3DCGソフトの中でもフリーソフトで高機能なBlenderには、作成したオブジェクトを平面画像にする「レンダリング」があります。
「レンダリング」では、3つのレンダーエンジンを備えていて、それぞれに特徴があります。
今回は、3つのレンダーエンジンの1つ「Cycles」のレンダープロパティの後編として記載していきます。なお、本内容は、V2.93時点のリリース物件に沿った内容となっています。
目次
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レンダープロパティ(Cycles)
ここでは、Cyclesのレンダープロパティの設定内容の後半の設定について説明していきます。
モーションブラー
Blenderのアニメーションは、デフォルトで完全な静止画像のシーケンスとしてレンダリングされます。そのため、動きの速いオブジェクトに対しては自然な動きに見せるため、モーションブラーを適用した方が良い場合があります。設定を有効にするには、チェックボックスをOnにします。 なお、モーションブラーを使用する際は、以下の2点に注意が必要です。
- オートスムースが有効になっているオブジェクトでは機能しない。
- カメラのモーションブラーは、正投影カメラでは機能しない。
設定内容 | 説明 |
位置 | 現在のフレームに対してシャッターが開くポイントを調整します。 実際のカメラでいうシャッター間隔に相当し、モーションブラーのかかり具合を変更できます。 【フレームで開始】 現在のフレームでシャッターが開き始めます。 【フレーム中解放】 現在のフレームでシャッターが全開になります。 【フレームで終了】 シャッターは現在のフレームで完全に閉じています。 |
シャッター | シャッターが開き始めてから完全に閉じるまでの時間(フレーム単位)です。 値が「1」の場合は、1フレームの長さにわたってぼやけるようになります。 |
ローリングシャッター | ローリングシャッターの効果を使用するかどうかを設定します。 【なし】 ローリングシャッターを使用しません。 【トップボトム】 ローリングシャッターを上から下にレンダリングします。 |
ローリングシャッター期間 | ローリングシャッターでのスキャンラインの露出時間です。純粋なローリングシャッター効果(値が「0」)と純粋なモーションブラー効果(値が「1」)のバランスを調整します。 注意点として、シーンにパーティクルまたは他の物理システムがある場合は、レンダリングする前に必ずそれらをベイク処理する必要があります。ベイク処理をしない場合は、正確または一貫したモーションブラーが得られない可能性があります。 なお、モーションブラーの設定については、オブジェクト毎に行う必要があります。[オブジェクトプロパティ] > [モーションブラー] を確認してください。 |
シャッターカーブ | シャッターの開閉方法を定義するカーブです。 横軸は時間で、縦軸はシャッターの開閉状態を示します。縦軸で「0」はシャッターが完全に閉じた状態、「1」はシャッターが完全に開いた状態を差します。 |
フィルム
フィルムでは、以下の設定があります。 ピクセルフィルターは、アンチエイリアシングの効果があります。画像をわずかにぼかしてエッジを柔らかくすることで実現されます。 透過は、レンダリング後に別の背景の上に画像を合成するために、背景を透明にします。
設定内容 | 説明 |
露出 | 画像の輝度スケールで、画像の明るさを変更するための設定です。 カラーマネジメントパネルにある露出オプションとは異なり、この露出オプションは、カラーマネジメント露出がビューにあるときにデータに対して機能します。 |
ピクセルフィルター > タイプ | ピクセルフィルターのアルゴリズムを以下の3種から選択します。 【ボックス】 フィルターは、ありません。 【ガウシアン】 平滑させるスムーズフィルターです。 【ブラックマンハリス】 滑らかさと細かさのバランスがより良いフィルターです。 デフォルトの設定は、こちらになっています。 |
ピクセルフィルター > 幅 | タイプで設定したピクセルフィルターの幅です。 値が小さいほどレンダリング結果が鮮明になり、値が大きいほどエイリアシングが減少します。 |
