3DCGソフトの中でもフリーソフトで高機能なBlenderには、色鉛筆のような感覚で使える「グリースペンシル」があります。
「グリースペンシル」の機能は、V2.8で大幅に使いやすくなっているようです。
今回は、そんな「グリースペンシル」の使い方について記載していきます。なお、本内容は、V2.93時点のリリース物件に沿った内容となっています。
基本操作
ここでは、「グリースペンシル」を扱う上で知っておいて欲しい前提事項を記載します。グリースペンシルは「タブレットPC」や「ペンタブレット」などで手書きでCGを作りたい場合などに最適だと思います。
記載する場所
「グリースペンシル」は、通常のワークスペースでも利用できるのですが、よりグリースペンシルを利用するのに向いていて、扱いやすいワークスペースが存在します。それは、「2D Animation」です。
開き方は、スプラッシュ画面で、[新規ファイル] > [2D Animation]を選択するか、
ヘッダーメニューの [ファイル] > [新規] > [2D Animation] を選択することで開きます。
「2D Animation」を開くと、X-Y平面(Z=0)の位置に置かれたカメラから、Y軸上(X=0, Z=0)を写すカメラビューが表示されます。なお、2D Animationを開いた直後では、すぐ記載ができるように、モードは「ドロー」が選択されています。
もちろん、右上のXYZ軸のギズモをドラッグすると、通常の3Dビューポートのように視点を変えることもできます。
グリースペンシルの追加
「グリースペンシル」はオブジェクトとして扱われます。そのため、シーンコレクションにも「グリースペンシル」が表示されます。
このシーンコレクション内の「グリースペンシル」は、選択しているオブジェクト内で記載された「複数の筆跡(ストローク)」を1つのオブジェクトとして扱います。そのため「表示/非表示」などもまとめて処理されてしまします。別々の筆跡(ストローク)として「表示/非表示」にしたい場合は、別途オブジェクトを作成する必要があります。
追加する方法を記載します。
まず、左上のモード選択で、オブジェクトモードにしてください。
その後、メニューから[追加] > [グリースペンシル] 配下にある任意の項目を選択します。なお、ショートカットキー「Shift + A」を押下しても、同様に追加することができます。
「ブランク」は、筆跡(ストローク)が何も記載されていない空のオブジェクトをシーンコレクションに追加します。名称は「グリースペンシル」です。「2D Animation」を開いた直後は、このブランクのグリースペンシルが追加され、選択されている状態とも言えます。
「ストローク」は、以下の1本のシンプルな筆跡(ストローク)が記載されているオブジェクトをシーンコレクションに追加します。名称は「Stroke」です。
「モンキー」は、以下のモンキー(スザンヌ)の筆跡(ストローク)が記載されているオブジェクトをシーンコレクションに追加します。名称は「Suzanne」です。
なお、「シーンラインアート」「コレクションラインアート」「オブジェクトラインアート」は、それぞれ「シーン全体用」「アクティブなコレクション用」「アクティブなオブジェクト用」のラインアートをシーンコレクションに追加します。筆跡(ストローク)は空になり、名称は「Line Art」です。
グリースペンシルの記載方法
グリースペンシル記載する場合は、モードを「ドロー」に変更する必要があります。前述の通り、2D Animation を開いた直後は、ドローモードになっています。
記載する際は、マウスであれば左クリックでドラッグします。ペンタブなどのタブレット端末であれば、入力用のペンで記載すれば良いでしょう。
記載時の視点
初期状態では、前述の通り、視点はY軸上の「カメラビュー」になっています。また、右上のXYZ軸のギズモをドラッグすることで、通常の3Dビューポートのように視点を変えることもできます。これにより、自由な視点でグリースペンシルを記載することが可能になっています。しかし、実情を考えると、X軸方向/Y軸方向/Z軸方向のいずれかに沿って記載した方が良いでしょう。意図しない歪みなどの影響を受けずに済み、描きやすいかと思います。もし、回転させたり変形させたい場合は、オブジェクトモードや編集モードにすることでメッシュと同様に「回転」「移動」「拡大縮小」などが可能になります。
それぞれの軸に沿って記載を行う場合は、2D Animation ビューの上部中央に位置する「ドロー平面」のメニューから記載する方向を変更することができます。
各ドロー平面がどんなものかを以下にまとめます。なお、デフォルトは、「前(XZ)」になっています。
ドロー平面 | 説明 |
ビュー | 現在のビューを平面として扱い、ストロークを描画する。 |
前(XZ) | Y軸を固定した平面にストロークを描画する。 |
横(YZ) | X軸を固定した平面にストロークを描画する。 |
上(XY) | Z軸を固定した平面にストロークを描画する。 |
カーソル | ストロークを現在の3Dカーソルの方向に揃える。 なお、3Dカーソルの位置は、[サイドバー] > [ビュー]タブ で確認・変更が可能。左側にあるツールバーでも変更だけであれば実施できるが、位置や回転の度合いは分からない状態になる。 |
また、奥行きの位置も変更することができます。
デフォルトでは「原点」となっており、ドロー平面が前の場合は、Y=0のXZ平面に描画されることになります。以下に奥行きの設定をまとめます。
ドロー平面 | 説明 |
原点 | オブジェクトの原点位置にストロークを描画する。 |
3Dカーソル | 3Dカーソルの位置にストロークを描画する。 |
サーフェス | 配置されているサーフェスの面に沿って、ストロークを描画する。 サーフェスとの間に距離を作りたい場合は、オフセットを設定できる。 |
ストローク | すでに描画されている他のストロークに沿って、ストロークを描画する。 沿わすストロークのターゲットを以下から選択することができる。 【すべてのポイント】 【最後のポイント】 【最初のポイント】 |
グリースペンシルのストロークは「ポイント」とポイント同士を繋ぐ「エディットライン(直線)」で構成されています。
まとめ
今回は、手書きでメモ書きやペイントソフトのように絵が描ける「グリースペンシル」について基本操作を記載しました。
使い方次第で、様々な物質を表現できると思います。上記の内容を参考に、色々試してみて下さい。