ルーパーの役割・効果とおすすめ品

今回話題とするのは、エフェクターのルーパーです。エフェクターの中で万人が使うわけではないエフェクターの部類と考える方が多いと思います。しかし、色々いじっていると、練習時でもライブでもあると非常に便利なエフェクターであることが分かります。

そんなルーパーの用途の一例とおすすめ品をまとめていきます。

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導入効果

根本は「録音」と「再生」です。機種によっては、さらに他の機能も加わってきます。

メインの機能としては、大抵は以下の機能があります。

  • 録音、多重録音
  • 再生、停止
  • Undo & Redo
  • 録音内容のクリア
  • 音量調整

他には「WAVデータのインポート」や「テンポ調節」「リズムマシン」などの機能を搭載した機種もあります。

これらの機能により「録音したバッキング音を再生させて、ソロパートを弾く」「アドリブやフレーズの検討」「客観的に自分の演奏を聴く」といったことを一人で行うことが可能になります。もちろん、ライブなどの演奏でも活用は可能ですし、慣れてくると様々な活用方法の発見ができると思います。他のエフェクターのように音を変えるわけではないので特殊かもしれませんが、非常に便利なエフェクターです。

動作原理

ルーパーは、ディレイの応用品だと思えば良いと思います。ディレイは、「入力音を記憶して、繰り返し再生する」ことで遅延を演出しています。ルーパーもこの原理で、録音したフレーズを記憶し、減衰することなく繰り返し再生しているのです。
このことから、ディレイの付属機能でルーパーが付いていることも多いです。

ただし、ルーパーは「小節単位で録音しなければならない」などの制約がある場合もあります。代わりに、「録音」と「記録した音の再生」の機能のみに特化しているため、機種によっては数時間分のフレーズを録音できるものもあります。

接続順

大抵はエフェクターの最後段、すなわちアンプやオーディオインターフェースの直前かと思います。

と言うのも、それ以外の場所に接続した場合、録音した音にもエフェクトがかかってしまうからです。インポートしてあるWAVデータであったり、あらかじめ録音してある音をそのまま流したい場合は、音が変わってしまっては困りますよね。

あえて同じ設定のエフェクトをかけたいなどの意図であれば問題はありません。しかし、ルーパーも機種によってはエフェクトを搭載しているものもあるので、機材によって接続場所を変えることも考えられます。

商品紹介

最後に、私が「実際に使用したことがあるもの」を中心におすすめできるエフェクターを紹介しようと思います。ここでは、2つのメーカーに絞っています。「BOSS RCシリーズ」「TC Electronic DITTOシリーズ」です。

録音と再生のみを求めるなら

TC Electronic:Ditto Looper

高音質とコンパクトとなると、この機種一択になると思います。コントロールは、「スイッチ」と「ループの音量」のみです。操作は、1回踏み/2回踏み/長押しのみです。これら3つの操作を「録音中」「再生中」「停止中」の3つ状態で使い分けることで、様々な機能が使えます。

次に、Dittoシリーズ全般で共通している特徴もあります。

録音に関しては、「最大録音時間:5分」「多重録音回数:無制限」の仕様になっています。これは通常の用途では十分すぎる内容です。

音の解像度に関しては、「音質:非圧縮24ビット」「ビットレート:44.1kHz」と言う点がまず挙げられます。この高音質により、Dittoシリーズのループ音の音質変化は限りなく抑えられ、かつクリアな音になっています。

加えて、入力音に一切影響を与えないないような回路構成を採用しています。入力音についてはアナログのまま出力し、ループ音のみデジタルで処理されます。録音されたループ音も高音質ですが、入力音はアナログのままの出力により、音質変化や遅延といった問題は起こりません。また、録音されたループ音がない場合は、トゥルーバイパスで設計されています。

デメリットとしては、2点あります。1点目はDitto LooperはUSB端子が付いていますが、あくまでファームウェアアップデート用であること。音源のインポート/エクスポートには対応していないので、注意が必要です。2点目はモノラルにしか対応していないことです。ステレオ入出力が必要な場合は、別機種が候補となってくるでしょう。