透過 > ガラスを透過 | 別の背景の上にガラスを合成するために、透過する面を透明としてレンダリングします。 |
透過 > 粗さのしきい値 | 光が透過する部分の粗さがしきい値を超える表面は、不透明に保ちます。 |
パフォーマンス
設定内容 | 説明 |
スレッド > スレッドモード | レンダリングに使用する最大スレッド数(CPU)を以下のいずれかの方法で決定します。 【自動検知】 CPUを元にスレッドの数を自動的に決定します。 【固定】 レンダリングに使用するスレッドの最大数を手動で選択します。 レンダリング中に他の作業をする場合などに便利です。 |
スレッド > スレッド | レンダリング中に同時に使用するCPUコアの最大数です。 「スレッドモード」が「固定」の時に、任意の設定が可能です。 |
タイル > タイル X | レンダリングするタイルの横軸方向のサイズです。 CPUでのレンダリングでは、値が小さいほど高速になる傾向があります。 GPUでのレンダリングでは、値が大きいほど高速になる傾向があります。 |
タイル > タイル Y | レンダリングするタイルの縦軸方向のサイズです。 CPUでのレンダリングでは、値が小さいほど高速になる傾向があります。 GPUでのレンダリングでは、値が大きいほど高速になる傾向があります。 |
タイル > 順序 | タイルのレンダリングの順序です。 |
タイル > プログレッシブリファイン | 各タイルが完了するまでレンダリングする代わりに、画像全体を段階的に改善していきます。 レンダリングが若干遅くなるデメリットがある反面、好きな時にレンダリングを止めることができるメリットがあります。 アニメーションをレンダリングする場合は、この機能を無効にすることが推奨されます。 フレームを早期に停止することはできないためです。 |
アクセラレーション構造体 > 空間分離を使用 | サイズが異なるポリゴンが混在するシーンでのレンダリング速度が向上します。しかし、BVHのビルド時間が長くなります。 |
アクセラレーション構造体 > ヘアーBVHを使用 | ヘアー用に最適化された特殊なタイプのBVHを使用します。 有効にした場合は、メモリ消費量が増加しますが、レンダリング時間は短くなります。 |
アクセラレーション構造体 > BVHタイムステップ | このタイムステップ数でBVHの原型(プリミティブ)を分割して、レンダリング時間を短くします。ただし、メモリ消費量は増加します。 |
最終レンダー > バッファー保存 | 全レンダリングレイヤーをドライブ内のTempディレクトリに保存し、レンダリングが終了した後にそれらを戻します。これにより、レンダリング中のメモリ使用量を節約できます。特に多くのレンダーレイヤーとパスを使用する場合に効果的です。 |
最終レンダー > データ保存 | 再レンダリングとアニメーションレンダリングの高速化のため、レンダリング後にレンダリングデータをメモリに保持します。 |
ビューポート > ピクセルサイズ | ビューポートのレンダリングの解像度を制御します。特に、DPIが高いディスプレイでのビューポートのレンダリング高速化に役立ちます。 選択肢は「自動」「1x(100%)」「2x(50%)」「4x(25%)」「8x(12.5%)」です。 |
ビューポート > 開始ピクセル数 | プレビューのレンダリングを開始する解像度です。ビューポートのフルサイズまで、段階的に大きくします。 |
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ベイク
設定内容 | 説明 |
ベイク | 選択したオブジェクトの画像テクスチャをベイクします。 |
マルチレゾからベイク | マルチレゾリューションオブジェクトから、直接ベイクします。 |
