近年、コロナの影響もあり、テレワーク、作曲(DTM)、配信、ゲーミングなど、家でPCを使用する機会が増えているのではないでしょうか?
今回は、そんなPCでの作業を効率化・問題点の解消に役立つ魔法のツールとも言える「Stream Deck」について、記載します。
製品自体は、初代が2017年頃から発売されていたようです。もともと配信向けのデバイスですが、それだけではもったいないほどの価値があります。
そのため、近年需要も増えてきています。YouTubeでも目にすることもあるかもしれません。
特徴
Stream Deck は、PC上での様々な操作をたった1つのインターフェースで効率的に操ることができるツールです。
行いたいことによっては、数ステップを踏まなければ行えなかった操作をたった1つのボタンで実施できる場合もあるのです。
そんな Stream Deck の特徴を記載します。
対応する機種/OS
対応機種としては、PC(Windows用 / mac用)とモバイル端末(iOS用 / Android用)があります。バリエーションの詳細は、後述します。
対応OSとしては、PCでは「Windows 10(64ビット)」と「macOS 10.13以降」に対応しています。おそらく、今後リリースされる「Windows 11」にもファームウェアアップデートにより、対応するものと思います。対応されないと非常に困るので、対応することを切に願います。。。
モバイル用では、「iOS 12.2以降」「Android 6以降」に対応しています。なお、これらのモバイル端末では、Wi-Fi接続が必須になります。
注意すべきは、モバイル端末版は、モバイル端末のみで完結するものではありません。PC版と同様で、設定にはPCと専用のアプリ(後述)が必要になります。アプリは「4.6以降」ですが最新版で問題ないでしょう。PC側は上記のバージョンと同様(「Windows 10(64ビット)」「macOS 10.13以降」)となります。
単純な操作部
本体の操作部は「ボタンのみ」となっていて、非常に単純な構造をしています。これらのボタンの動作は、ユーザーが「カスタム可能(後述)」なものになっています。
また、全てのボタンがLCD液晶になっていて、どんなアイコンを表示するか?はユーザーが自由に設定することが可能です。このアイコンはプリセットの中から選択するだけでなく、自作のアイコンも使用できます。アイコン作成には Key Creatorというツールも存在していますが、ドイツ語です。アイコン作成には、使い慣れているアプリ(Photoshop や Illustrator など)があれば、それを使うのが良いでしょう。なお、対応しているアイコン画像の拡張子は10種類で、「jpg」「jpeg」「png」「gif」「bmp」「xpm」「tiff」「icns」「ico」「svg」になります。
ボタンのタッチ感
押したときに、適度な押下感があります。例えるならば、メカニカルではないLogicoolのワイヤレスキーボードのイメージが近いと思います。私はこのキーボードの押下感が好きなので、非常に気に入っています。ですが、苦手な人は気持ち悪いと感じてしまうかもしれません。
ハードウェアの多連接続
1つのPCに 複数のStream Deckを接続して、それぞれに割り当てた機能を使用することができます。もちろん異なる種類(後述)のハードウェア同士を使用することができます。
注意点とすれば、各ハードウェアに対してUSBポートが1つ必要となります。その上、USBハブを使用すると誤動作を起こす可能性があるため、動作保証外となっています。
使い時
このツールの導入によって、できることは何でしょうか?
