3DCGソフトの中でもフリーソフトで高機能なBlender。
今回は、そんなBlenderでモデリングをする上でよく使うであろうモディファイアーについて記載していきます。
モディファイアーとは・・・
簡単に言うと、エフェクト(自動処理)のことです。
エレキギターなどの楽器をやっている人を見ると、足下にいっぱい機械が並んでいる場合があります。あれを曲の中でONにしたり、OFFにしたりすることで、楽器の音を色々変えています。その機械は、ホント様々で同じ効果をもたらすものでも仕様の違いで多くの種類があります。
Blenderに搭載されたモディファイアーも同様で、様々な種類が存在します。しかも、その時々によって、ON/OFFの切り替えも可能です。
設定する場所は、Blenderの画面の右下にあるプロパティです。
全モディファイアーに共通して存在するボタンに、以下があります。
「配列」と記載されている箇所は、モディファイアーの名称が表示されます。この名称から右に役割を説明します。
マーク | 役割 |
三角形のもの | 編集モードで、適用されるモディファイアーの結果にワイヤーフレーム(ケージ)を表示するかどうかを設定する |
四角形のもの | 編集モードで、適用されるモディファイアーの結果を表示するかどうかを設定する |
ディスプレイ | ビュー(編集モードに限らず、オブジェクトモードでも)で適用されるモディファイアーの結果を表示するかどうかを設定する |
カメラ | レンダリング中に、適用されるモディファイアーの結果を表示するかどうかを設定する |
適用 | モディファイアーをメッシュ(オブジェクト)に反映する |
複製 | モディファイアーを複製する |
× | モディファイアーを削除する |
… | モディファイアーを移動する(適用する順番が変更可能可能) |
注意してほしいのは、モディファイアーは、「適用」をしない限り正式にメッシュ(オブジェクト)として反映されないことです。適用後のイメージを表示しているような状態です。そのため、適用された結果として表示されている箇所のみに対して、何か編集を施すようなことは難しいケースが出てきます。そのような場合は「適用」を行うことで、実際のメッシュ(オブジェクト)として実体として扱うことで、通常のメッシュ(オブジェクト)と同様の編集が可能になります。ただし、正式にメッシュ(オブジェクト)となるので、モディファイアーを適用する前の状態に戻すことはできなくなります。
また、モディファイアーはかける順番によって、最終的に得られる結果が異なってくるきます。そのために、モディファイアーの順番変更可必要です。楽器のエフェクターなど何にでも当てはまりますが、後にかけた(行った)方が効果がより強く出てきます。例えば、粘土に対して「丸める」という行為と「切る」という行為を行って場合を考えます。「丸める⇒切る」だと、最終的には球体ではないものがいくつもできるかと思います。逆に、「切る⇒丸める」だと小さい球体のものがたくさんできるかと思います。これと同じことです。
代表的なモディファイアー
以下では、3Dビューポートにおける編集モードでの操作について説明していきます。以下では、ショートカットキーを記載していますが、ヘッダーなどのメニューから実施することもできます。
配列
配列は、モディファイアーをかけたオブジェクトを一定の距離で複製するものです。そのため、複製元となっているオブジェクトを編集すると、その編集内容は複製先のものにも反映されます。
並ばせ方は、「適合する種類」で指定し、3種類存在します。それぞれ、「定数で指定」「長さに合わせる」「カーブに合わせる」です。
項目 | 説明 |
定数で指定 | 複製元のオブジェクトを含めた総数で指定 |
長さに合わせる | 並べる距離を指定 |
カーブに合わせる | 基準とするカーブオブジェクトを指定し、その長さに従う |
並べる間隔については、4種類の方法があります。
項目 | 説明 |
オフセット(倍率) | 倍率で指定 |
一定のオフセット | 距離で指定 |
オフセット(OBJ) | 指定したオブジェクトの動き(位置)を基準に、距離を設定 |
