プロも注目し、注目を浴びている フロア型モデラーである Neural DSP社の「QUAD CORTEX」。
今回は、そんな「QUAD CORTEX」の使い方の中でも「midiを使いたい!」という人向けの内容をまとめます。
なお、情報は、CorOS 1.2.2時点でのものになっています。
質問がありましたら、遠慮なくどうぞ!
midi信号の送信
Quad Cortex では 2種類の方法で、MIDI信号を利用することが可能です。1つは、通常のMIDIケーブル を利用した MIDI Din コネクターによる通信方法。もう1つは、USB を利用して MIDI メッセージを送受信する方法です。
Quad Cortexでの MIDI の設定は、2種類あります。メインメニュー内のグローバル設定である「MIDI Settings」と信号の詳細を設定する「Preset MIDI Out Settings」です。以下では、これらと共に、Quad CortexでMIDIを使用する際に必要となりうる情報をまとめます。
MIDI Settings
グリッド上で [メインメニュー] > [Settings] > [MIDI Settings] を開くと、以下の画面が表示されます。
各設定項目の詳細は、以下になります。
設定項目 | 説明 |
MIDI Channel | Quad CortexをMIDI信号で操作する場合の MIDI Channelを設定します。(「1」~「16」、「OMNI」) MIDI IN で受信したMIDI信号の内、MIDI Channelが一致していないMIDI信号は無視され、反応しません。 そのため、送信するMIDI 信号の内、操作するためのMIDI Channel を一致させる必要があります。 初期値は「1」です。 |
MIDI Thru | MIDI Thru の 有効/無効を設定します。なお、この設定は、I/Oセッティング画面でも変更可能です。 複数の機器をMIDIで制御する場合、複数のMIDIチャンネルを含む1つのMIDI信号を送る必要が出てくるでしょう。このような場合は、MIDI Thruを有効にしてください。 MIDI IN で受信したMIDI信号をそのまま MIDI OUT(MIDI THRU)から出力します。 初期値は「OFF」です。 |
MIDI over USB | MIDI over USBを有効または無効にします。 初期値は「ON」です。 |
Preset MIDI Out Settings
もちろん、Quad Cortex で作成した MIDI 信号を別の機材に送信することもできます。この設定は [メインメニュー] > [Preset MIDI Out Settings] で行うことが可能です。
Quad Cortex でMIDI信号を扱う際の特徴は、以下です。
1 | プリセットを読み込んだ際に送信されるMIDI信号を最大12個設定できる |
2 | No.1の12個とは別に、8つのフットスイッチに1つずつMIDI信号を割り当てることが可能である |
3 | No.1の12個とは別に、2つのEXPペダルに1つずつMIDI信号を割り当てることが可能である |
4 | 3つの メッセージ(CC / CC Toggle / PC)のタイプを選択できる ※ただし、EXPペダルは CCメッセージのみ。 |
「Preset MIDI Out Settings」の画面は、以下になります。
各フットスイッチ/EXPペダルのMIDI信号を設定する場合は、割り当てるスイッチ/EXPペダルを選択し、「TYPE」と「TYPEに応じた設定内容」を設定してください。設定が終わったら、右上の「Done」を押下することで設定が確定します。
また、「ON PRESET LOAD MESSAGE」と書かれた場所をタップすると、以下の画面が表示されます。先述の通り、12個(4個/ページ で、3ページ分)までMIDI信号を設定することができます。このMIDI信号は、プリセットを読み込んだ際に送信されるものです。ただし、「CC」もしくは「PC」のTYPEのみです。設定が終わったら、右上の「Done」を押下して設定を確定します。
なお、フットスイッチとEXPペダルのMIDI信号は、「SCENE」モードもしくは「STOMP」モードでのみ送信できます。「PRESET」モードでは「ON PRESET LOAD MESSAGE」の設定内容のみが有効になるので注意が必要です
それぞれの「TYPE」における設定内容は、以下にまとめます。
CC
「TYPE」で「CC」を選択すると、以下の設定項目が表示されます。
設定項目 | 説明 |
CHANNEL | MIDIコマンドを送信する際のチャンネルを選択します。 設定値は、「1」~「16」です。 |
CC# | CCナンバーを選択します。 設定値は、「0」~「127」です。 |
VALUE | 送信する値を選択します。 設定値は、「0」~「127」です。 |
CC Toggle
「TYPE」で「CC Toggle」を選択すると、以下の設定項目が表示されます。
設定項目 | 説明 |
CHANNEL | MIDIコマンドを送信する際のチャンネルを選択します。 設定値は、「1」~「16」です。 |
CC# | CCナンバーを選択します。 設定値は、「0」~「127」です。 |
MIN VALUE | フットスイッチのLEDが「オフ」もしくは「暗くなった時」に送られる値を設定します。 ただし、「SCENE」モードもしくは「STOMP」モードのみです。 設定値は、「0」~「127」です。 |
MAX VALUE | フットスイッチのLEDが「オン」もしくは「明るくなった時」に送られる値を設定します。 ただし、「SCENE」モードもしくは「STOMP」モードのみです。 設定値は、「0」~「127」です。 |
PC
「TYPE」で「PC」を選択すると、以下の設定項目が表示されます。
設定項目 | 説明 |
CHANNEL | MIDIコマンドを送信する際のチャンネルを選択します。 設定値は、「1」~「16」です。 |