以下に、思いついた例を挙げてみました。
- 滅多に使用しないアプリやツールを使用する時
- 使い方を思い出す手間が少しでも減ると思います。
- ショートカットやコマンドを探す行為は不要になります。
- コマンドや使用する機能が多いアプリやツールを使用する時
- アプリ特有のショートカットやコマンドを覚えて置くことは不要になります。
- ライブ配信などで、リアルタイムな操作が要求される時
- 動画や音声データの再生/停止を登録しておくことで、即座の切り替えが可能です。
- 間違いが許されないような場合も、失敗するリスクが減るでしょう。
- 複数のアプリやツールを1つのデバイスで操作したい時
- プロファイル(詳細は「ボタンの設定方法」を参照)により、管理することができる。
- プロファイル(詳細は「ボタンの設定方法」を参照)により、管理することができる。
- やたらと長い定型文を入力する時
- 例えば、メールなどでよく使う定型文、(あまり良くないですが)パスワードなどを登録しておけば、1発で入力ができます。
- 手順が数ステップに及ぶ操作を行う時
- 全手順を1つのボタンに登録することで、1アクションで操作することが可能です。(詳細は「ボタンの設定方法」を参照)
製品の種類
まずは簡単に表にまとめ、その後で各々について触れてみます。
なお、「キー数」=「登録できるコマンドの上限」ではありません。(詳細は「ボタンの設定方法」を参照)
デバイス | キー数 | サイズ | 重量 | 同梱物 |
MK.2 | 15個 | 118 x 84 x 25 mm (スタンドなし) | 145g (スタンドなし) 270g (スタンドあり) | Stream Deck 卓上スタンド USB-C to USB-A ケーブル クイックスタートガイド |
MINI | 6個 | 84 x 60 x 58 mm | 160g | Stream Deck mini クイックスタートガイド |
XL | 32個 | 182 x 112 x 34 mm (スタンドなし) | 410g (スタンドなし) | Stream Deck XL 磁気スタンド USB-C to USB-A ケーブル クイックスタートガイド |
MOBILE | 15個 | 動作端末依存 | 動作端末依存 | なし |
STREAM DECK MK.2
Stream Deck の中でも、スタンダードなモデルです。ボタンは、3 x 5の並びで15個です。
従来の物との違いは「USBケーブルが着脱可能であること」「フェイスプレートの交換(数種類で別売)が可能で、気分や好みでカスタマイズ可能」「スタンドが変更された」という点でしょう。
STREAM DECK MINI
Stream Deck の操作感をコンパクトにし、ポケットサイズまで落とし込んだのが、この「mini」になります。ボタンは、2 x 3の並びで6個です。
STREAM DECK XL
Stream Deck の操作感を最大限に活かして、より多くの操作を行いたい場合はフラグシップモデルの「XL」になります。ボタンは、4 x 8の並びで32個です。
スタンドは磁石で付くタイプで取り外しも楽です。
STREAM DECK MOBILE
Stream Deck の操作感をモバイル端末(iOS端末、Android端末)に落とし込んだのが、この「mobile」になります。ボタンは、3 x 5の並びで15個です。
他のStream Deckとの最大の違いは、モバイル端末ゆえのワイヤレスでの操作が可能なことでしょう。コンピュータとモバイル端末が同じネットワークにあれば、ケーブルに邪魔されることなくコントロールすることが可能です。
使用方法も他のデバイスと変わりありません。USBケーブルで繋がれているか、ワイヤレスかの違いです。
ダウンロードは、App Store と Google Play から行うことができます。
ソフトウェアのダウンロードとインストール
使用するソフトウェアは、ハードウェア名と同様で、「STREAM DECK」という名です。以下で環境構築の手順を記載します。
ダウンロード
ダウンロードページにアクセスする。
ダウンロードページページ下部にある以下のボタンから、「使いたい機材名」と「利用したいOS」を選択する。
選択すると、上記ボタンの下に対応するアプリが表示される。
表示されたアプリの右上のダウンロードボタンを押下し、ダウンロードを行う。
インストール
ダウンロードしてきたインストーラーを起動させる。
以下のウィンドウが表示されるので、「次へ」ボタンを押下する。
以下の画面が表示されたら、「使用許諾契約書に同意します(A)」にチェックを入れ、「次へ」ボタンを押下する。
以下の画面が表示されたら、任意のインストール先を設定し、「次へ」ボタンを押下する。
