動画編集ソフトのDaVinci Resolveでは、ページ毎に役割を設けて、やれることを分けています。
今回は、その中でもオーディオ編集に関わるFairlightページの「オーディオエフェクト」についてまとめていこうと思います。
なお、ここで紹介する内容は、DaVinci Resolve Studio 18 に基づいた内容になっています。
オーディオエフェクト(オーディオFX)について
オーディオエフェクトは、トラック内のクリップに対して適用できるだけでなく、バス(メイン・サブ)に対しても適用できます。
エフェクトの種類も多岐にわたり、基本的な「コンプレッサー」「イコライザー」、空間系の「ディレイ」「モジュレーション」「リバーブ」はもちろんのこと、「ノイズ除去」「ピッチ補正」「ディエッサー」なども使えます。
そのため、各オーディオデータの調整から、メインバスで行う最後の微調整まで、多岐にわたって高度なエフェクト処理が可能となっています。
また、DTMなどをやっていて、使い慣れていたり、お気に入りのものがある場合には、VSTやAudio Unitのプラグインを利用することも可能です。
オーディオFXの種類
エフェクトは、インターフェースツールバーの「エフェクト」や「ミキサー上の設定」で、適用することができます。
インターフェースツールバーの「エフェクト」を開くと、大きく以下のように分かれています。
- ツールボックス
- オーディオトランジション
- オーディオトランジション
- オーディオFX
- FailightFX
- VSTエフェクト
- AudioUnit
- FailightFX
このことからも分かるように、オーディオFXには、3種類あることになります。
以下に、それぞれについて、少しまとめます。
種類 | 説明 |
FailightFX | DaVinci Resolveに標準搭載されているオーディオエフェクトです。 OSに問わず、DaVinci Resolveのユーザーであれば、誰でも利用することができます。 |
VSTエフェクト | Steinberg社が開発したオーディオプラグインで、WindowsとmasOSに体操しているオーディオエフェクトです。 現時点で、DTM市場でもCubaseを初めとして様々なDAWで採用されており、一番普及しているオーディオエフェクトかと思います。 |
Audio Unit | Apple社の開発したオーディオプラグインで、macOSのみ対応しているオーディオエフェクトです。 |
オーディオプラグインの使用方法
オーディオプラグインを使うには、基本的に以下の手順を踏みます。
- サードパーティーのプラグインの読み込み設定をする。
- 「初めに知っておきたい基礎知識~環境設定 Part.2~(リンク)」を参照ください。
- 「初めに知っておきたい基礎知識~環境設定 Part.2~(リンク)」を参照ください。
- クリップもしくはトラックに適用する。
- 適用したエフェクトのパラメータを調整する。
こちらについては、もう少し記載します。
適用方法
以下の手順で実施してください。
適用対象 | 手順 |
クリップ(単体) |
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クリップ(複数) |
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トラック全体(タイムライン) | エフェクトライブラリの「オーディオFX」パネルから任意のエフェクトをドラッグする。 対象のトラックヘッダーにドロップする。 |
トラック全体(ミキサー) | 以下のいずれかを実施して下さい。
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トラック(別トラックからコピー) | ミキサーで、以下を実施してください。
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トラック(適用順変更) | ミキサーで、以下を実施してください。
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適用後は、自動で適用されたエフェクトの設定ウィンドウが開きます。
また、適用されているクリップの左下(クリップ名の左)には、「FX」のアイコンが付与されます。
パラメータの編集方法
パラメータの編集方法は、適用した対象によって以下のように異なります。
適用対象 | 説明 |
クリップ | インスペクタの「エフェクト」タブを開いた後、以下のいずれかを実施してください。
基本的に、いずれの方式でも、設定可能なパラメータは同じです。 |