高音質とコンパクトを兼ね備えたルーパー

BOSS:RC-1

RCシリーズで機能を一番絞ったシンプルなものが、この機種です。絞っていると言えど、ステレオ入出力には対応しています。そのため鍵盤楽器にも積極的に使用できます。コントロールは、Ditto Looper(先述)と同じく「スイッチ」と「ループの音量」のみです。また、見た目や操作性にも優れている点はあります。

操作性については、基本的には「録音中」「再生中」「停止中」の状態と「1度押し」「2度押し」「長押し」との組み合わせになります。ですが、二度踏みにはタイミングや操作ミスの失敗が起こるかもしれません。そのような場合は、外部スイッチ(FS-5Uなど)を使用することで、「2度押し」などしなくても「停止」などの操作が可能になります。

見た目についても、インジケーターがついているため、現在の状態が一目で把握できるようになっています。「録音中:赤色」「多重録音:赤と緑」「再生:緑」です。また、この機種には、本体に「どの端子がどういう動作をするか」の説明書きが充実しているため、説明書を見なくても基本的な部分は迷うことなく使用できるでしょう。

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録音については、1つのデータとしてのみ録音が可能で、「最大録音時間:約12分」となっています。多重録音回数については、明記されておりません。おそらく制限は設けておらず、多重録音を繰り返すと容量の都合で最大録音時間が気づかない程度に短くなっていくのかなと思います。

最期に電池駆動も可能な点。BOSSのエフェクターは基本的に可能ですが、場所を選ばずに使用できるのは大きなメリットとなるでしょう。

RCシリーズで機能を一番絞ったシンプルな機種

おすすめのルーパー

TC Electronic:Ditto X2 Looper

前述のDitto Looperの機能に加え、より扱いやすいものになっている上位互換版です。Ditto Looperとの差異は、以下です。

  • 録音再生と停止スイッチを分離
  • ステレオ入出力に対応
  • ループデータのインポート・エクスポートに対応
  • WAV/MP3ファイルのインポート
  • 逆再生と1/2倍速再生に対応

これらの追加機能で、非常に扱いやすいものになったと思います。2度押しできず、停止操作に失敗するなんていうアクシデントを防げるのは大きいと思います。

Ditto Looperの機能に加え、より扱いやすいものになっている上位互換版

BOSS:RC-3

今回紹介するBOSSルーパーの中で一番の古株です。前述のRC-1の機能に加え、より扱いやすいものになっている上位互換版です。RC-1との差異は、以下です。

  • 最大録音時間:180分(全トラックの合計)
  • 最大記録フレーズ数:99
  • リズムマシン搭載:10個のリズムパターン
  • 音量調節がループ音源、リズムマシンで別々
  • ループデータのインポート・エクスポートに対応(※)
  • (44.1kHz/16bit)のWAVファイルをインポート(※)
  • タップテンポ搭載
  • AUX端子搭載

※別途TYPE-BのUSBが必要です。

私が思うこのルーパーを選ぶ最大のメリットは「数曲入れられること」と「インポートした音源もタップテンポで速度を変えられること」の2点に尽きます。これらは、本当に便利だと思っています。練習用の曲を入れて置けば、色々な速度で練習ができるのですから。

また、リズムマシンが付いているので、バンドでの演奏に近い状態で演奏することもできるかもしれません。ストリートではバック音源であったり、練習では簡易的なメトロノームとしても使えるかもしれません。高すぎるメトロノームですが…

BOSSルーパーの中で一番の古株です。RC-1の上位互換版。

さらに求めるなら

TC Electronic:Ditto X4 Looper

Dittoシリーズのフラグシップモデルです。Ditto X2 Looperの仕様に加え、さらに機能を追加しています。ですが、追加された機能も録音、再生に関するもので、余計な機能は付いていません。リズムマシンなどの付属機能については、追加されていません。X4の追加仕様は以下になります。

