これから音楽をやってみようと思っている人。環境を変えようとする人。この記事を見られている中には、色んな立場の方がいるかと思います。そんなでついて回るのが、機材。演奏・録音・作曲の何をするにも、付いてまわります。
本記事では、そんな中でもDAWを扱う上で必要になることがあるmidiインターフェースについて、検討・調査した内容をまとめてみます。
実際に私が使用しているものもあるので、参考にしてみてください。
midiインターフェースって?
DAWを扱う上で、MIDI(※1)の入力、DAWの操作をするためのツールです。midiコントローラーや外部コントローラーとも言います。例えば、プロの作業用デスクをネットで検索すると、大抵キーボードが置かれていると思います。これはキーボード型のmidiインターフェースを使用しているということになります。逆にシンセサイザーなんかは、付属機能としてmidiインターフェースとして使える機種が多くあります。通常、PCの画面上でマウスや(PC周辺機器の)キーボードを使用して打ち込んでいく操作を、直感的な操作で実現するツールなのです。特定のDAWやプラグイン専用のmidiインターフェースなんかもあります。
midiコントローラーには以下のようなタイプがあります。必ずどれかに分かれるのではなく、いくつかのタイプを併せ持ったものも多いです。
タイプ | 特徴 |
パッド搭載型 | パッド操作をメインで行うタイプです。 主に、ドラムやパーカッションの演奏/打ち込みに向いています。特定の機能や操作を登録してショートカットキーのように扱うことが可能な機種もあります。 |
ファンクション型 | 再生や停止などのトランスポートの操作、プラグインエフェクトのパラメータ調整、フェーダー付きの物などができます。 |
キーボード型 | 主に、音階(メロディ)などのmidi情報を鍵盤入力していくために使用するタイプです。 サイズも小型のものから、グランドピアノと同じ88鍵あるものまで様々です。クラシックやバンド演奏を想定しなければ、通常は49鍵や61鍵で問題ないと思います。このタイプは、多機能なものも多いので選択肢も豊富です。 |
フェーダー搭載型 | フェーダー操作をメインで行えるタイプです。 フェーダーが付いているのでDAW上でのミキサー操作を行う際に適しています。音量調整、パン、ソロ/ミュートなどの操作が可能です。 |
どれを選べば良いの?
あくまで一例ですが、有名どころを以下でいくつか紹介します。バンドルソフトが付いているものもあるので、参考にしてみて下さい。
NATIVE INSTRUMENTS
NATIVE INSTRUMENTS から販売されているものでは、Maschine と Komplete Kontrolシリーズがあります。これらの商品の問い合わせ先は、NATIVE INSTRUMENTS Japan(リンク)になります。
Machineシリーズはパッドタイプで、オーディオインターフェースの機能も搭載されているものがあることが特徴です。また、Maschine+についてはスタンドアローン対応し、PCに接続することなくMaschine単体で使用が可能になりました。同社のオーディオインターフェースのKOMPLETE AUDIO シリーズと連携すれば、入出力の拡張およびXLR端子の使用も可能となる。
さらに、主要DAWとの連携も対応されていて、Ableton Live、Logic Pro、Cubase、GarageBand、FL Studio、Pro Tools、Studio One などのVST、Audio Units、AAX 32、AAX 64 プラグインとして動作します。
MASCHINE+ | MASCHINE | MASCHINE MIKRO | |
電源 | バスパワー(コントローラーモードのみ) or 電源アダプター | バスパワー or 電源アダプター | バスパワー |
オーディオ インターフェース、midi 等 | 24bit / 44.1kHz LINE IN:2 LINE OUT:1組 MIC IN:1 PHONE:1 MIDI IN/OUT | 24bit / 96kHz LINE IN:2 LINE OUT:1組 MIC IN:1 PHONE:1 MIDI IN/OUT | なし |
フットスイッチ | 1 | 1 | なし |
Komplete Kontrolは鍵盤タイプで、さらにS SERIES、A SERIES、M32 に分かれます。目に見える違いは、鍵盤の作りの差、ディスプレイの差、鍵盤上のライトなどがあります。また、いずれのシリーズも Logic Pro X、GarageBand、Ableton Live、Cubase、Nuendo、Studio One のDAWを操作することができるので、非常に便利なインターフェースです。このインターフェース1つで、NI製品だけでなく、KONTACTで動作するサードパーティーのプラグイン、有名なWAVESのエフェクトプラグインなども操作できるのも大きな特徴でしょう。KOMPLETEやKONTACTをメインに使われる方はぜひ選択肢に入れると良いでしょう。
