動画編集ソフトのDaVinci Resolveでは、ページ毎に役割を設けて、やれることを分けています。
今回は、その中でも素材管理に関わるメディアページの「インスペクタの設定内容」について、チュートリアルとしてまとめていこうと思います。
なお、ここで紹介する内容は、バージョン18のDaVinci Resolve に基づいた内容になっています。
設定内容
インスペクタで設定できる内容をまとめていきます。
ビデオ
ビデオパネルでは、動画素材の解像度や合成、レンズ補正などを行うためのさまざまな設定が備わっています。
変形
クリップのサイズ変更や位置変更を行うための以下のパラメータです。
項目 | 説明 |
ズーム X、Y | 素材を拡大/縮小を、元の素材を1倍とした時の倍率で設定します。 また、XとYのパラメーターは、XとYの設定の間にあるクリップマークによりリンクさせることもできます。 リンクさせることで、イメージの縦横比(アスペクト比)を固定させて拡大/縮小を行うことができます。 |
位置 X、Y | 素材を描画する範囲内における素材の位置を設定します。 |
回転アングル | 回転させる基点(アンカーポイント)を中心にイメージを回転させることができます。 単位は度(degree)で、範囲は-360 ~ 360です。 |
アンカーポイント X、Y | 変形させる際の基点となる点の座標を設定します。 |
ピッチ | 表示されている素材において、Y軸の中央に位置するX軸を基軸として、回転させます。 【正の値(0 ~ 1.500)】 【負の値(0 ~ -1.500)】 |
ヨー | 表示されている素材において、X軸の中央に位置するY軸を基軸として、回転させます。 【正の値(0 ~ 1.500)】 【負の値(0 ~ -1.500)】 |
反転 | 2つのボタンでイメージを異なる方法で反転させます。 【左右】 【上下】 |
クロップ
イメージの一部を切り取り削る「クロップ」に関するパラメータです。
ダイナミックズーム
「ダイナミックズーム」を使用することで、「ズーム」の操作を簡単に実行することができます。
「ダイナミックズーム」をオンにすると、以下の2つの設定が有効になります。
項目 | 説明 |
イーズ | 動きの付け方を以下から選択します。
|
反転 | イーズで設定した内容の「開始」と「終了」を逆にします。 |
合成
合成モードは、タイムライン上で素材Aに重ねている(スーパーインポーズしている)素材Bに対しても使用できます。
項目 | 説明 |
合成モード | スーパーインポーズされた素材を合成する際の合成モードの種類を27種類+αの中から選択します。 なお、デフォルト設定となっている「通常」は、合成モードが適用されないことを意味します。 |
不透明度 | 合成モード適用された素材の透明度を設定します。 |
速度変更
メディアページでは非活性状態となり、設定内容の確認・編集ができません。
スタビライゼーション
メディアページでは非活性状態となり、設定内容の確認・編集ができません。
レンズ補正
本設定は、有料版のStudioでのみ正式サポートしています。無料版では、「DAVINCI RESOLVE STUDIO」の文字が表示されてしまいます。
レンズの歪みを補正する2つの設定があります。
逆に、意図的にレンズの歪みを表現することもできます。
項目 | 説明 |
分析 | 再生ヘッドの位置の映像で、広角レンズによるエッジの歪みが想定される場合に、自動で分析・補正が行われます。 |
歪み | 自動補正結果の微調整を含む「意図的な歪み調整」をしたい時に利用します。 【正の値(0 ~ 1.000)】 【負の値(0 ~ -1.000)】 |
リタイムとスケーリング
素材のリタイムとスケーリングに関する4つの設定があります。
いずれも、デフォルト設定は「プロジェクト設定」となっています。
項目 | 説明 |
リタイム処理 | 「異なるフレームレートが混ざっているタイムラインのクリップ処理」や「速度変更が施されたクリップ処理」の方法をクリップごとに設定できます。 デフォルトを除いた設定は、以下になります。
基本的には、ニアレストからオプティカルフローにかけて滑らかになります。そのため、オプティカルフローに設定して、不自然な箇所が出てきたら「フレームブレンド」「ニアレスト」に変更していくのが良いでしょう。 |
動き推定 | リタイム処理で「オプティカルフロー」を選択した時に有効になります。 デフォルトを除いた設定は、以下になります。
このうち、「標準(xx優先)」は旧バージョンのDaVinci Resolveから引き継いだオプションです。リソースの使用効率も良く、場面場面に適した品質に調整されます。 |
スケーリング | プロジェクトで設定されている解像度と一致しない素材を用いる際にどう処理するかを設定します。 デフォルトを除いた設定は、以下です。
