電子ドラムを利用する上でドラムの音にこだわりたい場合、「音の発し方」「パッド同士の音のバランス」に関することも重要な要素になってくるのではないでしょうか?
今回は、ドラムキットにおけるミキサー機能に関する設定について、まとめています。
エフェクト・音量の設定(ミキサー機能)
ここでは、TD-50Xのミキサー機能では、音量の設定だけでなく、エフェクトなども設定が可能です。
基本的には、以下の手順で行います。
- 「MIXER」ボタンを押下する。
- ミキサー設定画面が表示されます。
- ミキサー設定画面が表示されます。
- 設定するパッドを選択する。
- ミキサーの設定を変更する。
- 終了時は、「KIT」ボタンを押下する。
- DRUM KIT 画面に戻ります。
- DRUM KIT 画面に戻ります。
以下からは、細かい設定方法・設定内容について記載していきます。
音量・パンの設定を行う
パッドごとの音量やパン(定位)を設定する方法です。
以下の手順になります。
- 「MIXER」ボタンを押下する。
- 1ページ目(MIXER VOLUME)を表示されていない場合は、PAGE[UP]ボタンを数回押して下さい。
- 1ページ目(MIXER VOLUME)を表示されていない場合は、PAGE[UP]ボタンを数回押して下さい。
- 設定する項目を選択する。
- 設定するパッドを選択する。
- 「-」「+」ボタンまたはダイヤルで、値を変更する。
手順2、手順4で設定できる内容は、以下です。
VOLUMEタブ
手順2で、「F1」ボタンを押下した時に表示されます。
パラメータ | 設定値 | 説明 |
Volume | -INF ~ +6.0dB | 各パッドの音量を調整します。 |
PANタブ
手順2で、「F2」ボタンを押下した時に表示されます。
パラメータ | 設定値 | 説明 |
Pan | L30 ~ CTR(CENTER) ~ R30 | 各パッドの定位を調整します。 |
MIN VOLタブ
手順2で、「F3」ボタンを押下した時に表示されます。
パラメータ | 設定値 | 説明 |
Pad Minimum Volume | 0 ~ 15 | 各パッドの最小音量を調整します。 強打時の音量を保ったまま弱打時の音量を大きくすることができます。 スネアのゴースト・ノートやライド・シンバルのレガート音を、より聴こえやすくすることができます。 カーソル[↑][↓]ボタンを押して、Pad Maximum Volume に切り替えることができます。 |
Pad Maximum Volume | -5 ~ 0 | 各パッドの最大音量を調整します。 最強打時のニュアンスを保ったまま最強打時の音量を小さくすることができます。 デジタル接続対応パッドとMIDI IN 端子からの入力のみ有効です。 カーソル[↑][↓]ボタンを押して、Pad Minimum Volume に切り替えることができます。 |
KIT VOLタブ
手順2で、「F4」ボタンを押下した時に表示されます。
パラメータ | 設定値 | 説明 |
Kit | -INF ~ +6.0dB | ドラム・キットの音量を調整します。 |
Pedal HH | -INF ~ +6.0dB | ペダル・ハイハットの音量の音量を調整します。 |
XStick | -INF ~ +6.0dB | クロス・スティックの音量の音量を調整します。 |
HH Op/Cl Balance | -5 ~ +5 | オープン/クローズの音量バランスを調整します。 【値を小さく】 【値を大きく】 |
なお、[F5](H&R)ボタンを押して「ON」にすると、ヘッド部とリム部などを同時に設定できます。
KIT SETTINGS画面(VOLUMEタブ)でも、「Kit Volume」を設定できます。
EQ・コンプ・マルチエフェクトをエディットする
パッドごとに音質(イコライザー)と時間による音量変化(コンプレッサー)を調節したり、最大3つのエフェクト(マルチエフェクト)を設定することができます。
手順は、以下です。
- 「MIXER」ボタンを押下する。
- 設定させたい内容の設定画面を表示させる。
- PAGE「UP」「DOWN」ボタンを押下することで切り替えることができます。
- PAGE「UP」「DOWN」ボタンを押下することで切り替えることができます。