ベイクタイプ | ベイクするパスの種類です。以下のものがあります。 【統合】 鏡面反射を除く全てのオブジェクトをベイクします。 結合されたパスに寄与するパスは、最終的なマップを形成するために個別に切り替えることができます。 【アンビエントオクルージョン(AO)】 AOをベイクします。 なお、シーン内のすべてのライトは無視されます。 【影】 影とライトをベイクします。 【ノーマル】 法線をRGB画像に焼き付けます。 【UV】 マップされたUV座標を使用します。これは、画像の赤と緑のチャネルで表されます。 青のチャネルは定数「1」でエンコードされますが、情報は保持されません。 【粗さ】 マテリアルの粗さのパスをベイクします。 【放射】 「エミッション」もしくは「マテリアルのグローカラー」をベイクします。 【環境】 選択したオブジェクトに環境(シーンに定義されたワールドサーフェスシェーダー)をベイクします。 【ディフューズ】 マテリアルのディフューズパスをベイクします。 【光沢】 マテリアルの光沢のパスをベイクします。 【伝播】 マテリアルの透過のパスをベイクします。 |
影響 > 照明 > 直接照明 | 直接照明の影響を追加します。 ベイクタイプを「統合」「ディフューズ」「光沢」「伝播」にした時のみ表示されます。 |
影響 > 照明 > 間接照明 | 間接照明の影響を追加します。 ベイクタイプを「統合」「ディフューズ」「光沢」「伝播」にした時のみ表示されます。 |
影響 > 寄与 > ディフューズ | ディフューズの影響を追加します。 ベイクタイプを「統合」にした時のみ表示されます。 |
影響 > 寄与 > 光沢 | 光沢の影響を追加します。 ベイクタイプを「統合」にした時のみ表示されます。 |
影響 > 寄与 > 伝播 | 透過の影響を追加します。 ベイクタイプを「統合」にした時のみ表示されます。 |
影響 > 寄与 > アンビエントオクルージョン | AOの影響を追加します。 ベイクタイプを「統合」にした時のみ表示されます。 |
影響 > 寄与 > 放射 | 放射の影響を追加します。 ベイクタイプを「統合」にした時のみ表示されます。 |
影響 > 寄与 > カラー | パスに色を付けます。 「カラー」のみを選択すると、パスの色が表示されます。これは、サーフェスのプロパティであり、サンプリングの絞り込みとは関係ありません。 「カラー」が選択されていない場合は、グレースケールで「直接照明」もしくは「間接照明」の影響を受けます。 「カラー」と、「直接照明」もしくは「間接照明」が選択されている場合は、選択した照明に対してカラーを付けます。 なお、この設定は、ベイクタイプを「ディフューズ」「光沢」「伝播」にした時のみ表示されます。 |
影響 > スペース | ベイクする法線空間を選択できます。 マテリアルの場合、既存の法線マップ設定の横にある画像テクスチャオプションで同じスペースを選択できます。 正しい結果を得るには、ここでの設定がベイク処理に使用された設定と一致している必要があります。 【オブジェクト】 オブジェクト空間で法線をベイクします。 オブジェクトの変換には依存しませんが、変形に依存します。 【タンジェント】 オブジェクトの変換や変形に関係なく、タンジェント空間で法線をベイクします。 なお、この設定は、ベイクタイプを「ノーマル」にした時のみ表示されます。 |
影響 > シズル R | 赤のチャンネルにベイクする軸です。 なお、この設定は、ベイクタイプを「ノーマル」にした時のみ表示されます。 |
影響 > シズル G | 緑のチャンネルにベイクする軸です。 なお、この設定は、ベイクタイプを「ノーマル」にした時のみ表示されます。 |
影響 > シズル B | 青のチャンネルにベイクする軸です。 なお、この設定は、ベイクタイプを「ノーマル」にした時のみ表示されます。 |
選択物→アクティブ | 選択したオブジェクトのシェーディングをアクティブオブジェクトにベイクします。 |
選択物→アクティブ > ケージ | ケージからアクティブオブジェクトに光を照射します。 ケージを使用しない場合、光はメッシュ法線に準拠します。平面にベイク処理する場合は推奨される方法です。 |
ケージオブジェクト | ケージとして使用するオブジェクトです。 ケージ押し出しを使用してアクティブオブジェクトからケージを計算する代わりになります。 ケージを「有効」にした時のみ表示されます。 |
選択物→アクティブ > 押し出し | 指定した距離だけ、ベイク時にアクティブオブジェクトを押し出します。 選択オブジェクトのメッシュ外側に近いポイントに合わせるのに役立ちます。 |
選択物→アクティブ > レイの最大距離 | アクティブオブジェクトと選択中のオブジェクト間でポイントを合わせる光の最大距離です。 「0」に設定すると、無制限になります。 |
