【Blender】レンダーエンジンの1つ「Workbench」の設定内容

3DCGソフトの中でもフリーソフトで高機能なBlenderには、作成したオブジェクトを平面画像にする「レンダリング」があります。
「レンダリング」では、3つのレンダーエンジンを備えていて、それぞれに特徴があります。
今回は、3つのレンダーエンジンの1つ「Workbench」のレンダープロパティについて記載していきます。なお、本内容は、V2.93時点のリリース物件に沿った内容となっています。
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レンダープロパティ(Workbench)

ここでは、Workbenchのレンダープロパティの設定内容について説明していきます。

パフォーマンス

パフォーマンスでは、以下の設定が存在します。

設定内容説明
高品質な法線パフォーマンスは悪くなりますが、より高精度の法線と接線を使用します。

サンプリング

レンダリングの品質は、アンチエイリアシングの方法を変更することで調整できます。このアンチエイリアシングを行う時のサンプリング数を設定します。

なお、サンプリングには、3Dビューポート用、ビューポートレンダリング用、最終レンダリング用に3つがあります。3Dビューポート用の設定は、使用するシステムで最適に実行されるアンチエイリアシングの方法を指定します。ビューポートレンダリング用と最終レンダリング用の設定は、シーンごとに保存されます。

設定内容説明
レンダー最終的なレンダリング時におけるアンチエイリアシングの方法を設定します。
ビューポート3Dビューポートでのレンダリング時におけるアンチエイリアシングの方法を設定します。 

ちなみに、「レンダー」「ビューポート」における設定値については、以下を参考にしてください。

設定内容説明
アンチエイリアシング なしアンチエイリアシングを適用せずに、レンダリングを行います。
1パスアンチエイリアシング後処理のアンチエイリアシングパスでレンダリングされます。
マルチサンプル(5/8/11/16/32)

アンチエイリアシングは、複数のレンダリングからサンプリングされます。

なお、細かい部分をレンダリングするのに適した設定です。

また、3Dビューポートの場合は、一度に1つのサンプルがレンダリングされます。シーンまたはビューポートに変更がない場合、次のサンプルがレンダリングされます。

照明

Workbenchでは、シーンのライトを使用しません。そのため、照明を使用する際は、照明パネルで設定することになります。

以下の設定が存在します。

設定内容説明
スタジオ

スタジオライトを使用してオブジェクトを照らします。プレビューをクリックすると、設定可能なライティングを選択することができます。

【ワールド空間ライティング】
ライトはワールド空間のライティングになるため位置は固定となり、カメラを追従しません。

【回転】
スタジオライトをZ軸で回転させます。単位は、ラジアルです。

MatCap

マテリアルキャプチャを使用して、シーン内のオブジェクトを照らします。プレビューをクリックすると、設定可能なマテリアルを選択することができます。

プレビュー横にある「Matcatを反転」ボタン(<->)をクリックすると、Matcapを水平方向に反転できます。

フラットライトは設定されず、シーンのベースカラーがレンダリングされます。

カラー

カラーでは、レンダリング時に使用する色を変更できます。 以下の設定が存在します。

設定内容説明
マテリアル[マテリアルプロパティ] > [ビューポート表示] で設定した色をオブジェクト毎に表示します。
オブジェクト[オブジェクトプロパティ] > [ビューポート表示] で設定した色をオブジェクト毎に表示します。
頂点

オブジェクトのアクティブな頂点の色を表示します。

オブジェクトにアクティブな頂点の色がない場合は、[オブジェクトプロパティ] > [ビューポート表示] で設定した色でレンダリングします。

シングル単一の色を使用してシーン全体をレンダリングします。
ランダムシーン内のすべてのオブジェクトに対してランダムにカラーが選択されます。
テクスチャ

アクティブなテクスチャを表示します。

オブジェクトにアクティブなテクスチャがない場合は、[マテリアルプロパティ] > [ビューポート表示] で設定した色でレンダリングされます。

オプション

オプションでは、上記を除く追加機能を設定できます。以下の設定が存在します。

設定内容説明
裏面を非表示背面カリングを使用して、面の裏側を隠します。
透過スライダーで設定した透明度で、シーンを透過させます。

シーンに、シャープな影をレンダリングします。なお【影の方向】以降の設定は、スライダー横の歯車マークを押下すると、表示される設定です。

【暗さ】
スライダーにより、影をどの程度暗くするかを定義します。 値が小さいほど薄く、大きいほど濃い影が生成されます。

【影の方向】
影を落とす光源の方向を調整します。

【影をシフト】
影の終端角度を調整します。
セルフシャドウの歪みを制限するために使用できます。

【影のフォーカス】
影のエッジ近くの減衰具合を制御します。

キャビティ

シーンのジオメトリの尾根と谷を強調表示します。

【タイプ】
キャビティをどのような方法で算出するかを設定します。

■ワールド
より正確な算出ができますが、処理は遅くなります。大スケールの遮蔽物で便利です。

■スクリーン
曲率を元にしたシェーディングです。
細かい部分を見やすくしたい時に便利です。
また、高速に処理されますが、尾根と谷のサイズは考慮されていません。

■両方
両エフェクトを同時に使用します。

【尾根】
尾根の可視性を制御します。

【谷】
谷の可視性を制御します。

被写界深度

アクティブなカメラの被写界深度の設定をビューポートで使用します。カメラを通して見たときにのみ表示されます。

設定は、カメラを選択時の[オブジェクトデータプロパティ] > [被写界深度] にあります。

アウトラインビューポート内でオブジェクトがレンダリングされる際の、オブジェクトの輪郭の色を調整します。
スペキュラー照明

スペキュラーハイライトをレンダリングします。

ただし、前述の「照明」が「スタジオライト」を設定 もしくは「スペキュラーパスを含むMatCap」が選択されている場合にのみ使用できます。

フィルム

フィルムでは、以下の設定が存在します。

設定内容説明
透過他の背景の上にレンダリング画像を合成できるように、背景を透過するようになります。
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簡略化

