動画編集ソフトのDaVinci Resolveでは、ページ毎に役割を設けて、やれることを分けています。
今回は、その中でも3D編集やアニメーション作成などに関わるFusionページの「ビューア」の使い方をチュートリアルとしてまとめていこうと思います。
ボリュームが多いので、前編/後編に分けてまとめています。
なお、ここで紹介する内容は、DaVinci Resolve Studio 18 に基づいた内容になっており、同社のFusion Studioのための内容としてはまとめていません。
本題の前に
ビューアでは、ノードエディターでのノードの出力映像の他、サブビューやオンスクリーンコントロールなどが利用できます。
本記事は、ビューアで可能な操作や設定値の説明など、詳細な内容について記載しています。
そのため、UIの概略や本記事に載っていない情報は、「Fusionページ~UIの概要:ビューア、タイムルーラー、トランスポート、ツールバー~(リンク)」も参照ください。
ビューア上の操作
ノードの表示
ノードエディターで表示されているノードのうち表示させるように設定をしているノードの出力が表示されます。
具体的には、ノードエディター上に設置されているノードに対してマウスオーバーをすると、ノードの左下に「黒丸」が表示されます。
これを選択して「白丸」にすると、選択した位置に応じたビューアに表示されます。
また、「白丸」を選択して「黒丸」にすると、対象のビューアがオフになります。
- メニューの[ワークスペース] > [デュアルスクリーン] > [オン]を選択を外しておく。
- メニューの[ワークスペース] > [ビデオクリーンフィード] で、セカンダリとなっているモニターを選択する。
- クリーンフィードが有効な場合、各ノードの下に第3のビュー表示ボタンが表示され、3つのビューを扱えるようになります。
ズーム、パン、回転
一般的なアプリと同様に、ズーム/パン/回転操作も行うことができますので、以下にまとめます。
操作 | 実施方法 |
パン |
|
リサイズ |
|
回転 |
|
オンスクリーンコントロール
ビューアには、オンスクリーンコントロールを表示して、直感的にノードのパラメータを変更することが可能です。
オンスクリーンコントロールを表示する方法は、以下のいずれかになります。
- [オプションメニュー] > [コントロールを表示]を選択する。(参考リンク:https://ytktfeelfree.com/tool/software/davinci_resolve/dr_fusion_02_/7437/)
- 「Ctrl + K」を押下する。
- ビューアに対するコンテキストメニューより、[オプション] > [コントロールを表示]を選択する。
なお、非表示にするには、上記手順を再度行ってください。
また、表示されるコントロールは、対応しているノードが選択されている時のみ表示されます。(複数ノードにも対応。)
A/Bバッファ
A/Bバッファは、1つのビューアに2つのノードの出力を設定できる機能です。
表示させたいバッファ側(AもしくはB)で、ノードの表示設定を行ってください。
これにより、左右のビューアを使用した場合、最大4つのノードを同時に扱うことができます。
表示方法の切り替え
表示内容は、「Aバッファ」「Bバッファ」「バッファスプリットワイプ(分割ワイプ)」の3種類あります。
表示内容の切り替えは、以下のようにショートカットキーを利用することも可能です。
切り替え先 | ショートカットキー |
Aバッファ | ,(カンマ) |
Bバッファ | .(ピリオド) |
分割ワイプ | /(スラッシュ) |
分割ワイプでの操作
「分割ワイプ」は、A/Bの双方のバッファを境界線を使用して表示する方法です。
「分割ワイプ」では、様々な操作ができるので、以下にまとめます。
やりたいこと | 操作 |
境界線の位置をずらす |
|
境界線を回転させる |
|
サブビュー
サブビューは、メインのビューア内(右上もしくは左上)に表示される小さいビューア(ワイプ)です。
主に、補助的な情報を表示するビューアとして使用します。
表示/非表示
どちらも以下のいずれかで、操作します。
- ビューア上部のツールバーのボタンを押下する。
- ビューアに対して開くコンテキストメニューの[ビュー] > [サブビュー] > [有効]を選択する。
- ビューアを選択後、「V」キーを押下する。
なお、メインビューとサブビューの表示内容は、以下のいずれかの方法で入れ替えることが可能です。
- 「Shift + V」を押下する。
- ビューアに対して開くコンテキストメニューの[ビュー] > [サブビュー] > [反転]を選択する。
ただし、サブビューのみで機能する表示内容もあるので、注意が必要です。
サブビューの種類
サブビューに表示される情報は、以下のいずれかで表示されるサブメニューから選択することで切り替え可能です。
- ビューア上部のツールバーの「サブビュー(Subview)」ボタン右横の「v」を押下する。
- ビューアに対して開くコンテキストメニューの[ビュー] > [サブビュー] を選択する。
表示できるサブビューの種類を以下にまとめます。
サブビュー | 説明 |
ナビゲーター | サブビューのみで利用可能です。 実際のイメージ全体のうち、どの範囲をメインビューで表示しているか?を把握できます。 |
虫めがね | サブビューのみで利用可能です。 メインビュー内でのカーソル付近のイメージを拡大表示します。 |
2Dビューア | デフォルトのビューアです。 2Dビューアのメリットは、メインビューと異なるノードを表示できることです。 |
3Dビューア | 3Dカテゴリーのノードを表示する際に使用可能です。 |
3Dヒストグラム | イメージ内の色の分布を3次元の立方体で表示します。 範囲外の色を正確に表現され、位置や法線、速度などのベクトルイメージも確認できます。 また、マウスを利用すると、以下のいずれかで3Dヒストグラムを回転させることも可能です。
|
カラーインスペクタ | サブビューのみで利用可能です。 カーソルの位置のピクセルのカラーチャンネルに関する情報を表示します。 |
