動画編集ソフトのDaVinci Resolveでは、ページ毎に役割を設けて、やれることを分けています。
今回は、その中でもオーディオ編集に関わるFairlightページの「ミキサーのフローティングウィンドウ(除:ダイナミクス)」についてまとめていこうと思います。
なお、ここで紹介する内容は、DaVinci Resolve Studio 18 に基づいた内容になっています。
フローティングウィンドウの説明
ここでは、ミキサーのUIの中で表示できるフローティングウィンドウの内容についてまとめます。
全4種ありますが、本記事では「ダイナミクス」は扱いません。
「ダイナミクス」については、「ミキサー:概要とUIについて②(リンク)」を参照下さい。
EQ
EQのフローティングウィンドウは、以下のようになっています。
フローティングウィンドウでは、6バンドのパラメトリック・イコライザーでイコライジングの設定できます。
マスターコントロール
特定のエフェクトに属さず、ユーザーが設定できるコントロールには、以下のようなものがあります。
- 有効/無効のトグルスイッチ
- リセットボタン
- プリセットメニュー
- プリセットの作成・編集・保存ができます。
- プリセットの作成・編集・保存ができます。
- EQの種類
- 以下のミキシングコンソールのEQ特性(メーカーによる違い)をエミュレートすることができます。
- Earth:DaVinci Resolve独自の特性
- Air:SSL 4Kをエミュレート
- Ice:Neve Vをエミュレート
- Fire:Focusriteをエミュレート
- Earth:DaVinci Resolve独自の特性
- 以下のミキシングコンソールのEQ特性(メーカーによる違い)をエミュレートすることができます。
- ゲイン(フェーダー)
- 最終的な全体の音量を調整します。
「グラフィックEQコントロール」と「バンド設定コントロール」
周波数に対しての音量バランスは、ウィンドウ上部にある「グラフィックEQコントロール」とウィンドウ下部の「バンド設定コントロール」のいずれかで調整することができます。
なお、双方のコントロールは連動しており、片方の変更はもう一方にリアルタイムに反映されます。
「グラフィックEQコントロール」ではカーブを確認することができ、各EQのバンドをドラッグ操作にて直感的に調整することができます。
「バンド設定コントロール」では、6つあるバンドのうち有効にしたバンドに対して、以下からバンドのタイプを選択してEQの調整を行うことができます。
タイプ | 参考画像 |
ハイパス | |
ローシェルフ | |
ベル | |
ノッチ | |
ハイシェルフ | |
ローパス |
なお、「ハイパス」は「バンド1」でのみ、「ローパス」は「バンド6」でのみ選択可能です。
そして、「ノッチ」は「バンド1」「バンド6」では選択できません。
また、各バンドは以下のEQコントロールを持ちます。
コントロール | 説明 |
バンド名 | 有効/無効を切り替えることができます。 |
バンドフィルターの種類 | 上記の6つあるバンドタイプから1つを選択できます。 |
周波数 | EQ調整する周波数帯域です。 「グラフィックEQコントロール」上では、番号で示されます。 |
L、ML MH、H | あらかじめ設定されたコントロールポイントの位置を設定します。 それぞれ「Low」「Medium Low」「Medium High」「High」を意味しています。 本設定は、バンドタイプの「ハイパス」「ローパス」では表示されません。 |
ゲイン | 指定した周波数帯域のレベルです。 「グラフィックEQコントロール」上では、高さで示されます。 本設定は、バンドタイプの「ローシェルフ」「ハイシェルフ」「ベル」でのみ表示されます。 |
Qファクター | 設定の影響を受ける周波数帯の幅を調整します。 本設定は、バンドタイプの「ローシェルフ」「ハイシェルフ」「ベル」でのみ表示されます。 |
バスセンド
バスセンドのフローティングウィンドウは、以下のようになっています。
フローティングウィンドウでは、センド信号に対する以下の設定できます。
コントロール | 説明 |
オン | 「バスセンド」の有効/無効を切り替えます。 |
プリ | 有効時は、フェーダーを通す前の信号をバスに送ります。(プリフェーダー) 無効時は、フェーダーを通す後の信号をバスに送ります。(ポストフェーダー) |
センドレベル | バスセンドに送る音量(信号の大きさ)を調整します。 |
パン | バスセンドに送る信号の定位を調整します。 |
パン
パンのフローティングウィンドウは、2種類存在します。
1つ目は、ステレオもしくはサラウンドの時で以下になります。
コントロールは以下になります。
コントロール | 説明 |
左 / 右 | トラックの種類に応じて、左右に送られる信号のバランスを変更します。 |
前 / 後 | トラックの種類に応じて、前後に送られる信号のバランスを変更します。 |
回転 | 部屋の中心を軸として、サラウンドミックスを回転させることで、前後左右の定位を同時に調整します。 |
