DTMに必要な機材って何?必要な理由と優先順位

DTMを今から始めようとする人にとっては、「DTMをするには、どんなものが必要なのか?」「スペックの目安」などが気になるところだと思います。経験者が近くにいれば、より深いところまで訊けると思いますが、そう簡単にはいかないのが常だと思います。

この記事では、私の思う優先度順に必要な機材を記載していこうと思います。

また、機材の買い直しで凝りている人を自他共に見ています。そのため私が使用経験があり、かつ本当におすすめしたい機材があれば、一例も記載しておきます。

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優先度:高

ここでは、絶対に必要なものを記載します。

パソコン

説明

DTMを行う上で、デスクトップPC もしくは ノートPCは必須です。DTMはDesktop Musicの略称であり、PC上で音楽作成(作曲/編曲など)をすることを指します。一部タブレット端末で動作するDAW(iPad の Garage Band など)はありますが、基本的にはパソコン上で動きます。もし所持していない人は、購入しましょう。

また、購入している人もスペックを確認してみて下さい。大抵のDAWでは、少なくとも以下のメーカーの推奨スペックを満たすことを推奨します。以下のメーカー推奨スペックを満たしていても、PCのキャッシュやインストールされているプログラムなどの環境によって、DAWをインストールできても動作がままならず、フリーズすることが多々あります。

項目メーカーの推奨環境で多いもの個人的な推奨
OS
  • Windows
    • 64-bit Windows 10 Version 1903
    • 64-bit Windows 10 Version 1809
  • Mac
    • macOS  10.13.6 ~  10.15.1
各OSにおける最新バージョンの1つ手前。(※1)
CPU Intel® Core i5 processor Intel® Core i7 processor

 Intel® Core i9 processor

メモリ(RAM)8GB16GB以上(※2)
ディスプレイ解像度1920 x 10801920 x 1080以上
ディスク空き容量30GB250GB(SSD)(※3、※4)
端子USBUSB-TYPEC(Thunderbolt 3対応)
  • ※1:理由は、最新OSのバージョンだとメーカー側が対応できておらず、不具合を起こす可能性があるためです。
  • ※2:最上位のDAWを扱う場合は、32GB以上を推奨します。
  • ※3:処理速度を考えると、DAWをHDDにインストールすることはお勧めしません。
  • ※4:音源や各種データの保存を考えると、1TB以上の外付けHDDや(SSD)などがあるとベストです。

上記に加えて、デスクトップPCか?ノートPCか?の選択も考慮しなければなりません。同じ金額を払っても、デスクトップPCの方がより高スペックのものを購入できるのが常です。また金銭面を考慮しなくても「ハード的に許容できるスペック」や「パーツのスペック」がデスクトップPCの方がより高性能になります。持ち歩く必要がなければ、デスクトップPCにした方が無難です。

DAW

説明

DAWはDigital Audio Workstationの略で、実際に「作曲」「編曲」「演奏の録音」などを行うツールになります。

上記の中で使いたいDAWが明確な場合は、対応するOSがWindows なのか、Macなのかを必ず調べておきましょう。前述ですが、DAWによって使用できるOSが限定されるものが存在します。例えば、以下のような例があります。ちなみに、以下は全て無料のDAWになっています。

DAW対応するOS
Logic ProMac
Cakewalk by BandLabWindows
GarageBandiOS

より詳しいDAWの比較を確認したい場合は、楽器屋でよく売られている一般的な有料DAWを比較する形で以下にまとめていますので、確認してみて下さい。

DAWを比較してみよう!

優先度:中

ここでは、あると便利なものを記載します。主に、利便性に関わる部分だと思ってください。結果的に音質向上にもつながります。

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オーディオインターフェース

説明

オーディオインターフェースとは、パソコンと人をつなげる機材です。略称として、「オーディオ I/F(以下、こちらで記載)」「オーディオ I/O」という記載がされていることもあります。では、このオーディオ I/Fで何ができるかというと、大きく分けて2つあります。

