動画編集ソフトのDaVinci Resolveでは、ページ毎に役割を設けて、やれることを分けています。
今回は、その中でも3D編集やアニメーション作成などに関わるFusionページの「モーションパス」の使い方をチュートリアルとしてまとめていこうと思います。
なお、ここで紹介する内容は、DaVinci Resolve Studio 18 に基づいた内容になっており、同社のFusion Studioのための内容としてはまとめていません。
モーションパスとは
パスモディファイアを適用して、様々なエフェクトに動きを付けることができる機能(手段)です。
なお、パスモディファイアの「適用」や「曲線的な変化を付与」したい場合は、ビューア、インスペクタ、スプラインエディターで行うことになります。
一例ですが、パスモディファイアを使って動きを付けられるノードを記載します。
動く対象 | ノード | 実際のパラメータ |
ノード自体の位置(上下左右) | 変形 | センター X/Y |
↑ | Merge | ストロークコントロール > センター X/Y |
↑ | Camera3D | 変形タブ > X/Y/Z |
エフェクトの効く方向 | ブラー(方向)(DrBl) | センター X/Y |
↑ | Rays | センター X/Y |
なお、モーションパスは以下の3種類ありますが、どれを選んでも出来ることに違いはありません。
また、どの方法でパスを作成しても、インスペクタの「モディファイアー」タブで修正することが可能です。
種類 | 説明 |
ポリラインパス | パスモディファイアのデフォルトタイプです。 パスモディファイアを適用することで生成されます。 |
XYパスモディファイア | X-Y軸での位置制御に使われます。 |
3Dモーションパス | 3Dシーンの中での位置制御に使われます。 |
このうち、「ポリラインパス」と「XYパスモディファイア」について、もう少し説明します。
ポリラインパス
最も簡単に扱えるパスといえるほど扱いやすいモーションパスです。
ビューア、スプラインエディタ、インスペクタを利用して、動き方を調整できます。
また、ビューア上部に表示されるツールバーでも、作成されたパスの操作を行うことができます。
インスペクタの「センターX/Y」を利用
基本的な手順は以下になります。
- モーションパスの始点(動き始める位置)に再生ヘッドを移動する。
- インスペクタで、始点での設定値を設定する。
- モーションパスの終点(動き終わる位置)に再生ヘッドを移動する。
- インスペクタで、終点での設定値を設定する。
- ビューアで始点・終点の中間にあるコントロールポイントを選択し、動く経路を修正する。
- スプラインエディタでコントロールポイントを選択し、ハンドルを操作して動く速度を経路する。
手順4を行った時点で、自動でキーフレームが設定されます。
インスペクタまたはビューアの座標コントロールを利用
上記、「インスペクタの「センターX/Y」を利用」との違いは、キーフレームを明示的に設定しなくても、オブジェクトをドラッグすることで、ビューアにモーションパスの作成できる点です。
- モーションパスの始点(動き始める位置)に再生ヘッドを移動する。
- 座標コントロールをドラッグして、始点の位置を設定する。
- インスペクタの「センターX/Y」パラメータに対して開くコンテキストメニューで、「パス」を選択する。
- ビューアで画面上の中心座標コントロールで、[“ノード名”:センター]から「パス」を選択することもできます。(下図参照)
- ビューアで画面上の中心座標コントロールで、[“ノード名”:センター]から「パス」を選択することもできます。(下図参照)
- モーションパスの終点(動き終わる位置)に再生ヘッドを移動する。
- 座標コントロールをドラッグして、終点の位置を設定する。
- インスペクタで「センター」の値を調整することできます。
- インスペクタで「センター」の値を調整することできます。
- 必要に応じて、始点-終点間に再生ヘッドを移動させ、中間位置を手順2、5と同様に修正する。
スプラインツールとパスモディファイアを利用
先述の2つと違い、作成済のペイントストロークやマスクシェイプをモーションパスとして利用することができます。
この方法は、初めに設定した動く軌跡に沿うように、対象を動かすようにすることができます。
- 軌跡とするパスの形に「ポリゴン」もしくは「ペイントストローク」でポリラインを描く。
- いずれもツールバー(リンク)にあります。
- 「ポリゴン(マスクノード)」を使用時に実施してください。
- 以下の手順でキーフレームアニメーションを削除して、スプラインとしてアクセスできるようにする必要があります。
- ポリゴンに対して開くインスペクタを開く。
- 最下部にある「右クリックして形状をアニメート」に対し、コンテキストメニューを開く。
- 「Polygon1ポリラインを削除」を選択する。
- ポリゴンに対して開くインスペクタを開く。
- いずれもツールバー(リンク)にあります。
- 作成したポリラインを軌跡として扱えるようにする。
- 最下部にある「右クリックして形状をアニメート」に対し、コンテキストメニューを開く。
