動画編集ソフトのDaVinci Resolveでは、ページ毎に役割を設けて、やれることを分けています。
今回は、その中でも編集に関わるカラーページの「モーションエフェクトパレット」「ブラーパレット」についてまとめていこうと思います。
なお、ここで紹介する内容は、DaVinci Resolve Studio 18 に基づいた内容になっています。
モーションエフェクトパレット
概要
本パレットは、「ノイズ除去」と「モーションブラー」を調整するパレットです。
また、「ノイズ除去」も「空間的」「時間的」の2種類のパラメータがあります。
「時間的ノイズ除去」は、動きの少ない箇所を正確に保持できます。
対して、「空間的ノイズ除去」は、動きのあるフレーム全体で設定した「しきい値」より下のすべてのノイズを除去(抑制)できます。
そのため、「時間的ノイズ除去」と「空間的ノイズ除去」を組み合わせて利用することは重要で、上手く設定できればより高画質な映像が作成できます。
設定
大きく5個のパートに分かれているので、それぞれに対してまとめます。
時間的ノイズ除去/時間的しきい値
複数のフレームを分析時の対象データとし、ノイズを除去するように機能します。
項目 | 説明 |
フレーム数 | 分析(平均値を算出)時の対象データとするフレーム数を選択します。 0を選択した場合は、機能しません。 高い値の方が質は向上するかもしれませんが、高スペックの作業環境を要求されたり、映像の内容によっては意図した結果が得られない可能性があります。 |
動き推定 | 動きを検知する際の方法を以下から選択します。
なお、「なし」の場合は、イメージ全体に時間的のノイズ除去が適用されます。 |
動きの範囲 | 得られた結果が意図しないもので、除外したい動きがあるときに有効です。 時間的ノイズ除去で除外した動きの速度を「大」「中」「小」から選択します。 「小」は「遅い動き」を想定していて、「大」は「速い動き」を想定しています。 |
輝度 | 輝度成分に適用する時間的ノイズ除去の量を設定します。 なお、「クロマ」の値とリンクさせることができます。 |
クロマ | クロマ成分に適用する時間的ノイズ除去の量を設定します。 なお、「輝度」の値とリンクさせることができます。 |
動き | 動きの「ある」ピクセルと「ない」ピクセルを区別する「しきい値」を設定します。 しきい値より上が動きのあるピクセル、下が動きのないピクセルとして扱われます。 |
ブレンド | 時間的ノイズ除去の適用前後のイメージを混ぜ合わせる度合いを設定します。 値が低いほど適用されているイメージの割合が多いです。 |
空間的ノイズ除去/空間的しきい値
イメージがぼやけすぎないように、イメージ全体の高周波ノイズ領域を除去する機能です。
項目 | 説明 |
モード | ノイズ除去のアルゴリズムを、品質の優先度合いに基づいた以下の3種類から選択できます。
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範囲 | 空間的ノイズ除去の範囲を「大」「中」「小」から選択します。 範囲が小さいほどリアルタイムの処理が行いやすくなりますが、品質は低下しやすいです。 基本は「中」にして、その結果を見てから「大」か「小」を適用を検討するのが良いかと思います。 |
輝度 | 輝度成分に適用する空間的ノイズ除去の量を調整します。 なお、「クロマ」の値とリンクさせることができます。 |
クロマ | クロマ成分に適用する空間的ノイズ除去の量を調整します。 なお、「輝度」の値とリンクさせることができます。 |
ブレンド | 空間的ノイズ除去の適用前後のイメージを混ぜ合わせる度合いを調整します。 値が低いほど適用されているイメージの割合が多いです。 |
モーションブラー
オプティカルフローベースのブラーを意図的に適用します。
項目 | 説明 |
動き推定 | 動きを検知する際の方法を以下から選択します。
なお、「なし」の場合は、イメージ全体にモーションブラーが適用されます。 |
動きの範囲 | ブラーをかける時の範囲を「大」「中」「小」から選択します。 「小」は「遅い動き」を想定していて、「大」は「速い動き」を想定しています。 |
ブラー | モーションブラーのかかり具合を調整します。 |