バンドルソフトとして、KOMPLETE KONTROLソフトウェア、MASCHINE ESSENTIALS、KONPLETE START、Ableton Live Liteが付属しています。「S SERIES」に関しては、KONPLETE SELECTも付属されます。KOMPLETE KONTROL 単体では音が出ないのですが、音源やエフェクト、DAWも付いてくるので、PCがあればすぐ制作活動ができます。
S SERIES | A SERIES | M32 | |
電源 | バスパワー(※) | バスパワー | バスパワー |
鍵盤数 | 49、61、88 | 25、49、61 | 32 |
鍵盤 | ■S49(49鍵)、S61(61鍵) セミウェイテッドキー ■S88(88鍵) フルウェイテッド・ ハンマーアクションキー | セミウェイテッド・ カスタムキーベッド | シンセアクション・ キーベッド |
ディスプレイ | 高解像度液晶ディスプレイ | 有機ELディスプレイ | 有機ELディスプレイ |
※S88については、電源アダプターが付属しています。
ICON DIGITAL
Platformシリーズです。モーター内蔵の100mmフェーダーと複数のノブや、基本的な再生・停止・録音・ミュートといった機能を備えたファンクションボタンを搭載されている「Nano」「M+」がベースとしてあります。多機能で極力コンパクトなインターフェースをお探しなら、Nanoが候補に挙がってくると思います。ディスプレイが付いているのも特徴です。また、Nanoについては、機能そのままでBluetooth接続が可能な「Platform Nano Air」も存在しています。その他、「Platform M+」に対するフェーダー拡張用の「X+」や50個のファンクションキー(自照式)を拡張する「B+」があります。さらに、「M+」と「X+」には「Platform D2」という拡張用のディスプレイもあります。拡張性に非常に長けているのが、この「Platformシリーズ」の特徴と言えるでしょう。
Platformシリーズの上位モデルとしては、Qcon Pro Xがあります。こちらはPlatformシリーズでできることを1つにまとめたようなものです。こちらもQcon Pro XSという8本のフェーダーが付いた拡張用のユニットがあります。
Plarformシリーズでも、Qcon Pro Xでも、Cubase、Nuendo、Samplitude、Logic Pro、PerStudio One、Bitwig、Reason、Ableton Live といったDAWには Mackie Control プロトコルで、Pro Tools とは Mackie HUI プロトコルでDAWコントロールが可能です。ただし、全ての操作を担えるというわけではないので、注意が必要です。
Platform Nano | Platform M+ | Platform X+ | Platform B+ | |
フェーダー | 1 | 8(ch毎) 1(マスター) | 8(ch毎) | なし |
ディスプレイ | LCD | なし | なし | なし |
Fnボタン | あり | あり | なし | あり |
用途 | メイン操作 | メイン操作 | M+ 拡張用 | M+ 拡張用 |
※商品の問い合わせ先は、Hookup(リンク)を通すことになります。
PRESONUS
PRESONUS から販売されているものでは、Atomシリーズ と FaderPortシリーズがあります。どちらも同社のDAW:Studio Oneとの連携に最適化している点が大きいでしょう。近年、Studio Oneユーザーも増えてきていると思うので、より大きい特徴と言えます。他のDAWはどうなのか?ということになりますが、もちろん主要なDAWには対応しています。Pro Tools は「HUI」で、Logic、Cubase、Liveなどは「MCU」で操作することになります。なお、両製品ともに、バンドルとして同社のStuidio One Airtst が付属しているので、お試しで使用してみるのも良いと思います。これらの商品の問い合わせ先は、MI7 Japan(リンク)を通すことになります。
