【Dorico】【記譜モード】基礎知識~入力、編集、キャレット、ナビゲーション~

現在、様々な場面・分野でユーザーに使われている作譜ソフト「Dorico」。

かつてのFinaleに代わり、業界標準の一角を担っています。

今回はそんなDoricoの「記譜モード」の基礎知識として「入力、編集、キャレット、ナビゲーション」について、紹介します。

なお、ここでは Dorico pro(ver.6) での内容に基づいた内容となっています。

スポンサーリンク

記譜モードにおける「入力」と「編集」

記譜モードは、設定モードで設定した「レイアウト」の五線譜上に、音符や各種情報を記載していくモードです。

Doricoの場合、「入力」と「編集」は以下のように明確に分かれています。

なお、両者の切り替えは、音符ツールボックスで「音符入力を開始」「選択」のボタン(リンク)で行うことができます。

操作説明
入力キャレット(後述)が表示されていて、音符や各種情報を新たに入力できる状態です。
この状態では、「マウス」「キーボード」を使って各種情報を入力したり、キャレットの位置に「各種入力用インターフェースパネル」「MIDIインターフェース」を使って入力したりすることが可能です。
編集キャレットが表示されておらず、既存の音符や各種情報を修正できる状態です。
これにより、「意図せず音符を追加して、上書きしてしまった。」といったことをなくすことができます。
既に配置されている音符や各種情報を選択(もしくはダブルクリック)することで、「音階を変更」「コピペ」「削除」「アーティキュレーションの編集」「歌詞の編集」といった操作が可能になります。
[環境設定] > [音符の入力と編集]のカテゴリーで、入力・編集時の動作を変更する設定が多く配置されています。

キャレットとは

キャレットは、五線譜の上から下へと伸びる赤い縦線のことで、音符を入力する位置を示すカーソルに相当します。

なお、音符ツールボックス(リンク)で有効になっている機能や対象の譜面によって、形状が変化したり、記号が追加されたりします。

例えば、以下があります。

  • 「挿入」押下時

    • 直線の両端に「v」「^」が追加されたりします。
  • 「和音」押下時

    • 左上に「+」が表示されます。
  • 打楽器キット

    • 五線譜上の入力している段のみにキャレットが表示されます。
    • キャレットが表示されている段に設定されているインストゥルメント名が表示されます。
  • タブ譜

    • 五線譜上の入力している段のみにキャレットが表示されます。

また、キャレットは、以下の操作で同時入力する五線譜を増減することが可能です。

可能な操作キー操作
上(下)の譜表に延長Shift + ↑(↓)
上(下)の譜表に移動↑(↓)
右(左)に移動→(←)

「入力」の操作

新規で音符や各種情報を記載していく「入力」の手順は、基本的に以下の流れになります。

手順
操作概要操作詳細
1 音符入力できる状態にする以下のいずれかの操作を行ない、音符ツールボックスの「音符入力を開始」のボタン(リンク)を点灯させます。

  • 「Shift + N」を押下する。
  • 音符ツールボックスで「音符入力を開始」のボタンを押下する。
  • 譜面をダブルクリックする。
    • 別のモードでも可。
2 キャレットの長さを調節する 複数の五線譜に同時に入力した場合に実施してください。
3 キャレットの位置を調整する以下のいずれかの操作を行ないます。

  • 「Space」キーを押下する。
  • 「上下左右のカーソルキー」を押下する。
4 音符の長さ(デュレーション)を選択する以下のいずれかの操作を行ないます。

  • ショートカットキー(1~9)を利用する。(リンク
  • 音符パネルのボタン(リンク)を利用する。
  • 「各種入力用インターフェースパネル」の上部にあるデュレーションのボタン(リンク)を押下する。
5 付点や臨時記号、アーティキュレーションなどを設定する以下のいずれかの操作を行ないます。

  • ショートカットキー( ^ や .(ピリオド) )を利用する。(リンク
  • 音符パネルのボタン(リンク)を利用する。
6 音符を入力する以下のいずれかの操作を行ないます。

  • 「A」~「G」キーを利用する。
  • マウスで五線譜上の希望のピッチをクリックする。
  • 「各種入力用インターフェースパネル」を利用する。
  • MIDIキーボードを利用する。
7 手順2~6を繰り返す 必要な箇所のみを実施すれば良いです。
8 音符入力できる状態を解除する以下のいずれかの操作を行ない、音符ツールボックスの「音符入力を開始」のボタン(リンク)を消灯させます。

  • 「Escape」を押下する。
  • 「Return(Enter)」を押下する。
  • 音符ツールボックスで「音符入力を開始」のボタン(リンク)を押下する。