- 「パブリッシュ」を選択する。
- 最下部にある「右クリックして形状をアニメート」に対し、コンテキストメニューを開く。
- 作成したポリラインと動かしたい対象のノードを接続する
- パスに沿わせたいノードを選択する
- インスペクタの「センターX/Y」に対して開くコンテキストメニューで「Path」を選択する。
- インスペクタで「モディファイアー」タブをクリックする
- [Path1] > [変位]のキーフレームをクリックする。
- 赤色になっているはずなので、クリックして削除する手順です。
- 赤色になっているはずなので、クリックして削除する手順です。
- 「Modifiers」タブの最下部にある「右クリックして形状をアニメート」に対し、コンテキストメニューを開く。
- [接続] > [“沿わせたい軌跡名”] > [値]を選択する。
- パスに沿わせたいノードを選択する
XYパス
XYパスモディファイアは、X軸とY軸の情報を別々のスプラインを使用して、スプラインエディターでキーフレームとして扱うことで管理できます。
そのため、「キーフレーム間の変化の仕方」や「変位のパラメータ」の情報(時間や速度)は、直接持ちません。
「指定した時間にどの位置にあるか?」の情報で、時間や速度を示すことになります。
なお、XYパスモディファイアを使って、座標系コントロールのアニメーションを作成するには、以下の手順を行います。
- モーションパスの始点(動き始める位置)に再生ヘッドを移動する。
- 動かす対象の始点での位置を設定する。
- ビューアの「センター座標コントロール」に対してコンテキストメニューを開く。
- 開いたコンテクストメニューから、[“ノード名”:センター] > [モディファイアー] > [XYパス]を選択する。
- 動かす対象の場所を設定したい位置に、再生ヘッドを移動する。
- ビューア上で「センター座標コントロール」をドラッグする。
- 必要に応じて、手順5~6を繰り返す。
- モーションパスの終点(動き終わる位置)に再生ヘッドを移動する。
- ビューア上で「センター座標コントロール」をドラッグする。
- ビューアの「センター座標コントロール」に対してコンテキストメニューを開く。
- 開いたコンテクストメニューから、[“ノード名”:センター <- XYPath] > [ポリパスに変換] or [XYパスに変換]を選択する。
アニメーションの速度/加速度の調整(主に、ポリラインパスで利用)
ノードのインスペクタの「モディファイアー」タブにある「変位」では、接続させた軌跡に沿ってアニメーションの速度を確認することができます。
この特徴は、どのタイミングでどの位置にあるか?を決定する際に、重要なパラメータとして活用できます。
言い換えれば、キーフレームを置く位置と「変位」の設定の仕方で、速度の調整を行うことが可能です。
- モーションパスの始点(動き始める位置)に再生ヘッドを移動する。
- インスペクタで、始点での「変位(0.0)」の設定値を設定する。
- 位置を設定したいモーションパスの点に再生ヘッドを移動する。
- インスペクタの「変位(1.0)」の設定値を設定したい位置にする。
- 必要に応じて、手順3~4を繰り返す。
- モーションパスの終点(動き終わる位置)に再生ヘッドを移動する。
- インスペクタで、終点での「変位(1.0)」の設定値を設定する。
もちろん、スプラインエディターにおいて、設定したキーフレームを上下に動かすことで、速度を設定することも可能です。
この場合、キーフレームが水平に近ければ近いほど、速度が速くなります。
モーションパス操作時の小ワザ
ビューアやインスペクタでは、モーションパス作成・編集のためのメニューが存在します。
その内容について、少しまとめます。
コピー&貼り付け/切り取り&貼り付け
モーションパスは、パス全体もしくは一部のキーフレームをクリップボードにコピーして、別のノードやパス、コンポジションにペーストすることが可能です。
以下に手順を記載します。
コピー対象 | 手順 |
パス全体 |
|
一部のキーフレーム |
|
モーションパスの削除
モーションパスは、コンテクストメニューで削除することができます。
以下に手順を記載しますが、削除対象はあくまで「モディファイア」のみです。
他の要素のスプライン曲線などには影響しません。
操作場所 | 手順 |
インスペクタ |
|
スプラインエディターのヘッダー部 |
|
ビューア |
|
書き出し/読み込み
モーションパスは、書き出し/読み込みを行うことができます。
書き出し/読み込み対象のデータは、別のアプリ(LightWaveなど)との相互利用も可能にします。
手順は以下です。
やること | 手順 |
書き出し |
|
読み込み |
|
商品情報
公式HPでは、無料版もダウンロードできます。
無料版は、試用期間のようなものではなく、永続的に無料で使い続けることができます。
また、無料版とは言え、プライベートで利用する場合は十分すぎる機能を有しています。
まとめ
今回は、DaVinci Resolveの「Fusionページ」のうち、「パスモーション」についてまとめてみました。
DaVinci Resolveを使用する際のヒントになれば幸いです。