使い方
一例として、ノイズ除去の方法をまとめてみます。
- [時間的ノイズ除去] > [フレーム数] を「1」以上に設定する。
- 「時間的ノイズ除去」の「動き推定」および「動きの範囲」を調整する。
- 「輝度」と「クロマ」のしきい値を調整する。
- [空間的ノイズ除去] > [モード] を「最高画質」に設定する。
- 「時間的ノイズ除去」の「輝度」と「クロマ」のしきい値を調整する。
手順3の時点でイメージ内の動きが少ない箇所について効果が出てきます。
動きが少ない箇所について思ったような効果が得られなければ、手順2と3を繰り返してください。
手順5の時点でイメージ内の動きのある箇所について効果が出てきます。
「得られる効果」および「作業環境の性能」によって、手順4と5を繰り返してください。
ブラーパレット
概要
本パレットでは、映像の「特定の部分」や「全体」に静的なブラー(ぼかし)効果を適用するために使用されます。
そのため、特定の部分を目立たなくさせたり、柔らかさを出したいときに便利です。
この点で、動きによるブラー効果を適用する「モーションブラーパレット」との使い分けができます。
また、ブラーパレットには、「ブラー」「シャープ」「ミスト」の3つのモードがあります。
これらのモードでは、共通する設定内容が表示されていますが、利用可否が分かれてきます。
例えば、下図の「ブラー」モードの画像では、「スケーリング」の設定は無効になっています。
なお、これらは、「クオリファイアー」「ウィンドウ】などのパレットで範囲を限定することもできます。
設定
以下では、「ブラー」「シャープ」「ミスト」の3つのモードでの設定をまとめます。
ブラーモード
このモードでは、かすむような効果を得る「ガウスブラー」や鮮明にさせる「シャープニング」の効果を調整できます。
項目 | 説明 |
範囲 | ぼかし具合、鮮明さをコントロールするメインのスライダーです。 スライダーを上げるほどブラーがかかり、下げるほど鮮明になります。 デフォルト値の「0.50」では、イメージの入力のまま出力される状態です。 |
横/縦 比率 | 適用するエフェクトに対して、向きの要素を変更します。 スライダーを上げるほど横方向に、下げるほど縦方向にエフェクトがかかります。 デフォルト値の「0.50」では、均等にエフェクトが適用されている状態です。 |
シャープモード
シャープニング専用のコントロールです。
ブラーモードでは、物足りない場合に利用すると良いでしょう。
項目 | 説明 |
範囲 | ブラーモードと同様に機能します。 |
横/縦 比率 | ブラーモードと同様に機能します。 |
スケーリング | 「範囲」コントロールで適用しているシャープニングの効果を増幅させることができます。 シャープニング効果の増幅のため、「範囲」の設定が0.50以下であることが条件になります。 |
レベル | 「ブレンド」によるシャープニングから除外する箇所のしきい値を設定します。 値を上げるほど適用範囲が限定されていきます。 細部の少ない領域が除外され、明確なアウトラインにシャープニングが限定されます。 |
ブレンド | レベルの設定で除外された箇所の境がブレンドされます。 |
ミストモード
「ブラー」と「シャープニング」を同時に適用することができます。
目的に応じて、「ブラー」と「シャープニング」のバランスも調整できます。
項目 | 説明 |
範囲 | ブラーモードと同様に機能します。 ミストモードでは、値を下げてシャープニングの効果を高める必要があります。 |
横/縦 比率 | ブラーモードと同様に機能します。 |
スケーリング | シャープモードと同様に機能します。 |
Mix | 値を下げてブラー効果と合わせることで、ミストエフェクトを作成します。 |
商品情報
公式HPでは、無料版もダウンロードできます。
無料版は、試用期間のようなものではなく、永続的に無料で使い続けることができます。
また、無料版とは言え、プライベートで利用する場合は十分すぎる機能を有しています。
まとめ
今回は、DaVinci Resolveの「カラーページ」のうち、「モーションエフェクトパレット」「ブラーパレット」についてまとめてみました。
DaVinci Resolveを使用する際のヒントになれば幸いです。