動画編集ソフトのDaVinci Resolveでは、ページ毎に役割を設けて、やれることを分けています。
今回は、その中でもクリップの切り替え時に関わるビデオトランジションの「Fusionトランジション」の「Pan」以降と「オーディオトランジション」「OpenFXトランジション」の概要と設定内容について、チュートリアルとしてまとめていこうと思います。
なお、ここで紹介する内容は、DaVinci Resolve Studio 18 に基づいた内容になっています。
ビデオトランジション
DaVinci Resolveには、デフォルトでビデオトラックに対するトランジションが含まれています。
なお、各パラメーターはインスペクタで調整できます。
基本的なパラメーターについては、カットページ~インスペクタの設定内容~(リンク)の「トランジション」の箇所を参照ください。
以下で示す設定項目のうち、上記リンクにあるものは、説明を省略します。
Fusionトランジション
トランジションとして利用できるFusionエフェクトです。
より細かい編集をFusionページで行うことができるのが特徴ですが、他のトランジション同様にインスペクタで設定変更することも可能です。
なお、自作のFusionトランジションを登録しておくこともできます。
Noise Dissolve
FusionのFastNoiseツールを使用したトランジションです。
なお、最大6パターンまで、設定を保存しておくことが可能です。
以下の設定項目があります。
タブ | 設定項目 | 説明 |
コントロール | Mix | トランジションの進行状況を設定します。 |
↑ | Type | ノイズの種類を設定します。 |
↑ | Softness | クリップ間の境界のぼかし具合を設定します。 |
↑ | Animation | ノイズの変化の速度を設定します。 |
↑ | Border | ノイズ(切り替え前後のクリップ)の境界に、境界線を描画するかどうかを設定します。 |
↑ | Border Softness | 「Border」が有効の時に表示されます。 Borderの表現の強さを設定します。 |
↑ | Color 赤/緑/青/アルファ | 「Border」が有効の時に表示されます。 Color と各パラメータは、連動して動きます。 |
Noise | ディテール | ノイズの細かさを設定します。 |
↑ | 変化 | ノイズの動き方を調整します。 |
↑ | 非連続性 | 変化する境界が滑らかではなくなります。 |
↑ | 反転 | ノイズの形状の左右が反転します。 |
↑ | 開始X/Y | トランジションを開始する位置を設定します。 |
↑ | 終了X/Y | トランジションを終了する位置を設定します。 |
↑ | オフセット | 縦軸の位置を調整します。 |
↑ | 繰り返し | 繰り返しの回数と種類です。 |
Paint On
ペイントブラシで塗り潰すようなトランジションです。
以下の設定項目があります。
設定項目 | 説明 |
モーションブラー | モーションブラーを使用するかどうかを設定します。 |
品質 | モーションブラーが有効時に表示されます。 「ブレの表現」のために、重ねる素材の多さを設定します。 |
シャッターアングル | モーションブラーが有効時に表示されます。 品質で設定した重ねる素材間の距離を設定します。 |
センターバイアス | モーションブラーが有効時に表示されます。 入れ替わる際に、中心とする位置を設定します。 |
サンプルスプレッド | モーションブラーが有効時に表示されます。 よりフィルムっぽく見せるためのノイズや粒子の密度を設定です。 |
Shadow Blend | ストロークの境界に付与する付ける影の強さを設定します。 |
Pan(Dowm、Left、Right、Up)
ミラー映像を利用したトランジションです。
移動方向によってトランジションが分かれています。(以下は、「Down」の例です。)
以下の設定項目が、共通してあります。
設定項目 | 説明 |
モーションブラー | モーションブラーを使用するかどうかを設定します。 |
品質 | モーションブラーが有効時に表示されます。 「ブレの表現」のために、重ねる素材の多さを設定します。 |
シャッターアングル | モーションブラーが有効時に表示されます。 品質で設定した重ねる素材間の距離を設定します。 |
センターバイアス | モーションブラーが有効時に表示されます。 入れ替わる際に、中心とする位置を設定します。 |
サンプルスプレッド | モーションブラーが有効時に表示されます。 よりフィルムっぽく見せるためのノイズや粒子の密度を設定です。 |
Rotate、Rotate 90
Rotateは、反時計回りに180度回転とディゾルブの組み合わせたトランジションです。
Rotate 90は、反時計回りに90度回転とディゾルブの組み合わせたトランジションです。
