動画編集ソフトのDaVinci Resolveでは、ページ毎に役割を設けて、やれることを分けています。
今回は、その中でも3D編集やアニメーション作成などに関わるFusionページの「インスペクタの基本操作」を題材にチュートリアルとしてまとめていこうと思います。
なお、ここで紹介する内容は、DaVinci Resolve Studio 18 に基づいた内容になっており、同社のFusion Studioのための内容としてはまとめていません。
インスペクタのUI
インターフェースツールバーの「インスペクタ」ボタンで表示できるインスペクタは、選択したノードの設定を確認・調整するために使われます。
なお、選択したノードが複数の場合は、各ノードがインスペクタ内に表示されます。
パネル構成
インスペクタは、大きく以下の2つのパネルで構成されています。
パネル | 説明 |
ツール | 選択したノードの基本となるパラメータを表示・編集するパネルです。 メインで使うことになるパネルでしょう。 |
モディファイアー | ノードの標準パラメータに対して追加された拡張機能が表示されるパネルです。 モディファイアー追加されていない場合は、利用できません。 |
ヘッダーコントロール
インスペクタに表示された各ノード設定には、下記のようないくつかのコントロールが表示されます。
このヘッダーコントロールについて、上図の番号を基に以下にまとめます。
番号 | 名称 | 説明 |
① | トグルスイッチ | ノードの有効/無効を切り替えることができます。 |
② | ノード名 | ノードの名称が表示されます。 コンテキストメニューもしくは「F2」キーで、名前の変更ができます。 変更された内容は、ノードエディターにも反映されます。 |
③ | カラーを設定 | 全16色の中から、設定するカラーを選択します。 「カラーを消去」は、デフォルトの色になります。 |
④ | バージョン | 専用のツールバーが表示され、6つの設定パターンを保存しておくことができます。 保存された設定パターンを切り替えることで、簡単に設定の比較をすることが可能になります。 |
⑤ | ピン | 他のノードを選択した時に、インスペクタ上に表示されたままの状態にすることができます。 |
⑥ | ロック | ノードの設定を変更不可の状態になります。 |
⑦ | リセット | ノードの全てパラメーターをリセットします。 |
設定タブ
ヘッダーコントロールの下には、各ノードに応じた種類と数のパネルタブのアイコンがあります。
このアイコンの中で、全ノード共通するのが、「設定」タブです。
「設定」タブの中でも、ノードによって表示される項目が変わるのですが、確認できた範囲で以下にまとめてみます。
ブレンド
Loader、MediaIn、Generatorのみ存在していないパラメータです。
ノードによるパラメータ変更の影響をどの程度適用するか?を設定します。
値により、以下のように変化します。
値 | 説明 |
1.0 | 入力されたイメージに、効果を100%掛けたイメージが出力されます。 |
0.001~0.999 | 入力されたイメージを残しつつ、効果を適用します。 |
0.0 | 入力されたイメージと同じ(効果を全くかけない)イメージが出力されます。 |
処理
「R(赤)」「G(緑)」「B(青)」「A(アルファ)」のチャンネルから成るチェックボックスで構成されています。
このチェックボックスをオフにしたチャンネルには、ノードの影響が及ばなくなります。
反転マスクを適用
エフェクトマスクの入力に接続されたマスクが反転されます。
ガベージマスクには、影響が及びません。
マスクで乗算
マスクに含まれない領域が、黒くなります。
これは、マスクされたイメージのRGB値に、Maskチャンネルの値が乗算されるためです。
オブジェクトを使用/マテリアルを使用
マスク用の設定で、AUXチャンネルが利用可能な場合に、そのチャンネルを使用するかどうかを選択します。
また、いずれかを有効にすると、以下の設定が表示されます。
設定 | 説明 |
エッジを補正 | 「カバレッジ」と「背景色」のチャンネルを使用して、エッジ周辺の効果を分けて補正します。 「無効」もしくは「『カバレッジ』と『背景色』のチャンネルを使用不可」である場合は、マスクのエッジにエイリアスが発生することがあります。 |
オブジェクトID | 設定されたIDを使用して、マスクを作成することができます。 オブジェクトIDは画像に保存されています。 |
マテリアルID | 設定されたIDを使用して、マスクを作成することができます。 マテリアルIDは画像に保存されています。 |
サンプル | 「サンプル」ボタンを始点としてビューア上にドラッグすることで、クリックを放した箇所のIDを取得することができます。 カラーピッカーのような感覚で利用することができます。 |
モーションブラー
モーションを扱えるノードに存在する設定です。
ノードの予測された動きを使用し、カメラのブレや被写体のブレを生成します。
なお、モーションブラーを有効にした場合、以下の設定が表示されます。
設定 | 説明 |
品質 | ブラーの作成に使用するサンプル数を設定します。 設定値が大きいほど滑らかになる効果を得られますが、処理に要する時間は長くなります。 |
シャッターアングル | モーション・ブラー効果を得るためのバーチャル・シャッターの角度を設定します。 設定値が大きいほどボケ具合が増しますが、処理に要する時間は長くなります。 なお、「360」を設定した場合は、1フレーム分のシャッターを開いた状態に相当します。 |
センターバイアス | モーションブラーの中心の位置を設定します。 |
サンプルスプレッド | 各サンプルの重み付けを設定します。 |
コメント
そのノードにコメントやメモを記載しておくためのテキスト領域です。
コメントに記載された内容は、ノードエディターでノードにマウスオーバーすると、ツールチップとして表示されます。
スクリプト
スクリプトには、「フレームレンダースクリプト」「開始レンダースクリプト」「終了レンダースクリプト」があります。
それぞれテキスト入力可能な領域となっていて、ノードのレンダリング時に処理するスクリプトを追加できます。
キーフレームの利用
インスペクタで表示されるノードのほとんどの設定項目はキーフレームを設定することができます。
これにより、時間軸に沿ったパラメータの変化を付けることができ、アニメーションのように効果を変化させることができます。
キーフレームの設定
キーフレームの設定は、変化させたいパラメータに対し、以下の手順を行います。
- 変化前の位置に、再生ヘッドを移動する。
- 基準とするパラメータの変化前の値に設定する。
- インスペクタ上のパラメータの横にある「◆」を押下する。
- 変化後の位置に、再生ヘッドを移動する。
- 基準とするパラメータの変化後の値に設定する。
- インスペクタ上のパラメータの横にある「◆」を押下する。
なお、キーフレームを複数設定すると、以下のように「◆」の隣に「<」や「>」が表示されます。
このボタンを押下すると、隣のキーフレームの場所に再生ヘッドが移動します。
キーフレームの削除
インスペクタ上で行う場合は、以下の方法で削除します。
- キーフレームボタンに対して、コンテキストメニューを開く。
- 以下のいずれかを選択する
- 特定のキーフレームを削除する場合:「キーを削除」
- パラメータ全体のキーフレームを削除する場合:「”パラメータ名”を削除」
- 特定のキーフレームを削除する場合:「キーを削除」
手順2で「キーを削除」を行う場合は、再生ヘッドを削除対象のキーフレームの上に移動しておく必要があります。
商品情報
公式HPでは、無料版もダウンロードできます。
無料版は、試用期間のようなものではなく、永続的に無料で使い続けることができます。
また、無料版とは言え、プライベートで利用する場合は十分すぎる機能を有しています。
まとめ
今回は、DaVinci Resolveの「Fusionページ」のうち、「インスペクタの基本操作」についてまとめてみました。
DaVinci Resolveを使用する際のヒントになれば幸いです。