出力 > ターゲット | ベイクされたマップを出力する場所です。 【画像テクスチャ】 アクティブな画像テクスチャノードに対応する画像データブロックにベイクします。 【頂点カラー】 メッシュのアクティブな頂点カラーレイヤーにベイクします。 他のオブジェクトタイプには頂点の色がないため、アクティブオブジェクトはメッシュである必要があることに注意が必要です。 |
出力 > 余白 | ポストプロセスフィルターとしてベイクされた結果の端を延長します。これにより、テクスチャの継ぎ目が柔らかくなります。 ターゲットで「画像テクスチャ」を選択した時のみ表示されます。 |
出力 > 画像をクリア | 有効にした場合、レンダリングをベイク処理する前に画像をクリアします。 ターゲットで「画像テクスチャ」を選択した時のみ表示されます。 |
グリースペンシル
グリースペンシルラインのレンダリングを制御する以下の設定が存在します。
設定内容 | 説明 |
アンチエイリアシングのしきい値 | エッジ検出のアルゴリズムのしきい値です。 値を大きくすると、一部がぼやける場合があります。 |
Freestyle
Freestyleは、オブジェクトの輪郭を線で描画できる機能です。チェックボックスをOnにすることで、以下の設定が有効になります。
設定内容 | 説明 |
ライン幅モード | 輪郭のライン幅を定義する方法を決めます。 【絶対】 ライン幅をピクセル単位で設定します。 【相対】 単位ライン幅を画像の表示縦解像度480ピクセルに比例して設定されます。 |
ライン幅 | レンダリング時のライン幅です。 ライン幅モードが「絶対」の際に、設定可能です。 |
カラーマネージメント
カラーマネージメントでは、作業している画面全体の色を簡単に変更する事が出来ます。以下の設定が存在します。
設定内容 | 説明 |
表示デバイス | 画像が表示されているデバイスの色空間を設定します。 【sRGB】 通常はこちらで問題はありません。 ほとんどのコンピューターモニターが、この色空間用に構成されています。 【Rec709】 HDTVで一般的に使用されています。 【XYZ】 デジタルプロジェクターで一般的です。 【DCI-P3】 デジタルプロジェクターで一般的です。 【なし】 カラーマネジメントを無効にできます。 |
ビュー変換 | 同じディスプレイデバイスで画像を表示する方法です。 【標準】 ディスプレイデバイスの変換以外に追加の変換は行いません。 多くの場合、非写実的なものや、特定の外観がすでに入力映像に組み込まれている映像編集に使用されます。 【フィルム】 写実的なものとハイダイナミックレンジカラーのより良い処理のためにある設定です。 【フィルムログ】 色に関する画像編集できるアプリケーションへのエクスポート、または非常に暗い領域と明るい領域を平坦化することによって画像を閲覧するために使用できます。 【Raw】 画像の閲覧を目的としていて、最終的なエクスポートは目的としていません。 色空間の変換なしで画像を提供します。 【偽色】 ダイナミックレンジを視覚化するために、画像の輝度のヒートマップを表示します。 |
ルック | アーティスティック用途の、ビュー変換前に適用される追加の変換を選択します。 |
露出 | 色空間変換の前に適用される画像の露出です。 |
ガンマ | 色空間変換の後に適用されるガンマ補正です。微調整の追加効果として機能します。 |
シーケンサー | シーケンサーが演算する色空間です。 デフォルトでは、シーケンサーはsRGB空間で動作しますが、合成ノードのような線形空間や別の色空間で動作するように設定することもできます。 色空間が異なると、色補正、クロスフェードなどの操作で異なる結果が得られます。 |
カーブを使用 | RGBカーブをビュー変換前に使用します。 |
参考URL
Blenderで実際にレンダリングする方法は、以下を参照ください。
「レンダーエンジン:Eevee」の設定を見たい場合は、以下を参照ください。
「レンダーエンジン:Cycles」の設定(「簡略化」まで)を見たい場合は、以下を参照ください。
「レンダーエンジン:Workbench」の設定を見たい場合は、以下を参照ください。
「出力プロパティ」の設定を見たい場合は、以下を参照ください。