住宅における防音について~住宅内騒音・防音室~

「音」は私たちの生活には切り離せないものです。コロナ対策の影響もあり、ライフスタイルの変化が加速化しています。そんな中で、今まで気にならなかった「音」にも神経質になるかもしれません。

今回は、そんな防音について、主に住宅に関して記載していきます。

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防ぎたい音

皆さんが考える「聞きたくない音」「聞かせたくない音」はどんなものがあるでしょうか?

そんな中では、気にしていないだけで様々な「音」が存在し、人にとって様々な影響を与えます。例えば大きな音を聴き続ければ、聴覚に悪影響を及ぼし、最悪な場合では難聴を引き起こす可能性もあります。その他にも、心身に与える影響は様々です。

仕事の面でも在宅勤務をする機会が増え、自宅で過ごすことが多くなっているかと思います。マイクなどで拾ってほしくない(聴かせたくない)生活や声なんかも気になるかと思います。その他、賃貸物件やマンションに住んでいると、隣人の生活音なんかも気になるのではないでしょうか?睡眠の妨げになる場合も多いでしょう。

では、「聞きたい音」にはどんなものがあるでしょう?好きな音楽、映画等が相当するかと思います。

これらの「音」の認識は、十人十色。人によって「聞きたい音」と「聞きたくない音」はバラバラです。しかし、「音」は決して生活と切り離すことはできず、無意識でも接しなければならないものです。そのため、自身以外が嫌う音を外部に「出さない」、自身が嫌う音を内部に「入れない」ということが重要になります。快適に過ごしていくためには「聞きたい音」を活かし、「聞きたくない音」は防ぐようにしていくことが大切です。

音の大きさ

普段生活している中で、どんな音があり、どんな大きさの音があるでしょうか?よく言われる目安を以下に記載します。

体感的な目安dB(音の強さ)実例
聴力機能に危険が及ぶ130船の汽笛
飛行機のエンジンの近く
120犬の吠える声(距離1m)
スネアドラムの音
金管楽器
110車のクラクション(距離1m)
プロの声楽
大変うるさい100人の叫び声
ピアノの演奏(距離1~2m)
電車通過時のガード下
 90騒々しい工場
木管楽器、バイオリン
うるさい80ステレオの大きな音
ボウリング場やパチンコ店の店内
 70テレビの大きな音
日常的にあり得る6040km/hで走っている車中
水洗トイレの排水音
 50通常の話し声
静か40住宅地の昼
30ささやき声
大変静か20住宅地の夜
 10呼吸音
いかがでしょうか?ちなみに、dBが2倍になると音の大きさは10倍になります。ちょっとした音でも、意外と大きな値を示していませんか?昼間の住宅地でも、40dB程度に設定されています。
通常許容できるのは、50dBまででしょうか。また、この許容できる生活音の基準は、時間帯によっても左右されます。同じ住宅地でも、昼(40dB)と夜(20dB)で20dBもの差があります。音を出す時間帯によっても、気になる音、許容できる音は変わってくるのです。
なお、良いレベルの音というのは、各都道府県によって決まっています。以下に基準を記載しますが、どこにどの型が設定されているかは地域によって異なります。詳細は、環境相のHPを参考にしてください。
地域の類型基準値
(午前6時から午後10時)
基準値
(午後10時から午前6時)
AA50デシベル以下40デシベル以下
A及びB55デシベル以下45デシベル以下
60デシベル以下50デシベル以下

※AAを当てはめる地域は、療養施設、社会福祉施設等が集合して設置される地域など特に静穏を要する地域。

※Aを当てはめる地域は、専ら住居の用に供される地域。

※Bを当てはめる地域は、主として住居の用に供される地域

※Cを当てはめる地域は、相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される地域。

また、幹線道路沿いでは、以下のようになっています。

地域の区分基準値
(午前6時から午後10時)
基準値
(午後10時から午前6時)
A地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域60デシベル以下55デシベル以下
B地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域及び
C地域のうち車線を有する道路に面する地域
65デシベル以下60デシベル以下

