動画編集ソフトのDaVinci Resolveでは、ページ毎に役割を設けて、やれることを分けています。
今回は、その中でも編集に関わるカラーページの「クオリファイアーパレット」について、前編(本記事)と後編(リンク)に分けて、まとめていこうと思います。
なお、ここで紹介する内容は、DaVinci Resolve Studio 18 に基づいた内容になっています。
クオリファイアー
後述していますが、実施結果をビューアで確認したい場合は、ハイライトモードを有効にすると良いです。
ハイライトモードには、以下のモードがあります。
モード名 | 説明 |
ハイライト | 選択された部分のイメージはオリジナルのカラー、選択されていない部分のイメージはフレットなグレーで表示されます。 「Shift + H」でも切り替えることができます。 |
白黒ハイライト | 選択された部分はホワイト、選択されていない部分はブラックで表示されます。 「Shift + Alt + H」でも切り替えることができます。 |
差のハイライト | 選択されている箇所とされていない箇所の差分で、キーのエッジがどのように合成されているかの確認に役立ちます。 「Shift + Ctrl + H」でも切り替えることができます。 |
概要
クオリファイアーは、映像から特定の色を選択し、その色を基に映像を分割(キーイング)することができます。
これにより、選択した色の部分だけを個別にカラーグレーディングすることが可能になります。
注意してほしいのは、クオリファイアーでできることは、基本的にグレーディングする箇所を設定することのみです。
そのため、抜き出した箇所に対して、実際にグレーディングするには、後段に別のノードを追加して使うことになります。
また、「クオリファイアー」の後に「ウィンドウ」を追加することで、ウィンドウの交わる部分に限定されるなどの連携もできます。
なお、「ノードにあるどの端子に、どう接続するか?」によって得られる結果も変わりますが、この点は「ノードエディター」に関する別記事でまとめる予定です。
使い方
前提知識
キーイングの際は、以下の4つのモードを利用できます。
モード | 説明 |
HSL | サンプリングした色の「範囲」や「ソフトネス」の微調整が行いやすい基本的なツールです。 色相、彩度、輝度を基に、色を調整できます。 |
RGB | 赤、緑、青のチャンネルを基に、色を調整できます。 主にディスプレイやテレビ、コンピュータの画面などの色の表現に使われます。 |
LUM | 色の明るさのみを基に、色を調整できます。 UIは、HSLのUIを色相/彩度を無効にして使えなくした状態です。 |
3D | 3D空間内で、色を調整できます。 そのため、奥行も考慮できるので、「背景など特定の色のみ変更する」ということが可能になります。 |
また、インターフェースは以下(デフォルトの「HSL」モードの場合)のようになっており、大きく以下の4つからなっています。
No | 名称 | 説明 |
① | ピッカーツール | 色をサンプリングする際に利用するツール群です。 |
② | 選択範囲ツール | サンプリングするキーの情報を定義するモードを切り替えることができます。 |
③ | コントロールエリア | ドラッグ操作と数値入力でサンプリングしたキーを微調整できます。 |
④ | マットフィネス | キーイングされた箇所をより自然でシームレスに合成するための詳細な設定ができます。 |
そこで、ここでは次の内容についてまとめます。ただし、一部は後編(別記事を作成予定)で扱います。
- 各モードで共通するツールとして「ツールバー」に存在する「ピッカーツール」
- 「HSL」「RGB」「LUM」「3D」の各モードの使い方
- 各モードで共通するパラメータとして右側に存在する「マットフィネス」
ピッカーツール
各モードに共通するUIとして、以下のツールがあります。
キーイングする色をサンプリングするために重要なツールで、いずれのツールもクリック(ドラッグ)による選択が可能です。
ツール | 説明 |
