Blenderでは、色鉛筆のような感覚で使える「グリースペンシル」という機能があります。
その「グリースペンシル」においても、自動でエフェクト処理される「モディファイアー」が使用できます。
今回は、そんな「グリースペンシル」の「モディファイアー」の「概要」「変更」「カラー」に属するものについて記載していきます。なお、本内容は、V3.0.0時点のリリース物件に沿った内容となっています。
グリースペンシルのモディファイアー
メッシュとグリースペンシルのモディファイアーの違いは、その場所で直接編集することはできないことにあります。
追加方法に関してはメッシュとほぼ同じです。Blenderの画面の右下にあるプロパティエリアから、[モディファイアープロパティ] > [モディファイアーを追加]で設定できます。
グリースペンシルのモディファイアーは、バージョン:3.0.0時点で23種類あります。この23種類は、大きく以下のようなカテゴリーに分けられます。
カテゴリー | 説明 | 種類 |
変更 | オブジェクトのジオメトリに直接影響を与えず、 頂点グループなどの他のデータに影響を与えるもの | 4 |
生成 | 「オブジェクトの一般的な外観を変更」もしくは 「オブジェクトに新しいジオメトリを自動的に追加」するもの | 9 |
変形 | 新しいジオメトリを追加せず、オブジェクトの形状を変更するもの | 7 |
カラー | オブジェクトの色出力を変更するもの | 3 |
また、モディファイアーに共通して存在する設定に、「影響(Influence Filter)」が存在します。
これらの設定項目の内、モディファイアーによっては一部設定がなかったりしますが、以下にまとめておきます。
項目 | 説明 |
レイヤー | モディファイアーの効果を施すレイヤーをどれにするか?を以下のどちらかで設定します。
|
マテリアル | モディファイアーの効果を施すマテリアルをどれにするか?を以下のどちらかで設定します。
|
頂点グループ | モディファイアーの効果を頂点グループのみに施します。 |
カスタムカーブ | カスタムカーブを有効にすることで、トーンカーブのように、効果を形成します。 |
↔(反転トグル) | フィルターの動作を逆にすることができます。 |
カテゴリー:変更
ここでは、「変更」のカテゴリーに属するモディファイアーを紹介します。
テクスチャマッピング
ストロークテクスチャのUV位置を変更します。
設定内容は以下です。
設定内容 | 説明 |
Mode | 以下のどのテクスチャ座標に対して適用するかを設定します。 【ストローク】 【フィル】 【ストロークとフィル】 |
ストロークフィット方法 | ストロークフィットの方法を選択します。 【一定の長さ】 【ストロークの長さ】 「モード:ストローク」「モード:ストロークとフィル」時に表示されます。 |
UVオフセット | ストロークに沿ってテクスチャを移動します。 「モード:ストローク」「モード:ストロークとフィル」時に表示されます。 |
回転 | ストロークのポイントを回転します。 ただし、回転範囲は「-90度」から「90度」に限定されます。 「モード:ストローク」「モード:ストロークとフィル」時に表示されます。 |
スケール(ストローク時) | UVを拡大縮小する際のテクスチャスケールの係数。 「モード:ストローク」「モード:ストロークとフィル」時に表示されます。 |
フィル回転 | テクスチャの角度を設定します。 「モード:フィル」「モード:ストロークとフィル」時に表示されます。 |
オフセット X | テクスチャの原点(X成分)を移動します。 「モード:フィル」「モード:ストロークとフィル」時に表示されます。 |
オフセット Y | テクスチャの原点(Y成分)を移動します。 「モード:フィル」「モード:ストロークとフィル」時に表示されます。 |
スケール(フィル時) | UVを拡大縮小する際のテクスチャスケールの係数。 「モード:フィル」「モード:ストロークとフィル」時に表示されます。 |
「影響」のパラメータの有無は、以下です。
項目 | レイヤー | マテリアル | 頂点グループ | カスタムカーブ |
有無 | ○ | ○ | ○ | × |
タイムオフセット
グリースペンシルのキーフレームのオフセット位置を決めます。これにより、特定のアニメーションループの複数のタイミングで開始したり、切り抜きアニメーションなどで特定の時間に特定のポーズを取らしたりすることができます。
設定内容は以下です。
設定内容 | 説明 |
モード | 以下の3つから選択します。 【標準】 【反転】 【フレームを固定】 |
フレームのオフセット値 | 元のキーフレーム番号をずらすフレーム数です。 ※モードが「標準」「反転」の時のみ、表示されます。 |
フレーム | 固定するフレーム番号です。 ※モードが「フレームを固定」の時のみ、表示されます。 |
スケール | フレームのスケールの設定で、単位は「秒」です。 ※モードが「標準」「反転」の時のみ、設定が有効になります。 |
ループを維持 | 最終フレームになるとアニメーションの始めに戻って再生されるようになります。 ※モードが「標準」「反転」の時のみ、設定が有効になります。 |
カスタム範囲 | モディファイアー内で使用するフレームを任意で設定できます。 ※モードが「標準」「反転」の時のみ、設定が有効になります。 |
カスタム範囲 > 開始フレーム | カスタム範囲の開始フレームを設定します。 ※モードが「標準」「反転」の時のみ、設定が有効になります。 |
