動画編集ソフトのDaVinci Resolveでは、ページ毎に役割を設けて、やれることを分けています。
今回は、その中でも編集に関わるカラーページの「スコープ」についてまとめていこうと思います。
なお、ここで紹介する内容は、DaVinci Resolve Studio 18 に基づいた内容になっています。
スコープの概要
映像の色や明るさの情報を視覚的に分析したい時に利用するツールで、主にカラー情報を描画します。
例えば、パレードスコープ(後述)で「ハイライト(上部)」「ミッドトーン(中間)」「シャドウ(下部)」の相対的な比較が可能で、縦軸の幅が広いほどコントラスト比が大きいことを示しています。
コントロールは以下の4つで構成されています。
No | 項目 | 説明 |
① | スコープ | 5種類のリアルタイムなスコープから、グラフに表示する内容を選択できます。 |
② | 設定 | グラフの表示内容に関する各種設定の変更ができます。 |
③ | 拡大 | フローティングウィンドウで表示します。 |
④ | オプションメニュー | スケール形式や品質などの設定があります。 |
それぞれについて、以下で説明します。
インターフェース
①スコープ
スコープは、大きく5つに分かれており、以下の表示内容を切り替えることができます。
スコープ名 | 説明 |
パレード | 「RGBパレードスコープ」とも呼ばれ、RGBチャンネルの色の強度を比較する。 |
波形 | RGBチャンネルが傘案って表示される。 |
ベクトルスコープ | 「色相」と「彩度」の確認/調整に利用する。 |
ヒストグラム | RGBの各チャンネルのトーン会長のピクセル数を統計分布で示したもの。 |
CIE色度 | 表現できる色の範囲である色域を示す。 |
上記の各スコープにおける軸とサンプル画像を以下にまとめます。
スコープ名 | 軸 | サンプル |
パレード | 縦軸:輝度/強度 横軸:映像の水平位置(各色は独立して表示) | |
波形 | 縦軸:輝度/強度 横軸:映像の水平位置 | |
ベクトルスコープ | 半径方向:彩度(中心が無彩色) 回転方向:色相 | |
ヒストグラム | 縦軸:ピクセル数 横軸:明るさ | |
CIE色度 | 縦軸:緑の成分 横軸:赤の成分 |
※CIE色度における青の成分は、直接表示されません。代わりに「1 – “縦軸の値” – “横軸の値”」の値で算出できます。
なお、グラフの表示領域に対しては、以下のような操作もできます。
操作 | 実施方法 |
表示倍率の変更 |
|
パン |
|
②設定
設定内容は、以下のようになっています。
パレード
下図は、パレードで表示される設定の項目です。
項目 | 説明 |
モード | 以下の3種から選択し、色被りの特定や、各色のバランスなどの分布を確認できます。
|
カラー表示 | グラフの表示方法をモノクロ表示か、カラー表示で選択できます。 |
実際の範囲 | 各波形のオーバーシュートとアンダーシュートを明確に表示できます。 |
パレード | グラフ表示の明暗の度合いを調整できます。 |
グリッド | スケール/グリッドの明暗の度合いを調整できます。 |
参照レベルを表示 | 「最小値」「最大値」のスライダーを利用し、リファレンスレベルマーカーを設定できます。 |
ビューをリセット | 上記の設定内容をリセットします。 |
波形
下図は、波形で表示される設定の項目です。
項目 | 説明 |
モード | 以下の3種から選択し、明るさのバランスや各色の分布を確認できます。
RGBでは各色の表示/非表示のボタンが表示され、色ごとに表示/非表示を決めることができます。 |
カラー表示 | グラフの表示方法をモノクロ表示か、カラー表示で選択できます。 |
実際の範囲 | 各波形のオーバーシュートとアンダーシュートを明確に表示できます。 |
波形 | グラフ表示の明暗の度合いを調整できます。 |
グリッド | スケール/グリッドの明暗の度合いを調整できます。 |
参照レベルを表示 | 「最小値」「最大値」のスライダーを利用し、リファレンスレベルマーカーを設定できます。 |