ヒストグラム | イメージ内の色の頻度分布を表示し、色に関する問題特定に役立ちます。 横軸は明暗(シャドウ~ハイライト)、縦軸は該当するピクセル数を表します。 |
イメージ情報 | サブビューのみで利用可能です。 「フレームサイズ」「ピクセルアスペクト比」「カラー深度」の情報がイメージ上部に表示されます。 |
メタデータ | 表示される内容は、イメージに紐づく情報量によって異なります。 |
ベクトルスコープ | 色信号の強度を視覚化する上で役立つ円形のグラフを表示します。 |
波形 | 放送信号の「電圧」もしくは「輝度」をグラフで表示します。 |
領域
Fusionページでの「領域」は、「対象領域(RoI)」「定義域(DoD)」の2種類が存在します。
対象領域(RoI)
対象領域は、レンダリングする必要のあるピクセルをノードに伝えます。
対象領域を使用すると「レンダリングする領域を制限する」ことになるので、パフォーマンス向上に役立ちます。
対象領域に設定された範囲には、四角の枠が表示されます。
表示/非表示
以下のいずれかの方法を行います。
- ビューア上部のツールバーのボタンを押下する。
- ビューアに対して開くコンテキストメニューの[領域] > [領域の有効化]を選択する。
範囲の調整
範囲の調整を行うには、以下のいずれかの方法を利用できます。
やること | 操作 |
サイズ変更 |
|
自動で設定 |
|
設定のリセット |
|
定義域(DoD)
定義域は、実際にレンダリング結果に含ませるピクセルをノードに伝えます。
定義域を使用すると「レンダリングする範囲を設定する」ため、任意のサイズでイメージの出力を行うことになります。
そのため、「不要箇所の出力をさせないで済む」「イメージの範囲外を含ませることができる」と言ったメリットが出てきます。
表示/非表示
ビューアに対して開くコンテキストメニューの[領域] > [定義域を表示]を選択することで、表示/非表示を行うことができます。
ビューア上部のツールバーからは、操作できません。
範囲の調整
定義域を手動で設定したい場合は、エフェクトライブラリで[ツール] > [その他] > [定義域を設定]で、設定することができます。
カラーコントロール
カラーコントロールでは、イメージを構成する「カラーチャンネル」「アルファチャンネル」「深度チャンネル」「Auxチャンネル」を個別に表示できます。
表示/非表示
以下のいずれかの方法を行います。
- ビューア上部のツールバーのボタンを押下する。
- ビューアに対して開くコンテキストメニューの[チャンネル]で、表示したいチャンネルを選択する。
- キーボードショートカットキーを利用する。
上記のキーボードショートカットキーは、以下のようになっています。
キー | 表示するチャンネル |
C | フルRGBカラー |
R | 赤チャンネル |
G | 緑チャンネル |
B | 青チャンネル |
A | アルファチャンネル |
Z | Zバッファチャンネル |
ビューアLUT(ルックアップテーブル)
LUTは、数値のテーブルであり、イメージの色と輝度を変換するために使用します。
色変換を行った結果は、ビューアの表示内容にのみ適用されます。(データ自体への変更は入りません。)
なお、色変換の計算には、「1D LUT(1つのカラーチャンネルを対象に処理)」と「3D LUT(赤緑青の3つのカラーチャンネルを対象に処理)」の2種類の方法があります。
2つの機能
DaVinci ResolveのFusionページにおけるLUTは、以下の機能を有しています。
機能 | 2D | 3D | 説明 |
イメージLUT | 〇 | × | カラースペースを切り替える目的で、幅広く使用されます。 |
バッファLUT | 〇 | 〇 | 基本的には、使用するディスプレイに固有の別の出力カラースペースをシミュレートするために使用します。 |
有効/無効
ビューアLUTの有効/無効を切り替える方法は以下です。
対象 | 操作 |
イメージLUT | ビューア上部のツールバーのボタンを押下する。 ビューアに対して開くコンテキストメニューの[LUT] > [有効化]を選択する。 |
バッファLUT | ビューアに対して開くコンテキストメニューの [全体のオプション] > [バッファLUT] > [有効化]を選択する。 |
他のビューアLUTを選択する場合は、ツールバーのボタンの右にある「v」を押下するか、コンテキストメニューの「有効化」と同じ階層にあるリストから適用したいLUTを選択してください。
ビューアLUTの種類
ビューアLUTで利用できるLUTの代表的なものについて、簡単にまとめておきます。
LUT | 説明 |
Fusion View LUT | デフォルトのLUTで、頻繁に使用されます。 FusionビューLUTのRGBAカーブを使用して、入力値および出力値のペアを割り当てられます。 カラーカーブノードと同一のコントロールですが、設定値をアニメートすることはできません。 |
Gamut View LUT | ノードエディタでLinear Gammaを扱う際の補正のために、よく使用されます。 ソースのカラースペースを出力カラースペースに変換します。 |
Log/Lin View UT | 「曲線的なLogデータ」から「直線的なデータ」に、もしくはその逆の変換をします。 |
マクロLUT | マクロの.settingファイルをFusionの適切なディレクトリに保存することで、ビューアLUTとして使用できます。 Windowsでの保存場所は以下です。
|
LUTプリセット | インストールしたカスタムLUTや、プリインストールのプリセットLUTを指します。 |
商品情報
公式HPでは、無料版もダウンロードできます。
無料版は、試用期間のようなものではなく、永続的に無料で使い続けることができます。
また、無料版とは言え、プライベートで利用する場合は十分すぎる機能を有しています。
まとめ
今回は、DaVinci Resolveの「Fusionページ」のうち、「ビューア」についてまとめてみました。
DaVinci Resolveを使用する際のヒントになれば幸いです。