ピッカー | 全ての起点になるツールのため、必ず初めに使用しなければなりません。 選択された箇所のキー範囲を取得できます。 |
ピッカー(+) ピッカー(-) | すでに選択されているキー範囲に対して、微調整を行います。 選択済みの情報に、選択されたキー範囲を追加・除外します。 |
フェザー(+) フェザー(-) | キー範囲の境界となる箇所のソフトネスを設定します。 選択したキー範囲の内側から外側にかけての三角形で表示されます。 |
反転 | 選択済みのキーと選択していないキーを反転します。 |
HSL
以下の方法で、キーイングすることができます。
- 「HSL」モードで「ピッカー」を選択する。
- ビューア上で、対象としたい色の場所をクリックする。
- クリックの代わりにドラッグしても良いです。
- クリックの代わりにドラッグしても良いです。
- ハイライトモードを有効にする。
- キー範囲を調整する。
- 「コントロールエリア」「ピッカー(+)」「ピッカー(-)」を利用します。
- 「コントロールエリア」「ピッカー(+)」「ピッカー(-)」を利用します。
- キー範囲の境界部のソフトネスを調整する。
- 「コントロールエリア」「フェザー(+)」「フェザー(-)」を利用します。
- 「コントロールエリア」「フェザー(+)」「フェザー(-)」を利用します。
- 「マットフィネス」で設定を調整する。
- より精度が高い合成のために行う「キーイングした箇所に対する微調整」です。
- より精度が高い合成のために行う「キーイングした箇所に対する微調整」です。
- ハイライトモードを無効にする。
なお、「コントロールエリア」でのキー範囲の調整は、以下のいずれかを行うことができます。
- 設定されたキー範囲をドラッグして、キー範囲の移動。
- 設定されたキー範囲の両端の上半分をドラッグして、キー範囲の拡張/縮小。
- 設定されたキー範囲の両端の下半分をドラッグして、キー範囲のソフトネスを調整。
また、設定調整をする各種パラメータは、以下を参照してください。
パラメータ | 説明 |
色相 > 中心 | 分離する色相範囲の中心を指定します。 |
色相 > 幅 | 分離する色相範囲の幅を指定します。 |
色相 > ソフト | 色相範囲の両端のフォールオフの範囲を指定します。 |
色相 > 対称度 | 値を下げると、色相範囲の右側のソフトネスが急勾配になります。 値を上げると、色相範囲の左側のソフトネスが急勾配になります。 |
彩度 > 低/高 | 分離する彩度範囲の上限/下限を指定します。 |
彩度 > 低ソフト/高ソフト | 彩度範囲の上限/下限のソフトネスを指定します。 |
輝度 > 低/高 | 分離する輝度範囲の上限/下限を指定します。 |
輝度 > 低ソフト/高ソフト | 輝度範囲の上限/下限のソフトネスを指定します。 |
RGB
基本的な使い方は、「HSL」モードと同様です。
設定調整をする各種パラメータは、以下を参照してください。
パラメータ | 説明 |
赤 > 低/高 | 分離する赤チャンネルの上限/下限を指定します。 |
赤 > 低ソフト/高ソフト | 現在選択している赤の範囲の上限/下限のソフトネスを指定します。 |
青 > 低/高 | 分離する青チャンネルの上限/下限を指定します。 |
青 > 低ソフト/高ソフト | 現在選択している青の範囲の上限/下限のソフトネスを指定します。 |
緑 > 低/高 | 分離する緑チャンネルの上限/下限を指定します。 |
緑 > 低ソフト/高ソフト | 現在選択している緑の範囲の上限/下限のソフトネスを指定します。 |
商品情報
公式HPでは、無料版もダウンロードできます。
無料版は、試用期間のようなものではなく、永続的に無料で使い続けることができます。
また、無料版とは言え、プライベートで利用する場合は十分すぎる機能を有しています。
まとめ
今回は、DaVinci Resolveの「カラーページ」のうち、「クオリファイアーパレット」についてまとめてみました。
後編(別記事を作成予定)もありますので、2つの記事がDaVinci Resolveを使用する際のヒントになれば幸いです。