  • 楽器などの音を録音すること
  • DAWで流す音を聴くこと

「楽器を録音しない場合は、PCのイヤホン端子で良いじゃないか。」とご意見もあると思います。

そこで加えて知っておいてほしいのは、オーディオドライバーの話です。標準のオーディオドライバーですと レイテンシー(遅延) が生じ、作成した音をリアルタイムで聞くことが難しくなります。そのため、現在のDAWでは ASIOドライバー を使用することがほぼ標準のような状態になっています。オーディオI/F を使用すると、このASIOドライバーで動作するようになるのも導入における利点の1つです。

また、「より立体的に臨場感を持って聞きたい」という欲求が生まれてきた場合も考えてみて下さい。そうなると、相応のヘッドホンやモニタースピーカー(後述)が必要になってきます。そうした場合、通常のイヤホンでは用を足さなくなってしまいます。また、オーディオI/F そのものによっても特徴がさまざまです。音質に影響を及ぼすもの、外部音源(後述)が付属するもの、お試し版のDAWが付属するものなどが存在します。自身の用途・状況に応じて購入時は慎重に調査する必要があります。

以下は、購入の際は、入出力数も注意しなければなりません。例えば、ギターの録音のみの場合と、ドラムの録音をする場合とでは入力数が全然違います。ギターは1本で済みますが、ドラムはシンバル数、タム数の数だけ必要になる可能性もあります。同様に、自宅での録音のみか? バンド練習などで録音する必要があるか?ということも考える必要があります。せっかく導入しても使えなかったら意味がないので、必ず確認しましょう。

おすすめ機材

上級者向け
Apollo Xシリーズの中でも1番のおすすめはX8です。

モニタースピーカー、モニターヘッドホン

説明

「オーディオインターフェース」の説明でも出てきましたが「より立体的に臨場感を持って聞きたい」となった場合に、必要になってきます。「より奥行きがある音で聴きたい」「細かい音も聴きたい」「繊細な音も聴きたい」という欲求です。普通のヘッドホンやイヤホンでは埋もれて聴こえない音も聴こえるようになります。それが、モニタースピーカー、モニターヘッドホンです。

また、普通のスピーカーとヘッドホンでは、少なからず音に加工が入っています。低音を強く出すもの、均一に出すもの、高音を強く出すものなどです。まったく同じ曲データを異なるプレーヤーで聴くと違って聞こえることがあると思います。

その反面、モニタリング用のヘッドホン・スピーカーは、加工がされていないものがほとんどです。方向・奥行きなどの聴こえ方で個性はあります。曲作りなどにおいては、極力素直で必要ない加工が加わることは避けなければなりません。そのため、プロはいくつものモニタースピーカーやモニターヘッドホンを複数持っています。さらには部屋の反響音も気にしています。モニタースピーカーを置く位置はもちろん、吸音材を張っていることも多いです。

参考までに、モニタースピーカーとモニターヘッドホンは以下のような使い分けがベストだと思います。

  • モニタースピーカー:全体的な音のまとまりや奥行き・聴こえる方向の確認
  • モニターヘッドホン:細かな音のニュアンスやエフェクトのかかり方

※ただし、楽器店でも言われたことですが、モニタースピーカーを導入するには防音を気にする必要があります。生音のライブや映画の音を考えてみて下さい。特に低音の場合は、振動が想定以上に響くでしょう。モニタースピーカーの本来の性能・実力を引き出すには一定以上の音量が必要で、大抵は防音対策が必要になるレベルです。一軒家でも隣家と近接している場合は気にすべきでしょう。アパートやマンションなどの場合はなおのことです。ダイレクトに響いてしまいます。

おすすめ機材

初心者向け
定番スタジオモニターで、ボーカル向きの印象があります。
上級者向け
開放型のスタジオ定番DT 990 PROの進化系。解像度と空間表現は抜群。

低音と奥行き・解像度に優れたスピーカー

MIDI対応のキーボード

説明

DAWでMIDI(※1)を入力するための鍵盤型のインターフェース(※2)です。鍵盤数(※3)や機能(※4)によって様々なモデルがあります。通常USBケーブルでPCに接続して使用します。MIDIキーボードとDAWの録音機能を使うことで、演奏するようにリアルタイムでの入力も可能です。外部音源(後述)とセットになっているものも存在します。