  • 2つのループを搭載
  • エフェクトの数の増加
  • MIDI対応

1台で独立した2つのルーパーが使用可能になります。加えてエフェクトの数も、逆再生するREVERSEなど7種類に増えています。さらにMIDIを使って、クロックとの同期やCCを使用した細かい設定を行うことが可能になるようです。

BOSS:RC-10R

RCシリーズの中で最も新しい機種(2020年5月時点)で、1人で演奏する分には十分な機能を搭載しています。RC-3の上位互換版で、機能差異は以下になります。

  • 最大録音時間:6時間(全トラックの合計)
  • 高音質なルーパー・エンジンを搭載
  • 280種類以上のリズムパターンを内蔵
  • 16種類のドラムキットを内蔵
  • 2つのトラック(ループ)同時に使用可能
  • MIDI制御が可能(ステレオ・ミニ端子)
  • 専用サイトから追加コンテンツをダウンロード可能
  • 2つのインジケーターと、1つのLCD搭載
  • 50個のリズムパターンを保存可能

リズム・パターンは、ロック、ポップを初めとしたあらゆる音楽ジャンルをカバーし、ドラムキットはBOSS/Roland音色ライブラリーを基にした音色になっています。

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追加コンテンツは、リズム・パターンとループ素材で、BOSS TONE CENTRALからダウンロードできます。50個のリズムパターンとして保存するファイルは、SMFファイルです。WAVのループ素材と共に、Mac/Windows対応専用ソフトウェアを利用してインポートできます。

ルーパー・エンジンの処理能力は2倍になっており、AD/DA変換32bit、内部演算32bit float(浮動小数点)処理が可能になっています。

注意しないといけないのは、初期設定の出力方法ではステレオ出力されないようになっています。そのため、ステレオ出力させたい場合は個々に設定変更する必要があります。(RC-10Rの設定一覧はこちら

RCシリーズの中で最も新しい機種(2020年5月時点)。

BOSS:RC-30

先述のRC-10Rとは方向性の異なるRC-3の上位互換版です。機能差異は以下になります。RC-10Rは楽器のみの演奏に特化させた機種ですが、RC-3はボーカルの方にも利用されている機種になります。

  • XLR(キャノン)の入力端子を搭載
  • ファンタム電源を搭載し、コンデンサーマイクにも対応
  • 5種類のオンボード・エフェクトを内蔵
  • 2つのトラック(ループ)同時に使用可能

オンボード・エフェクト録音した音に効果を付けることができます。搭載エフェクトは、「BEND DOWN」「STEP PHASER」「SWEEP FILTER」「TEMPO DELAY」「Lo-Fi」)の5種類です。エフェクトパラメータは、自動で最適化されます。

RC-10Rとは方向性の異なるRC-3の上位互換版

BOSS:RC-300

RCシリーズのフラグシップモデルです。どのルーパーよりも多機能で申し分ありません。しかし536(W)x231(D)x76(H)mmとサイズが大型のマルチエフェクター並みです。
RC-30との機能差異は、以下です。

  • 16種類のオンボード・エフェクトを内蔵
  • 3つのトラック(ループ)同時に使用可能
  • MIDI端子を搭載(MIDI信号の受信はRC-300からのみ)
  • エクスプレッションペダル搭載
どのルーパーよりも多機能なRCシリーズのフラグシップモデル

まとめ

正直な所、私は今まで必要ないと思っていた部類のエフェクターでした。でも、バンドで演奏する過程で必要になりました。そして、ルーパーになれるために使ったり、色々調べたり、説明書を見ていました。私は、練習用:RC-3(BOSS)とバンド用:DITTO X2(TC ELECTRONIC)で使い分けています。

工夫次第で、ひとりで様々なことができるエフェクターだと思います。実際に録音して客観的に自分の演奏を聴けることは、勉強にもなるし、新しい発見につながるかもしれません。そういう意味では初心者を初めとする上手くなりたい人なら、一番持つべきエフェクターなのかもしれませんね。

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