- エフェクトの設定を変更する。
手順2、手順3で設定できる内容について、以下でまとめていきます。
PAD EQ(2ページ目)
3 バンド・イコライザーで、パッドの打撃する場所(RIM、HEADなど)毎に用意されています。
出力端子は、「MST:MASTER OUT 端子」「PHO:PHONES 端子(常に出力されます)」「DIR:DIRECT OUT 端子」です。それぞれの出力端子に対して、イコライザーが効いている/効いていないは、画面上でハイライト/グレーアウトかを確認することで判断することが可能です。
また、「F5」ボタン(H&R)を押して「ON」にすると、ヘッド部とリム部などを同時に設定することができます。
ただし、[SETUP] > [OUTPUT] > [OUTPUT ROUTING] で以下の設定をしていると、適用されない仕様となっています。
項目:設定内容 | 出力しない端子 |
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設定内容は以下になります。
パラメータ | 設定値 | 説明 |
F4 | OFF、EQ ON | パッド・イコライザーをオン/オフします。 |
Low Freq | 20Hz ~ 1kHz | 低域の基準周波数を調整します。 |
Low Gain (「R1」ノブ) | -15 ~ +15dB | 低域の増幅/減衰量を調整します。 |
Mid Freq | 20Hz ~ 16kHz | 中域の基準周波数を調整します。 |
Mid Q | 0.5 ~ 8.0 | 周波数帯の幅を調整します。 値を大きくするほど幅が狭くなります。 |
Mid Gain (「R2」ノブ) | -15 ~ +15dB | 中域の増幅/減衰量を調整します。 |
High Freq | 1kHz ~ 16kHz | 高域の基準周波数を調整します。 |
High Gain (「R3」ノブ) | -15 ~ +15dB | 高域の増幅/減衰量を調整します。 |
PAD COMP(3ページ目)
パッド毎に設定でき、打撃する場所(RIM、HEADなど)毎に設定することはできません。
出力端子は、「MST:MASTER OUT 端子」「PHO:PHONES 端子(常に出力されます)」「DIR:DIRECT OUT 端子」です。また、DIRECT OUT 端子からの出力のみに効果をかけたり、PHONES 端子から出力される効果を無効にすることができます。
なお、それぞれの出力端子に対して、パッド・コンプが効いている/効いていないは、画面上でハイライト/グレーアウトかを確認することで判断することが可能です。
ただし、[SETUP] > [OUTPUT] > [OUTPUT ROUTING] で以下の設定をしていると、適用されない仕様となっています。
項目:設定内容 | 出力しない端子 |
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設定内容は以下になります。
パラメータ | 設定値 | 説明 |
F4 | OFF、COMP ON | パッド・コンプレッサーをオン/オフします。 |
Type ([R1]つまみ) |
| コンプレッサーのかかりかたを設定します。 |
Threshold ([R2]つまみ) | -48 ~ 0dB | 圧縮を始める音量レベルを調整します。 |
Gain ([R3]つまみ) | -24 ~ +24dB | コンプレッサーの出力音量を調整します。 |
Ratio | 1:1 ~ 100:1 | 圧縮比を調整します。 |
Knee |
| 圧縮がかかった瞬間の音の立ち上がりを調整します。 |
Attack | 0.1 ~ 100ms | 圧縮を始めるまでの時間を調整します。 |
Release | 10 ~ 1000ms | 圧縮を元に戻すまでの時間を調整します。 |
PAD COMP 画面には、「IN:インプット・メーター」、「GR:ゲイン・リダクション・メーター」、「OUT:アウトプット・メーター」が表示されます。アウトプット・メーターで 0dB を超えない(クリップしない)ように、パッド・コンプレッサーのGain を調節してください。
IN | パッド・コンプレッサーに入力されるレベル(dB)を表示します。 |
