動画編集ソフトのDaVinci Resolveでは、ページ毎に役割を設けて、やれることを分けています。
今回は発展編として、編集に関わるエディットページの「色々なトリム操作」の方法をチュートリアルとしてまとめていこうと思います。
なお、ここで紹介する内容は、DaVinci Resolve Studio 18 に基づいた内容になっています。
トリムの基本事項が気になる方は、基本編(リンク)もどうぞ。
色々なトリム操作
基本編(リンク)で記載しなかったトリム方法を紹介します。
編集点を自動選択するトリム
再生ヘッドから一番近い位置にあるイン点、アウト点(クリップの始点・終点、任意設定のもの)を自動で選択し、トリム操作を行うことができます。
実行には、メニューの「トリム」に含まれる以下のコマンドのいずれかを実行します。
メニュー | コマンド |
最も近い編集点を 次の目的で選択 |
|
最も近いクリップを 次の目的で選択 |
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再生ヘッドを基点として行うトリム
再生ヘッドの位置を基点としてクリップや編集点をトリムする方法があります。
先頭をトリム/末尾をトリム
再生ヘッドが触れている全クリップが対象に、リップル(トリムモードの場合)もしくはサイズ(選択モードの場合)できます。
詳細は、以下を参照ください。
やりたいこと | ショートカットキー | リサイズ対象 |
先頭をトリム | Shift + [ | 各クリップの始点(イン点) |
末尾をトリム | Shift + ] | 各クリップの終点(アウト点) |
先頭または末尾のリサイズ、リップル、ロール
実行には、メニューの「トリム」に含まれる以下のコマンドのいずれかを実行します。
メニュー | コマンド |
リサイズ |
|
リップル |
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ロール |
|
なお、リップルについては、以下のショートカットキーでも対応できます。
やりたいこと | ショートカットキー |
先頭を再生ヘッドの位置へ | Ctrl + Shift + [ |
末尾を再生ヘッドの位置へ | Ctrl + Shift + ] |
現在のフレームを先頭または末尾にスリップまたはスライド
実行には、メニューの「トリム」に含まれる以下のコマンドのいずれかを実行します。
メニュー | コマンド |
再生ヘッドをスリップ |
|
自動トラック選択を使用するトリム
基本ルール
トラックヘッダーに存在する「自動トラック選択」が有効のトラックにあるクリップは、以下の3種類の操作の対象です。
- 再生ヘッドと重なるクリップを対象とする操作
- タイムラインエディター上の「イン点」「アウト点」で指定した区間に含まれるクリップを対象とする操作
- タイムラインエディター上でのリップル編集時に、後続クリップがリップルされる操作
デフォルトでは「自動トラック選択」が全て有効になっているため、全トラックがこういった操作の対象になっています。
そこで、対象にしたいトラックのみ、「自動トラック選択」を有効にすることで、対象とするトラックを選別することができます。
「自動トラック選択」について不明な場合は、エディットページ~タイムライン~(リンク)を参照ください。
【例外】特定のクリップが選択されている場合
ただし、手動で選択されたクリップがある場合は、トリム操作の対象となるクリップは常に「自動トラック選択」よりも優先されます。
そのため、「自動トラック選択」で選択されているクリップに対して、処理を行いたい場合は、タイムラインエディター上でクリップが選択されていない状態にする必要があります。
ナッジを利用するトリム
「ナッジ」とは、キーボード操作により、特定の編集対象を微調整する機能です。
ループ再生中に「ナッジ」を使用することで、より細かくトリムの微調整を効率的に行うことができます。
手順は以下です。
- 編集したい編集箇所(イン点/アウト点)を選択する。
- 「U」キーを使用し、処理方法(リップルもしくはロール)を選択する。
- 「Ctrl + /(スラッシュ)」キーを押下する
- ループ再生が有効になります。
- ループ再生が有効になります。
- 「/(スラッシュ)」キーを押下する
- 再生が始まります。
- 再生が始まります。
- 「,(カンマ)」もしくは「.(ピリオド)」を押下する
- 1フレーム単位でのナッジが行われます。
- 1フレーム単位でのナッジが行われます。
なお、再生を停めたい場合は、ツールバーの「停止」ボタンや、「スペース」キーを押下してください。
また、手順5においては、「Shift」キーを押しながら「,」「.」を押下すると、より大きい幅(デフォルト:5フレーム単位)でナッジできます。
「Shift」キーを押しながら行うナッジのフレーム単位は[環境設定] > [ユーザー] > [編集] > [一般設定] > [ファストナッジのデフォルト値]で設定できます。
複数の編集対象を同時にトリム
トリムの種類によっては、複数のクリップなどの対象にした編集が可能です。
基本的には、以下の手順で対応します。
- 選択モードに切り替える。
- トリムしたい対象(編集点またはクリップ)を選択する。
- 複数選択することになりますが、上限はないようです。
- 複数選択することになりますが、上限はないようです。
- 以降の操作は、通常の1つの対象に対して行う編集方法と同様です。
- エディットページ~編集方法:トリム操作(基本編)(リンク)を参照ください。
複数の編集点をリサイズ/ロール
クリップがスーパーインポーズされている(多段になっているトラックの同一タイムコードでクリップが重なっている)場合、複数のクリップを同時に調整できます。
やりたいこと | 手順 |
リサイズ |
|
ロール |
|
複数の編集点をリップル
仮に、同一トラックで複数のクリップをリップルトリムの対象とした場合、伊かのような手順で同時にリップル編集することが可能です。
- 「トリム編集モード」にする。
- 編集したい編集箇所を全て選択する。
- 「U」キーを押して、各編集箇所で編集する側を選択する。
- 任意の方法でリップル編集する。
なお、手順3において、選択する編集箇所は、全て同じ側(例えば、後続クリップの始点)に揃えなければならないということにはなりません。
「非対称のトリム」として、「前のクリップの終端」と「後続クリップの始点」の2つが選択されている場合でも、同時にトリムすることが可能です。
