ドラムがほしい人にとって、「生」「電子」かは、悩むところではないでしょうか?
場所・スペース・音量を考慮して、どちらかを選択すると思いますが、「生」はなかなか難しいところ。
今回は、電子ドラム:TD-50SC-Xの組み立てとセットアップを経験させてもらったので、その時の情報をまとめます。
TD-50SC-Xとは?
TD-50SC-Xは、ROLANDのV-Drumのフラグシップモデル(VADシリーズを除く)の構成をベースにした島村楽器オリジナルモデルの電子ドラムです。簡単に言うと、TD-50K2とTD-50KV2の良い所取りしてコンパクト化したようなモデルです。
価格については、高額に変わりないですが「TD-50K2」「TD-50KV2」よりは安価です。電子ドラムの場合、価格の半分弱は音源モジュールの価格と思って良いと思います。音源モジュールの違いは、音源モジュールの音質・端子数・コントロール数が大きな違いかと思います。
セットの違いは、以下を参考にしてください。
項目 | TD-50KV2-S | TD-50K2-S | TD-50SC-X |
キック | KD-180 | KD-140-BC | KD-180L-BK |
スネア | PD-140DS | PD-140DS | PD-140DS |
ハイハット | VH-14D | VH-14D | VH-14D |
ライド | CY-18DR | CY-18DR | CY-18DR |
クラッシュ | CY-16R-T CY-16R-T | CY-16R-T CY-14C-T | CY-16R-T CY-14C-T |
タム | PD-108-BC:2個 PD-128-BC:2個 (構成:2タム-2フロア) | PDX-100:3個 (構成:2タム-1フロア) | PDX-100:3個 (構成:2タム-1フロア) |
ラックスタンド | MDS-GRAND2 | MDS-STAGE2 | MDS-STANDARD |
独自コンテンツ | なし | なし | 有名ドラマーのサウンドや高難易度の練習曲などの追加データ(SDカード) |
サイズ感、拡張性 | 最大サイズで、拡張性が高く要塞化させたい人向け。 コードを収納することが可能 | 最大サイズで、拡張性が高く要塞化させたい人向け。 コードを収納できない | 1周りコンパクトなサイズ。 標準的なフルサイズアコースティックドラムのセッティング向き。 |
演奏性 | プロステージ、スタジオ向き。 生ドラムに近い形状、かつ最高品質のパッド類。 | パッド類のサイズは小さくなるがスネア、ハイハット、ライドはフラグシップ。 拡張性を視野に入れられるサイズ感。 | 標準的な生ドラムの構成。ラックスタンドのみでの拡張は難しい。 スネア、ハイハット、ライドは、フラグシップ キックは、18inch(浅胴)と生ドラムに近い形状。 |
着荷時
TD-50SC-Xの場合、特別な配送方法(ROLAND社から直接配送)になります。島村楽器の倉庫や店舗から配送ではありません。
着荷時ですが、以下のように佐川便で3回に分けて届きました。
- 組み立ての説明書とSDカード
- ラックスタンド、バスドラム
- 音源、シンバル、タム類
以下がTD-50SC-Xの「単品購入」で届く全荷物の現物です。
「単品購入」と記載したのは、以下が付属していないためです。そのため、セットになっているものを購入するか、好きなものを個別に購入する必要があります。メ○○リや通販なども駆使しても良いでしょう。
- スローン(椅子)
- ハイハットスタンド
- スネアスタンド
- バスドラムのペダル
ちなみに、ラックスタンドはダンボールに15kgの記載がありました。
一番大きい3回目に届いたダンボールについては、外箱の大きさ:約60cm×約65cm×約100cmで、41kgです。佐川の配達員も「これを素人1人では持てないので運搬しますよ。」とのこと。大きさ的に持ちにくいだけでなく、重量もあるので、配達員に部屋の中まで運んでもらいました。素人一人で持ったら、「確実に腰痛める」もしくは、落として「床を傷つける」「機材の破損」の可能性もあります。引きずったとしても、床が傷つきますし。。。
開梱
一番苦労したのは、正直この工程です。
今回組み立てに要した時間(1人だと5時間程度が見込まれるかと・・・)の2/3以上がこの時間と片付けじゃないかなぁと思います。
電子ドラムは、スタンド以外全て電子機器であり、センサーを備えた精密機械です。配送時のトラブルも考慮し、ROLAND社も梱包には気にかけています。そのため、各箱は3つですが、中身が多い。
例えば、1番大きい箱ですが、中身は製品別のダンボールが入っている状態です。
全部出したら、こんな感じです。
ちなみに、下に弾いてある板は、80cm×160cmです。この広さが埋まることになります。。。
スタンドの箱の中身はこんな感じです。
組み上げ
基本的には以下の順番で実施すると良いでしょう。
- ラックスタンドを組み立てる
- ラックスタンドに、音源、タム類、シンバル類を設置する
- 各パーツを、ケーブルで接続する
- ケーブルをバンド等でまとめる
ちなみに、組み立ては上位機種ほど簡単に組み立てられる作りになっています。生ドラムのラックシステムと同じ間隔で組み立てられます。下位機種ほど、「コンパクト化」「価格を抑える影響」「簡素な作りでも強度アップさせる影響」もあるのか、特殊なアダプターなどを使用する傾向がありそうです。