スプレッド | リンクグループが選択されている場合のみ使用でき、空間の範囲を調整します。 |
ダイバージェンス | サラウンドのソースを認識できる範囲を調整できます。 |
LFE | LFE(低周波数域)へのトラック送信レベルを調整します。 また、以下の2つのボタンがあります。
|
2つ目は、3Dポジションで以下になります。
こちらは、「Alt + ダブルクリック」で開くことができるウィンドウです。
「Atmos」「Auro 3D」「NHK 22.2」と言ったより高度なサラウンドフォーマットに対応しています。
3Dポジションでのコントロールは以下になります。
コントロール | 説明 |
前(パンナー) | 前から見た時の絵になっていて、「U:上」「D:下」「L:左」「R:右」を表しています。 |
横(パンナー) | 横から見た時の絵になっていて、「U:上」「D:下」「F:前」「B:後」を表しています。 |
上(パンナー) | 上から見た時の絵になっていて、「F:前」「B:後」「L:左」「R:右」を表しています。 |
左 / 右 | トラックの種類に応じて、左右に送られる信号のバランスを変更します。 |
前 / 後 | トラックの種類に応じて、前後に送られる信号のバランスを変更します。 |
上 / 下 | トラックの種類に応じて、上下に送られる信号のバランスを変更します。 右側の下3つのボタンを選択している場合は、自動で設定されるようになります。 |
回転 | 部屋の中心を軸として、「高さ」を維持してサラウンドミックスを回転させることで、前後左右の定位を同時に調整します。 |
ティルト | 部屋の中心を軸として、右手前から左奥を結ぶ「斜めの軸」を維持してサラウンドミックスを回転させることで、前後左右上下の定位を同時に調整します。 |
スプレッド | リンクグループが選択されている場合のみ使用でき、空間の範囲を調整します。 |
ダイバージェンス | サラウンドのソースを認識できる範囲を調整できます。 また、付随している「2D」ボタンの効果は以下です。
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LFE | LFE(低周波数域)へのトラック送信レベルを調整します。 また、以下の2つのボタンがあります。
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作業効率向上のためのテクニック(範囲指定 or トラック毎に適用)
ここでは、パフォーマンス向上やエフェクト最大適用数に達した時の回避策として、利用できるテクニックを2つ紹介します。
いずれも、メニューの[タイムライン]に存在するバウンスのコマンドです。
なお、バウンスされたオーディオデータは、[プロジェクト設定] > [キャプチャー・再生] > [キャプチャー] > [クリップの保存先]で設定されているディレクトリに保存されます。
選択したトラックを新規レイヤーにバウンス
以下の手順で、各トラックにおけるレイヤーの最上段にバウンスされたファイルが追加されます。
- タイムラインで、バウンスしたい範囲を指定する。
- 単一トラックでも複数のトラックに渡っても問題ありません。
- 単一トラックでも複数のトラックに渡っても問題ありません。
- メニューの[タイムライン] > [選択したトラックを新規レイヤーにバウンス]を選択する。
ミックスをトラックにバウンス
以下の手順で、指定したトラックに指定されたミックス内容のバウンスされたファイルが追加されます。
- メニューの[タイムライン] > [選択したトラックを新規レイヤーにバウンス]を選択する。
- 表示されたフローティングウィンドウで、バウンスしたいミックスの内容の「配置先トラック」を設定する。
- 「OK」ボタンを押下する。
【参考情報】サードパーティーのミキシングコントローラーの利用
DaVinci Resolveは、「HUI」もしくは「MCU」に対応しているサードパーティ製のミキシングコントローラーを利用することができます。
ただし、対応できるフェーダーは、最大8つまでです。
例えば、「Mackie Universal Control Surface」がマニュアルなどで公式に明記され、[環境設定] > [コントロールパネル]で設定できます。
また、Solid State Logicのサポートサイトでは「SSL UF8」をDaVinci Resolveで利用する方法も掲載されています。(リンク)
商品情報
公式HPでは、無料版もダウンロードできます。
無料版は、試用期間のようなものではなく、永続的に無料で使い続けることができます。
また、無料版とは言え、プライベートで利用する場合は十分すぎる機能を有しています。
まとめ
今回は、DaVinci Resolveの「Fairlightページ」のうち、「ミキサーのフローティングウィンドウ(除:ダイナミクス)」についてまとめてみました。
DaVinci Resolveを使用する際のヒントになれば幸いです。