なお、ストレッチを除き、素材のアスペクト比は維持されます。 |
リサイズフィルター | 素材をリサイズする際のピクセル補間の方法を設定します。 デフォルトを除いた設定は、以下です。
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オーディオ
オーディオ編集でよく実施される4つ設定が備わっています。他にも「速度変更」の設定がありますが、有効のままで設定の確認・編集はできません。
ボリューム
スライダーにより、「-100.00」から「30.00」の間で音量を設定します。
パン
スライダーにより、「-100.00」から「100.00」の間で定位を設定します。
ピッチ
速度を変えずに、音程を変更できます。
「半音」では「-24」から「24」の間で変更でき、「セント」では「-100」から「100」の間で変更できます。
EQ
4バンドのパラメトリックEQで設定します。
バンド毎に、以下のようにフィルタータイプが設定可能です。
バンド | ハイパス | ローシェル | パラメトリック | ノッチ | ハイシェル | ローパス |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
2 | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
3 | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
4 | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
また、フィルタータイプ毎に設定できる内容も異なります。
フィルター タイプ | 周波数 | ゲイン | Q |
ハイパス | 〇 | × | × |
ローシェル | 〇 | 〇 | × |
パラメトリック | 〇 | 〇 | 〇 |
ノッチ | 〇 | × | × |
ハイシェル | 〇 | 〇 | × |
ローパス | 〇 | × | × |
エフェクト
メディアページでは、設定変更できません。
トランジション
メディアページでは、設定変更できません。
イメージ
DaVinci ResolveがサポートするRAWフォーマットに関する設定が備わっています。
書き込まれたオリジナルのカメラメタデータを上書きし、プロジェクト内のすべてのカメラRAWメディアを同時に調整できます。
ファイル
クリップの情報の内、参照頻度が多そうな設定を抜粋してまとめています。この情報には、編集出来る項目もあります。
このタブは、下記の通り構成されています。
クリップのデータ形式
以下のデータを表示しています。これらのデータについては、ファイルパネルでの編集は不可です。
- クリップ名
- 動画の長さ
- ビデオコーデック
- フレームレート
- 解像度
- オーディオコーデック
- サンプルレート
- オーディオフォーマット
メタデータ
以下のデータを表示しています。これらのデータについては、ファイルパネルでの編集は可能です。
項目 | 説明 |
タイムコード | クリップの開始タイムコードです。 |
作成日 | クリップが作成された日付です。 |
カメラ | カメラナンバーのメタデータを設定します。 |
リール | Reel/Card IDを設定します。 |
シーン | クリップのシーン番号です。 |
ショット | クリップのショット文字/番号。 |
テイク | クリップのテイク番号です。 |
グッドテイク | このチェックボックスは、そのクリップがグッドテイクとするものを判断するのに適しています。 メディアストレージやメディアプールにて、グッドテイクの列を表示させることで、並び替えなどにも役立ちます。 |
クリップカラー | クリップに特定の色を割り当てることができます。 割り当てた色は、タイムラインに反映されます。 |
名前 | 手動で入力することができ、プロジェクト全体の「クリップ名」フィールドを変更します。 |
コメント | 補足事項などがあれば、テキストを追加できます。 |
次の未分類クリップを自動選択 | 有効時は、メタデータフィールドの入力後にEnterボタンを押すことで、メディアプール内の次のクリップが選択されます。 選択された際のカーソル位置は、選択前の位置と同じ場所になります。 |
次のクリップ | メディアプール内の次のクリップを選択します。 |
商品情報
公式HPでは、無料版もダウンロードできます。
無料版は、試用期間のようなものではなく、永続的に無料で使い続けることができます。
また、無料版とは言え、プライベートで利用する場合は十分すぎる機能を有しています。
まとめ
今回は、DaVinci Resolveのページのうち、「メディアページ」の「インスペクタの設定内容」についてまとめてみました。
DaVinci Resolveを使用する際のヒントになれば幸いです。