UV | テクスチャ画像を貼る時の座標(U軸 / V軸)のオフセットで距離を設定 |
他の設定の項目としては、「マージ」「先端(おそらく誤訳・・・)」があります。
「マージ」では、0mから1mで指定した距離より短い距離に位置するオブジェクトの頂点同士を結合する設定です。
「先端」の「開始のふた(おそらく誤訳・・・)」「終了(おそらく誤訳・・・)」は、オブジェクト間に並ばせたい場合に有効です。「開始のふた(始端?)」で設定したオブジェクトから、「終了(終端?)」で設定したオブジェクトまでの間で並ぶように設定できます。
ベベル
モディファイアーをかけたオブジェクトにベベルを施すものです。
基本的な手順は、ベベルの対象を選んだあと、通常のベベルと同じように削り方を設定していくことになります。
対象とするものは、「頂点」「辺」から選択できます。
幅のタイプ(面取りする量をどう決めるか?)としては、以下の4種類が存在します。設定したタイプに基づいて、「幅」(対象とするベベルのサイズ) および 「セグメント」(面取りする際に構成する面の数)を指定します。
項目 | 説明 |
オフセット | オリジナルから新しい辺・頂点へのオフセットで指定 |
幅 | 新しくできる面の幅で設定 |
深度 | オリジナルの辺・頂点からベベル面への垂線の長さで設定 |
% | 隣接する辺の長さの%で設定 |
絶対 | 隣接する辺に沿った絶対距離で設定 |
また、ベベルを適用する範囲を制限することも、4種類の「制御方法」で行えます。
項目 | 説明 |
なし | 制限なし |
角度 | 面の間の角度が、指定した値より小さい場合を対象とする |
ウェイト | ベベルウェイトを使用して適用されるベベルの量を決める |
頂点グループ | 頂点グループウェイトを使用し、辺と頂点のどちらをベベルするかを選択する |
ベベルの際の断面については、「ラメ曲線」に基づくか、「カスタム」で自由に決めるか?を選択できます。「ラメ曲線」については、0(凹方向)から1(凸方向)の中で設定します。「カスタム」の場合は、座標を使用した自由度の高い設定が可能になります。
その他には、「ジオメトリ」「シェーディング」の設定が可能です。順に説明します。
「ジオメトリ」では、ベベルする部分が交わる箇所(留め継ぎ)に対する対応を設定する項目があります。以下の対応方法があります。
大項目 | 小項目 | 図例・説明 |
外側(留め継ぎ) | シャープ | |
パッチ | ||
孤 | ||
内側(留め継ぎ) | シャープ | |
孤 | ||
広がり | ※内側の「孤」を設定した時のみに表示される。 | |
交差 | グリッドフィル | |
カットオフ |
上表での「外側」「内側」はベベルによって作成された辺同士の角度による違いです。180度より大きい(凹凸の組み合わせ)箇所では「外側」、180度より小さい(凹凹もしくは凸凸の組み合わせ)箇所は「内側」の設定が効いてきます。
「ジオメトリ」には上記の他にも、「重複の回避」(オーバーラップを回避するための幅を制限)や「ループスライド」(同じ幅を持つ辺に沿ってスライド)の設定が設けられています。
次に「シェーディング」では、以下の設定が存在します。
項目 | 説明 |
法線のハード化 | ベベル面の法線を近隣の面と合わせる設定 ※Auto Smooth(自動スムーズ) が有効になっていることが前提 |
シーム(マーク) | ベベルした辺に沿ってシームをマークする設定 |
シャープ(マーク) | ベベルした辺をシャープとしてマークする設定 |
マテリアルインデックス | 生成されたベベル面のマテリアルのインデックス |
面の強さ | 面の強さを設定する面を設定 |
「面の強さ」というのは、法線と組み合わせることで シェーディングの変化が出せるものです。この「面の強さ」に関しては、設定する対象を以下の選択肢から選ぶことができます。
項目 | 説明 |
なし | 設定なし |
新規 | ベベルで新しく作成された面のみ対象とする |
影響する物 | ベベルで新しく作成された面とその影響を受ける面を対象とする |
