【おすすめ】手軽にエフェクターをパラレル接続したいならコレ!~Musicom Lab社 Parallelizer II~

ギタリストを初め、エフェクターやエフェクトプラグインを使う人は「原音を活かした音質を保ちながら、自由度高くエフェクトをみ合わせたい」というのは当然の思いかと思います。

また、そのために、最近のマルチエフェクターでは「パラレル接続」のルーティングをできることは当然の機能のようになってきています。

例えば、Fractal製品(FXⅢ、FM9など)、BOSS製品(GT-1000など)、Line6(Helix)、Quad Cortexのようなものが挙げられます。

こういった機材でできる「パラレル接続」のルーティングを実機のエフェクターでも手軽にできたら、どうでしょうか?

今回は、そんな思いを実現するMusicom Lab社の「Parallelizer II」を紹介します。

スポンサーリンク

Parallelizer IIの概要

「Parallelizer II」は、Musicom Lab社によって作成された「ラインミキサー」になります。

本品は「ステレオラインミキサー」となっており、マルチエフェクターでよく行われる以下のような「パラレル接続のルーティング」を手軽に直感的に行えるものになっています。

これにより、入力された「原音」を損なわずに「入力音にエフェクトを適用した音」とミックスして出力することができます。

なお、内部構造として、音の信号が通るラインは高品位なアナログ回路で設計されており、自然で妥協のないサウンドを実現します。

下図からも分かるように、入力音を「原音のみ」「FX1を適用」「FX2を適用」「FX3を適用」の4つのルートに分け、それぞれを合わせたものを出力するような構造をしています。

Musicom Lab社について
エフェクターを作っているわけではなく、エフェクターボードなどを構成する「ルーティング機材」で強みがある韓国発のメーカーです。
世界に正規代理店が存在し、日本では オールアクセスインターナショナル株式会社が正規代理店として販売・サポートを行っています。
取り扱っている製品は、「ループスイッチャー」「MIDIコントローラー」「ラインミキサー」「バッファー」「電源」です。
いずれも音質劣化を極力抑え、柔軟なエフェクト接続が可能であることが評価されています。

そもそも、パラレル接続のメリットって?

マルチエフェクターでパラレル接続を構築している人は理解している人がほとんどかと思いますが、いま一度パラレル接続を行うメリットを考えてみましょう。

「Parallelizer II」を導入してパラレル接続をすることで、以下のようなメリットが得られると私は考えています。

マルチエフェクターのルーティングにも役立つかと思うので、参考にしてみてください。

メリット説明
原音の劣化を防止直列接続では、エフェクターを通るたびに原音が少なからず変わってしまいます。
原音のみのルートを構築できるため、入力した原音をそのまま利用することが可能です。
これにより音の「厚み」や「芯」を損なわずに出力することが可能です。
歪み系と共に使う際は、原音がクリーンサウンドとドライブサウンドの良い所取りができるでしょう。
空間系と共に使う際は、原音がクリアなまま広がりだけを足せるので、サウンドの立体感が一段と向上します。
エフェクト同士の干渉防止各ルートに置かれているエフェクターは互いに影響を及ぼしません。
そのため、ノイズの増幅などによる「音の濁り」などの悪影響を軽減でき、より明瞭なサウンドになります。
これにより、個々のエフェクターの影響を考えずに、対象のエフェクターの能力を引き出すことができます。
音量のバランス調整が容易ルートが分かれているため、エフェクトの適用された音ののみの調整が可能です。
直列では決まった音量の中で「原音の音量との音量差を調整する」ようになるため、ミックス具合の調整が非常に楽になります。
異なるアンプから別々の音を出力例えば別々の場所に配置されたアンプから、異なる音色を出力(前から原音+歪み系、後ろから空間系のみなど)することで、より多彩な音作りが可能になります。
他にも、「FX1:アンプL(原音)」「FX2:アンプR(歪み)」「FX3:アンプLR(空間系)」などもできるでしょう。

外観、コントロール、インターフェース

「Parallelizer II」は、非常に堅牢でシンプルな外観をしています。

コントロール部も分かりやすく、インターフェースも様々なルーティングに対応できるようになっています。

コントロール部インターフェース部

 上図からも分かるように、コントロール部には「各ルートに対応するボリュームノブ」「有効にするルートのスイッチ」があります。

ボリュームノブにより、各ルートの音量バランスを直感的に調整しやすくなっています。

また、原音に関しては「DRY」のオン/オフに限らず出力されますが、「オン」にした時は「ボリュームノブ」で音量の制御が可能になります。

ちなみに、「DRY」のスイッチはON/OFFの切り替えを秒速8回くらいの速度で行っても、音の途切れは全く感じませんでした。

インターフェース部は、以下にまとめます。

インターフェース説明
IN/OUT
モノラルだけでなく、ステレオに対応したParallelizerのメイン入力と出力です。
モノラルで使用したい場合は、「L」の方を利用してください。
SEND/RETURN
3系統のステレオ対応しているSEND/RETURNです。
モノラルで使用したい場合は、「L」の方を利用してください。
電源
DC9V(センターマイナス)となっています。
専用のアダプタは付属していませんが、消費電流は150mAのため、100mAを超える供給能力のパワーサプライで対応できます。
なお、内部では ±12Vに昇圧して動作するため、広いレンジで余裕を持った処理が成されます。
MIDI端子
ミニプラグのTRS端子(極性:タイプA)で、「IN」と「THRU」の端子があります。
MIDI機能の詳細は、後述します。

