3DCGソフトの中でもフリーソフトで高機能なBlenderには、光を設定する「ライティング」という機能があります。
「ライティング」では、ライトのように「迫範囲を照らす光」の他、太陽光のように「広範囲を照らす光」まで幅広く設定できます。
今回は、そんな「ライティング」の使い方について記載していきます。なお、本内容は、V2.93時点のリリース物件に沿った内容となっています。
ライト使用時の操作
ここでは、ライトを扱う上での基本となる操作を記載します。ちなみに、3Dビューポートで表示される「ライト」は、以下の赤丸のものです。
3Dビューのシェーディングの変更
デフォルトでは、「ソリッドモード」で表示されています。「ソリッドモード」は物体の形成に特化したモードと言って良いでしょう。付加価値となる効果(オブジェクト作成後に行う追加エフェクトなど)は、あえて表示しないようなモードになっています。そのため、ライティングの効果をプレビューするには、「レンダープレビュー」にする必要があります。
モードの切り替え時は、ヘッダーの右上にあるヘッダー切り替えボタンから、以下のボタンを押下しておいてください。
ソリッドモード | レンダープレビュー |
ライトの追加
ライトを追加する操作は、通常のオブジェクトと同じです。3Dビューポートにある「追加」から「ライト」を選択することで利用できます。ショートカットキーでは、「Shift + A」から「ライト」を選択すればよいです。
なお、ライトの種類については、後述しますので、そちらをご確認ください。
ライトのギズモ
ライトのギズモ(移動/回転/拡大縮小)については、他のオブジェクト同様に扱うことが可能です。
項目 | ショートカットキー | 表示内容 |
移動 | G | |
回転 | R | |
拡大縮小 | S | |
トランスフォーム | — |
上記の他、3Dビューポートの ヘッダーにある [オブジェクト] > [トランスフォーム] から選択したり、左側に表示される「ツールバー」から実施することも可能です。
ライティングのプロパティ
ここでは、ライティングのプロパティの設定内容について説明していきます。
設定する場所は、3Dビューポートでライトを選択した時に表示される「オブジェクトデータプロパティ」で行います。
プレビュー
プレビュー表示では、選択したプレビューレンダーのタイプに現在の設定をプレビューさせるセクションです。
ライト
「ライト」のセクション下では、照射の仕方を設定する要とも言える内容が含まれています。
また、ライトの種類によって設定する内容も異なります。そのため、初めにライトの種類を説明し、以降は種類ごとに設定内容を説明していきます。
ライトの種類
ライトの種類は、全部で4種類の中から1種類を選ぶようになります。全4種類のライトについては、以下にまとめます。
ポイント
。
サン
ポイントには、以下の設定が存在します。
設定内容 | 説明 | プレビュー |
カラー | ライトで照射する光の色を設定します。 | 「ポイント」を参照ください。 |
強さ | ライトの光の強さ(明るさ具合)を設定します。 平方メートル毎のワット数(W/m^2)で示されます。 「サン」の場合は、可視光から得られる光のため、「ワット[W]」では表すことができません。 | 「ポイント」を参照ください。 |
ディフューズ | ディフューズ反射の乗数です。 拡散反射(ざらざらした表面での光の反射)の度合いを設定できます。 値が小さければ拡散反射しなくなり、値が大きければ拡散反射するようになります。 | ーー |
スペキュラー | スペキュラー反射の乗数です。 鏡面反射(鏡のような光の反射)の度合いを設定できます。 値が小さければ鏡面反射しなくなり、値が大きければ鏡面反射するようになります。 | ーー |
ボリューム | ボリュームライトの乗数です。 空気中の微細な粉末などに光が反射する度合いを設定できます。 真っ暗な体育館などで隙間から差し込む光が差し込む際に、ホコリなどが見えることがあるでしょう。 ボリュームライトは、そのような状態の光の軌跡のことです。 値が小さければ軌跡が暗くなり、値が大きければ軌跡が明るくなります。 | ーー |
角度 | 各直径(※)のことで、地球から見た時の太陽の見かけの大きさを示します。 太陽では「30」、月では「29」~「33」というように、天体の場合はある程度決まった値があります。 | ーー |
スポット
ポイントには、以下の設定が存在します。
<td”>ディフューズ反射の乗数です。 「ポイント」を参照ください。
エリア
ポイントには、以下の設定が存在します。
明るさの参考値
参考情報として、ライトを選択する時の参考値を記載します。
以下では、典型的な光の強さと推奨するライトの種類を記載します。
光源の種類 | 光の強さ[W] | ライトの種類 |
ろうそく | 0.05 | ポイント |
LED電球:800 [lm] | 2.1 | ポイント |
電球:1000 [lm] | 2.9 | ポイント |
PAR38 ビーム電球:1500 [lm] | 4.0 | エリア |
蛍光灯:2500 [lm] | 4.5 | エリア(長方形) |
車のヘッドライト:5000 [lm] | 22W | スポット(サイズ:125度) |
以下では、「サン」を使用する際の典型的な光の強さを記載します。
明るさの例 | 光の強さ [W/m^2] |
快晴 | 1000 |
白い雲が存在する空 | 500 |
雨雲によるどんよりした空 | 200 |
月の光 | 0.001 |
影
ライティングでは照射だけでなく、不自然にならないように発生する影についても設定する必要があります。
「影」では、ライトの種類が「サン」の時のみ設定する内容が異なるので、「サン」の設定は分けて説明します。
ポイント/スポット/エリア
サン
設定内容 | 説明 | プレビュー |
影 | 物体に光が当たった時に生じる影を表現するかを設定します。 | 「ポイント/スポット/エリア」を参照ください。 |
バイアス | シャドウバッファーバイアス。 セルフシャドウを小さくするバイアス。 | 「ポイント/スポット/エリア」を参照ください。 |
カスケードシャドウマップ > 数 | カスケードシャドウマップに生成するカスケード(面)数のこと。 | ーー |
カスケードシャドウマップ > フェード | 各カスケード間の移行のスムーズさのこと。 | ーー |
カスケードシャドウマップ > 最大距離 | カスケードシャドウマップの終端の距離(透視投影のみ)のこと。 | ーー |
カスケードシャドウマップ > 分布 | 指数分布のこと。 高い値を用いれば、ビューポートに近いほど解像度が上がります。 | ーー |
コンタクトシャドウ | スクリーンスペースレイトレースを使用し、「遮蔽物の付近」やシャドウマップに現れない「細かい凹凸部」にコンタクトシャドウを作成します。 | 「ポイント/スポット/エリア」を参照ください。 |
コンタクトシャドウ > 距離 | スクリーン空間で遮蔽物を探すときのワールド空間での距離 | 「ポイント/スポット/エリア」を参照ください。 |
コンタクトシャドウ > バイアス | セルフシャドウを回避するバイアス | 「ポイント/スポット/エリア」を参照ください。 |
コンタクトシャドウ > 幅 | 遮蔽を探知するのに使用するピクセル幅 | 「ポイント/スポット/エリア」を参照ください。 |
近くて狭い範囲になるほど明確な影を、遠くて広い範囲になるほどぼやけたあいまいな影の面を使用している。
そのため、面同士の境界のスムーズさや、どこまでの細かさで表現するか?などが重要な要素となる。
まとめ
今回は、光を設定する「ライティング」について記載しました。
単に「ライト」と言っても、使い方によって作成するオブジェクトは色々な表情を表します。上記の内容を参考に、ぜひ色々試してみて下さい。