カスタム範囲 > 終了 | カスタム範囲の終了フレームを設定します。 ※モードが「標準」「反転」の時のみ、設定が有効になります。 |
「影響」のパラメータの有無は、以下です。
項目 | レイヤー | マテリアル | 頂点グループ | カスタムカーブ |
有無 | ○ | × | × | × |
頂点ウェイト(角度)
所定の角度に基づいて、指定された頂点グループのウェイトを設定します。
設定内容は以下です。
設定内容 | 説明 |
頂点グループ | 対象とする頂点グループを設定します。 |
頂点グループ > ↔(反転) | 選択した頂点グループへの影響を反転(ウェイト値を反転)します。 |
角度 | 最大ウェイト値の角度を設定します。単位は「ラジアン」です。 |
座標軸 | 角度が、最小値に影響を与える軸を選択します。 設定値は、「X」「Y」「Z」のいずれかです。 |
スペース | 使用する座標空間(座標系)を設定します。 設定値は、「ローカル座標」「ワールド座標」のいずれかです。 |
最小 | 頂点グループのウェイトの最小値を「0.000」~「1.000」の範囲で設定します。 |
ウェイトを乗算 | 算出されたウェイトと頂点グループの既存の値を掛けます。 |
「影響」のパラメータの有無は、以下です。
項目 | レイヤー | マテリアル | 頂点グループ | カスタムカーブ |
有無 | ○ | ○ | ○ | × |
頂点ウェイト(近傍)
「オブジェクト(もしくは、頂点)」と「別のターゲットオブジェクト(もしくはジオメトリ)」の間の距離に基づいて、指定された頂点グループのウェイトを設定します。
設定内容は以下です。
。
設定内容 | 説明 |
頂点グループ | 対象とする頂点グループを設定します。 |
頂点グループ > ↔(反転) | 選択した頂点グループへの影響を反転(ウェイト値を反転)します。 |
ターゲットオブジェクト | 距離を計算するターゲットのオブジェクトです。 |
最低 | ウェイトが「0.000」になる距離を設定します。 |
最高 | ウェイトが「1.000」になる距離を設定します。 |
最小 | 頂点グループのウェイトの最小値を「0.000」~「1.000」の範囲で設定します。 |
ウェイトを乗算 | 算出されたウェイトと頂点グループの既存の値を掛けます。 |
「影響」のパラメータの有無は、以下です。
項目 | レイヤー | マテリアル | 頂点グループ | カスタムカーブ |
有無 | ○ | ○ | ○ | × |
カテゴリー:カラー
ここでは、「カラー」のカテゴリーに属するモディファイアーを紹介します。
色相/彩度
グリースペンシルの「ライン」「塗部分」の色合いを変更します。
設定内容は以下です。
設定内容 | 説明 |
モード | 色を変換する対象を以下から選択します。
|
色相 | 画像の色相を色相環により設定します。 「0」は-180°を、「1」は+ 180°」を示し、「0」と「1」は同じ色合いを表します。 |
彩度 | 彩度が1.0より小さい場合、グレースケール画像に近づきます。 彩度が1.0より大きい場合、彩度が増します。 |
値 | 画像の全体的な明るさ(明度)を設定します。 |
「影響」のパラメータの有無は、以下です。
項目 | レイヤー | マテリアル | 頂点グループ | カスタムカーブ |
有無 | ○ | ○ | × | ○ |
不透明度
ポイントの不透明度を変更します。
設定内容は以下です。
設定内容 | 説明 |
モード | 不透明度を変換する対象を以下から選択します。
|
不透明度を均一化 | 全ストロークが、同じ不透明度になります。 |
強さ | 不透明度の設定値です。 「不透明度を均一化」が有効な場合に表示されます。 |
不透明度の係数 | ポイントの不透明度に加算または減算する値です。 係数が1.0より小さい場合、より透過させるようになります。 係数が1.0より大きい場合、不透明度が増します。 「不透明度を均一化」が無効な場合に表示されます。 |
「影響」のパラメータの有無は、以下です。
項目 | レイヤー | マテリアル | 頂点グループ | カスタムカーブ |
有無 | ○ | ○ | ○ | ○ |
チント
元のストロークを色付けするか、選択した色で塗りつぶします。
設定内容は以下です。
設定内容 | 説明 |
モード | 色を変換する対象を以下から選択します。
|
強さ | 色の度合いを制御します。 「0.0」に近づくほど変換前の色に近づき、、「1.0」に近づくほど変換後の色に近づきます。 「1.0」より大きい場合は、透明度がなくなっていきます。「2.0」で完全な不透明になります |
チントタイプ | チントの方法を以下から選択します。
|
カラー | 変換する色を設定します。 チントタイプが「均一」の時に表示されます。 |
カラーランプ | チントするための色合いのグラデーションカラーを設定します。 チントタイプが「均一」の時に表示されます。 |
オブジェクト | 効果を及ぼす中心のオブジェクトを設定します。 チントタイプが「均一」の時に表示されます。 |
半径 | 効果を及ぼす最大の距離を設定します。 チントタイプが「均一」の時に表示されます。 |
「影響」のパラメータの有無は、以下です。
項目 | レイヤー | マテリアル | 頂点グループ | カスタムカーブ |
有無 | ○ | ○ | ○ | ○ |
まとめ
今回は、「グリースペンシル」の「モディファイアー」の「概要」「変更」「カラー」に属するものについて記載しました。
手書きによる表現の幅が広がったり、効率的なモデリングが可能になる機能です。上記の内容を参考に、色々試してみて下さい。