通常は「2タム、1フロア」の構成の所、以下のように「1タム、2フロア」の配置にしてみました。
シンバルスタンドは、譲り受けたBC-930(Pearl社製)があったので、大きい方のクラッシュシンバルを付けています。
なお、シンバル付ける部分については、ROLANDのラックスタンドに付属のもの(黒い部分)に付け替えました。これは、シンバルを叩いた時の揺れ方の都合です。Pearl純正のままだと、完全に固定されて叩いた時に全く揺れず、跳ね返りの力が強そうだったためです。この点は、他のシンバルスタンドでも同様に発生する可能性があるので、注意した方がいいかもしれません。
初期設定
上記の「組み上げ」でTD-50-SC-Xで音を出すための準備の9割以上が終わりました。残りは「USB接続している機材のトリガーの設定」「KICKパッドの設定」「ハイハットシンバルの調整」です。
USB接続している機材のトリガーの設定
初めて新規のパッドをUSBで接続する場合、それぞれのパッドに大して適切に機能するように設定を行う必要があります。TD-50SC-Xの場合は、スネアドラム(PD-140DS)、ライドシンバル(CY-18DR)、ハイハットシンバル(VH-14D)の3つです。
まず、USB接続のデバイスを音源モジュール(TD-50X)に接続します。その後、音源モジュールの背面にある「電源」ボタンを押下し、電源を入れます。
起動するとトリガーの設定をするかどうかを以下の画面で問われるので、音源モジュール上の「カーソル」ボタンで「OK」を選択肢、「ENTER」ボタンを押下します。
表示されていたウィンドウが閉じ、DIGITALタブが表示されるので、以下の設定を行います。ただし、通常は初期設定で選択されているはずです。
- PD140DS:SNARE
- CY18DR:RIDE
- VH14D:HI-HAT
なお、変更時は、「カーソル」「+」「-」のボタンを使用してください。
最後に、「KIT」ボタンを押下し、それぞれのトリガーの設定を終了します。
KICKパッドの設定
TD-50SC-Xでは、ベースとなっている「TD-50K2」と比べて、KICKパッド(バスドラム)が異なっています。そのため、実情に合わすための設定を行鵜必要があります。
まず、「TRIGGER」ボタンを押下します。
表示された画面で、PAGE「UP」ボタンを数回押して最上部のページを表示します。(初期状態では、すでに一番上のページになっているかと思います。)
「F1」ボタンを押下し、以下のTRIGGER BANK 画面を表示します。
「カーソル」ボタンで、「K」(KICK)を選択し、「+」「-」のボタンでトリガータイプを「KD180L」に設定します。
最後に、「KIT」ボタンを押下し、それぞれのトリガーの設定を終了します。
ハイハットシンバルの調整
ハイハットシンバルの調整は、2つあります。「オフセット」「トップとボトムの間隔」の調整です。ハイハットシンバルに関しては、別売りの市販のシンバルスタンドを利用することになります。そのため、使用するスタンドやセッティングのちょっとした違いが、動作に影響を及ぼします。これを調整するためにも、これらの設定が必要になります。
「オフセットの調整」でも、KICKパッドの設定と同様に「TRIGGER」を押して表示される画面で、PAGE「UP」ボタンを数回押して最上部のページを表示します。
違いはここからで、「F4」(HI-HAT)ボタンを押下し、以下のTRIGGER HI-HAT 画面を表示します。
そして、「F5」(OFFSET)ボタンを押下し、表示されるVH OFFSET ADJUSTMENT 画面の案内に従います。
VH-14D のクラッチ・スクリューをゆるめ、ハイハットを閉じた状態にして、「F5」(EXECUTE)ボタンを押下します。
この時に、調整の誤差が発生しないように、ハイハット本体やペダルには触らないようにしてください。オフセットの調整は、3秒ほどで終了します。調整が完了すると、「TRIGGER」ボタンが点滅から点灯に変わるので、終わったことはここで確認しましょう。
次に、ハイハットのトップとボトムの間隔の調整です。間隔の調整は、約10mmにするのが誤動作を起こしにくい推奨の幅のようです。トップシンバルの固定とペダル部を踏む際のバネの強さなどは、シンバルスタンドの通常の方法で調整してみて下さい。
実際に叩いてみた
動作確認も兼ねて叩いてみましたが、音質はフラグシップの音源なので、良い音で鳴ってくれます。島村楽器限定モデルの特典でもあるSDカードに入っているのも併せると、プリセットは約80種類です。
周りの人が聴く、TD-50SC-Xを叩いている時の「生音」はどうか?を計測してみました。
バスドラムを思いっきり踏んだ時に最高の80dBで、パッドなどを普通に叩く分には50~70dB位でした。(計測に使用したのは、スマホアプリの「デシベルX」です。)
次に「振動」はどうか?を計測してみました。防振対策としては「板(ラワンランバーコア)」に「ゲルダンパー」をくっ付けたものを2段重ねにしています。これにより、非常に振動が抑えられました。スマホアプリの「VibroLite」を使用した結果が以下です。
まとめ
今回は、島村楽器限定モデルの電子ドラム:TD-50SC-X(ROLAND社)の組み立てとセットアップについてまとめました。
導入には「スペース」や「音量」など懸念点もあるかと思います。
本記事が購入時、購入後のヒントになれば嬉しいです。