全て | 全ての面を対象とする |
ブーリアン
2つのメッシュ(オブジェクト)が重なった際に、どう処理するかを設定できます。演算対象は、オブジェクトの他、コレクションでも対応できます。設定項目は以下です。
処理を施すオブジェクトを選択しモディファイアー(メッシュAとする)を設定し、「オブジェクト」の項目で処理するために重ねるオブジェクト(メッシュBとする)を指定することで処理が可能になります。メッシュA:直方体、メッシュBを円柱として以下のように配置すると、それぞれ下表のようになります。
項目 | 説明 |
交差 | 重なった部分を残す |
合成 | 合体させるので、1つのオブジェクトとして扱えるようになる |
差分 | 重なった部分を削るので、「穴を作る」ようなモデリングには便利 |
この他、演算処理の正確性(速さ)も「高速」と「正確」から選択できます。前者は正確性が落ちるので単純な図形の演算向きで、後者は処理速度は遅くても正確に演算されるようになります。また、「高速」を選んだ際は「重複のしきい値」が表示されます。この値より小さい距離のものをマージしてしまうものです。「正確」を選んだ際は「自分自身」を選択でき、有効にすれば自分自身の交差も使用できます。
ミラー
「座標軸」で指定した軸方向に指定したオブジェクトの線対称のオブジェクト(鏡像)を作成することができます。座標軸の他にも、「ミラーオブジェクト」で設定したオブジェクトの基準の軸を指定することも可能です。また、編集内容はリアルタイム反映されます。下の例では、オレンジ色がモディファイアーを設定した元のオブジェクトになります。Y軸(緑線)上で鏡像が作成されています。
「座標軸」でミラーを行っていることが前提となっている設定もあります。「二等分」です。「二等分」ではミラー平面をまたいだメッシュを非表示にすることができます。また、「二等分」を設定していることが前提の「反転」では「二等分」の効果を逆転(ミラー平面をまたいだメッシュを表示)させることができます。それぞれが前提となっているため、上位であらかじめ設定済みの軸にしか下位の設定は適用されません。
他の設定では「クリッピング」を有効にすると、鏡像からオブジェクト(メッシュ)がはみ出さないようになります。「マージ」では、設定した距離より短い所に存在する頂点が結合されます。「頂点グループ」で頂点グループをミラー対象とすることもできます。
また、UV座標をミラーさせることや、「UDIMを反転」では各タイルの中心を基準にテクスチャ画像を対象にすることもできます。
ソリッド化
メッシュに厚み持たせることができます。以下をモディファイアー適用前だとすると、
「幅」で指定した厚みを持たせることで、以下のように厚みを持たすことが可能です。なお、「オフセット」の値を「-1」から「1」で設定することで、元々のメッシュを基準にどこに厚みを作成するかを決めることができます。以下の状態が「0」で、元々のメッシュの両脇に、「-1」で内側に、「1」で外側に作ることができます。
また、このソリッド化には、数多くの設定が存在します。
モードには、「シンプル」と「複雑」があり、後者では「厚み付けモード」と「境界」の設定が表示されます。「厚み付けモード」では、「固定」「均一」「コンストレイント」の3種があります。「コンストレイント」が一番高度で、各部において最適な厚みを持たせられるものになっています。「境界」では、「なし」「丸め」「フラット」から選択できます。
また、持たせた厚みの外側と内側の間を埋めるかどうかを「フィル」で設定出来たり、持たせた厚みの内側を面で覆わないようにする「ふちのみ」といった設定もあります。「ふちのみ」は、[ノーマル] > [反転]を有効にすることで、外側を面で覆わないようにすることも可能です。
加えて、マテリアルインデックスにも対応していたり、外側・内側・ふちを対象にクリースを割り当てたり、凸部にベベルを行うことも可能です。
まとめ
今回は、「モディファイアー」について記載しました。
モディファイアーを使いこなせれば、モデリングの幅が広がったり、より効率的に作成できたりするメリットがあります。ぜひ積極的に活用してみて下さい。