※この記事は、和音(コード)編の後編になります。前編(ダイアトニックスケール上のコード)については以下の文書もご覧ください。
今回は、和音(コード)の中でも「ダイアトニックスケール上には存在しないもの」について触れていこうと思います。
コードを知る上で必要な知識というだけでなく、表現の幅も広がります。楽譜を見た時に、作曲者(編曲者)の意図を理解する手助けにもなるでしょう。参考にしていただけたら嬉しいです。
三和音の種類
「三和音」について、よく使われるコードを記載していきます。これらの音は、三度の音がありません。そのため、ダイアトニックスケール上にある三和音とは異なる聴こえ方になります。
サスペンデッドフォー
ルート+完全四度+完全五度で構成されるコードをサスペンデッドフォーと呼びます。単に、サスフォーと呼ばれることが多いと思います。三度の音が四度の音に置き換わっている構成です。コードシンボルは、「sus4」で記載されます。
地に足のついた音と言うよりは、次の音に続くような印象を持つコードという印象です。このような音は「不安定な音」として言われます。
サスペンデッドトゥー
ルート+長二度+完全五度で構成されるコードをサスペンデッドトゥーと呼びます。単に、サストゥーと呼ばれることが多いと思います。三度の音が二度の音に置き換わっている構成です。コードシンボルは、「sus2」で記載されます。
四和音の種類
三和音に続き、「四和音」について、よく使われるコードを記載していきます。
メジャーシックス
ルート+長三度+完全五度+長六度で構成されるコードをメジャーシックスと呼びます。単に、シックスと呼ばれることが多いと思います。コードシンボルは、「maj6」「6」で記載されます。「maj6」の記載方法はほとんど見たことがありません。
マイナーシックス
ルート+短三度+完全五度+長六度で構成されるコードをマイナーシックスと呼びます。コードシンボルは、「m6」「min6」「-6」で記載されます。
マイナーメジャーセブンス
ルート+短三度+完全五度+長七度で構成されるコードをメジャーシックスと呼びます。自分で記載していて分からなくなりそうです。。。
この音の構成は、マイナートライアド(ルート+短三度+完全五度)にメジャーセブンス(長七度)を加えたコードです。コードシンボルは、「m(maj7)」「-(maj7)」「m△7」「-△7」など、マイナートライアドとメジャーセブンスのシンボルの組み合わせで記載されます。
サスペンデッドセブンス
ルート+完全四度+完全五度+短七度で構成されるコードをサスペンデッドセブンスと呼びます。コードシンボルは、「7sus4」「sus7」などで記載されます。バンドスコアでも、見かけることが多いです。
コードシンボルや構成から見ても、先述の不安定なサスフォーが含まれていることが分かるかと思います。これに、セブンス(ドミナントセブンス)の音を加えることで、安定感を持ったコードになっています。
オーギュメンティッドセブンス
ルート+長三度+増五度+短七度で構成されるコードをオーギュメンティッドセブンスと呼びます。コードシンボルは、「aug7」などで記載されます。私はポップスの楽譜をよく目にしますが、ポップスでは見かけることはほとんどありません。
コードとコードの間をスムーズにつなぐために用いられます。1つ前のコードの構成音の一部を変えたコードとして用い、次のコードにつなげるのが基本的な使い方のようです。オンコードにも似たところがあると思います。そのため、ポップスではオンコードをメインに使っているのではないでしょうか?
ディミニッシュトセブンス
ルート+短三度+減五度+減七度で構成されるコードをディミニッシュトセブンスと呼びます。コードシンボルは、「dim7」「゜7」などで記載されます。
注意すべきは、短七度ではなく、減七度ということです。これは誤字などではなく、実際に異なる音を指しています。
- 減 ⇒ 短 ⇒ 長 ⇒ 増
- 減 ⇒ 完全 ⇒ 増
まとめ
今回は「和音」について記載しました。今回はダイアトニックスケール上にないコードに対して説明しました。前編で説明しましたダイアトニックスケール上にあるコードに対して複雑なものも多いかと思います。この内容を理解できれば、バリエーション(持っている引き出し)が増え、表現の幅が広がるかと思います。また、ジャンルにより変わりますが、頻出するコードも多いと思いますので、参考にしてもらえたら嬉しいです。
参考
この記事で使われている用語について、分からない方は以下の文書もご覧ください。
↓↓英語での音階の表記:CDEFGABが分からない方はこちら↓↓
音楽をするための基礎知識~音符・臨時記号編~
↓↓全音・半音・度数・和音が分からない方はこちら↓↓
音楽をするための基礎知識~音程編~
↓↓スケールが分からない方はこちら↓↓
音楽をするための基礎知識~スケールと調号編~