【Dorico】【記譜モード】特記しておきたい音符ツールボックスの操作

現在、様々な場面・分野でユーザーに使われている作譜ソフト「Dorico」。

かつてのFinaleに代わり、業界標準の一角を担っています。

今回はそんなDoricoの「記譜モード」の「特記しておきたい音符ツールボックスの操作」について、紹介します。

なお、ここでは Dorico pro(ver.6) での内容に基づいた内容となっています。

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和音の入力

「和音」は2つ以上のピッチで構成された音で、1つの符尾に2つ以上のピッチが表示されます。

このモードでは、音符入力時にキャレットが自動で進むことはありません。

和音モードでの音符入力の手順は以下になります。

音符ツールボックスの「音符入力を開始」のボタン(リンク)が有効な状態を、便宜上「音符入力モード」とします。
  1. 「音符入力モード」にする。
  2. 以下のいずれかを実行し、追加する声部を指定する。

    • 「Q」を押下する。
    • 音符ツールボックスの「和音」のボタン(リンク)を押下する。
  3. 「Space」もしくは「左右キー」を押下し、キャレットを音符を入力する位置に移動する。
  4. 和音を構成するピッチを入力する。

    • マウス入力の場合、同じピッチに2つの符頭を追加することができます。
  5. 必要に応じて、手順3~4を実施する。

上記の手順4において、既に1つ追加している音符がある場合、選択した音符を基点にずれた度数を指定して音符を追加することができます。

以下の手順を参考にしてください。

  1. 「音符入力モード」にする。
  2. 基点とする音符を選択する。
  3. 以下のいずれかの実行する。

    • [Shift]+[I] を押します。
    • 記譜ツールボックスで、[ポップオーバー] > [音符ツール](リンク)を選択する。
  4. 表示された「音符ツールのポップオーバー」で、「基点とする音符」と「追加する音符」の音程差を度数(数値)で入力する。

    • 基点の音より上ならば正の値、基点の音より下ならば負の値で入力します。
  5. 「Return(Enter)」キーを押下する。

挿入モード

基本的には、音符入力は「上書き」で処理されます。

これを「挿入」で処理されるようにすることができます。

以下の手順を実施してください。

音符ツールボックスの「音符入力を開始」のボタン(リンク)が有効な状態を、便宜上「音符入力モード」とします。
  1. 「音符入力モード」にする。
  2. 以下のいずれかを実行し、挿入モードを有効する。

    • 「I」を押下する。
    • 音符ツールボックスの「挿入」のボタン(リンク)のコンテキストメニューで、「声部」を選択する。
  3. キャレットを音符を入力する位置に移動する。
  4. 任意のピッチを入力する。

    • これにより、入力した音符が挿入され、既存の音符は、後ろにずれます。
入力する声部は「V」キーを押下することで切り替えることができます。
キャレットを延長することで、複数のパート(プレーヤー)に対して入力することもできます。

また、以下の手順で、挿入モードの停止位置を設定することができます。

  1. 挿入モードを停止したい位置の楽譜領域でアイテムを選択する。
  2. 以下のいずれかを実行し、挿入モードの停止位置を設定します。

    • 「Shift + Alt + I」 を押下する。
    • メニューの [記譜] > [挿入の範囲] > [編集停止位置を設定] を選択する。

設定を加除する際も、上記の手順で実施できます。

声部の操作

ここでは、声部に関する操作をまとめます。

音符ツールボックスの「音符入力を開始」のボタン(リンク)が有効な状態を、便宜上「音符入力モード」とします。

声部の追加

声部は、以下の手順で追加することが可能です。

  1. 「音符入力モード」にする。
  2. 以下のいずれかを実行し、追加する声部を指定する。

    • 「Shift + V」を押下する。
    • 音符ツールボックスの「声部を作成」のボタン(リンク)を押下する。
  3. キャレットを音符を入力する位置に移動する。
  4. 任意のピッチの音符を追加する。

なお、追加可能な声部は、手順2を行うたびに切り替えができます。

選択できる声部は、使われていない符尾の向きの毎に管理され、「+」のみは声部1、「2+」であれば声部2を示しています。

現在選択されている音符がどの声部に属しているか?は、ステータスバー(リンク)で確認できます。

声部の音符を編集

以下の手順で実施可能です。

  1. 音符入力モードを解除する。
  2. 追加・編集したい声部の音符を選択する。
  3. 音符入力モードにする。
  4. 通常の編集作業をする。

スラッシュ付き声部の追加

スラッシュ付き声部は、以下の手順で追加することが可能です。

  1. 「音符入力モード」にする。
  2. 以下のいずれかを実行し、追加する声部を指定する。

    • 「Shift + Alt + V」を押下する。
    • 音符ツールボックスの「声部を作成」のボタン(リンク)のコンテキストメニューで、「スラッシュ付き声部を作成」を選択する。
  3. キャレットを音符を入力する位置に移動する。
  4. 任意のピッチを入力する。

    • これにより、スラッシュ付きの音符が入力されます。
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休符の入力

通常、連続する休符を打った場合、それらの休符は統合されます。

例えば、八分休符を2つ連続で打った場合、四分休符になることがあります。

これを意図的に、「2つの八分休符で表示したい」といった場合は、以下の手順を行ってください。

音符ツールボックスの「音符入力を開始」のボタン(リンク)が有効な状態を、便宜上「音符入力モード」とします。
  1. 「音符入力モード」にする。
  2. 休符を入力したい位置に、キャレットを移動する。

