電子ドラムでは生ドラムほどスペースを要さない上、キットの構成も柔軟に対応できます。
そのため、「パッドを増設し、オリジナルの構成のキットを作りたい」「色んな環境下を想定した音響設定に変更したい」と言った要求が出てくることがあるかもしれません。
今回は、そんな時に役立つ「パッドの設定変更」のうち、必須のものについて触れていこうと思います。
トリガーの設定(必須のもの)
特に新規でパッドを接続した場合は、トリガーの設定を見直す必要があります。これは、パッドからの信号をTD-50X がより適切に処理できるようにするためにも必須です。
タムパッドで言うと「口径」「シェルの厚さ」「メッシュの種類」などの違いによって、物理的な「打感」が違います。これと同様で、各パッドが生ドラムに近い形で自然な反応を得られるように、センサー位置などの物理的構造も異なってきます。そのため、各パッドに適切な設定が存在しており、この設定の紐づけのために行う手順が必要です。
まず、ここからの説明で、知っていてほしい用語を以下にまとめておきます。
用語 | 説明 |
トリガー・インプット | トリガーを割り当てられる受け口です。 設定できる数は、同時に利用できるパッドの種類となります。 |
トリガー・タイプ | トリガー(パッド)毎に存在する最適化されたパラメータ群の一式です。 |
トリガー・バンク | 音源モジュールで使用できるトリガー・インプット(TD-50Xの場合は 14 個)の設定の一式です。 |
トリガー画面 | 「TRIGGER」ボタンを押下すると表示される画面です。 「F5」を押すと、トリガーバンクの名称を変更できます。 |
では、ここからは実際にトリガー設定で必須のものを記載していきます。
パッドの種類を設定する
トリガー画面で使用するトリガー・タイプ(パッドの種類)を、トリガー・インプットごとに指定します。
トリガー・タイプを設定することで、トリガー・パラメータを最適値に設定(一部のパラメータを除く)されます。もちろん、好みに合わせて微調整が可能です。
トリガーを設定する手順は以下になります。
- 「TRIGGER」ボタンを押下する。
- トリガー画面が表示されます。
- 1ページ目が表示されていない場合は、PAGE「UP」ボタンを数回押してください。
- 「F1」ボタン(BANK)を押下する。
- TRIGGER BANK 画面が表示されます。
- 変更したいトリガー・バンクを選択する。
- 設定するトリガー・インプットを選択する。
- 設定したいトリガー・インプットと紐づいているパッドを叩くか、カーソル・ボタンを使用することで選択できます。
- トリガー・タイプを設定する。
- 「―」「+」ボタン もしくは ダイヤルを使用します。
- デジタル接続対応のパッドが割り当てられている場合は、変更できません。
なお、トリガー・インプットと紐づいているパッドは以下のようになっています。
トリガー・インプット | パッド |
K | KICK |
S | SNARE |
T1~T4 | TOM1、TOM2、TOM3、TOM4 |
HH | HI-HAT |
C1、2 | CRASH1、2 |
R | RIDE |
A1~A4 | AUX1、AUX2、AUX3、AUX4 |
デジタル接続対応パッドを設定する
デジタル接続(USB接続)では、音源モジュール側で各々の端子がどのトリガー・インプットに紐づいているか?が固定となっていません。
そのため、デジタル接続(USB接続)で音源モジュールに初めて接続するパッドでは、自身でトリガー・インプットに紐づける作業が発生します。
その手順を以下に記載します。
- 音源モジュールが電源を切っている状態でパッドを接続する
- 音源モジュールの電源を入れる
- 画面の案内に従って、操作する
なお、デジタル接続に割り当てたトリガー・インプットに既に異なるパッドが設定されていた場合は、元々の設定の方は上書きされて使用不可になります。
また、この初期設定後にトリガー・インプットとの紐づけを変更したい場合は、以下の手順を行ってください。
- 「TRIGGER」ボタンを押下する。
- 1ページ目が表示されていない場合は、PAGE「UP」ボタンを数回押してください。
- 「F2」(DIGITAL)ボタンを押下する。
- DIGITAL TRIGGER IN 画面が表示されます。
- カーソル・ボタンで設定するパッドを選択する。
- パッドを叩いて選ぶこともできます。
- 紐づけるパッドを選択する。
- 「―」「+」ボタン もしくは ダイヤルを使用します。
- どのトリガー・インプットにもアサインしない場合は、「N/A」を選びます。
ハイハットの設定をする
電子ドラムはセンサーを使用した電子機器です。そのため、微小な誤差でも動作に大きな影響を与える場合があります。この誤動作の影響は、特にハイハットでは顕著な問題になってくるかと思います。
そのため、V-Hi-Hat(Roland製の電子ドラム用のハイハット)でオープン、クローズやペダルの動きを正しく検出するためにも、TD-50Xでオフセットをする必要があります。
以下は、TD-50X-SCに同梱されている「VH-14D」を例にとって説明します。
- 「TRIGGER」ボタンを押下する。
- 1ページ目が表示されていない場合は、PAGE「UP」ボタンを数回押してください。
- 「F4」ボタン(HI-HAT)を押下する。
- 「F5」ボタン(OFFSET)を押下する。
- VH OFFSET ADJUSTMENT 画面が表示されます。
- VH-14D のクラッチ・スクリューをゆるめ、ハイハットを閉じる。
- 重力のみが加わるこの位置を基準とするため、閉じた後はハイハット本体やペダルには触らないでください。
- 「F5」ボタン(EXECUTE)を押下する。
- オフセット調整には、約3秒を要します。
- 「TRIGGER」ボタンが点滅状態から点灯状態になったら、調整終了です。
手順2で開く「HI-HAT」タブには、その他にも以下のような設定がありますが、必須の設定ではありません。
項目 | 設定値 | 説明 |
Foot Splash Sens | -10~+10 | フット・スプラッシュの鳴りやすさです。 ただし、非対応のパッドも存在します。 |
Noise Cancel | 1~3 | フット・クローズ時にハイハットのボウやエッジの音が鳴りにくさです。 値が大きいほど、音が鳴りにくくなります。 なお、ペダルでクローズさせるときの音には影響を及ぼしません。 ただし、非対応のパッドも存在します。 |
Pressure Sens | 1~5 | クローズ状態でのペダルの踏み込み具合による音色変化の感度です。 値が大きいほど、弱い力で音色が変化します。 ただし、非対応のパッドも存在します。 |
CC MAX | 90、127 | ハイハット・ペダルを完全に踏み込んだ状態で送信されるコントロール・チェンジの値です。 ただし、非対応のパッド(VH-14Dを含む)も存在します。 |
商品情報
TD-50Xの音源を採用されている中、最もコスパが良いと考えている機種です。
まとめ
今回は、「パッドの設定変更」のうち必須のものについて触れてみました。
設定の微調整をしたり、パッドの増設・変更をした時に知っておきたい内容だと思います。
ROLANDの音源モジュールであれば、操作感は似ていると思うので、参考にしてみて下さい。