に色が付くようになります。 この値を上げると、双方が重なる部分が大きくなっていきます。 |
フェザー(ワイプ系・アイリス系) | トランジションにより、発生する前クリップと後クリップの境界(ボーダーの箇所)がぼやけるようになります。 ボーダーの箇所なので、ボーダーの値により、ぼやけさせる範囲が異なってきます。 |
カラー(ワイプ系・アイリス系) | ボーダーの色を決定します。 |
反転(ワイプ系・アイリス系) | トランジションの効果が逆転します。 例えば、ボーダーなどの位置が変わったり、後クリップBが表示されるところが前クリップAが消えていくようになったりします。 |
スタイル(ディゾルブ系) | 前のクリップと次のクリップが混ざり合う際のディゾルブの種類を、以下から選択できます。 【ビデオ】 【フィルム】 【加算】 【減算】 【ハイライト】 【シャドウ】 |
開始比率 | トランジションが適用されているクリップの範囲で、最初のフレームでのトランジションの進行度を0〜100%で設定できます。 開始比率を0以外に設定すると、トランジション設定したクリップ開始時からトランジションが進んでいる状態で開始されます。 100%に設定すると、トランジションの適用範囲開始時に完全に切り替わった状態になります。 |
終了比率 | トランジションが適用されているクリップの範囲で、最後のフレームでのトランジションの進行度を0〜100%で設定できます。 終了比率を100以外に設定すると、トランジションの適用範囲の終了時には完全に切り替わっていない状態になります。 0%に設定すると、トランジションの適用範囲終了時まで前のクリップのみを表示している状態になります。 |
イーズ | トランジションの開始から終了にかけてのトランジションが行われる速度の傾向を設定できます。 【なし】 速度変化は行われず、一定の速度で次のクリップへと切り替わります。 【イン】 トランジションの開始直後に、終了直前よりも低速になるディゾルブを適用します。 【アウト】 トランジションの開始直後に、終了直前よりも高速になるディゾルブを適用します。 【イン&アウト】 トランジションの開始直後と終了直前に低速になり、中間域が高速になるディゾルブを適用します。 【カスタム】 以下のトランジションカーブを使って、自由に速度を変更できます。 |
トランジションカーブ | トランジションの進行速度を調整するキーフレームを手動で設定できます。 |
商品情報
公式HPでは、無料版もダウンロードできます。
無料版は、試用期間のようなものではなく、永続的に無料で使い続けることができます。
また、無料版とは言え、プライベートで利用する場合は十分すぎる機能を有しています。
まとめ
今回は、DaVinci Resolveの「カットページ」での「インスペクタ」についてまとめてみました。
DaVinci Resolveを使用する際のヒントになれば幸いです。