【DaVinci Resolve】Fusionページ~3D合成の基礎知識~

動画編集ソフトのDaVinci Resolveでは、ページ毎に役割を設けて、やれることを分けています。

今回は、その中でも3D編集やアニメーション作成などに関わるFusionページの「3D合成」についてチュートリアルとしてまとめていこうと思います。

なお、ここで紹介する内容は、DaVinci Resolve Studio 18 に基づいた内容になっており、同社のFusion Studioのための内容としてはまとめていません。

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3D合成について

Fusionで扱える3Dは、一例として以下のような処理を行うことができます。

  • 2Dから3Dへの変換
  • リアルな被写界深度、モーションブラー
  • 3Dパーティクルシステムの作成と使用(リンク
  • 3Dテキストの作成
  • ライティング(光)とシェーディング(影)による演出
  • 3Dカメラによるトラッキング
  • 他社の3Dアプリケーション(Mayaなど)からのデータのインポート

基本的な作成手順

以3D合成を扱うには、以下のいずれかにある3Dに関するノードを利用することになります。

  • エフェクトライブラリーにある「3D」のカテゴリー内のノード群
  • ノードツールバー(リンク)にある3Dノード群

最も簡単な基本構成としては、以下の2つで完結します。(下図の赤破線の上の構成です。)

  • 3Dオブジェクト(ジオメトリ)を生成するノード

    • 「テキスト3D」や「シェイプ3D」などが相当します。
  • レンダラー3Dノード

しかし、実際は、赤破線の下の構成のようにノードツールバーにあるような複数の3Dノードを組み合わせて、1つの3D合成を作成することになるでしょう。

ノードツールバーの3Dノード群は、一般的に使う流れに沿う形で、左から右に配置されています。

3Dノードの種類(カテゴリ)

3Dノードは、大きく以下のようなカテゴリーで区分けすることができます。

カテゴリー説明
ジオメトリ3Dオブジェクトを実際に作成するノード群です。
ノードツールバーにあるものでは「イメージプレーン3D」「シェイプ3D」「テキスト3D」が相当します。
マージ1つ以上の3Dノードを入力とし、入力を合成したものを出力します。
入力できる3Dノードは、ジオメトリに限らず、ライトやカメラ、他のマージノードにも対応しています。
なお、ノードエディター内でノード同士は、必然的に親子関係が構成されます。
そのため、マージノードでの設定変更は、入力されたノード全体に対して適用されます。
レンダー最終的な3D合成の出力結果を2D画像としてレンダリングします。
3Dデータに対して本ノードを利用しない場合、コンポジション内の他の2D画像と組み合わせることはできません。

ジオメトリについて

利用できるジオメトリのノードを以下にまとめておきます。(詳細は、Fusion Effectとして、別記事を作成予定です。)

ノード説明
立方体3D
立方体のジオメトリです。
各面に異なるテクスチャーをマッピングすることが可能です。
イメージプレーン3D2D画像を3D空間に配置するノードです。
自動的にスケーリングされた平面で、3Dシーンに配置します。
シェイプ3D3Dシーンを組み立てるための基本となる以下のジオメトリです。

  • 平面
  • 立方体
  • 球体
  • 円柱(筒状)
  • 円錐
  • ドーマツ状
  • ICO球(三角形の面からなる球体)
テキスト3Dテキスト+ノードの3D版です。
ベベルなどが利用できますが、マルチレイヤーのシェーディングモデルには対応していません。
パーティクル系「pレンダー」ノードが3Dビューに接続され、3D環境にエクスポートされたものです。
3D合成時は、レンダラー3Dを使ってレンダリングされます。
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3Dノードのビューア表示