音の伝わり方

まずは、音の伝わり方を考えてみましょう。単に「音源から直接聞こえる音」「壁などを貫通した音」が耳に入ってくるわけではありません。

例えば、壁に当たった時の「反射音」です。そして壁に当たれば、壁を通り抜ける音「透過」の他にも壁に吸収される「吸音」があります。これらは、「空気を伝わる音」に相当するでしょう。

他には、何があるでしょうか?例えば、糸電話。物に経由して振動として伝わり、接しているものを経由する届く「個体音」があります。また、音は距離が長ければ長いほど小さくなるものなので、「減衰音」があります。そして、物体の中を透過する際には、音の方向がバラバラになります。そのため、「透過」の音の中にも、「回析した減衰音」も発生しています。

防音を行う際は、これらを考慮しないといけません。

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音を小さくするには(遮音)

住宅の外の音を家に入れたくない場合、もしくは住宅の中の音を外に漏らしたくない場合は、聞こえる音を小さくする必要があります。

一般的に「防音」というと、この中の2番目にある「遮音」と同意で使われると思います。そこで少し「遮音」について触れると、音を遮断するために注目しなければならないのが「遮音性能」です。遮音の効果は、引き算で求められます。

「音源(70dB)」-「遮音性能(30dB)」
=「聞こえる音(40dB)」
この遮音性能が高ければ、聞こえる音が小さくなり、より遮音が効いているということになります。しかし、遮音性能を求めれば求めるほど、費用はかかることは言うまでもありません。一般に、遮音性能をx倍にすれば、費用は2のx乗になると思って良いと思います。3倍の遮音性能を求めれば、価格はおおよそ8倍になります。

反射音に注目する(吸音)

オーディオルームやシアター、そして、プロミュージシャンが扱うような音楽をするための防音室などでは、単に音を小さくすることを考えるだけではありません。聴こえ方が一番重要視されます。先ほど、一般的には「防音」=「遮音」と言いました。しかし実際は全く異なり、音響のバランスが重要視されます。そのためには「遮音」「吸音」を駆使して聴こえ方をコントロールしなければなりません。

仮に吸音しない場合を考えましょう。反射音(残響)が減衰されにくくなり、まるでコンサ-トホールにいるかのように響き続けるかと思います。しかも、この反射音(残響)は高音の成分を多く含みます。そのため、このような環境では単に聞こえが悪いだけでなく、頭痛がするなど心身ともに疲弊するかもしれません。かといって吸音しすぎても、低音が際立ったり、不自然に聴こえます。「演奏・オーディオ用途」「楽曲作成用途」「スピーチ用途」「視聴用途」とではまた異なってきますが、「演奏・オーディオ用途」では、12畳間だと0.5秒の残響時間、6畳間だと0.4秒と少しの残響時間がちょうど良い目安というデータもあります。

「遮音」だけに注目するのではなく、「吸音」をコントロールすることがいかに必要かが分かっていただけましたでしょうか?

振動に注目する(個体音)

ここまで、「空気を伝わる音」について記載しました。その他にも、物体を通じて聴こえる「個体音」がありました。特に住宅を考慮する際は、この「個体音」を忘れてはいけません。

「個体音」は、主に「振動音」が当てはまります。例えば、上層階や隣室の足音や物を落とした時の音。水道管に水が流れた時の音。他にも道路や線路が近い場合は、車や電車の走る音があります。まさに「家族や自分が出している音」になります。生活音の中で本当に気になる音は、実は「個体音」だった!なんてこともあるでしょう。「個体音」は基本的には低い低音です。低音の方が音圧を強く感じます。それゆえ、個体に与える影響も強いのです。

もちろん、低音が人体に与える影響も多くあります。症状も多岐に渡り、十人十色です。必ず起こるわけではありませんが、知らず知らずのうちに「イライラ」「耳鳴り」「頭痛」「圧迫感」「倦怠感」などが起こる可能性があります。

家の中で気を配りたい場所は?