以下の画面が表示されたら、「インストール」ボタンを押下する。
以下の画面が表示されたら、「完了」ボタンを押下する。
これで、環境準備は完了です。
後は、Stream Deck 本体をPCに接続してアプリを起動すれば利用できます。
設定方法
ここでは、環境構築を行った「STREAM DECK」の基本的な使い方を説明します。以下がSTREAM DECKの起動直後の画面です。
基本的には、以下の3ステップで完了です。
- 右側カラムに並ぶプラグイン(アクション)を各ボタンにドラッグ&ドロップする
- 必要な設定値を入力する
- 既製もしくは自作のアイコンを割り当てる。
なお、各ボタンの動作は、プロファイル毎に管理されます。基本的には、アプリ毎にプロファイルを作成するのが良いでしょう。
また、1つのプロファイルの中でもフォルダ機能により階層構造を取れます。そのため、機器のボタンの数に縛られずに、各ユーザーに合った使い方が自由にできるのです。
以下は、設定の一例です。
プロファイルの追加、削除
プロファイルは、「登録したコマンドのセット」です。STREAM DECKウィンドウ右上の歯車マークを押下し、プロファイルのタブを選ぶと設定できます。
初期状態では、「Default Profile」のみが登録されています。左側カラムの「+」を押下するとプロファイルが追加され、「ー」を押下すると削除することができます。もちろん、プロファイル名のリネームは可能です。
右側のカラムでは、「STREAM DECK」起動時(接続時)に初めに表示されるプロファイルに選択するかどうかを設定できます。「これを自分のデフォルトプロファイルにする」を有効にすることで設定します。設定しているプロファイルが無ければ、「Default Profile」が表示されます。
また、「アプリケーション:」でアプリを設定すると、設定したアプリを起動したときに、プロファイルを自動で切り替えることもできます。プルダウンメニューが表示すると、すでに起動しているアプリがリストに並びます。起動していないものを設定したい時は「その他…」を選択してください。
設定のバックアップ
設定のバックアップ作成・復元は、上記の「プロファイル」のタブを選ぶと設定できます。
すべてのプロファイルのバックアップ作成は以下の方法でできます。
- プロファイルのリストで、いずれかのプロファイルを右クリック
※もしくは、左側カラムの下にある「v」をクリック。 - [すべてをバックアップ] > [バックアップを作成]を押下
バックアップの復元は以下の方法です。
- プロファイルのリストで、いずれかのプロファイルを右クリック
※もしくは、左側カラムの下にある「v」をクリック。 - [すべてをバックアップ] > [バックアップから復元]を押下
特定のプロファイルのみバックアップしたい場合は、手順②で「書き出す」「読み込む」を押下すれば良いです。ただし、読み込む場合は左側カラムの下にある「v」をクリックしないとできないようです。
Webブラウザーで開く
一例として、「Googleのサイトを開く」ための流れを記載します。
- 右側のカラムにある[システム] > [Webサイト] を、右側のカラムにある設定したいボタンの位置にドラッグ&ドロップする
- 左下のカラムで「タイトル」「URL」を入力する
※タイトルは、ボタンに表示されます。表示位置も上段・中段・下段で変更できます。
アプリの起動
Windows OS におけるコントロールパネルの起動をしてみます。
- 右側のカラムにある[システム] > [開く] を、右側のカラムにある設定したいボタンの位置にドラッグ&ドロップする
- 左下のカラムで「タイトル」を入力する
- 左下のカラムの「App/ファイル」で、実行したいファイルの起動ファイルを指定する
※タイトルは、ボタンに表示されます。表示位置も上段・中段・下段で変更できます。
一連の操作を1つのボタンで実行
一例として、「計算機の起動」の流れを記載します。実際に行う手順は、以下になります。
- Windowsボタンを押下
- 計算機を検索
- 計算機の起動
実際に設定する手順は以下です。
- 右側のカラムにある[Stream Deck] > [マルチアクション] を、右側のカラムにある設定したいボタンの位置にドラッグ&ドロップする
- 左下のカラムで「タイトル」を入力する
- Windowsボタン押下のコマンドを設定する
- 右上のカラムで、[システム] > [ホットキー] を、右側のカラムにある設定したいボタンの位置にドラッグ&ドロップする
- 左下のカラムの [ホットキー] > [クリックして割り当て]をクリックする
- キーボードで「Win」ボタンを押下する
- 計算機を検索の手順を設定する
