【Dorico】【記譜モード】記譜ツールボックスによる記譜記号入力操作⑧

現在、様々な場面・分野でユーザーに使われている作譜ソフト「Dorico」。

かつてのFinaleに代わり、業界標準の一角を担っています。

今回はそんなDoricoの「記譜モード」の「記譜ツールボックスによる『音符ツール』『フィンガリング』『数字付き低音』『MIDI トリガー領域』の入力操作」について、紹介します。

なお、ここでは Dorico pro(ver.6) での内容に基づいた内容となっています。

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音楽ツール

入力済みの音符に対して「ピッチ」や「リズム」を変更したい時は、記譜ツールボックスの「音符ツール」を利用できます。

入力方法は、キーボードを利用する「ポップオーバー」入力のみです。

操作手順

ポップオーバーでの操作手順は、以下のようになっています。

  1. 変更したい位置に配置されているアイテムを選択する。
  2. 以下のいずれかを実行し、ポップオーバーを表示する。

    • 「Shift + I」を押下する。
    • 記譜ツールボックスで [ポップオーバー] > [音楽ツール] のボタンを押下する。
  3. 表示されたポップオーバーに、エントリーを入力する。
  4. 「Return(Enter)」キーを押下し、ポップオーバーを閉じる。

ポップオーバーの入力例

以下に、ポップオーバーで記載できるエントリーの入力例を記載します。

種別変更内容代表的なエントリー
音符の追加 3度上 「3」「3rd」
5度下 「-5」「-5th」
3度上と5度上 「3,5」
移調 2度上 「t2」「t2nd」
4度下 「t-4」「t-4th」
転回 最低音(最高音)を基点 「inv bottom(top)」
ルート音を基点 「inv root」
全音階 「inv diatonic」「inv diat」
半音階 「inv chromatic」「inv chrom」
特定のピッチを基点 「inv c4」「inv bb4」「inv f#4」
反転 選択した声部のみでピッチとアイテムを対象 「rev pt voice」
回転 選択した音符のリズムのみ後方に3ステップ分 「rot rhythm -3」
繰り返し 選択範囲に対して、選択した初めの2音のピッチを対象「repeat 2 pitches」
休符の場所は、休符のままになります。
マッピング C4からEb4 「c4=eb4」
A♯とB♭などの異名同音をそれより低い(高い)Gに「a#* =G down(top)」
「*」は異名同音を含めるときに利用します。
CメジャーからCマイナー「c M to c m」
「[変換元のスケール] to [変換先のスケール]」が基本形です。

フィンガリング

入力済みの音符に対してフィンガリングを追加するには、記譜ツールボックスの「フィンガリング」が利用できます。

入力方法は、キーボードを利用する「ポップオーバー」入力のみです。

入力手順:ポップオーバー

ポップオーバーでの入力手順は、以下のようになっています。

音符ツールボックスの「音符入力を開始」のボタン(リンク)が有効な状態を、便宜上「音符入力モード」とします。
  1. 以下のいずれかを実行する。

    • 必要に応じて「音符入力モード」にして、音符を入力する。
    • 入力したい位置に配置されているアイテムを選択する。
  2. 以下のいずれかを実行し、ポップオーバーを表示する。

    • 「Shift + F」を押下する。
    • 記譜ツールボックスで [ポップオーバー] > [フィンガリング] のボタンを押下する。
  3. 表示されたポップオーバーに、エントリーを入力する。
  4. 「Return(Enter)」キーを押下し、ポップオーバーを閉じる。

フレット楽器が対象の場合、手順2と3の間で以下のキーを押下して、必要に応じて表記する手を切り替えることが可能です。

  • 右手:「↓」キー
  • 左手:「↑」キー

ポップオーバーの入力例(除:フレット楽器)

以下に、ポップオーバーで記載できるエントリーの入力例を記載します。

種別代表的なエントリー
単一のフィンガリング 「1」「2」など
バルブ式金管楽器人差し指:「1」、中指:「2」、薬指:「3」
「12」「23」「13」「123」
左手のフィンガリング 「L2」
右手のフィンガリング 「R5」
代替フィンガリング 2(3)
替え指 1-3
シフト指示 (弦楽器) 2/

ポップオーバーの入力例(フレット楽器)