BANK CC#0 | MSB(Most Significant Byte:上位バイト)を設定します。 設定値は、「Off」「0」~「127」です。 |
BANK CC#32 | LSB(Least Significant Byte:下位バイト)を設定します。 設定値は、「Off」「0」~「127」です。 |
PROGRAM# | プログラムチェンジの番号を選択します。 設定値は、「Off」「0」~「127」です。 |
midi信号の受信
Quad Cortexは、MIDI(DIN仕様)またはUSB(TYPE-B仕様)の端子を使用して、「CC」および「PC」のメッセージを受信できます。これにより、BOSS や Free the tone などから販売されている プログラマブルスイッチャーを使ってプリセットなどを一括で操作することが可能です。
MIDI Program Change メッセージ(PC)
Quad Cortexにおいて「MIDI Program Change メッセージ」は、以下の目的で使用されます。
- Quad Cortexに登録されている「プリセット」の切り替え
- Quad Cortexに登録されている「セットリスト」の切り替え
とは言え、実際に切り替える際は「MIDI PC」単体では使わず、後述の「MIDI Continuous Controller メッセージ」の「CC#0」「CC#32」と組み合わせて使用することになるかと思います。
「CC#0」はセットリストに含まれる全256のプリセットを2分割した「1~128」と「129~256」のプリセットグループ(前半と後半)を「0」「1」の値を用いて指定します。「CC#0」「プリセット」「ID(バンク-スロット)」の関係は、一例を以下に示します。
CC#0 | プリセット | ID |
0 | 1 | 1A |
0 | 8 | 1H |
0 | 9 | 2A |
0 | 16 | 2H |
0 | 128 | 16H |
1 | 129 | 17A |
1 | 256 | 32H |
また、「CC#32」はセットリストの番号を指定します。
なお、MIDI PC(下記の「Program#」)は「0」~「127」で示します。そのため、実際のプリセット番号より1つ少ない値となります。
以下で、プリセットの指定する際の実例を2つ示しておきます。
MIDIチャンネル 1のQuad Cortexで、セットリスト 5 の プリセット16(ID:2H)をロードしたい場合。
MIDI Channel 1, CC#0 value 0, CC#32 value 5, Program #15
MIDIチャンネル 2のQuad Cortexで、セットリスト 9 の プリセット129(ID:17A)をロードしたい場合。
MIDI Channel 2, CC#0 value 1, CC#32 value 9, Program #0
MIDI Continuous Controller メッセージ(CC)
Quad Cortexにおいて「MIDI Continuous Controller メッセージ」は、以下の目的で使用されます。
- モードの変更
- シーンの変更
- タップテンポのBPM
- フットスイッチ「A」~「H」のオン/オフ
- ギグビューの表示/非表示
- チューナーの表示/非表示
MIDI CC のリスト
一般的には、「PC」はプリセットの切り替え、「CC」はサウンド(エフェクト)の調整のように紐づけられていることが多いです。しかし、Quad Cortex がMIDI信号を受ける場合は、このようになっていません。
そこで、どの CC がどの目的に紐づいているかは、以下にまとめておきます。
MIDI CC | Value値 | 動作内容 |
CC# 0 | 0 | MIDI PC と共に用いて、プリセットの「1A」~「16H」を指定したい時に使用します。 |
1 | MIDI PC と共に用いて、プリセットの「17A」~「32H」を指定したい時に使用します。 | |
CC# 1 | 0-127 | エクスプレッションペダル 1 |
CC# 2 | 0-127 | エクスプレッションペダル 2 |
CC# 32 | 0-127 | MIDI PC と共に用いて、セットリストを指定します。 |
CC# 35 | 0-127 | フットスイッチ A(On / Off) |
CC# 36 | 0-127 | フットスイッチ B(On / Off) |
CC# 37 | 0-127 | フットスイッチ C(On / Off) |
CC# 38 | 0-127 | フットスイッチ D(On / Off) |
CC# 39 | 0-127 | フットスイッチ E(On / Off) |
CC# 40 | 0-127 | フットスイッチ F(On / Off) |
CC# 41 | 0-127 | フットスイッチ G(On / Off) |
CC# 42 | 0-127 | フットスイッチ H(On / Off) |
CC# 43 | 0 | Scene セレクト(A) |
1 | Scene セレクト(B) | |
2 | Scene セレクト(C) | |
3 | Scene セレクト(D) | |
4 | Scene セレクト(E) | |
5 | Scene セレクト(F) | |
6 | Scene セレクト(G) | |
7 | Scene セレクト(H) | |
CC# 44 | 0-127 | テンポ BPM |
CC# 45 | 0-127 | チューナー(On / Off) |
CC# 46 | 0-127 | ギグビュー(On / Off) |
CC# 47 | 0 | プリセットモードへの切り替え |
1 | シーンモードへの切り替え | |
2 | ストンプモードへの切り替え |
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まとめ
今回は、「QUAD CORTEX」で midi信号を使用する方法について記載しました。
音色作成のヒントにしていただければ、嬉しいです。