  • ※1:DAWを扱う上では「演奏するための情報」と考えてください。「音階」と「音の長さ」の集合体です。
  • ※2:なくてもマウスとキーボードがあれば入力は可能です。
  • ※3:25鍵やグランドピアノなどと同じ88鍵のものまであります。88鍵のものは、電子ピアノやシンセサイザーをMIDIキーボードとして扱う場合がほとんどだと思います。
  • ※4:一例として、打楽器入力に役立つ「パッド」や音量やエフェクトのレベルを滑らかに変動させる「フェーダー」があります。

注意点としては、DAWによってMIDIキーボードの全機能を使えない可能性があります。これは、製品ごとに調査するしかありません。

おすすめ機材

初心者向け

機能も限定させたシンプルな作りで初心者でも使いやすいMidiキーボード
上級者向け
FAの多すぎる機能を十分に引き出せる76鍵サイズ。通常のシンセサイザーとしても使用できます。

優先度:低

ここでは、人によっては不要なものを記載します。

外部音源

説明

DAWに付属している音源では不足していたり、よりリアルな音が欲しくなってきた時に買い足すものです。完成した成果物の完成度がより高品質なものになります。品質を求めると当然高額になります。そして、定番はあれど無料のものから有料のものまで無数にあります。また、同じ音源でもWindows用/Mac用/両方可などの差もあるので注意が必要です。さらに高音質になればなるほど、HDD(SDD)の容量も必要になります。1つの音源で50GBを必要になることもあります。

価格に関して少し話します。ある程度の品質を求めると、3万円から10万円にもなります。エフェクトのみを考えても高額なものは100万円弱になります。しかし、大抵の音源には、メーカー毎にセールがあります。緊急で必要になるような人以外は、このセールを狙って購入すると良いでしょう。「25%オフ」「50%オフ」「1つ買ったら1つ無料」なんてこともあります。時期で言うと、ブラックフライデー(11月末)や季節ごとのセール(春:3~4月、夏:8~9月、冬:12~1月)、各国の記念日などです。大抵の音源は海外製で、日本の代理店を通して購入することになります。そのため、円高の時期を狙っても良いと思います。

また、初心者のうちから外部音源を求めるのは得策ではないと思っています。後悔したり、買い足しが発生してしまいます。フリー音源を使用したり、じっくり必要な音源は何か?を考えてから本当に必要だと思うものを購入するようにしましょう。

加えてダウンロード版がありますが、こちらはお勧めしません。インストーラーをダウンロードするだけで、1時間以上かかることが多いからです。そのため、USB版(HDD)があるものは多少価格差があってもUSB版を購入することをお勧めします。

おすすめ機材

初心者向け

NI社の定番音源をまとめたパッケージ製品
上級者向け
8種類のエレクトリックギターを収録したエレキギター音源。

アコースティック、エレクトリック、シンセのベースにおける高音質なサンプリング音源。

様々なカスタマイズが可能なエレキベースのモデリング音源。

カスタマイズできる内容も多く、リアル差を追求したアコースティック・ドラム音源。

マイク

説明

ボーカルやギターの生音を録音する際に必要になります。ダイナミックマイク と コンデンサーマイクに大きく分けられます。もし、録音する場合は必要になります。

2つのマイクの違いについてですが、コンデンサーマイクはダイナミックマイクに比べて、「高音質」「壊れやすい」「湿度の影響を受けやすい」という特徴があります。直接的(声を含む楽器の音)に録音する際はコンデンサーマイク、間接的(アンプやスピーカーの音など)に録音する際はダイナミックマイクが良いと思います。

まとめ

DTMを今から始めようとする人にとっては、どんなものが必要か?どんなものが良いか?など色々分からない所が多いと思います。無駄な機材の買い直しを防ぐためにも、自身の用途から、必要か不要かをじっくり考えて検討していきましょう。

また、値段が高くても本当に必要と思うなら、妥協しないでお金を貯めて購入した方が良いと個人的には思っています。後で購入し直しになったら、そちらの方が高くついてしまうからです。購入の際は、じっくり検討するようにしてください。時間をかけても、ネットでの調査、実物を見たり体験すること、これは怠らないことを強く推奨します。

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