【Dorico】ファイル操作~複数デバイスでの利用・自動保存・バックアップ・カスタムテンプレート~

現在、様々な場面・分野でユーザーに使われている作譜ソフト「Dorico」。

Sibeliusと並び、業界標準の一角を担っています。

今回はそんなDoricoの「ファイル操作」について、紹介します。

なお、ここでは Dorico pro(ver.6) での内容に基づいた内容となっています。

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複数デバイスでの利用

Dorico6より、デスクトップPCやiPadをはじめとする複数のデバイスで1つのプロジェクトファイルを同時アクセスできるようになっています。

その際、編集内容をいずれかのデバイスで保存した場合、他のデバイスでは変更通知のダイアログが表示されます。

そのダイアログでは、以下の選択肢があります。

選択肢説明
再読み込み 変更された内容で再表示します。
名前を付けて保存ダイアログ通知があったデバイスで、未保存の変更内容がある場合に利用可能です。
現在のデバイスに新しいファイル名でプロジェクトを保存します。
キャンセル 外部デバイスで行われた変更内容を無視します。
[環境設定] > [一般] > [ファイル] において、本ダイアログを表示しないように設定できます。

自動保存

作成・編集された譜面を保存する方法として、手動で行う他に定期的に「自動保存」する機能が備わっています。

概要

自動保存されたファイルは、「%appdata%\Steinberg\Dorico 6\AutoSave」に「”プロジェクト名”-[AutoSave].dorico」として配置されています。

この自動保存されたファイルは、アプリやPC環境で「保存できないまま、アプリやPCが落ちる」などの事態に直面した場合の復旧に役立ちます。

注意点としては、以下があります。

  • 自動保存されるファイルは、プロジェクトに対して1つのみ作られます。
  • 自動保存の対象は、一度も保存していない新規プロジェクトも含まれています。
  • 複数のプロジェクトを同時起動している場合は、自動保存の間隔が来たタイミングでアクティブなプロジェクトに対して機能します。
  • 「%appdata%」は、基本的に隠しフォルダーになっているので、PCに詳しくない人は触らない方が良いかもしれません。

復旧する方法

復旧したい場合は、以下の手順をしましょう。

  1. Doricoを再起動する。
  2. 表示された「自動保存したプロジェクトを回復」ダイアログ(下図)に従う。

なお、このダイアログでは、以下の2つの操作ができるので、復旧時は前者を行ってください。

  • 選択したプロジェクトを回復

    • 一覧から選択した「復帰させたいプロジェクト」を開きます。
  • すべて破棄

    • 自動保存されたプロジェクトを全て削除(ゴミ箱へ移動)する

自動保存の設定変更

自動保存の設定は、[環境設定] > [全般] > [ファイル] > [プロジェクトを保存] で行うことができます。

設定内容を以下に記載しておきます。

項目説明
自動保存の間隔自動保存を行う間隔(≒頻度)を分単位で設定します。
自動保存を無効にしたい場合は、チェックボックスをオフにしてください。

自動保存されたファイルの削除処理

いくつもプロジェクトを製作している場合、「ストレージ容量圧迫されるのでは?」と気にされる方もいるかもしれません。

その場合は、ごみ箱の中身をまず確認してください。

「自動保存」フォルダーに保存しているプロジェクトファイルは、以下のタイミングで削除されることでごみ箱に移動します。

  • 対応するプロジェクトを閉じたとき
  • Dorico Pro を終了したとき

そのため、アプリの機能で自動削除された「自動保存したプロジェクト」が貯まっている可能性があります。

貯まっているファイル群の中で不要なものであれば、手動で削除しましょう。

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プロジェクトのバックアップ

作成・編集された譜面を保存する際、実ファイルとは別に、その保存した時点のバックアップを作業しているファイルとは別に保存しておく機能を持っています。

概要

バックアップとして保存されたファイルは、あらかじめ「環境設定」で設定されているフォルダーに、「”年月日時分秒”_”プロジェクト名”-[AutoSave].dorico」のファイルで保存されます。

このバックアップファイルは、「誤って編集内容を保存して、戻せなくなった」などの事態に直面した場合の復旧に役立ちます。

復旧する方法

 復旧したい場合は、「環境設定」で設定されているフォルダーにアクセスして、復旧させたい時点のファイルで起動してください。

自動保存の設定変更

自動保存の設定は、[環境設定] > [全般] > [ファイル] > [プロジェクトを保存] で行うことができます。

設定内容を以下に記載しておきます。

項目説明
プロジェクトのバックアップフォルダー
バックアップファイルを保存する場所を設定します。
プロジェクトごとのバックアップ数
プロジェクト毎にバックアップとして保持するファイル数を設定します。

バックアップファイルの削除処理

「環境設定」で設定したバックアップ数を超えたファイルは、ごみ箱に移動します。

「ストレージ容量圧迫」を気にされる方は、この中のファイルをまず削除しましょう。

カスタムテンプレート

Hubから新規でプロジェクトを作成する際はテンプレートを利用します。

このテンプレートは、デフォルトの他にも、独自のカスタムテンプレートを利用することが可能です。

そのため、個々のニーズに合ったものを事前に作成しておくことが可能になります。

デフォルトのテンプレートは、いずれもクラシック寄りの印象があり、軽音楽編成のテンプレートは独自作成が基本と想定できます。

作成方法

以下の手順でカスタムテンプレートを作成・保存できます。

  1. テンプレート保存したい「プレーヤー」「フロー」「プロジェクト情報」などの設定を行う。
  2. メニューの[ファイル] > [プロジェクトテンプレートとして保存]を選択する。
  3. 表示された「プロジェクトテンプレートとして保存」ダイアログで以下の項目を設定する。

    • カテゴリー

      • 文字列を打つと既存のカテゴリーを予測表示してくれます。
      • 設定した名称が既存のカテゴリーにない場合は、新規作成されます。
    • 名前
    • 既存のフローを保存

      • フロー内の楽譜も含めて、保存されます。
    • プロジェクト情報を保存
  4. 「保存」ボタンを押下する。

削除方法

不要なテンプレートは、以下の手順で削除できます。

  1. Hub を開く。
  2. 「新規作成」タブを開く。
  3. 削除したいテンプレートのメニューボタンから、「プロジェクトテンプレートを削除」を選択する。
  4. 確認ダイアログで「OK」を押下する。
手順3のメニューボタンは、カスタムテンプレートのみ表示されます。

<参考情報>デフォルトのプロジェクトテンプレート

デフォルトのテンプレートのカテゴリーは以下です。

カテゴリー説明
バンド 軽音楽ではなく、管弦楽のブラスバンド(主に木管楽器と金管楽器)向けのテンプレートです。
室内楽 小編成(弦楽四重奏など)向けのテンプレートです。
合唱 声部を含む合唱編成(無伴奏混声四部合唱など)向けのテンプレートです。
空白 完全に空白のプロジェクトテンプレートです。
ジャズ ジャズの演奏(ビッグバンドなど)向けのテンプレートです。
オーケストラ 大規模編成(弦楽器、木管楽器、金管楽器、打楽器など)向けのテンプレートです。
ソロ ソロパート(ピアノ、タブ譜付きのギターなど)向けのテンプレートです。

商品情報

各作業に最適なモードで作譜。出版用に最適。

まとめ

今回は、Doricoの「ファイル操作」についてまとめてみました。

Doricoを使用する際のヒントになれば幸いです。

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