動画編集ソフトのDaVinci Resolveでは、ページ毎に役割を設けて、やれることを分けています。
今回は、その中でも編集に関わるエディットページの「スリーポイント編集」の基礎的な方法をチュートリアルとしてまとめていこうと思います。
なお、ここで紹介する内容は、DaVinci Resolve Studio 18 に基づいた内容になっています。
スリーポイント編集とは
「イン点」「アウト点」を用いて、特定範囲を対象に編集作業ができる方法です。
多くの映像編集ソフトで採用されていて、一般的な編集方法に位置づけられています。
なお、ここで言うスリーポイント(3点)は、「イン点」「アウト点」「再生ヘッド」を指します。
スリーポイント編集の法則
ここでは、スリーポイント編集での基本的な動きのルールについて、まとめておきます。
基本的なイン点とアウト点の設定状況による動作の変化
イン点とアウト点の設定状況に基づいて、以下のように動作が変化します。
なお、下表において、【SC】は【ソースクリップ】、【TLE】は【タイムラインエディター】、「〇」:設定されているもの、「×」:設定されていないもの、「△」:いずれかが設定されていないもの、「不問」:動作に影響しないものを指すと思ってください。
【SC】 イン点 | 【SC】 アウト点 | 【TLE】 イン点 | 【TLE】 アウト点 | 動作 |
△ | △ | 不問 | 不問 | メディアの最初(最後)のフレームがソースのイン点(アウト点)として扱われます。 |
不問 | 不問 | × | 〇 | 【アウト点】 タイムラインエディターのアウト点の位置が、ソースクリップのアウト点と認識されます。 【イン点】 アウト点の位置を基準に、ソースクリップで設定済みのイン点まで遡ってた点をタイムラインエディターでのイン点として扱われます。 |
× | 〇 | 〇 | 〇 | 【アウト点】 タイムラインエディターのアウト点の位置が、ソースクリップのアウト点と認識されます。 【イン点】 アウト点の位置を基準に、タイムラインエディターで設定済みのイン点まで遡ってた点をソースクリップでのイン点として扱われます。 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | タイムラインエディターとソースクリップで「イン点」と「アウト点」の区間が違う場合は、タイムラインエディター上の区間が優先されて、ソースクリップの区間が調整されます。 この時、タイムラインエディターとソースクリップの「イン点」を合わせ、「アウト点」が調整されます。 この調整が適用されたくない場合は、「フィット トゥ フィル」での編集を使用することで回避できます。 |
分割したビデオデータとオーディオデータに対し、「イン点」と「アウト点」を設定
ソースビューアやタイムラインエディター上で、分割されたビデオデータとオーディオデータのそれぞれに対して、別々に「イン点」と「アウト点」を設定した場合の動作です。
設定場所 | 動作 |
ソースビューア | ソースクリップに設定された「イン点」「アウト点」の区間(編集点)のうち、一番左にある編集点がタイムラインエディターの再生ヘッドの位置に合わせるように動作します。 これは、ビデオとオーディオの双方のデータに適用される動作です。 |
タイムラインエディター | タイムラインエディターに設定された「イン点」「アウト点」の区間(編集点)のうち、一番左にある編集点が、ソースクリップのイン点の位置に合わせるように動作します。 これは、ビデオとオーディオの双方のデータに適用される動作です。 なお、後続のビデオとオーディオのイン点は、この位置を基準として右に反映されていきます。 |
よくあるスリーポイント編集の実施方法
ソースクリップの特定の範囲をタイムラインエディター上に上書き
イン点を基準にして、素材となるクリップの一部分をタイムラインエディター上に上書きで反映させる方法です。
- 素材とするクリップに、「イン点」「アウト点」を設定する。
- メディアプールまたはソースビューアで実施します。
- メディアプールまたはソースビューアで実施します。
- 配置先コントロールを使用して、クリップを配置する場所を指定する
- タイムラインエディター上で「イン点」を設定する。
- イン点として使用したい位置に、再生ヘッドを移動させることでも対応できます。
- イン点として使用したい位置に、再生ヘッドを移動させることでも対応できます。
- タイムラインエディター上で「アウト点」を設定する。
- タイムラインエディターで範囲に限定させる必要がない場合は、本手順は不要です。
- タイムラインエディターで範囲に限定させる必要がない場合は、本手順は不要です。
- 以下のいずれかを実行する。
- ツールバーの「クリップを上書き」ボタンをクリック
- F10キーを押下
- ツールバーの「クリップを上書き」ボタンをクリック