なお、サイズは「168mm(W)×110mm(D)×70mm(H)」で、重さは670gあります。

小型のエフェクター2つ分程度の範囲が必要になるので、エフェクターボードに組み込む際は注意が必要です。

機能

上記で既に触れている「ルート(DRY、FX1~3)毎のボリュームノブ」による「音量のバランス調整」の他にも、Prallelizerには以下のような機能があります。

  • 4つの動作モード
  • MIDI制御
  • (参考)工場出荷状態への初期化

こういったタイプのエフェクターでMIDI制御できるのは、本当に便利で使いやすいです。

これらについて、まとめます。

4つの動作モード

ここで言う4つの動作モードについて、以下にまとめます。

スイッチ 動作モード説明
FX1 ManualMIDI機能は動作せず、手動での切り替えのみに対応するモードです。
電源を切る直前のスイッチの状態が保存され、次回起動時にロードされます。
FX2 MIDI PC
(プログラムチェンジ)
プログラムチェンジを利用して、保存された「各スイッチのオン/オフの組み合わせ(プログラム)」を呼び出すことができるモードです。
保存できるプログラムの数は、128となっています。
FX3MIDI CC
(コントロールチェンジ)
コントロールチェンジを利用して、「各スイッチのオン/オフの切り替え」ができるモードです。
この切り替えに利用できるCCの組み合わせは、4パターン(後述)あります。
DRY MIDI PC+CC
(デフォルト)
「プログラムチェンジ」と「コントロールチェンジ」の両方の制御を利用できるモードです。

これらの動作モードは、以下の手順で切り替えることができます。

  1. 「FX1」と「FX2」を同時押しした状態で電源を入れる。
  2. 利用したい動作モードを選択する。

    • 現在設定(選択)されているモードは、上表の「スイッチ」に記載のLEDが光ります。
    • 工場出荷時(デフォルト)は「MIDI PC+CC」となっており、「DRY」が光っています。
  3. 「DRY」スイッチを長押しする。
スポンサーリンク

MIDI制御

midi信号(PC、CC)では、前述の取り、128個の保存されたプログラムを呼び出して切り替えることができます。

また、今後ファームウェアアップデートが必要になった場合は、MIDI経由で実施できるようです。

本記事記載時点では、新しいファームウェアのリリースがありません。そのためか、アップデート方法の明記されている箇所もなく、詳細は不明です。。。

以下では、MIDI制御に使用する操作について、まとめます。

MIDI chの設定

MIDI制御するうえで、まず行わなければならないのが「MIDI ch」の設定です。

デフォルトでは「CH:1」となっていますが、変更する場合は以下の手順を行ってください。

  1. 「FX2」と「FX3」を、LEDが点滅するまで長押しする。
  2. 「FX1」「FX2」「FX3」「DRY」で、設定したい「MIDI ch」を設定する。

    • 2進数表示になっていて、全部オフで「ch1」、「FX1」オンで「Ch2」、「FX2」オンで「Ch3」、全部オンで「ch16」になります。
  3. 「DRY」スイッチを長押しして「MIDI ch」を保存する。

    • 保存後、自動再起動が走ります。

MIDI PC

プログラムチェンジの信号を受信すると、以下の手順でプログラムチェンジ毎に設定した内容を呼び出します。

  1. 外部MIDIコントローラーで、上記「MIDI chの設定」で設定した「MIDI ch」で、設定した「MIDI PC」を送信する。
  2. 保存したい「スイッチのオン/オフの組み合わせ」に各スイッチを設定する。
  3. 「DRY」スイッチを長押し、設定を保存する。

なお、保存の際にLED が点滅しない場合は、「MIDI ch」の不一致、もしくは「MIDI接続」が正しくできていない可能性があります。

MIDI CC

コントロールチェンジの信号を受信すると、対象のスイッチのオン/オフを切り替えます。

上記の4パターンの切り替えは以下で実施できます。

  1. 「FX1」と「FX2」を同時押しした状態で電源を入れる。

    • 4つのスイッチのいずれかが点灯し、現在のパターンを表示する。
  2. 切り替えたいパターンのスイッチを押下する。
  3. 「DRY」スイッチを長押しする。

なお、手順2で点灯するスイッチと、設定できるコントロールチェンジの組み合わせパターンは、以下を参考にしてください。

点灯するスイッチ切り替え対象:CC
FX1
(デフォルト)
FX1:88
FX2:89
FX3:90
DRY:91
FX2 FX1:92
FX2:93
FX3:94
DRY:95
FX3 FX1:96
FX2:97
FX3:98
DRY:99
DRY FX1:100
FX2:101
FX3:102
DRY:103

(参考)工場出荷状態への初期化

上記のような様々な設定ができるため、工場出荷状態への初期化も当然できます。

以下の手順を実施してください。

  1. 「FX1」「FX2」「FX3」を同時押しした状態で電源を入れる。
  2. 「DRY」スイッチを長押しする。

設定が終わると、自動再起動が走ります。

商品情報

マルチエフェクターと同様のパラレル・ルーティングを実機で手軽に実現!

まとめ

「Parallelizer II」は、コンパクトエフェクターで「音質」と「ルーティングの柔軟性」を両立させたい人にとって最適な機材と言えます。

単なる直列接続では実現できなかった「パラレル接続による多彩な音作り」へのヒントにしてみてください。

スポンサーリンク