設定項目は、「Pan(Dowm、Left、Right、Up)」と同様です。
Round and Down
回転の基準となる点を中心に反時計回りに回転しながらディゾルブするトランジションです。
設定項目は、「Pan(Dowm、Left、Right、Up)」と同様です。
Slice Push
複数の列がスライドして切り替わるトランジションです。
以下の設定項目があります。
設定項目 | 説明 |
Slice | 列の数を設定します。 |
Angle | 列の角度を設定します。 |
Shadow | 列の影の強さを設定します。 |
Shadow Softness | 列の影の境界のぼかし具合を設定します。 |
Shadow Offset | 列の影の位置を設定します。 |
Slide(Dowm、Left、Right、Up)
選択した方向に反転するスライドを利用したトランジションです。(以下は、「Down」の例です。)
以下の設定項目が、共通してあります。
設定項目 | 説明 |
Curve | 以下のアニメーションカーブの動き方を設定できます。
|
イン/アウト | 「Curve」を「Easing」に設定している時に、表示されます。 イン時/アウト時での動き方を選択できます。 |
カーブエディター | 「Curve」を「Custom」に設定している時に、表示されます。 自由な動き方を描くことができます。 |
モーションブラー | モーションブラーを使用するかどうかを設定します。 |
品質 | モーションブラーが有効時に表示されます。 「ブレの表現」のために、重ねる素材の多さを設定します。 |
シャッターアングル | モーションブラーが有効時に表示されます。 品質で設定した重ねる素材間の距離を設定します。 |
Tunnel of Light
最初のクリップが吸い込まれ、次のクリップが同じポイントから排出されるようなトランジションです。
以下の設定項目があります。
設定項目 | 説明 |
Contrast | 光のコントラストを設定します。 |
Glow Gain | グロー(光)の明るさを設定します。 |
グローのサイズ | グロー(光源)の大きさを設定します。 |
Glow Red、Green、Blue | グロー(光)の色を設定します。 |
Warp
渦のような回転を利用するトランジションを実行です。
設定項目は、「Pan(Dowm、Left、Right、Up)」と同様です。
Zoom In
ズームインを利用して手前に迫ってくる(奥に引っ込む)ようなトランジションです。
以下の設定項目があります。
設定項目 | 説明 |
Zoom Scale | ズームの度合いを設定します。 負の値では、ズームアウトの動作になります。 |
Zoom Center | ズームの基点(中心)の位置を設定します。 |
Curve | 以下のアニメーションカーブの動き方を設定できます。
|
イン/アウト | 「Curve」を「Easing」に設定している時に、表示されます。 イン時/アウト時での動き方を選択できます。 |
カーブエディター | 「Curve」を「Custom」に設定している時に、表示されます。 自由な動き方を描くことができます。 |
モーションブラー | モーションブラーを使用するかどうかを設定します。 |
品質 | モーションブラーが有効時に表示されます。 「ブレの表現」のために、重ねる素材の多さを設定します。 |
シャッターアングル | モーションブラーが有効時に表示されます。 品質で設定した重ねる素材間の距離を設定します。 |
Zoom In and Out
切り替わりの前半はズームインし、後半はズームアウトするトランジションです。
以下の設定項目があります。
設定項目 | 説明 |
Zoom Scale | ズームの度合いを設定します。 負の値では、ズームアウトの動作になります。 |
Zoom Position | ズームの基点(中心)の位置を設定します。 |
モーションブラー | モーションブラーを使用するかどうかを設定します。 |
品質 | モーションブラーが有効時に表示されます。 「ブレの表現」のために、重ねる素材の多さを設定します。 |
シャッターアングル | モーションブラーが有効時に表示されます。 品質で設定した重ねる素材間の距離を設定します。 |
センターバイアス | モーションブラーが有効時に表示されます。 入れ替わる際に、中心とする位置を設定します。 |
サンプルスプレッド | モーションブラーが有効時に表示されます。 よりフィルムっぽく見せるためのノイズや粒子の密度を設定です。 |
ResolveFXトランジション
スタイル化されたグラフィカルなトランジションです。
その反面、他のトランジションよりも処理負荷が高くなります。
DCTLトランジション
DCTL(DaVinci Color Transform Language)ベースのトランジションがDaVinci Resolveでサポートされました。