なお、手順6において、「A」~「G」キーを利用してピッチを指定した場合、「直前の音符のピッチ」との距離の短さによって上に入力されるか下に入力されるか?が異なります。

意図的に上(下)のピッチで入力させたい場合は、以下のショートカットキーを使ってください。

  • 上:Shift + Alt + 「A」~「G」キー
  • 下:Ctrl + Alt + 「A」~「G」キー
和音入力中は、「A」~「G」を入力すると「構成する音の並びの最上段」に追加されます。最下段に追加したい場合は、「Ctrl + Alt」を押しながら「A」~「G」キーを入力してください。
スポンサーリンク

編集の操作

既存の音符や各種情報を修正していく「編集」の手順は、基本的に「入力の操作」に記載の内容と同じです。

そのため、詳細は「入力の操作」を参照することで対応できますが、手順の概要だけ記載します。

手順操作概要操作詳細
1音符入力をできない状態にする音符ツールボックスの「音符入力を開始」のボタン(リンク)が消灯していればよいです。
2編集したい対象(主に音符)を選択する
  • 例1:アーティキュレーションを付与・削除したければ、付随する音符を選択します。
  • 例2:歌詞や強弱記号を削除したければ、対象の歌詞や強弱記号を選択します。
3編集したい操作を行う
  • 例1:デュレーションやアーティキュレーションを変更したければ、音符パネルのボタン(リンク)を利用します。
  • 例2:削除したければ、「Delete」キーを押下します。
  • 例3:ポップオーバーで入力した内容を編集したければ、対象をダブルクリックします。
実際に「編集」の際に用いるような細かい「テクニック」や「操作」については、別の記事で紹介します。
カットアウェイ機能
カットアウェイは、譜面の不要な箇所を非表示にし、必要な小節のみを表示する機能です。
自動で行うカットアウェイの有効/無効の切り替えは、以下の手順です。
  1. [レイアウトオプション] > [譜表と組段] > [カットアウェイ]を開く
  2. レイアウト一覧で対象のレイアウトを選択する。
  3. 「空白の譜表は自動的にカットアウェイ譜表にする」の有効/無効を変更する。
  4. 必要に応じて、小節数の最小値などの他の設定を変更する。
  5. 「適用」ボタンを押下する。

ナビゲーション

ここで言うナビゲーションは、選択しているアイテムを切り替える操作を指します。

具体的には、以下のようなものがあります。

ナビゲーション操作
隣接している音符に移動
  1. 「カーソルキー(左右)」を押下する。
1つ上(下)の五線譜の同じ位置の音符に移動
  1. 「カーソルキー(上下)」を押下する。
直近の小節の初めの音符に移動
  1. 「Ctrl + カーソルキー(左右)」を押下する。
譜面全体の一番上(下)の五線譜の音符に移動
  1. 「Ctrl + カーソルキー(上下)」を押下する。
別のアイテムに移動
  1. 「Tab」もしくは「Shift + Tab」を押下する。
次(前)のフローに移動
  1. メニューの[編集] > [移動] > [前(次)のフローに移動]を選択する。
任意のページに移動
  1. メニューの[編集] > [移動] > [ページの移動]を選択する。
  2. 表示された「ページの移動」ダイアログで、移動先の「ページ」を設定する。
  3. 「OK」ボタンを押下する。
任意の小節に移動
  1. 以下のいずれかを実行する。
    • メニューの[編集] > [移動] > [小節に移動]を選択する。
    • 「Ctrl + G」を押下する。
  2. 表示された「小節に移動」ダイアログで、移動先の「フロー」「小節」を設定する。
  3. 「OK」ボタンを押下する。
任意のリハーサルマークに移動
  1. メニューの[編集] > [移動] > [リハーサルマークに移動]を選択する。
  2. 表示された「リハーサルマークに移動」ダイアログで、移動先の「フロー」「リハーサルマーク」を設定する。
  3. 「OK」ボタンを押下する。
譜面の最初(最後)に移動
  1. 「Ctrl + Home(End)」を押下する。
表示倍率の変更
  1. 以下のいずれかを実行する。
    • 「Ctrl + ^(-)」を押下する。
    • Windows標準のマウス/タッチパッドの操作を行う。
    • ステータスバーの表示倍率(リンク)を利用する。

商品情報

各作業に最適なモードで作譜。出版用に最適。

まとめ

今回は、Doricoの「記譜モード」の基礎知識として「入力、編集、キャレット、ナビゲーション」についてまとめてみました。

Doricoを使用する際のヒントになれば幸いです。

スポンサーリンク