- 右上のカラムで、[システム] > [テキスト] を、右側のカラムにある設定したいボタンの位置にドラッグ&ドロップする
- 左下のカラムの「テキスト」に「cal」を入力する
- 計算機を起動させる手順を設定する
- 右上のカラムで、[システム] > [ホットキー] を、右側のカラムにある設定したいボタンの位置にドラッグ&ドロップする
- 左下のカラムの [ホットキー] > [クリックして割り当て]をクリックする
- キーボードで「Return」ボタンを押下する
※手順②の「タイトル」は、ボタンに表示されます。表示位置も上段・中段・下段で変更できます。
上記の設定後は、左上にある「一つ上へ」のボタンを押下してください。
なお、手順④でも出てきた「テキスト」による Stream Deck内部での動作は、クリップボードを用いたコピペではありません。1文字ずつ入力する方法を取っています。
処理の遅延
単純に処理を並べただけだと、処理の実行が早すぎて意図したとおりに動かない場合があります。そんな時は、処理を遅延させましょう。
- 右側のカラムにある[Stream Deck] > [タイマー] を、ドラッグ&ドロップする
- 左下のカラムで「タイトル」を入力する
- 遅延させたい時間を「継続時間」に「秒」で設定する
- サウンドは「しない」を設定する
フォルダの作成
フォルダを作成する方法です。特定の操作をまとめたり、カテゴリー分けするのに便利です。
- 右側のカラムにある[Stream Deck] > [フォルダを作成] を、右側のカラムにある設定したいボタンの位置にドラッグ&ドロップする
- 左下のカラムでタイトルを入力する
※タイトルは、ボタンに表示されます。表示位置も上段・中段・下段で変更できます。
上記を行ったら、フォルダをクリックし、フォルダに入れたいプラグイン(アクション)を追加するだけです。
フォルダから脱出したい時は、配列されているボタンの中で一番左上にある「一つ上へ」のボタンを押下してください。
フォルダ内に、さらにフォルダを作成することも可能です。
ボタンの削除
不要になったボタンの削除は、削除したいボタンに対し、右クリックを押下して「削除」を押下すれば良いです。
ボタンのコピペ
複製したいボタンに対して「Ctrl + C」を押下し、複製先で「Ctrl + V」を押下すれば良いです。
なお、同一階層だけでなく、フォルダ間でのコピペも可能です。
補足情報
LCD液晶のディスプレイ焼け防止のために
スリープ機能が備わっています。スクリーンセーバーの活用もできるので、設定することをオススメします。
STREAM DECKウィンドウ右上の歯車マークを押下し、一般タブを選ぶと設定できます。
選べる時間は、「しない」「5分」「15分」「30分」「1時間」「2時間」です。
どんなソフトウェアに対応しているのか?
対応しているアプリは、使い方次第だと思います。標準で右側カラムに並び、使用できるコマンドは以下です。(ソフトウェアのバージョン:5.0.1.14252時点)
プラグイン名 | 操作内容 |
Game Capture |
|
OBS Studio |
|
Stream Deck |
|
Streamlabs OBS |
|
Twitter |
|
サウンドボード |
|
システム |
|
Control Center |
|
もちろん、これ以外にも「Stream Deck ストア」で、プラグインやアイコンなどを探して、利用することも可能です。例えば、「Visual Studio」「Unity」「YouTube」「Cubase」などがあります。
プロファイルやアイコンを販売・配布しているサイト
プロファイルやプラグインは、別途販売されているようなものもあります。見つけたサイトを記載しておきましたが、他にもあると思いますので探してみると良いかもしれません。
サイト | 内容 |
SideshowFX.net | Adobe系が主で、Word / EXCELも存在しています。 |
nerdordie.com | アイコンセットになります。 希望小売価格は$2.00ですが、最低0円から購入可能のようです。 Aurora – Stream Deck Key Icons Clarity – Stream Deck and Touch Portal Key Icons |
BarRaider’s Repo | Stream Deck ストアにも並んでいるアプリを開発しているサイトです。 プロファイルやプラグインがダウンロードできます。 |
参考動画
まとめ
今回は、Stream Deckについて記載しました。
特定のアプリの専用のツールではなく、キーボードやマウスに続く「全く新しいインターフェース」として活用できることでしょう。
カスタマイズも非常に行いやすいので、ぜひ体験して使ってみて下さい。