ビューをリセット | 上記の設定内容をリセットします。 |
ベクトルスコープ
下図は、ベクトルスコープで表示される設定の項目です。
項目 | 説明 |
モード | 以下の4種から選択し、各色の強調具合や全体的なカラーバランスを確認できます。
|
カラー表示 | グラフの表示方法をモノクロ表示か、カラー表示で選択できます。 |
実際の範囲 | 各波形のオーバーシュートとアンダーシュートを明確に表示できます。 |
結合 | 「ハイライト」「ミッドトーン」「シャドウ」が重なり合った範囲を同時に表示できます。 |
ベクトルスコープ | グラフ表示の明暗の度合いを調整できます。 |
グリッド | スケール/グリッドの明暗の度合いを調整できます。 |
ローレンジ | シャドウとミッドトーンの境界を調整できます。 |
ハイレンジ | シャドウとハイライトの境界を調整できます。 |
2倍拡大で表示 | ベクトルスコープを2倍で拡大表示できます。 |
スキントーンインジケーター | 平均的なスキントーン色相の大まかなガイドを位相角で表示できます。 |
グリッドを表示 | 補助線となる「円形のインジケーター」「十字線」を表示できます。 |
ヒストグラム
下図は、ヒストグラムで表示される設定の項目です。
項目 | 説明 |
モード | 以下の2種から選択し、トーン階調ごとにピクセル数の分布を確認できます。
|
ゲイン | グラフ表示の明暗の度合いを調整できます。 |
グリッド | スケール/グリッドの明暗の度合いを調整できます。 |
参照レベルを表示 | 「最小値」「最大値」のスライダーを利用し、リファレンスレベルマーカーを設定できます。 |
CIE色度
下図は、CIE色度で表示される設定の項目です。
項目 | 説明 |
モード | 以下の2種から選択し、映像内の色が指定されたカラースペース内に収まっているかを確認できます。
|
CIE色度 | グラフ表示の明暗の度合いを調整できます。 |
グリッド | スケール/グリッドの明暗の度合いを調整できます。 |
他の色域表示 | モード設定の内容とは別の2つ目のカラースペースを表示させることができます。 |
2倍拡大で表示 | ベクトルスコープを2倍で拡大表示できます。 |
グリッドを表示 | 補助線となる「縦軸」「横軸」を表示できます。 |
③フローティングウィンドウ
フローティングウィンドウでは、デフォルトで4つのスコープを同時に表示できます。
4つの表示領域は、それぞれに対して「表示する内容」と「設定」の変更をすることができます。
そのため、「同じスコープ」かつ「異なる表示オプション」で複数表示させることもできます。
また同時に表示させる表示領域は、右上にあるボタンで「1つ」「2つ」「4つ」「9つ」から選択できます。
④オプションメニュー
オプションメニューには、以下の設定があります。
項目 | 説明 |
波形のスケール形式 | 「パレード」「波形」「ヒストグラム」の軸のメモリの単位を変更できます。 なお、Studio版では「HDR(ST.2084/HLG)」も選択できます。 |
ベクトルスコープのスケール形式 | 「ベクトルスコープ」のメモリにおける表示内容を変更できます。 |
クオリファイアーのフォーカスを表示 | ビューアのクオリファイアーモードと連携する機能です。 ビューア上でカーソルを合わせた箇所のカラー情報に相当する領域が、「〇」で囲まれます。 |
ローパスフィルター | 信号のノイズ成分とみなせる情報をフィルタリングできます。 |
比率(フローティングウィンドウのみ) | フローティングウィンドウで、各スコープの表示比率を変更できます。 |
品質 | 作業環境によって、品質と処理性能のバランスを調整できます。 |
商品情報
公式HPでは、無料版もダウンロードできます。
無料版は、試用期間のようなものではなく、永続的に無料で使い続けることができます。
また、無料版とは言え、プライベートで利用する場合は十分すぎる機能を有しています。
まとめ
今回は、DaVinci Resolveの「カラーページ」のうち、「スコープ」についてまとめてみました。
DaVinci Resolveを使用する際のヒントになれば幸いです。