プレビューレンダリングを高速化するために簡略化させることができます。チェックボックスをOnにすることで、以下の設定が有効になります。

設定内容説明
ビューポート >
最大細分化数
細分割を簡略化した時の最大細分化数です。
ビューポート >
子パーティクル数最大

子パーティクルの百分率です。

指定したパーセンテージで、子パーティクルを省略します。

ビューポート >
ボリューム解像度

ボリュームオブジェクトの解像度の百分率です。

指定したパーセンテージで、ボリュームを簡略化します。 

レンダー >
最大細分化数
レンダリング中の簡略化した時の最大細分化数です。
レンダー >
子パーティクル数最大

レンダリング中の子パーティクルの百分率です。

指定したパーセンテージで、子パーティクルを省略します。

グリースペンシル
> 再生のみ
アニメーション再生中のみ、グリースペンシルを簡略化します。
グリースペンシル
>
フィル
ビューポートにフィルストロークを表示します。
グリースペンシル
>
モディファイアー
モディファイアーを表示します。
グリースペンシル
>
シェーダーエフェクト
シェーダーエフェクトを表示します。
グリースペンシル
>
レイヤーのチント
レイヤーチントを表示します。
グリースペンシル
>
アンチエイリアシング
ストロークの縁のスムージングにアンチエイリアシングを使用します。

グリースペンシル

グリースペンシルラインのレンダリングを制御する以下の設定が存在します。

設定内容説明
アンチエイリアシングのしきい値

エッジ検出のアルゴリズムのしきい値です。

値を大きくすると、一部がぼやける場合があります。

Freestyle

Freestyleは、オブジェクトの輪郭を線で描画できる機能です。チェックボックスをOnにすることで、以下の設定が有効になります。

設定内容説明
ライン幅モード

輪郭のライン幅を定義する方法を決めます。

【絶対】
ライン幅をピクセル単位で設定します。

【相対】
単位ライン幅を画像の表示縦解像度480ピクセルに比例して設定されます。

ライン幅

レンダリング時のライン幅です。

ライン幅モードが「絶対」の際に、設定可能です。

カラーマネージメント

カラーマネージメントでは、作業している画面全体の色を簡単に変更する事が出来ます。以下の設定が存在します。

設定内容説明
表示デバイス

画像が表示されているデバイスの色空間を設定します。

【sRGB】
通常はこちらで問題はありません。
ほとんどのコンピューターモニターが、この色空間用に構成されています。

【Rec709】
HDTVで一般的に使用されています。

【XYZ】
デジタルプロジェクターで一般的です。

【DCI-P3】
デジタルプロジェクターで一般的です。

【なし】
カラーマネジメントを無効にできます。

ビュー変換

同じディスプレイデバイスで画像を表示する方法です。

【標準】
ディスプレイデバイスの変換以外に追加の変換は行いません。
多くの場合、非写実的なものや、特定の外観がすでに入力映像に組み込まれている映像編集に使用されます。

【フィルム】
写実的なものとハイダイナミックレンジカラーのより良い処理のためにある設定です。

【フィルムログ】
色に関する画像編集できるアプリケーションへのエクスポート、または非常に暗い領域と明るい領域を平坦化することによって画像を閲覧するために使用できます。

【Raw】
画像の閲覧を目的としていて、最終的なエクスポートは目的としていません。
色空間の変換なしで画像を提供します。

【偽色】
ダイナミックレンジを視覚化するために、画像の輝度のヒートマップを表示します。

ルックアーティスティック用途の、ビュー変換前に適用される追加の変換を選択します。
露出 色空間変換の前に適用される画像の露出です。
ガンマ

色空間変換の後に適用されるガンマ補正です。

微調整の追加効果として機能します。

シーケンサー

シーケンサーが演算する色空間です。

デフォルトでは、シーケンサーはsRGB空間で動作しますが、合成ノードのような線形空間や別の色空間で動作するように設定することもできます。

色空間が異なると、色補正、クロスフェードなどの操作で異なる結果が得られます。

カーブを使用RGBカーブをビュー変換前に使用します。

参考URL

Blenderで実際にレンダリングする方法は、以下を参照ください。

【Blender】作成した3Dオブジェクトを平面に落とす「レンダリング」の使い方

「レンダーエンジン:Eevee」の設定を見たい場合は、以下を参照ください。

【Blender】レンダーエンジンの1つ「Eevee」の設定内容

「レンダーエンジン:Cycles」の設定(「簡略化」まで)を見たい場合は、以下を参照ください。

【Blender】レンダーエンジンの1つ「Cycles」の設定内容①

「レンダーエンジン:Cycles」の設定(「モーションブラー」以降)を見たい場合は、以下を参照ください。

【Blender】レンダーエンジンの1つ「Cycles」の設定内容②

「出力プロパティ」の設定を見たい場合は、以下を参照ください。

【Blender】レンダリングに必要な「出力プロパティ」の設定内容
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