作曲・編曲の作業などで、コード進行を考える場面が出てきます。よく使われているコード進行については、インターネット上でよく紹介されています。ですが、そのほとんどはCDEFGABでは書かれていないでしょう。例示として記載されていることがある程度だと思います。
今回は、コード進行の調査や既存曲の分析に役立つ知識を説明します。作曲者・編曲者の意図を理解する他、演奏する際の手助けなどにも利用できるでしょう。参考にしていただけたら嬉しいです。
楽曲分析とは
楽曲分析とは、対象となる音楽(曲・楽譜など)の構成・コード進行などを調べる作業のことです。アナライズとも言います。中でも、コード進行についてどのようになっているかを分析するものを「和声分析」と呼びます。通常の楽曲分析は、この和声分析であると思ってください。
楽曲分析のメリット
冒頭でも少し記載しましたが、楽曲分析ができるようになると以下のようなメリット(一例)があります。
- 作曲時の引き出しが増える
- 作曲の意図が見えてくる
- 演奏する際の表現力につながる
- 各ジャンルにおける曲の特徴が見えてくる
構成をコピーしてコード進行をまねることについては、まったく問題ありません。ここで問題があったら、既存曲のほとんどがなくなってしまいます。コードの組み合わせの分しか曲が作れないということですから。。。演奏することで考えれば、曲の構成が分かるようになるので、暗譜にもかかる時間が短くなります。コードが変わったとしても構成が同じであれば、初めのコードを覚えるだけで済む。ということになります。アレンジしたりアドリブする際もこの構成の下で演奏すれば良いでしょう。
楽曲分析時の記述法
使用する記号
楽曲分析は、数字を記載することで行います。Cメジャーのダイアトニックスケールの場合は、以下のように示します。
まずは、三和音です。
ルート | 三和音のコード | 楽曲分析の記号 |
C | C | Ⅰ |
D | Dm | Ⅱ- |
E | Em | Ⅲ- |
F | F | Ⅳ |
G | G | Ⅴ |
A | Am | Ⅵ- |
B | Bdim | Ⅶ゜ |
次には、四和音です。
ルート | 四和音のコード | 楽曲分析の記号 |
C | Cmaj7 | Ⅰmaj7 |
D | Dm7 | Ⅱ-7 |
E | Em7 | Ⅲ-7 |
F | Fmaj7 | Ⅳmaj7 |
G | G7 | Ⅴ7 |
A | Am7 | Ⅵ-7 |
B | Bm7(-5) | Ⅶ-7(-5) |
上記はキーがCメジャーなので、ルートがCの時が「Ⅰ」となっています。ということはキーが変われば、ローマ数字も変わっていきます。例えば、キーがDメジャーの時は、以下のようになります。
ルート | 三和音のコード | 楽曲分析の記号 |
D | D | Ⅰ |
E | Em | Ⅱ- |
F# | F#m | Ⅲ- |
G | G | Ⅳ |
A | A | Ⅴ |
B | Bm | Ⅵ- |
C# | C#dim | Ⅶ゜ |
なお、これらのローマ数字:Ⅰ~Ⅶは、英語読みで「ワン」「ツー」・・・「セブン」と読みます。マイナー(-)などが付いた場合は、そのまま「ツーマイナー」「ツーマイナーセブンス」のように読めば良いです。
先述の表を見てください。キーとなる音(主音)をⅠとして、その音からの度数がそのまま楽曲分析の記号になっていることに気づきませんか?Cメジャーの場合、Cに対して、Dは二度の高さです。そのため、楽曲分析の記号もⅡになっています。
また、マイナーの記号、ディミニッシュトの記号、セブンスの記号などが付いていないものもあります。このローマ数字だけのものはメジャーか、完全の音を指しています。そして、短〇度の半音下の減〇度の場合は、ローマ数字の前に♭が付きます。反対に、長〇度の半音上の増〇度の場合は、ローマ数字の前に#が付きます。具体例では「♭Ⅱ-」「#Ⅶ-7(-5)」です。読み方は「フラットツーマイナー」のように、左から読んでいきます。
記号の記述方法
特に正解はありませんが、私が考えるスムーズな順番は以下です。あくまで参考ですので、個々の行いやすい方法で実施してみて下さい。
- 楽曲分析の対象とする曲のキーを判定する
- 判定したキーをⅠとし、それぞれのコードの度数を判定する
- ダイアトニックスケール上に存在するコードで当てはまる構成があるか確認する
- ダイアトニックスケール上に存在しないコードで当てはまる構成があるか確認する
- 楽曲の理解を進める
※手順②と③もしくは④を同時に行っても問題はありません。
楽曲分析の際の注意点
ここまで様々な説明をしましたが、注意点もあります。それは、「キーの判定は正確に!」です。キーを間違うとどうにもならないということです。出だしで間違えてしまうと何をやっても間違った方向にしか行きません。どうしても特定の曲で行う必要がある場合を除き、キー判定が難しい曲は避けた方が良いでしょう。もしくは一般的に知れ渡っているような曲であれば、インターネットで調べればキーが出てくるのも多いです。インターネットを利用してしまうのも良いと思います。
まとめ
今回は「楽曲分析に必要な基礎知識」について記載しました。「コードは違えど、構成は同じ」など色んな気づきがあります。この内容を理解できれば、コード進行の調査や既存曲の分析に役立ちます。
また、いきなり1曲全てを行うのは難しいと思いますし、無理難題です。「イントロ」「メロディー」「サビ」「間奏」「アウトロ」など部分的にでも行ってみることから始めるのも良いと思います。サビを目立たせるための工夫など色々な工夫が見えてくるでしょう。参考にしてもらえたら嬉しいです。
参考
この記事で使われている用語について、分からない方は以下の文書もご覧ください。
↓↓英語での音階の表記:CDEFGABが分からない方はこちら↓↓
音楽をするための基礎知識~音符・臨時記号編~
↓↓全音・半音・度数・和音が分からない方はこちら↓↓
音楽をするための基礎知識~音程編~
↓↓スケールが分からない方はこちら↓↓
音楽をするための基礎知識~スケールと調号編~
↓↓ダイアトニックスケール上に存在するコードはこちら↓↓
音楽をするための基礎知識~和音(コード)前編~
↓↓ダイアトニックスケール上には存在しないコードはこちら↓↓
音楽をするための基礎知識~和音(コード)後編~