3DCGソフトの中でもフリーソフトで高機能なBlenderには、表面の材質を設定する「マテリアル」があります。
「マテリアル」では、「色」「光沢(つや)」の他、透明度や反射率などを細かく設定できます。
今回は、そんな「マテリアル」の使い方について記載していきます。なお、本内容は、V2.92時点のリリース物件に沿った内容となっています。
前提事項
ここでは、マテリアルを設定する上で知っておいて欲しい前提事項を記載します。
設定する場所
「マテリアル」は、「プロパティエリア」の「マテリアルプロパティ」で設定をしていきます。
※各設定内容については、後述します。
3Dビューのシェーディングの変更
デフォルトでは、「ソリッドモード」で表示されています。「ソリッドモード」は物体の形成に特化したモードと言って良いでしょう。付加価値となる効果(オブジェクト作成後に行う追加エフェクトなど)は、あえて表示しないようなモードになっています。そのため、マテリアルの効果をプレビューするには、「マテリアルプレビューモード」にする必要があります。
モードの切り替え時は、ヘッダーの右上にあるヘッダー切り替えボタンから、以下のボタンを押下しておいてください。
描き方
基本的には、新規追加と除去になります。
新規追加
マテリアルを追加するには、設定したオブジェクトを選択した上で、以下に示す「+」もしくは「新規」のどちらかのボタンを押すことで追加されます。
なお、1つもマテリアルを追加していない場合は、「新規」ボタンから行うようにすると良いと思います。「+」ボタンを押下すると、設定値が何もない空のマテリアルが追加されます。あくまでマテリアルを設定する枠(マテリアルスロット)が作られるイメージです。そのため、1つのオブジェクトに対し、2つ以上のマテリアルを追加する際に使用した方が良いでしょう。また、「+」ボタンを押したときは、作成したマテリアルスロットを選択して、「新規」ボタンを押下する必要が出てきます。
除去
マテリアルを除去するには、以下に示す「ー」もしくは「×」のどちらかのボタンを押すことで追加されます。
なお、「×」ボタンを押したときは、選択されているマテリアルのみを削除してマテリアルスロットは残ります。「ー」ボタンを押したときは、マテリアルスロット自体も除去されます。
マテリアルプロパティ
ここでは、マテリアルプロパティの設定内容について説明していきます。
プレビュー
プレビュー表示では、選択したプレビューレンダーのタイプに現在の設定をプレビューさせるセクションです。プレビューレンダータイプには、以下があります。
タイプ | プレビュー |
フラット (平らなX-Y平面) | |
球 | |
立方体 | |
ヘアー (ストランド) | |
シェーダーボール | |
クロス | |
流体 |
サーフェス
実際の設定を行う流れとしては、以下が効率的だと思います。
- 「サーフェス」でベースとなる簡易的な表面の材質(質感)を決定
- 「ベースカラー」を決定
- その他の詳細な設定を実施
シェーダーの一覧
「シェーダー」には、多くの種類があります。以下にまとめます。なお、所々で出てくるBSDFは、Bidirectional Scattering Distribution Function(双方向散乱分布関数)の略になります。
※それぞれのシェーダーにおける設定値は、前編と後編に分けて説明しています。
前編はこちら。
後編はこちら。
ボリューム
サーフェスと同様のシェーダーを設定できます。
サーフェスは「表面上の見た目」に対してで、ボリュームは「内部」に注目したものです。個体に対しては、サーフェスで対応するのが通常です。しかし、「表面」が一概に示せないようなものに対しては、ボリュームが有効です。例えば、炎、霧、蒸気などが挙げられます。霧で言えば、薄い霧や濃霧と言った違いを表現するのに役立ちます。
設定
本設定では、透過具合の設定、影の設定を行うことができます。
ブレンドモード
透過面のブレンドモードを選択できます。
項目 | 説明 |
不透明 | 透過なしでサーフェスをレンダリングします。 |
アルファクリップ | アルファしきい値を使用し、可視性を設定します。(二値の可視性) |
アルファハッシュ | ノイズを使用し、二値の可視性をディザリングします。 マルチサンプルで画質が向上します。 |
アルファブレンド | テクスチャ面をアルファチャンネルを使った半透明で表示します。 |
影のモード
影のマッピング方法を選択できます。
項目 | 説明 |
なし | マテリアルが、影を落としません。 |
不透明 | マテリアルが、透過しない影を落とします。 |
アルファクリップ | アルファしきい値を使用し、可視性を設定します。(二値の可視性) |
アルファハッシュ | ノイズを使用して二値の可視性をディザリングし、フィルタリングでノイズを削減します。 |
その他の設定
上記のモード変更を除く設定内容を記載します。
項目 | 説明 |
裏面を非表示 | 背面カリングを使用し、面の裏側を隠します。 |
クリップのしきい値 | この設定値よりアルファ値が上の場合、そのピクセルをレンダリングします。 |
スクリーンスペース屈折 | レイトレースによるスクリーンスペース屈折を使用します。 |
屈折の深度 | オブジェクトの厚みを近似し、2つの屈折イベントを計算します。 ※0で無効になります。 |
サブサーフェスの透光 | サブサーフェスに対する透過エフェクトが有効になります。 |
パスインデックス | 「マテリアルインデックス」レンダーパス用のインデックス番号を設定します。 |
ビューポート表示
ビューポートでの表示に関する設定です。
項目 | 説明 |
カラー | ディフューズの色を設定します。 |
メタリック | 鏡面反射の量を設定します。 |
粗さ | 素材の粗さ(反射の度合い)を設定します。 値が小さければ艶が強調され、大きければ艶消しに近づきます。 |
まとめ
今回は、表面材質を決定づける「マテリアル」について記載しました。
使い方次第で、様々な物質を表現できると思います。上記の内容を参考に、色々試してみて下さい。