トラック | 以下のいずれかで対応可能です。
|
パフォーマンス向上のためのテクニック(クリップ毎に適用)
エフェクトを適用していくことは、処理が増えるためにパフォーマンス低下を招きます。
そこで、クリップ毎にパフォーマンス低下を避ける機能を2つ紹介します。
キャッシュの利用
キャッシュされることで、あたかも現時点でのエフェクト設定を適用された状態として、クリップを維持するようになります。
完全に適用されるわけではなく「仮」の状態なので元々のオーディオクリップの情報が上書き保存されるようなこともなく、元に戻すこともパラメータの再調整も可能です。
キャッシュの有効/無効の手順は以下で同様です。
- キャッシュしたい「エフェクト適用済みのクリップ」を選択する。
- 選択したクリップに対して、コンテキストメニューを開く。
- 開いたコンテキストメニューで、「オーディオエフェクトをキャッシュ」を選択する。
有効時は、「レ(チェック)」が表示されています。
バウンスしてレイヤーで管理
エフェクトを適用させたオーディオデータを新しいオーディオクリップとして作成し、オーディオトラックレイヤーに追加します。
- キャッシュしたい「エフェクト適用済みのクリップ」を選択する。
- 選択したクリップに対して、コンテキストメニューを開く。
- 開いたコンテキストメニューで、「オーディオエフェクトをバウンス」を選択する。
この方法では、テイク選別の扱いと同様で、元のオーディオクリップとバウンスされたオーディオクリップが共存するため、再調整などの聞き比べを行う場合にも便利です。
オーディオファイルとして書き出して、置き換える
エフェクトを適用させたオーディオデータを新しいオーディオクリップとして書き出してしまう方法です。
- キャッシュしたい「エフェクト適用済みのクリップ」を選択する。
- 選択したクリップに対して、コンテキストメニューを開く。
- 開いたコンテキストメニューで、「オーディオファイルの書き出し」を選択する。
この方法の場合は、書き出されたファイルで後から置き換える必要があります。
【便利技】オーディオエフェクトのお気に入り設定
オーディオエフェクトは、お気に入り登録することができます。
お気に入りに登録されたオーディオエフェクトは、エフェクトライブラリの左下にまとまって表示されます。
お気に入り登録の操作は、以下のいずれかを実施してください。
- 対象のエフェクトに対して開くコンテキストメニューで、「お気に入りに追加」を選択する。
- 対象のエフェクトに対してマウスオーバーし、右側に表示された「★」をクリックする。
なお、解除の方法も簡単で、点灯状態の「★」をクリックしてください。
【便利技】エラスティックウェーブによるリタイム処理
オーディオエフェクトとは、少し異なるかもしれませんが、知っておくと非常に便利な内容なので併せて記載します。
この機能は、DAWではよくある機能で、クリップの部分的なリタイムを行う際に非常に便利な方法です。
ピッチを変えずにクリップの特定範囲を細かく設定し、かつクリップ上で直接伸縮させることができます。
これにより、微妙なタイミングのずれが生じている場合の微調整が可能になります。
手順は以下です。
対象のクリップに対してコンテキストメニューを開く。
- 開いたコンテキストメニューで、「エラスティックウェーブ」配下の「Voice」もしくは「General Purpose」を選択する。
- リタイムしたい範囲のイン点(始点)とアウト点(終点)に、「Ctrl + クリック」を行う。
- 下図の中段を参照ください。
- 下図の中段を参照ください。
- 手順3で設定したイン点(始点)とアウト点(終点)の境界部をドラッグする。
- 下図の下段を参照ください
- 下図の下段を参照ください
- クリップ左上にある「エラスティックウェーブ」のテキストの左の「x」ボタンを押下する。
なお、エラスティックウエーブの調整を元に戻したい(イン点・アウト点のキーフレームを削除したい)場合は、以下の手順を行います。
削除対象 | 手順 |
1つのみ |
|
全て |
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商品情報
公式HPでは、無料版もダウンロードできます。
無料版は、試用期間のようなものではなく、永続的に無料で使い続けることができます。
また、無料版とは言え、プライベートで利用する場合は十分すぎる機能を有しています。
まとめ
今回は、DaVinci Resolveの「Fairlightページ」のうち、「オーディオエフェクト」についてまとめてみました。
DaVinci Resolveを使用する際のヒントになれば幸いです。