音楽をするための基礎知識~コード進行の基:ファンクション編~

今回は、コード進行の基となる「ファンクション」について説明します。コードの構成音や特徴については、別文書にまとめていますので、参考欄に参照ください。

違和感があるコードの流れや自然に聴こえるコードの流れなど、音の流れによって人は様々な印象を抱きます。この文書ではそのコード進行の基準の1つとなる情報をまとめました。この記事が皆さまのお役に立てたら嬉しいです。

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コード進行における役割

音同士がつながると様々な印象を受けますが、もちろんコードについても同じことが言えます。そのつながりの中で担うコードの役割を「ファンクション(機能)」と言います。ここからは、このファンクションについて、説明します。

トニックファンクション

トニックとは、一度の音のことであり、各度数の中で一番安定感がある音でした。このことからも想像がつくかもしれませんが、トニックファンクションには安定感があります。そのため、他のコードはこのトニックファンクションを持つコードと結び付こうとする傾向があります。そしてトニックファンクションを持つコードにつながると他の音に移ろうとするニュアンスが小さくなるため、落ち着いたような印象になります。この傾向から曲の終わりや、一度楽器数が減って静かになる直前のような時などに使われることが多いのではないかと思います。

ここまで読んだ方の中で、「トニックファンクション=トニック(一度)の音を持つコード」と思う人もいるかもしれません。これは間違いではないのですが、正解でもありません。トニックファンクションは「安定」「落ち着き」をもたらすため、それを崩すような要素(構成音)は含めたくありません。それが「不安定な音」と思うかもしれませんが、これも少し異なります。正確な定義は「特性音を含まないコード」となります。

特性音
スケールから派生した音階に、「モード」というものがあります。このモードには、7つの種類があります。これらのうち、どのモードかを特徴づける音を特性音と言います。なお、メジャースケールの場合は、特性音は、四度の音になります。Cメジャースケールの場合は、Fの音です。

ドミナントファンクション

コード進行において、もっとも強く終息するような解決感があるのが、五度から一度への進行です。(これを「五度が一度に対して、ドミナントモーションをかける」と言います。)五度が持つこの特性をドミナントファンクションと言い、持つ音は V と V7 が該当します。それぞれの音は以下の理由から、トニックファンクションを持つコード(特に安定の一度のコード)につながることになります。

V の構成音を見てみると、五度・七度・二度の音で構成されています。この中で注目すべきは、七度の音です。この音の性質については別記事で説明しており、リーディングトーンと呼びます。最も不安定で、隣接してかつ安定したトニックとの結びつきが非常に強い音です。

V7 の構成音を見てみると、四度・七度の音を含みます。それぞれ、五度と一度に結びつきます。また、残りの二度は三度に結びつくため、それぞれの音が一度のコードの構成音に結びつくようになります。それゆえ、V7の方がVよりも収束する解決感は強いものとなります。

サブドミナントファンクション

この機能を持つコードの特徴は、トニックファンクションのような安定感はなく、ドミナントファンクションのような特性もありません。ではどうして存在するかと言えば、コード進行のバリエーションを増やすためのコードということからです。飾りや彩を付けるのに役立ちます。

ファンクション同士の関係
トニックファンクションは「終わり」、ドミナントファンクションは「終わりに必ず結びつく」、サブドミナントファンクションは「飾り・補足」と考えてみます。これから3つの関係性を見てみると、トニックファンクションは「述語」、ドミナントファンクションは「主語」、サブドミナントファンクションは「修飾語」みたいな関係性かなと思います。イメージが湧くでしょうか・・・?
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まとめ

今回は「コードファンクション」について記載しました。大抵は有名なコード進行を使って作曲をしてみることが多いかもしれませんが、「ゼロ」からコード進行を考える際の基盤の1つとも言える内容になってくるかと思います。コード理論を学ぶ本を見ると必ず載っている重要な項目ですので、参考にしてもらえたら嬉しいです。

参考

この記事で使われている用語について、分からない方は以下の文書もご覧ください。

↓↓トニックなどの度数について詳しく知りたい方はこちら↓↓
音楽をするための基礎知識~各度数の特徴編~

↓↓ダイアトニックスケール上に存在するコードはこちら↓↓
音楽をするための基礎知識~和音(コード)前編~

↓↓ダイアトニックスケール上には存在しないコードはこちら↓↓
音楽をするための基礎知識~和音(コード)後編~

↓↓楽曲分析のローマ数字の意味が分からない方はこちら↓↓
音楽をするための基礎知識~楽曲分析編~

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