ソースクリップをバックタイミングでタイムラインエディター上に上書き
アウト点を基準にして、素材となるクリップの一部分をタイムラインエディター上に上書きで反映させる方法です。
ソースクリップで「イン点」「アウト点」を設定
手順は、以下になります。
- 素材とするクリップに、「イン点」「アウト点」を設定する。
- メディアプールまたはソースビューアで実施します。
- メディアプールまたはソースビューアで実施します。
- 配置先コントロール(dr_edit_3)を使用して、クリップを配置する場所を指定する
- タイムラインエディター上でアウト点を設定する。
- 以下のいずれかを実行する。
- ツールバーの「クリップを上書き」ボタンをクリック
- F10キーを押下
ソースクリップで「アウト点」のみを設定
手順は、以下になります。
- 素材とするクリップに、「アウト点」を設定する。
- メディアプールまたはソースビューアで実施します。
- メディアプールまたはソースビューアで実施します。
- 配置先コントロール(dr_edit_3)を使用して、クリップを配置する場所を指定する
- タイムラインエディター上で「イン点」を設定する。
- タイムラインエディター上で「アウト点」を設定する。
- 以下のいずれかを実行する。
- ツールバーの「クリップを上書き」ボタンをクリック
- F10キーを押下
- ツールバーの「クリップを上書き」ボタンをクリック
メディアプールからのスリーポイント編集
ソースビューアを使用しなくても、スリーポイント編集を行う方法があります。
それは、メデイアプールを利用する方法で、タイムラインの末尾に追加する時は特に便利だと思います。
例えば、以下の手順を行うことで、メディアプールにある素材(クリップ)を直接タイムラインエディター上に挿入することが可能です。
- クリップを挿入したいトラックに、配置先コントロール(dr_edit_3)を割り当てる。
- タイムラインに編集するクリップを1つまたは複数選択します。
- メディアプールで選択したクリップに対して開くコンテキストメニューから「選択したクリップをタイムラインの末尾に追加」を選択する。
- 選択したクリップをタイムラインビューアにドラッグして表示される「編集オーバーレイ」を利用することもできます。
- 選択したクリップをタイムラインビューアにドラッグして表示される「編集オーバーレイ」を利用することもできます。
なお、他の編集でも、基本的な操作方法は同じです。
ただし、以下の点には、注意しておきましょう。
- 「挿入」「上書き」「最上位トラックに配置」「リップル上書き」「末尾に追加」は、複数クリップを対象に、同時に処理できます。
- 「置き換え」「フィット トゥ フィル」はクリップを1つしか処理できません。複数クリップ選択時は最初のクリップのみが適用されます。
小ネタ
プレビューマーク
スリーポイント編集を行う際に、影響範囲を確認するための機能です。
プレビューマークを使用するメリットは、「タイムライン上にソースビューアで表示しているクリップを挿入する時の長さ」を事前に確認できる点でしょう。
使い方は、以下の2ステップです。
- ソースビューア上で「イン点」「アウト点」を設定する。
- タイムラインエディター上で、イン点を設定する。
この手順を行うことで、手順2で設定した側に、プレビューマーク(「I」のマーク)が表示されます。
「プレビューマークが指すものは何か?」ですが、ソースビューアに設定した「イン点」が、タイムラインエディターに設定した「イン点」に差し込まれた時の「アウト点」の位置を示しています。
そのため、プレビューマークがソースビューアとタイムラインエディターのどちらに表示されるか?については、双方の「イン点」と「アウト点」の区間の長さによって、以下のように変わります。
区間の長さ | 表示場所 |
長:ソースビューア 短:タイムラインエディター | ソースビューア上に表示 |
長:タイムラインエディター 短:ソースビューア | タイムラインエディター上に表示 |
また、プレビューマークは、ソースビューアとタイムラインエディターにおける「イン点」と「アウト点」の位置の変化にリアルタイムで動いてくれます。
これにより、表示されているプレビューマークを基に、タイムラインエディターに挿入する際のクリップの長さ調整を行うことができます。
商品情報
公式HPでは、無料版もダウンロードできます。
無料版は、試用期間のようなものではなく、永続的に無料で使い続けることができます。
また、無料版とは言え、プライベートで利用する場合は十分すぎる機能を有しています。
まとめ
今回は、DaVinci Resolveの「エディットページ」のうち、「スリーポイント編集の基礎」をメインにまとめてみました。
DaVinci Resolveを使用する際のヒントになれば幸いです。