3Dノードをビューアで表示すると、自動で3Dビューア(デフォルト:遠近ビュー)に切り替わります。

3Dビューでの表示は、通常よりもメモリ容量などを多く消費します。

そのため、PCの性能によっては、スムーズな表示ができない可能性があるので、注意が必要になります。

3Dビューの特徴ですが、「ナビゲート」「視点」「マテリアルビューア」があります。

視点

ビューアに対するコンテキストメニューで、「カメラ」配下にある項目を選択することで、視点を切り替えることができます。

「カメラ(設置している場合)」「遠近」「前」「上」「左」「右」の他、設置しているオブジェクトの「スポットライト」なども視点として設定できます。

また、カメラを設置している場合は、基本的にはカメラからの映像が表示されます。

ナビゲート

基本的には、2Dと同様に「表示」「操作(パン、回転、ズームなど)」を行うことができます。

そして、3D空間で自由に配置できるため、Z軸(奥行)も考慮することができます。

また、3D空間でのオブジェクトの構成・配置は、広範囲に及ぶかもしれません。

その場合は、以下のような方法で表示範囲を簡単にフィットさせることができます。

操作説明
Shift + F全オブジェクトを表示するように、フィットする
F + 範囲選択選択した範囲を表示するように、フィットする
D ビューア位置を変えず、選択されているオブジェクトを中心に表示するように、ビューアを回転する
視点が「遠近」「前」「上」「左」「右」になっている場合のみ実施できます。

マテリアルビューア

エフェクトライブラリの[3D] > [マテリアル]配下のノードをノードエディターに追加後、ビューアに表示すると自動でマテリアルビューアにに切り替わります。

マテリアルビューアは、ライト付きの3Dオブジェクトをプレビューします。

なお、マテリアルが適用されたジオメトリに対しての「パン」「スケール」の変更はできません。

操作できることの一例を以下にまとめます。

操作手順
レンダラーの選択
ビューア内でコンテキストメニューを開く。
コンテキストメニューで「レンダラー」配下のレンダラーを選択する。
シェイプの変更ビューア内でコンテキストメニューを開く。
コンテキストメニューで「形状」配下のシェイプを選択する。
ライトの有効・無効ビューア内でコンテキストメニューを開く。
コンテキストメニューで[ライティング] > [ライティングを有効化]を選択する。

カメラとライティング

前述のとおり、カメラを利用するとカメラが映す画像が3Dビューアには表示されます。

3D合成では、この「カメラによる視点」と「ライティングによる光と陰」を調整することで、様々な見せ方を可能にします。

カメラの扱い

カメラを扱うには、以下の手順を踏みます。

  1. ノードエディターで被写体とカメラ3Dを追加する。
  2. 「マージ3D」ノードに、被写体とカメラ3Dを入力する。
  3. 「マージ3D」ノードより後段のノードを選択する
  4. カメラで映している映像をビューアで確認する。
  5. 必要に応じて、各パラメータを調整する。

最終的には、「レンダー3D」ノードを接続して、その出力結果を確認するようにしましょう。

なお、「レンダー3D」ノードの出力を確認する際は、必要に応じてインスペクタで以下の設定を有効にしておくと良いです。

レンダー対象設定場所
被写界深度「レンダラーの種類」:OpenGL Renderer
[累積効果] > [累積効果を有効化]:有効
[累積効果] > [被写界深度]:有効
ライティング [ライティング] > [ライティング]:有効
シャドウ [ライティング] > [シャドウ]:有効

ライティングの扱い

ライトを扱うには、以下の手順を踏みます。

  1. ノードエディターで被写体とライトを追加する。
  2. 「マージ3D」ノードに、被写体とライトを入力する。
  3. 「マージ3D」ノードより後段のノードを選択する
  4. ビューアで、ライトの当たり方を確認する。
  5. 必要に応じて、各パラメータを調整する。
手順3で「レンダー3D」ノードを選択した場合は、必要に応じて「ライティング」「シャドウ」を有効にする必要があります。上記「カメラの扱い」のレンダー対象の設定を確認してください。

手順1で追加可能なライトについては、以下の4種類があります。

種類説明
環境ライト環境光を模したライトです。
特定の光源はなく、シーン全体に均一な光が照らされます。
室内の一般的な照明などが該当します。
平行ライト一つの方向から、平行に光が照らされるライトです。
広範囲のシーンに適し、太陽光が該当します。
ポイントライト小さな光源を持ち、全方向に光が照らされます。
街灯や電球が該当します。
スポットライト小さな光源を持ち、円錐状に一定の方向に光が照らされます。
4つのライトの中で唯一、影が作られます。

商品情報

公式HPでは、無料版もダウンロードできます。

無料版は、試用期間のようなものではなく、永続的に無料で使い続けることができます。

また、無料版とは言え、プライベートで利用する場合は十分すぎる機能を有しています。

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まとめ

今回は、DaVinci Resolveの「Fusionページ」のうち、「3D合成」についてまとめてみました。

DaVinci Resolveを使用する際のヒントになれば幸いです。

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