GR | パッド・コンプレッサーにより圧縮されたレベル(dB)を表示します。 |
OUT | パッド・コンプレッサーのアウトプット・レベル(dB)を表示します。 |
MULTI EFFECT(MFX)(4ページ目)
ドラム・キットごとに適用することができる38種類のエフェクトです。
38種類のうち、3つのエフェクトを選択肢、マルチエフェクトとして適用することになります。
設定内容は以下になります。
【MFX タブ】
パラメータ | 設定値 | 説明 |
F5ボタン |
| 「R1」ノブで選んだマルチエフェクト1 ~ 3 をオン/オフします。 |
MFX SEL([R1]つまみ) | MFX1~3 | 設定するマルチエフェクト1 ~ 3 を選びます。 |
Type([R2]つまみ) | マルチ・エフェクト:38種 | マルチエフェクトを設定します。 |
Level([R3]つまみ) | -INF ~ +6.0dB | 選んだマルチエフェクトのエフェクト音の音量 |
【ASSIGN タブ】
パラメータ | 設定値 | 説明 |
MFX Assign | MFX1~3 | パッドごとにかけるマルチエフェクト1 ~ 3 を選びます。 |
【SEND タブ】
パラメータ | 設定値 | 説明 |
MFX Send Volume | -INF ~ +6.0dB | パッドごとのエフェクトのかかり具合 |
【DRY+MFX タブ】
パラメータ | 設定値 | 説明 |
MFX DRY+WET |
| パッド単位で設定します。 【DRY+MFX】 【MFX ONLY】 |
ドラム・キット全体の音を調節する(MASTER COMP / MASTER EQ)
「MASTER COMP」は 2バンド・コンプレッサーで、「MASTER EQ」は、4バンド・イコライザーです。
ドラム・キットごとに用意され、マスター・アウトプットの最終段にかけるものになります。出力端子は、どちらも「MST:MASTER OUT 端子」「PHO:PHONES 端子」です。
画面上で、出力されている(ハイライト)/されていない(グレーアウト)を確認することが可能です。ただし、[SETUP] > [OUTPUT] > [OUTPUT ROUTING] で「Master Out」を「DIRECT」に設定していると、MASTER OUT 端子から出力する音には、マスター・コンプ/マスターEQ の効果はかかりません。
なお、マスター・コンプの適用には、以下のメリットがあります。
- 叩いた瞬間に発生する音のピークを圧縮します。
- この状態で音量を上げることで、ドラム全体の音圧を上げることができ、埋もれにくい音にすることができます。
- 録音機器への過大入力を抑えつつ、録音レベルを大きくすることができます。
- これにより、音がつぶれて歪んでしまったり、入力される機材の故障を防ぐことができます。
- ドライ音と圧縮した音を混ぜることで、ダイナミクスを生かしつつ音を前面に出すことができます。
また、マスターEQ の適用には、以下のメリットがあります。
- 4バンド(LOW/ MID1/ MID2/ HIGH)のブースト/カットによる音質補正ができます。
- マスター・コンプによる音質の変化を補正することができます。
- マスタリングとして、EQを使用したMIDとSIDEに分けての処理(MS処理)ができます。
以下の手順で実施が可能です。
- 「MIXER」ボタンを押下する。
- PAGE「UP」「DOWN」ボタンを押下し、設定画面を表示させる。
- エフェクトの設定を変更する。
【MASTER COMP(5ページ目)】
「MASTER COMP」の設定内容について、以下にまとめます。
パラメータ | 設定値 | 説明 |
F4 |
| マスター・コンプをオン/オフします。 |
Type |
| コンプレッサーの種類を設定します。 |
Split Freq |
| コンプレッサーを機能させる帯域を設定します。 「SINGLE」にすると、ハイ・バンドのみ使用の、シングル・バンド・コンプレッサーとして動作します。 |
Threshold | -60 ~ 0dB | 圧縮を始める音量レベルを設定します。 Split Freq を「SINGLE」ではない値に設定すると、ロー・バンドとハイ・バンドでそれぞれ設定することができます。 |