Atomは、トラックメイキングなどに活用できるパッドタイプのMIDIインターフェースです。形状は正方形です。16個のパッドはペロシティ/プレッシャー・センシティブ対応で、VSTi でリズムやメロディーを奏でることも可能です。モードについても多彩です。「MIDIキーボード・モード」「ノート・リピート・モード」「フル・ベロシティ・モード」があり、インストゥルメントをダイナミックにコントロールできます。プログラム可能な4基のロータリー・エンコーダーと20基のアサイナブル・ボタンでは、パラメーターを素早くコントロールすることも可能です。
また、Atom SQでは、ビートやサンプルのプログラミングとシンセ・ラインを多彩で表現力豊かに奏でることが可能です。形状は長方形です。バンドルソフトも、Studio One Artistに加えて Ableton Live Liteも付いてきます。双方に対しては機能を最適化された状態で対応されています。名前こそ「Atom」ですが、形状は異なり、スタッガード・レイアウトのベロシティセンシティブ/プレッシャーセンシティブRGB LEDパッドが32個、エンドレス・ロータリー・エンコーダー8基、アルペジエーター機能も付いています。
Faderportシリーズは、トランスポート(再生・停止)やソロ・ミュートなどのファンクションはもちろんのこと、100mmのオートフェーダーを有しています。仕様としてはフェーダーが1つの「Faderport」に関しては、ぱっと見では 前述のPlatform Nanoと非常に似ているかと思います。Faderportでは、トランスポートなどのボタンに名称が書かれており、扱いやすい配置、そして大きさになっているのが特徴です。直感的に使うことができるでしょう。
また、Faderport を候補にする場合は、「8」か「16」が良いと思います。Faderport8 の場合は「8本のフェーダー」と「57個のスイッチ」が搭載されており、「複数のトラックに対し、1つのコントローラーで多くのことを簡単に実施したい」という人には向いているかと思います。加えて、FaderPortではDAWの操作だけでなく、プラグインのパラメータ調整もできます。フェーダーの数だけのプラグインの操作などが簡単に実施可能です。この辺りのDAWの操作などについては説明書にも載っていますので、参考にしてみて下さい。
追加情報ですが、フェーダーが1つのみの「Faderport」にオーディオインターフェースの機能を加えた「ioStation 24c」というモデルもあります。フェーダーが1つで十分でオーディオインターフェースを持っていない場合は、「ioStation 24c」も視野に入れると良いでしょう。
Faderport | Faderport8 | Faderport16 | ioStation 24c | |
電源 | 電源アダプター | 電源アダプター | 電源アダプター | 電源アダプター |
フェーダー | 1 | 8 | 16 | 1 |
ディスプレイ | なし | 8(フェーダー毎) | 16(フェーダー毎) | なし |
Fnボタン | あり | あり | あり | あり |
用途 | DAWコントロール | DAWコントロール | DAWコントロール | DAWコントロール オーディオインターフェース |
Roland
Rolandから販売されているmidiキーボードは、「Aシリーズ」です。SuperNATURAL音源のコントロールに最適なパラメーターを瞬時にアサインできるSuperNATURALモードを装備した「A-49」、演奏表現力を追求した高性能鍵盤と豊富なコントロール(ノブ、スライダーなど)を搭載した「A-PROシリーズ」、ピアノ鍵盤として定評のあるPHA-4 スタンダード鍵盤を搭載した88鍵「A-88MkⅡ」からなるmidiキーボードのシリーズです。
その他にも、A-49には、D-BEAMという手をかざすことで、ピッチ・音量・その他パラメータを調整できるコントロールが搭載。A-PROシリーズには、各種情報が表示されるバック・ライト付き液晶ディスプレイを搭載。A-88MkⅡでは、macOSおよびWindows用のコントロール・アプリが用意され、各種コントロールへのアサインをスムーズに行うことができます。
また、いずれの製品にも、バンドル製品として「Ableton Live Lite」が付属されます。
A-49 | A-300PRO | A-500PRO | A-800PRO | A-88MkⅡ | |
電源 | バスパワー | バスパワー or 電源アダプター | バスパワー or 電源アダプター | バスパワー or 電源アダプター | バスパワー or 電源アダプター |
鍵盤数 | 49 | 32 | 49 | 61 | 88 |
コントロール | ボタン:2 つまみ:2 | パッド:8 ボタン:13 つまみ:9 スライダー:9 | パッド:8 ボタン:13 つまみ:9 スライダー:9 | パッド:8 ボタン:13 つまみ:9 スライダー:9 | パッド:8 つまみ:8 ボタン:2 |
