【参考情報】UAのプリアンプ「4-710D」の使い方~入出力端子~

多くのエンジニアやミュージシャンに愛用されるメーカーの Universal Audio社から発売されているプリアンプ:4-710D。

レコーディング機材として人気も高く、あらゆる楽器に対して有効な機材です。

今回は、そんなプリアンプ「4-710D」の背面の入出力端子について、まとめてみます。

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入出力端子

背面には、以下のような入出力端子が装備されています。それぞれについて、以下で説明していきます。

なお、上図の「⑦」から「⑪」については、1chから4chの個別に装備している端子です。共通の内容なので、まとめての記載としています。

①AES/EBU 1-8

A/Dコンバーターからの8チャンネル分のデジタル信号を出力します。コネクタは、「AES/EBUデジタルフォーマット」準拠の「標準DB-25 コネクタ」です。

なお、96kHz以上のデュアル ”Dual Wire” ワイヤーモードには対応していません。シングル “Single Wire” ワイヤーモードにのみ対応しています。そのため、デュアルワイヤーにしか対応していないような機種とは連携できないので注意が必要です。

②WORD CLOCK > 75 OHM TERM

「WORD CLOCK TERMINATION」が必要な場合に使用する、プッシュ式のボタンです。「TERMINATION」は、最終端を意味します。

いくつもの機材を数珠つなぎ(デイジーチェーン)して、「WORD CLOCK」を用いる場合に、4-710Dが最終段に位置する場合に、「ON(押し込んだ状態)」にします。

4-710のクロック信号を後段の機器に送信する場合は、「OFF(押し込まれていない状態)」にしておいてください。

ワードクロック信号は高周波成分を含むため、放置しておくと「音質劣化」「ノイズの要因」になり得ます。ケーブル端での信号反射を防ぎ、「音質劣化」「ノイズの要因」させないようにするために「ターミネーション」が必要になります。

③WORD CLOCK > IN

外部機器のクロック信号と同期させる場合に使用します。以下の手順で外部機器のクロック信号と同期することが可能です。

  • 前面の「Sample Rate」で「W/C」に設定する。
  • 外部機器のWORD CLOCK のBNC端子を接続する。
  • 外部機器からクロック信号を送信する。

また、外部機器のクロック信号は、「44.1kHz」「48kHz」「88.2kHz」「96kHz」「176.4kHz」「192kHz」のいずれかの「±3%」の誤差の範囲内に収まっている必要があります。

この範囲に収まっていない場合は、前面の「LOCK」のLEDが赤色で点灯し、後述の「WORD CLOCK」の「OUT」は 48kHz で動作するようになります。さらに、デジタル出力は 48kHz での動作となることに加え、ミュートされます。

接続する方法に関係なく、デジタル信号で接続された外部機器がある場合は、クロック信号は同期させておく必要があります。同期していない場合は、レコーディング中やモニター中に、ノイズが乗ってしまう可能性があります。

④WORD CLOCK > OUT

BNC端子により、標準”1x”クロック信号を送信します。送信する値は、「Sample Rate」が「W/C」ではない固定値に設定されている値です。

注意が必要なのは、「Sample Rate」が「W/C」の時です。先述の「WORD CLOCK > IN」と「OUT」を同時に利用することは、お勧めできません。「WORD CLOCK > IN」からの入力を「OUT」にも流すのですが、「40ns」のズレが発生します。また、保証外となる「±3%」の誤差の範囲外の入力の際は、48kHzで動作してデジタル出力もミュートされます。そのため、後段への影響を考えると、いくつもの機材を数珠つなぎ(デイジーチェーン)する際に、中間位置に接続するのは避けた方が良いでしょう。

⑤ADAT OUT 1-8 > OUT(1) / OUT(2)

ADコンバーターからの「ADAT オプティカルフォーマット」の出力を得る端子です。「サンプルレート」と「出力端子の内容」の関係は、以下のようになっています。

サンプルレートOUT(1)OUT(2)
44.1 kHz1-8 チャンネル1-8 チャンネル

※OUT(1)と同じ内容が出力されます。

48 kHz1-8 チャンネル1-8 チャンネル

※OUT(1)と同じ内容が出力されます。

88.2 kHz1-4 チャンネル5-8 チャンネル
96 kHz1-4 チャンネル5-8 チャンネル
176.4 kHz1-2 チャンネル3-4 チャンネル
192 kHz1-2 チャンネル3-4 チャンネル

⑥CHANNEL 5-8 > LINE IN 5 ~ LINE IN 8

こちらの「LINE IN」は、デジタル信号でのみ出力させることができます。チャンネル:1 ~ チャンネル:4 のように、アナログで出力させることはできません。

標準のフォンプラグ(パッチケーブルやシールドなど)のTRSケーブル / TSケーブルであれば、入力することができます。

そのため、4-710Dを2台使用し、後述の「LINE OUT(1台目のチャンネル:1 ~ チャンネル:4)」をこの「2台目のLINE IN(チャンネル:5 ~ チャンネル:8)」に接続することで、マイクによるドラムの8点同時録音も可能になります。

⑦CHANNEL 1~4 > LINE OUT

後述の「LINE IN」もしくは「MIC IN」に接続された信号に対する、XLR端子による出力信号です。アナログ信号による出力は、この「LINE OUT」のみとなっています。

⑧CHANNEL 1~4 > LINE IN

標準のフォンプラグ(パッチケーブルやシールドなど)によるアナログ信号の入力です。出力信号は、アナログであれば「LINE OUT」に、デジタルであれば「AES/ABU」もしくは「ADAT」から出力されます。

⑨CHANNEL 1~4 > MIC IN

XLR端子によるアナログ信号の入力です。出力信号は、アナログであれば「LINE OUT」に、デジタルであれば「AES/ABU」もしくは「ADAT」から出力されます。

なお、前面のスイッチにより、ファンタム電源の「ON」「OFF」の切り替えができます。

「LINE IN」「MIC IN」は、どちらか一方しか使用できません。前面の切り替えスイッチにより、入力の切り替えができます。また、前面の「HI-Z」端子にケーブルが刺さっている場合は、背面の「LINE IN」「MIC IN」の端子は無効になります。

⑩CHANNEL 1~4 > SEND

「SEND」に出力される信号は、「LINE OUT」の信号と同じです。得られる出力は、プリアンプを通した後の音です。

また、「Return」端子に接続していなくても、単独で使用できます。そのため、チューナーを接続したり、「LINE OUT」とは別系統でのフォン端子のケーブルを使用したい場合などに利用することが可能です。

なお、前面の「INSERT」スイッチで有効・無効を切り替えられるため、「SEND」「RETURN」の端子に接続している機材は常に接続したままでも問題ありません。

⑪CHANNEL 1~4 > RETURN

「SEND」端子とペアで使用し、外部機器を通した音を4-710Dに戻すことができます。

また、「Return」端子も単独で利用することが可能です。後段は、A/Dコンバーターになるので、「4-710Dのリミッターを使用したい」「プリアンプ部を通さずにデジタル出力したい場合」と言ったニーズに有効でしょう。

なお、「SEND」と同様で、前面の「INSERT」スイッチが有効の際しか利用することができません。

商品リンク

4chの「マイクプリアンプ」「コンプレッサー」と8chの「A/Dコンバーター」を搭載したレコーディング機材

まとめ

今回は、Universal Audio社の「4-710D」の使い方について記載しました。

ボーカル、ギター、ベース、ドラム(パーカッション)など、あらゆる楽器に対して、利用できる優れものです。

価格も高騰していますが、おすすめできる機材ですので、ぜひ機会があれば試してみてください。

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