複数のクリップをスリップ
トラックを横断した色んな組み合わせのクリップ(ハンドルのあるもの)を用いて、同時にスリップすることが可能です。
以下の手順を行ってください。
- スリップさせたいクリップを選択する。
- 「トリム編集モード」を選択する。
- クリップの中央上部をドラッグする。
- 「.(カンマ)」「.(ピリオド)」キーによるナッジ操作でも可能です。
複数のクリップをスライド
任意に選択したクリップをスライドすることができます。
以下の手順を行ってください。
- スライドさせたいクリップを選択する。
- 「トリム編集モード」を選択する。
- クリップの中央下部をドラッグする。
ダイナミックトリム
ダイナミックトリムでは、プログラムを再生しながらトリムする方法です。
そのため、オーディオおよびビデオを確認しながら、その瞬間に感じたままのリアルタイムなトリム作業が行えます。
DaVinci Resolveでダイナミックトリムを行う場合、2種類の方法があります。
方法 | 説明 |
クイックトリム | 「リアルタイム」「それ以上」の再生スピードでトリムを行いたい場合に有効です。 基本的には、以下の方法で行えます。
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ダイナミックトリムモードをオンにする | 「リアルタイム」「それ以上」に加え、「スローモーション」「フレームごと」のトリムを実行したい場合に有効です。 基本的には、以下の方法で行えます。
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以下では、それぞれの方法について、説明していきます。
なお、説明に用いている「編集点」は、以下のいずれかを指します。
- あるクリップの始点(イン点)
- あるクリップの終点(アウト点)
- 前のクリップの終点(アウト点)と後続クリップの始点(イン点)が合わさる点
クイックトリム
「Command + J」と「Command + L」を使用したダイナミックトリムで実施可能な編集を、いくつかまとめます。
編集内容 | 手順 |
編集点を動的にロール |
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編集点を動的にリップル |
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編集点を動的にリサイズ |
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クリップを動的に移動 |
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クリップを動的にスリップ |
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クリップを動的にスライド |
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ダイナミックトリムモード
ダイナミックトリムモードでは、「JKL」キーを使用したダイナミックトリムでの編集が実施可能になります。
なお、ダイナミックトリムモードが有効の場合、再生ヘッドに最も近い編集点が自動で編集対象に設定されます。
編集点を手動で選択(指定)している場合は、手動での選択が優先されます。
基本的な手順は以下です。
- 「W」キーを押下し、「ダイナミックトリムモード」を有効にする。
- もしくはツールバーの「ダイナミックトリムモード」ボタンを使用します。
- もしくはツールバーの「ダイナミックトリムモード」ボタンを使用します。
- 行うトリム編集の種類に応じて、適したモードを選択する
- 選択モード(「A」を押す)またはトリム編集モード(「T」を押す)を選択します。
- 選択モード(「A」を押す)またはトリム編集モード(「T」を押す)を選択します。
- 以下のいずれかを実施し、編集したい編集点を選択する。
- 手動で編集点を指定する。
- 編集点の近くに再生ヘッドを移動する。
- 手動で編集点を指定する。
- 「JKL」キーを使用して、トリム編集を行う。
- 編集が終わったら、「W」キーを押下し、「ダイナミックトリムモード」を無効にする。
手順2で選択するモードと出来ることの関係を以下にまとめます。
なお、いずれのモードも、選択対象によって出来ることが異なります。
モード | できること |
選択 | 【タイムラインの編集点の場合】 動的な「リサイズ」「ロール」の編集ができます。 【タイムラインのクリップの場合】 クリップの「スリップ」「スライド」ができます。 「スリップ」と「スライド」は、「S」キーを押下もしくは、ツールバーにある「ダイナミックトリムモード」のアイコンに対するコンテキストメニューで切り替えが可能です。 |
トリム編集 | 【タイムラインの編集点の場合】 動的な「リップル」「ロール」の編集ができます。 【タイムラインのクリップの場合】 クリップの「スリップ」「スライド」ができます。 「スリップ」「スライド」は、「S」キーを押下もしくは、ツールバーにある「ダイナミックトリムモード」のアイコンに対するコンテキストメニューで切り替えが可能です。 |
手順4で実施できる「JKL」キーの操作を以下にまとめます。
できること | コマンド |
再生しながらトリム(通常速度) | 「L」キーを押下する。 |
逆再生しながらトリム(通常速度) | 「J」キーを押下する。 |
スロー再生しながらトリム | 「K + L」キーを押下する。 |
スロー逆再生しながらトリム | 「K + J」キーを押下する。 |
再生しながらトリム(高速) | 「L」キーを2回以上押下する。 |
逆再生しながらトリム(高速) | 「J」キーを2回以上押下する。 |
順方向にトリム(1フレーム単位) | 「K」キーを押しながら、「L」キーを押下する。 |
逆方向にトリム(1フレーム単位) | 「K」キーを押しながら、「J」キーをを押下する。 |
商品情報
公式HPでは、無料版もダウンロードできます。
無料版は、試用期間のようなものではなく、永続的に無料で使い続けることができます。
また、無料版とは言え、プライベートで利用する場合は十分すぎる機能を有しています。
まとめ
今回は、DaVinci Resolveの「エディットページ」での「色々なトリム操作」についてまとめてみました。
DaVinci Resolveを使用する際のヒントになれば幸いです。