詳細は、メニューの[ヘルプ] > [ドキュメンテーション] > [デベロッパー]を参照ください。
バーンアウェイ
紙に火がついて燃えていく様子を再現したトランジションです。
設定項目は大きく4つのグループに分かれており、以下のような項目があります。
グループ | 設定項目 | 説明 |
プログレッション | ーー | 燃える様子の動きの種類に影響を与えます。 |
↑ | モーション | 燃え方の大まかな種類で、以下から選択できます。 【方向】 【ホットスポット】 【パス】 |
↑ | 角度 | モーションが「方向」の時に表示されます。 燃焼が進む角度を設定します。 ビューアの「変形モードのドロップダウンメニュー(タイムラインビューア)」にある「OpenFXオーバーレイ」で方向を指定することができます。 |
↑ | ホットスポットの数 | モーションが「ホットスポット」の時に表示されます。 燃焼が起こる点の数を設定します。 |
↑ | ホットスポットをランダム化 | モーションが「ホットスポット」の時に表示されます。 フレーム内のホットスポットの場所をランダムに変更します。 |
↑ | ポイントの数 | モーションが「パス」の時に表示されます。 画面上のカーブコントロールのポイント数を指定します。 2 から 5 までの範囲で設定できます。 ビューアの「変形モードのドロップダウンメニュー(タイムラインビューア)」にある「OpenFXオーバーレイ」で方向を指定することができます。 |
タイミングの調整 | ーー | この一連のパラメーターは、燃焼の開始と終了の進行度合いを調整します。 |
↑ | 開始点の調整 | トランジションのどの段階からエフェクトをかけるかを調整します。 |
↑ | 終了点の調整 | トランジションのどの段階でエフェクトを終了するかを調整します。 |
エッジ | ーー | これらのコントロールで、フィルムが燃焼するときのエッジの表現を調整します。 |
↑ | 粗雑度 | 燃焼のエッジの粗さを設定します。 |
↑ | スケール | 粗さのスケールを設定します。 |
外観 | ーー | これらのコントロールで、トランジションを通過する際の燃焼の外観や色を調整します。 |
↑ | 溶かし | 切り替え前のクリップが燃え尽きるときの歪み度合いを設定します。 |
↑ | 焦げ | エッジに沿って暗くなる焦げ目の量を設定します。 |
↑ | 焦げの色 | 焦げの色を設定できます。 |
↑ | 燃焼 | 燃焼部分(赤い部分)の厚さを設定します。 |
↑ | 燃焼の色相 | 燃焼部分(赤い部分)の色を設定します。 |
↑ | 燃焼の彩度 | 燃焼部分(赤い部分)の色の強さを設定します。 |
↑ | 燃焼の明るさ | 燃焼部分(赤い部分)の明るさを設定します。 |
↑ | グローの明るさ | 燃焼部分(赤い部分)から発せられるグロー効果の強さを設定します。 |
↑ | グローの広がり | グロー効果の幅(範囲)を設定します。 |
↑ | 灰 | 燃焼部分の後ろに残る灰の量を設定します。 |
↑ | 灰の色 | 灰の色を設定します。 |
オーディオトランジション
クロスフェードを作成する時に使用するトランジションです。
ビデオトランジションと同様に、各パラメーターはインスペクタで調整できます。
クロスフェード
オーディオクリップの切り替え時などに「フェードイン」もしくは「フェードアウト」を行うオーディオ用のトランジションです。
+3 / −3 / 0 dB の3種類がありますが、設定項目のフェードイン、フェードアウトで自由に変更することができます。
以下の設定項目があります。
設定項目 | 説明 |
長さ | トランジションの継続時間を秒数とフレーム数の両方で表示します。 なお、双方の値は連動しています。 |
配置 | 編集点を基準としたトランジションの位置を選択します。 左から、「編集点で終了」、「編集点が中心」、「編集点から開始」から選択できます。 |
フェードイン | フェードインによる変化の大きさを「0dB」「+3dB」「-3dB」から選択します。 |
フェードアウト | フェードアウトによる変化の大きさを「0dB」「+3dB」「-3dB」から選択します。 |
OpenFXトランジション
DaVinci Resolveを動かすPCに、「OpenFXのプラグイン」をインストールしている場合に表示されます。
商品情報
公式HPでは、無料版もダウンロードできます。
無料版は、試用期間のようなものではなく、永続的に無料で使い続けることができます。
また、無料版とは言え、プライベートで利用する場合は十分すぎる機能を有しています。
まとめ
今回は、DaVinci Resolveのクリップの切り替え時に関わるビデオトランジションの「Fusionトランジション」の「Noise Dissolve」以降と「オーディオトランジション」「OpenFXトランジション」の概要と設定内容についてまとめてみました。
DaVinci Resolveを使用する際のヒントになれば幸いです。