以下に、ポップオーバーで記載できるエントリーの入力例を記載します。

種別代表的なエントリー
左手のフィンガリング 「0」「1」「2」「3」「4」「5」
右手のフィンガリング 「p」「i」「m」「a」「e」
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数字付き低音

数字付き低音の付与は、記譜ツールボックスの「数字付き低音」で利用できます。

入力方法は、キーボードを利用する「ポップオーバー」入力のみです。

入力手順:ポップオーバー

ポップオーバーでの入力手順は、以下のようになっています。

※音符ツールボックスの「音符入力を開始」のボタン(リンク)が有効な状態を、便宜上「音符入力モード」とします。
  1. 付与したい位置に配置されているアイテムを選択する。
  2. 以下のいずれかを実行し、ポップオーバーを表示する。

    • 「Shift + G」を押下する。
    • 記譜ツールボックスで [ポップオーバー] > [数字付き低音] のボタンを押下する。
  3. 表示されたポップオーバーに、エントリーを入力する。
  4. 「Return(Enter)」キーを押下し、ポップオーバーを閉じる。

手順3の時、以下のいずれかでローカルとグローバルを変更することができます。

  • ローカルな数字:「Alt + L」
  • グローバルな数字:「Alt + G」

なお、数字付き低音の入力内容は、[浄書オプション(Ctrl + Shift + E)] > [数字付き低音] の設定に基づきます。

これをポップオーバーの入力内容のままにしたい場合は、[音符入力オプション(Ctrl + Shift + I)] > [数字付き低音] の設定を変更する必要があります。

また、入力時のナビゲーション機能として、一例を挙げます。

動作ショートカットキー
次(前)の拍へ 「(Shift + )Space」
次(前)の小節へ 「(Shift + )Tab」
次(前)の音符へ 「→(←)」

ポップオーバーの入力例

以下に、ポップオーバーで記載できるエントリーの入力例を記載します。

表記代表的なエントリー
数字(1、2、3、・・・) 「1」「2」「3」・・・
複数の数字 「#6,4,2」(カンマ区切りで表記)
数字の非表示 「<2>」「{3}」
コード記号で指定 「Bbm」「D/G」
ナチュラル 「n(大文字も可)」
ダブルシャープ 「x」「##」「ds」
トリプルフラット 「bbb」「tb」
数字を半音上げる 「+」
数字を半音下げる 「-」
タストソロ 「ts」
ホールドのデュレーション 「d=2 (4分音符の数)」
サスペンション 「4_3」「4~3」
一時的に「浄書オプション」に従う 数字の前に以下のいずれかを記載する
「r(大文字も可)」「v(大文字も可)」「?」
一時的に「入力内容」に従う数字の前に以下のいずれかを記載する
「o(大文字も可)」「!」

MIDI トリガー領域の入力

楽譜には表示されない再生用の音符を入力するには、記譜ツールボックスの「MIDI トリガー領域の入力」を利用できます。

入力方法は、キーボードを利用する「ポップオーバー」入力のみです。

入力手順:ポップオーバー

ポップオーバーでの入力手順は、以下のようになっています。

音符ツールボックスの「音符入力を開始」のボタン(リンク)が有効な状態を、便宜上「音符入力モード」とします。
  1. 以下のいずれかを実行する。

    • 「音符入力モード」にする。
    • 入力したい位置に配置されているアイテムを選択する。
  2. 以下のいずれかを実行し、ポップオーバーを表示する。

    • 「Shift + 0」を押下する。
    • 記譜ツールボックスで [ポップオーバー] > [MIDI トリガー領域の入力] のボタンを押下する。
  3. 表示されたポップオーバーに、エントリーを入力する。
  4. 「Return(Enter)」キーを押下し、ポップオーバーを閉じる。

ポップオーバーの入力例

以下に、ポップオーバーで記載できるエントリーの入力例を記載します。

表記代表的なエントリー
ピッチとオクターブによる音符 「c4」「Eb3」「F#5」
MIDIノート番号による音符 「60」「51」「78」
ベロシティを指定する最後の音符の後に、以下のいずれかを記載する。
「(0)」~「(127)」

商品情報

各作業に最適なモードで作譜。出版用に最適。

まとめ

今回は、Doricoの「記譜モード」の「記譜ツールボックスによる『音符ツール』『フィンガリング』『数字付き低音』『MIDI トリガー領域』の入力操作」についてまとめてみました。

Doricoを使用する際のヒントになれば幸いです。

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