Gain | -60 ~ +24dB | コンプレッサーの出力音量を調整します。 Split Freq を「SINGLE」ではない値に設定すると、ロー・バンドとハイ・バンドでそれぞれ設定することができます。 |
Attack | 0.1 ~ 100ms | 圧縮を始めるまでの時間を設定します。 Split Freq を「SINGLE」ではない値に設定すると、ロー・バンドとハイ・バンドでそれぞれ設定することができます。 |
Release | 10 ~ 1000ms | 圧縮を元に戻すまでの時間を設定します。 Split Freq を「SINGLE」ではない値に設定すると、ロー・バンドとハイ・バンドでそれぞれ設定することができます。 |
Ratio | 1:1 ~ 100:1 | 圧縮比を設定します。 Split Freq を「SINGLE」ではない値に設定すると、ロー・バンドとハイ・バンドでそれぞれ設定することができます。 |
Knee |
| 圧縮がかかった瞬間の音の立ち上がりを調整します。 Split Freq を「SINGLE」ではない値に設定すると、ロー・バンドとハイ・バンドでそれぞれ設定することができます。 |
F2 | LO SOLO | 2 バンド・コンプレッサーとして動作しているときに、低域を単独で試聴することができます。 ただし、Split Freq を「SINGLE」ではない値に設定したときのみ有効です。 また、以下の操作をすると、設定は解除されます。
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F3 | HI SOLO | 2 バンド・コンプレッサーとして動作しているときに、高域を単独で試聴することができます。 その他は、F2(LO SOLO)を参照ください。 |
Mix Balance | D99:W01 ~ D0:W100 | コンプレッサーを通したWet音(W)と通さないDry音(D)の音量バランスを調整します。 |
【MASTER EQ(6ページ目)】
「MASTER EQ」の設定内容について、以下にまとめます。
パラメータ | 設定値 | 説明 |
F1(MID) | ーー | マスターEQ のモードがMID/SIDE のとき、EQ のMID 側を選びます。EQ モードが MID/SIDE の時に有効です。 |
F2(SIDE) | ーー | マスターEQ のモードがMID/SIDE のとき、EQ のSIDE 側を選びます。EQ モードが MID/SIDE の時に有効です。 |
F3 |
| マスターEQ のモードを切り替えます。なお、各Type、Q、Freq、Gain、Input Gain の設定値は、STEREO とMID/SIDE のMID 側で共通となります。 【STEREO】 【MID/SIDE】 |
F4 |
| マスターEQ をオン/オフします。 |
Type |
| イコライザーのかかりかたを調整します。 ただし、MID1、MID2 は「PEAK」で固定になります。 |
Q | 0.5 ~ 8.0 | 周波数帯の幅で、値を大きくするほど幅が狭くなります。Type が「PEAK」の場合のみ有効です。 |
Freq | 20Hz ~ 1kHz(LOW) 20Hz ~ 16kHz(MID1、2) 1kHz ~ 16kHz(HIGH) | 変化させる際に、基準とする周波数です。 |
Gain | -12 ~ +12dB | Freqに設定した周波数の音量を増幅/減衰させるレベルを調整します。 |
Input Gain | -12 ~ +12dB | 入力音の音量を調整します。 EQ MODE が STEREO の時には、Input Gain、MID/SIDE の時は選択している側に応じて MID Input Gain もしくは Side Input Gain になります。 |
商品情報
TD-50Xの音源を採用されている中、最もコスパが良いと考えている機種です。
まとめ
今回は、パッドの設定の中でも、「音の発し方」「音のバランス」の方法について触れてみました。
これは、ドラムとして音を作るうえで、重要な要素になってくると思います。
ROLANDの音源モジュールであれば、操作感は似ていると思うので、参考にしてみて下さい。