    • マウス入力時は、不要です。
  3. 以下のいずれかの操作を実行し、休符入力を有効にする。

    • [,]キーを押下する。
    • 音符ツールボックスの「休符」のボタン(リンク)を押下する。
  4. 以下のいずれかの操作を実行し、デュレーションの強制を有効にする。

    • [O]キーを押下する。
    • 音符ツールボックスの「デュレーションを強制」のボタン(リンク)を押下する。
  5. 入力したい休符のデュレーションを選択する。

    • 章頭の例では、八分音符を選択します。
  6. 任意のピッチを入力する

    • 手順5で選択したデュレーションの休符が入力されます。

なお、全休符にしたい場合は、「Shift + B」によって表示するポップオーバーで「rest」と入力する方法があります。

これは、声部が分かれていて、特定の声部に対して全休符にしたい場合などに便利です。

装飾音符の入力

装飾音符は通常の音符と同じ方法で入力できます。

そのため、「和音」を構成したり、「臨時記号」「アーティキュレーション」などを付与することが可能です。

また、1つの主となる音符に対して、複数の装飾音符を付与することもできます。

付点は、付与できません。

装飾音符を入力する際は、以下の手順を実施して下さい。

音符ツールボックスの「音符入力を開始」のボタン(リンク)が有効な状態を、便宜上「音符入力モード」とします。
  1. 「音符入力モード」にする。
  2. 装飾音符を入力したい位置に、キャレットを移動する。

    • 「音符入力モード」ではない場合は、装飾音符を付与したい音符を選択してください。
  3. 以下のいずれかの操作を実行し、装飾音符の入力を有効にする。

    • 「/」キーを押下する。(スラッシュなし)
    • 「Alt + /」キーを押下する。(スラッシュ付き)
    • 音符ツールボックスの「装飾音符」のボタン(リンク)を押下する。

      • 「長押し」もしくは「コンテキストメニュー」で装飾音符の種類の切り替えができます。
  4. 入力する音符のデュレーションを設定する。
  5. 通常の音符入力と同様の手順で、装飾音符を入力する。

なお、選択モードになっていない場合、マウス操作で入力可能な状態になります。

この状態で「複数の装飾音符を付与したい」時は、主となる音符と既存の装飾音符の間に入力する必要があります。

既存の音符を選択して音符ツールボックスの「装飾音符」のボタンを押下した場合は、既存の音符が装飾音符になります。

連符の入力

連符は、「音符ツールボックスのボタン」と「ポップオーバー」の2種類の方法で入力できます。

「音符ツールボックスのボタン」を利用して連符を入力する際は、以下の手順を実施して下さい。

音符ツールボックスの「音符入力を開始」のボタン(リンク)が有効な状態を、便宜上「音符入力モード」とします。
  1. 「音符入力モード」にする。
  2. 連符を入力したい位置に、キャレットを移動する。

    • 既存の音符を連符にしたい場合は、対象の音符を選択してください。
  3. 音符ツールボックスの「連符」のボタン(リンク)を押下する。

    • 「長押し」もしくは「コンテキストメニュー」で連符の種類を7種類から選択できます。

      • 「3:2」であれば、譜面上もしくは音符パネルで選択している音符2つ分の3連符に相当します。
    • 「x:y」ではない連符を選択した場合、連符が入力されます。
  4. 通常の音符入力と同様の手順で、任意のピッチを入力する。

「ポップオーバー」を利用して連符を入力する際は、以下を実施して下さい。

  • 上記の手順2で「;(セミコロン)」を押下する。
  • 上記の手順3で、「x:y」を選択する。

この操作により、キャレットもしくは選択した音符の位置に、ポップオーバーが表示されます。

このポップオーバーでは、一例として、以下のような値を入力できます。

入力する値種類動作
3
3:2
3/2
3 2
3連符音符2つ分のスペースに3つの音符を配置。
基準となる音のデュレーションは、譜面上もしくは音符パネルで選択している音符になります。
5:4 5連符音符4つ分のスペースに5つの音符を配置。
基準となる音のデュレーションは、譜面上もしくは音符パネルで選択している音符になります。
2:3 2連符音符3つ分のスペースに2つの音符を配置。
基準となる音のデュレーションは、譜面上もしくは音符パネルで選択している音符になります。
3:2e 3連符音符2つ分のスペースに3つの音符を配置。
基準となる音のデュレーションは、8分音符になります。
3:2h 3連符音符2つ分のスペースに3つの音符を配置。
基準となる音のデュレーションは、2分音符になります。

なお、基準とする音は、以下のように指定できます。

  • 倍全音符:2w
  • 全音符:w
  • 2分音符:h
  • 4分音符:q
  • 8分音符:e
  • 16分音符:x
  • 32分音符:y
  • 64分音符:z
  • 付点:.(ピリオド)

商品情報

各作業に最適なモードで作譜。出版用に最適。

まとめ

今回は、Doricoの「記譜モード」の「特記しておきたい音符ツールボックスの操作」についてまとめてみました。

Doricoを使用する際のヒントになれば幸いです。

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