家の中で防音に注意すべきは、やはり一番多くいるような場所であるリビングであったり、静かに睡眠したい寝室ではないでしょうか?多少費用をかけても、解決したい場所かと思います。本来リラックスしなければならない場所でリラックスできないのでは、ストレスがたまる一方です。

リビングについては、「遮音」「吸音」をすればいいというものではなく、コミュニケーションが取りやすい状態でなくてはならないので、「言葉の聞き取りやすさ」なんかも1つの指標になるのではないでしょうか?家電から発生する音やドアなどの音を初めとする生活音が出てしまうのは仕方ないので、主に残響の面で考慮していかなければならないと思います。

また、赤ちゃんや小さい子供がいる家庭では、余計に気を配るべきでしょう。年齢を重ねれば重ねるほど、高音は聞こえなくなりますが、子供は聞こえます。残響音を含め、そういった高音が嫌で泣く子もいるでしょう。赤ちゃんの夜泣きを含む泣き声は、家の中では残響が大きくなるだけでなく、近隣から苦情がくる場合もあります。これらの状況が親のストレスになっていくことも多いです。

こういった環境では、「遮音」よりも「吸音」に気を配るのも良いのかもしれません。

おすすめの対策

防音の方法は様々ですが、以下に一例を記載します。そもそも音源となる音の大きさを小さくすれば問題ありませんが、それ以外の対策として考えられるものを以下に記載します。基本的には、いずれかを行う方針になるでしょう。

音源との距離をとる

家の外に出してしまう室外機などは、隣人トラブルになりえます。そのため、設置場所には気を配った方が良く、一定のスペースを確保した方が良いです。

音源を囲う

換気扇などでは、直接音を外に拡散させないように、音の方向を変える用途でも外側は囲われていることが分かるかと思います。

音源がある空間に吸音素材を使用する

防音室やシアターが相当しますが、以下のような素材を使用することも考えられます。聴きたくない音を吸収するためのもので、例えばスピーカーの後ろに設置したりします。

生活音や楽器、オーディオの吸音に

音源を硬い素材に触れさせない

例えば、家電を想定してみましょう。冷蔵庫や洗濯機は、低音や振動が大きいです。そのため、ゴム製の素材を下に敷いてみて下さい。振動や音が抑えられます。ドラムの打楽器も、防振マットを敷かれています。足音で考えれば、フローリングよりもカーペットを敷いていた方が響かないでしょう。また、換気口などでは、スポンジ製のフィルターを設置し、サイレンサーとして扱っていることが多いです。

音源との間に壁を作る

壁でなくても、遮蔽物と考えれば良いと思います。例えば、カーテンにしても、厚手のものを選ぶなどが挙げられます。

音を出す時間を配慮する

先述の通り、昼と夜では、許容できる時間も変わります。そのため、大きな音を出したいときは、昼間に出すなどの配慮も必要です。どうしても、夜に楽器をやりたいとなれば、以下のようなボックスタイプの防音室の購入、もしくは部屋の防音工事が必要でしょう。

布製から、箱型まで様々なものがあります。
防音工事を行うと・・・

防音性能には、防音のレベルや残響の残し方などにより、様々な価格帯があります。

参考として一例を示しますと、6畳間で200~400万円程度かかります。仮に本格的に6畳間でドラムをやりたい場合は、1000万円程度かかることも覚悟した方が良いようです。

既存の部屋に構築しようとすると、はめ込む簡易的なタイプでも安くて100~200万、いったん壁を壊して作り直す場合は、新規構築に解体費が加わるのは言うまでもありません。

もちろん部屋を防音室としてしまうのが、防音性は最も高いと言えます。

まとめ

今回は、防音に関して記載しました。「防音」と聞くと、大音量での音楽やシアターの防音設備などに関心が行きがちかもしれませんが、「防ぎたい」「改善したい」といった生活音は無数に存在します。

防音を行う場合は、自分の用途なども考慮して計画を立てるようにしましょう。物を移動すれば改善する場合、吸音パネルを用いて改善する場合など、対応方法は環境によって様々です。仮に防音室が欲しいとなった場合でも、よく検討・相談の上での導入をお勧めします。

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