3DCGソフトの中でもフリーソフトで高機能なBlenderの中でも、曲線を利用するためのオブジェクトに「カーブ」があります。
「カーブ」は、紐、パイプなどの管状のもの、リボンなど、「一本の線で表せるけど、複雑な形の物」のモデリングに便利なものです。例えば、「ソフトクリームの渦状の箇所」「結び目」などの表現は「カーブ」を使用しないと非常に苦労するかと思います。
今回は、そんな「カーブ」の使い方について記載していきます。なお、本内容は、V4.2.0時点のリリース物件に沿った内容となっています。
カーブの種類
「カーブ」は、3Dビューポートの「追加」から使うことができます。もちろん、ショートカットキー「Shift + A」による追加でも使用することが可能です。カーブの描き方は大きく2種類の記述方法に分かれ、全部で5種類あります。
大項目 | 小項目 | 図 |
ベジェ | ベジェ | |
円 | ||
NURBS | NURBSカーブ | |
NURBS円 | ||
パス |
描き方
ベジェ曲線
ベジェ曲線は、「アンカーポイント」と「ハンドル」を利用して、曲線を描きます。
「アンカーポイント」は曲線と接する部分で、「ハンドル」を横にずらしたり長さを変えることで、曲がり方を変えることができます。
「ハンドル」を動かすときは、他の「ハンドル」と「アンカーポイント」への影響はなく、個々で動かすことができます。
「アンカーポイント」を動かすときは、付随する「ハンドル」の長さ・傾きを保ちつつ、位置を移動することができます。
NURBSカーブ
NURBSカーブは、「制御点」を利用して、曲線を描きます。「通過点」tというものもありますが、実際に動かすのは、制御点のみです。
「制御点」の位置を変えることで、線の長さや曲がり方を変えることができます。
ツール
編集モードの3Dビューポートの左側に表示されるツールは、以下のようになっています。
他のオブジェクト(メッシュなど)と同様に、「移動」「回転」「拡大・縮小」「方向を制限した移動」ができます。その他にも「カーブ」特有のツールがあるので、以下にまとめます。
上記の他、2点の制御点を選択し、ヘッダーに存在する[セグメント] > [細分化](下図参照)を押下することで、2点間にもう1つ制御点を作成することが可能です。
また、オブジェクトモードでは、ヘッダーに存在する[オブジェクト] > [変換] > [メッシュ]を押下することで、作成したカーブをオブジェクトに変換することが可能です。逆に、[オブジェクト] > [変換] > [カーブ]を押下することで、メッシュからカーブを作成することも可能です。
オブジェクトデータプロパティ
オブジェクトデータプロパティカーブに対してのオブジェクトデータプロパティは、非常に多くの設定項目があります。
その中でも、主に使う可能性がある設定に絞って、以下で説明します。
シェイプ
項目 | 説明 |
2D / 3D | 2D:X軸・Y軸で構成される平面で形成。 3D:X軸・Y軸・Z軸で構成される空間で形成。 |
プレビュー解像度U | プレビュー時の解像度。 解像度(数値)が大きいほど細かく滑らかな表現になる |
レンダーU | レンダリング時の解像度。 解像度(数値)が大きいほど細かく滑らかな表現になる。 「0」に設定した場合は、プレビュー解像度Uの値が使用される。 |
ツイスト方法 | 何を基に、カーブの傾き(ねじれ)の計算するかを設定する。 選択肢は、以下の種類。 Z-Up:Z-Up軸を使用 最小:カーブ全体にわたるツイストの最小値を使用 タンジェント:カーブの接線を使用 |
スムーズ | 接線を繰り返し、スムージングする。 |
フィルモード | 面の生成される位置の設定。 2Dと3Dで選択肢が変わり、2Dでは「なし」「後」「前」「両方」、3Dでは「フル」「後」「前」「ハーフ」がある。 |
カーブモディファイアー >半径 | カーブ半径をパス追従に適用して変形するかどうかを選択する。 |
カーブモディファイアー >ストレッチ | 伸縮させる際に、パス全体に沿って変形させるかどうかを選択する。 |
カーブモディファイアー >境界固定 | 変形の範囲設定に、メッシュ境界を使用するかどうかを選択する。 |
ジオメトリ
ジオメトリの基本は、指定したカーブに対して、幅や筒状のオブジェクトを形成することにあります。
項目 | 説明 |
オフセット | 生成される「面」と「カーブ」距離。 |
押し出し | 生成される面の幅。 押し出す方向は、カーブにとってのZ軸方向になる。 |
テーパーオブジェクト | 指定したカーブの形状に合わせて、幅を太くしたり細くしたりできる。 |
テーパー半径 | スプラインポイントの実効範囲の計算方法を決めます。 |
テーパーマッピング | 後述のベベルした箇所に、ペーパーオブジェクトの効果を適用させることができる。 |
ベベルを付けることで、筒状のオブジェクトを作ることができます。
項目 | 説明 |
丸め / オブジェクト / 断面 | ベベルの形状を構築する方法。 丸め:通常の丸みを帯びたベベル形状。 オブジェクト:設定したオブジェクトに沿ったベベル形状 断面:平面座標で自由に設定できるベベル形状 |
深度 | ベベルの幅。作られたカーブの太さのイメージ。 |
解像度 | ベベルの分割数。 解像度(数値)が大きいほど細かく滑らかな表現になる。 |
端をフィル | カーブの始点と終点の断面に対する面の有無。 |
形成されるオブジェクトの開始位置と終了位置を、カーブの長さを基準に設定することができます。
項目 | 説明 |
要素の開始 | 幅を持ったオブジェクトの始端位置。 「0」から「1」で設定でき、通常は「0」。 |
終了 | カーブに対して、幅を持ったオブジェクトの終端位置。 「0」から「1」で設定でき、通常は「1」。 |
マッピング開始 | 開始の係数をカーブに割り当てる方法。 |
修了 | 終了の係数をカーブに割り当てる方法。 |
アクティブスプライン
項目 | 説明 |
繰り返し > U | U方向に閉じたループにする。 カーブ作成時の「円」「NURBS円」では、この設定がデフォルトで「有効」になっている。 |
解像度U | 節毎の分割数。 解像度(数値)が大きいほど細かく滑らかな表現になる。 |
傾きの補間 | ベジェ曲線で傾きを補間する種類を設定する 「リニア(デフォルト)」「カーディナル」「Bスプライン」「イーズ」の種類がある |
半径 | ベジェ曲線で半径を補間する種類を設定する 「リニア(デフォルト)」「カーディナル」「Bスプライン」「イーズ」の種類がある |
スムーズ | 表面を滑らかにするもので、デフォルトで「有効」になっている。 |
まとめ
今回は、曲線やパイプ状、流れるような形状を作成できる「カーブ」について記載しました。
「一本の線で表せるけど、複雑な形の物」や「髪型」などのモデリングに便利なものです。使いこなすと活用の場もどんどん広がり、強い味方になってくれると思います。
上記の内容を参考に、色々試してみて下さい。