MIDI | OUT | IN/OUT | IN/OUT | IN/OUT | IN/OUT |
PEDAL | HOLD EXP | HOLD EXP | HOLD EXP | HOLD EXP | DAMP FC1 FC2 |
レバー | ピッチベンド モジュレーション | ピッチベンド モジュレーション | ピッチベンド モジュレーション | ピッチベンド モジュレーション | ピッチベンド モジュレーション |
その他 | D-BEAM・コントローラー | 鍵盤アフタータッチ バリューエンコーダー | 鍵盤アフタータッチ バリューエンコーダー | 鍵盤アフタータッチ バリューエンコーダー | PHA-4スタンダード鍵盤(エスケープメント付・象牙調) |
※商品の問い合わせ先は、(リンク)を通すことになります。
番外編
Roland
ここで紹介するのは、FAシリーズです。MIDIキーボードの位置づけではなく、単体でも使える「ワークステーション」です。MIDIキーボードとしても使用できるオススメの品なので、ご紹介します。Rolandには、多くの鍵盤楽器が販売されており、シンセサイザーの位置づけで「FANTOMシリーズ」「JUPITERシリーズ」というものもあります。FAシリーズは「ワークステーション」というだけあって、単に鍵盤楽器という枠には収まりません。ライブ演奏から音楽制作まで、網羅できるオールラウンダーの楽器なのです。あまりに機能があるので、ここでは1つの楽器という視点ではなく、楽曲制作に関する機能のみにします。
FAシリーズには、「シーケンサー」「DAWコントロール」の機能が備わっています。「シーケンサー」では、16トラックのシーケンサーが内蔵されています。ステップ録音や、イベント・リストを見ながら、じっくりトラック編集することも可能です。曲のデータはステレオのオーディオファイルとしてSDHCカードに保存できます。「DAWコントロール」では、Live、Logic Pro、Cubase に対応したコントロール・マッピングが標準で用意されています。そのため、対象のDAWを設定するだけでDAWの基本操作を可能にします。また、オーディオ・インターフェースとしての使用可能です。外部入力に接続した様々な音源を直接録音したり、ライン出力やヘッドホンからDAWのサウンドのモニタリングも可能です。FAシリーズでの演奏した音も録音することができます。
モデルは、3種類ありますが、鍵盤数と鍵盤の作りが異なるだけで、その他の仕様については、基本的に同じです。そのため、こちらを検討するなら、midiキーボードやバンドのキーボードパートで使いたい場合は「FA-06」、バンドなどの演奏でも様々な機能を積極的に使いたい方には「FA-07」、よりクラシックのような広域の音階が必要な方、リアルな鍵盤に近づけたいという方には「FA-08」というような選択方法で良いかと思います。
バンドル製品は、Ableton Live Lite です。
FA-06 | FA-07 | FA-08 | |
電源 | 電源アダプター | 電源アダプター | 電源アダプター |
鍵盤数 | 61 | 76 | 88 |
鍵盤 | ベロシティー対応 | セミウェイテッド鍵盤 ベロシティー対応 | アイボリー・フィールG鍵盤 エスケープメント付き |
※S88については、電源アダプターが付属しています。
ABLETON
Ableton Live 専用のmidi インターフェース:Push 2です。専用なだけあって、Liveとの連携・同期は見事です。Liveで行うあらゆる作業がすべて行えるようなツールになっています。Live をメインで使用している人には、これ一択と言っても良いほどのツールです。EDMやループ音源をメインで扱う人には必須とも言えるでしょう。
64個のパッドでは、単にドラムやパーカッション操作だけでなく、コードや音階の入力にも対応していて、感覚的に様々なことができます。フェーダー(スライダー)でもピッチベンドやモジュレーション操作が可能です。
ディスプレイも付いていて、波形が表示されるほか、選択しているトラックで使用しているプラグインのパラメータと連動しています。ノブも付いているため、マウスでパラメータ調整するのと比べて、効率が全く違います。もちろん、プラグインのパラメータ調整の他、ミキサー操作にも連動しているので、ミキシングの効率も格段にアップします。
バンドルソフトとしては、Live Intro があります。商品の問い合わせ先は、Ableton JP(リンク)です。
まとめ
色々見てきましたが、一概にmidiインターフェースと言っても、様々な役目があり、用途も全く異なってきます。
「自身のやりたいこと」「使用する環境」を一番に考え、検討してみて下さい。
ちなみに、今回紹介した中では、私は「Faderport8」「FAシリーズ」「Push2」の使用経験があります。