動画編集ソフトのDaVinci Resolveでは、ページ毎に役割を設けて、やれることを分けています。
今回は、その中でもオーディオ編集に関わるFairlightページの「メーター」についてまとめていこうと思います。
なお、ここで紹介する内容は、DaVinci Resolve Studio 18 に基づいた内容になっています。
メーターとは
インターフェースツールバーのボタンで開くことができる「メーター」パネルは、各トラックの音量などのモニタリングに必要なUIを装備しています。
メーターパネルで表示される具体的なUIは、以下になります。
「各トラック」「各バス」「ラウドネス」といったオーディオレベルのメーターによる各レベルを確認しながらの調整の他、「ビューア」もあるので、映像を見ながら音の調整をすることができます。
なお、上図では、左から以下のような作りになっています。
- 予備のスペース
- トラック/バスの表示に内容が少ない時に表示されます。
- トラック/バスとの境界をドラッグすることで領域を狭めることができます。
- トラック/バスの表示に内容が少ない時に表示されます。
- トラック、バス
- スタジオ
- ラウドネス
- ビューア
- 再生ヘッドの位置の映像が表示されます。
- [タイムライン] > [ビューア] > [シネマモード]でビューアを全画面で表示することも可能です。
- 再生ヘッドの位置の映像が表示されます。
各UI(メーター)について
上述のメーター毎に、特記事項があるものをまとめていきます。
共通事項
各メーターは、レベル(しきい値)によって「赤」「黄」「緑」で分かれて表示されます。
この色の違いは以下のようになっていて、意図的でない限りは、「赤」色は避けるべき領域となります。
- 緑:音割れなどが発生しない安全で正常なレベル
- 黄:音割れなどが発生するレベルに近づいていて注意が必要なレベル
- 赤:音割れやクリッピングが発生するレベル
これらのしきい値などの設定は、プロジェクト設定で行うことができます。
「初めに知っておきたい基礎知識~プロジェクト設定 Part.4~(リンク)」も参照ください。
トラック/バス
このエリアは、メーターパネルの中で、唯一コンテキストメニューが開くエリアです。
コンテキストメニューでは、以下が行えます。
- 1段表示と2段表示で切り替え
- ダブルクリックでも対応できます。
- ダブルクリックでも対応できます。
- 各トラックの幅の変更
- トラックにおけるメーターは、トラックの種類に応じて表示される本数が変わります。(モノラルなら1本、ステレオなら2本。)
- そのため、ch数が多い種類を用いるほど、幅を広くした方が見やすいと思います。
- トラックにおけるメーターは、トラックの種類に応じて表示される本数が変わります。(モノラルなら1本、ステレオなら2本。)
スタジオ
このエリアは、ピークメーター(dBFSで測定)となっていて、現在モニタリングしているバスのオーディオレベルが表示されます。
メータ上部にある数値は「再生した範囲でのピーク値(TP:トゥルーピーク値)」で、ヘッドルームの確認にも役立ちます。
ヘッドルームとは、「録音できる限界の信号の大きさ」と「現在録音している信号の大きさ」のギャップ(余裕の領域)です。
このヘッドルームを確保することは、そのあとの編集(ミキシング/マスタリング等)の猶予の確保に繋がります。
なお、「モニタリングしているバス」は、トランスポートコントロールの右側にある以下のプルダウンメニュー(現在「Bus1」となっている項目)で選択することが可能です。
右側の設定(現在は「自動」となっています。)は、モニタリングするスピーカーの選択になります。
ここの設定は、事前に[環境設定] > [システム] > [ビデオ&オーディオ入出力]出の設定が必要になるようです。
ラウドネス
このエリアは、ラウドネスを表示し、分析するための以下のツールが備わっています。
- 2つのラウドネスメーター
- 数値でのラウドネス表示
- 分析用のコントロール
- オプションメニュー(スケール/ラウドネス規格の切り替え)
2つのラウドネスメーター
2つのメーターは、それぞれ以下の内容を示します。
- 左:モニタリングで選択したバスのみのチャンネルの測定値
- LFE(サラウンドの低領域)を除きます。
- 400msにおけるLEQ(等価騒音レベル)を計測し、LUFS(人が感じる音量)を評価できます。
- LFE(サラウンドの低領域)を除きます。
- 右:全バスチャンネルを再生させた時の測定値
- メーター上の数値は、タイムラインの再生中に分析された最大LUの値を表示します。
- ターゲットラウドネスレベル
- ラウドネスメーターのリファレンスレベル(基準とする音量)としてのLUFS値を設定します。
- ラウドネススケール
- メーターに使用する目盛りを以下から選択できます。
- EBU +9スケール(–18から+9)
- EBU +18スケール(–36から+18)
- メーターに使用する目盛りを以下から選択できます。
数値でのラウドネス表示
以下に示すミックスの各オーディオレベルを継続的に表示します。
項目 | 説明 |
ショート | 30秒間の平均ラウドネスレベルを計測します。 |
ショート最大 | 同じ30秒間のラウドネスレベルの最大値を表示します。 この分析は、EBU R128で行われます。 |
レンジ | 再生した範囲におけるミックスの音の小さな部分と大きな部分の各平均の間の差異です。 ただし、最低部の10%および最高部の5%を計算は対象外とします。 |
ロング | 再生が終わった範囲のLUFS値を計測します。 |
分析用のコントロール
メーターの下には、分析の開始・終了など決めることができる以下のコントロールがあります。
コントロール | 説明 |
再生 | ラウドネス値の分析を開始します。 |
停止 | ラウドネス値の分析を停止します。 |
再開 | ラウドネス値の分析を再開します。 |
リセット | 分析して得られたラウドネスが初期化されます。 |
オプションメニュー
オプションメニューに存在する項目をまとめます。
項目 | 説明 |
再生/停止とリンクして測定 | 再生ヘッドを移動させた際に、ラウドネスメーターの分析結果をリセットしてから、分析を開始します。 |
絶対スケール | 表示を「相対スケール(無効時)」にするか「絶対スケール(有効時)」にするかを設定します。 「相対スケール」の比較対象は、「ターゲットラウドネスレベル」になります。 「相対スケール」では「ターゲットラウドネスレベル」を「0」と表示し、「絶対スケール」では「ターゲットラウドネスレベル」をそのままの値で表示します。 |
各種ラウドネス規格 | 国際的に業界標準となっている様々なラウドネス規格に切り替えて、分析することができます。 |
選択できるラウドネス規格は以下になります。
コントロール | 説明 |
BS.1770-1 | DaVinci Resolve 15以前で使用されていた古いラウドネス規格。 |
BS.1770-4 | DaVinci Resolveにおける最新のラウドネス規格。 |
ATSC A/85 | アメリカの放送における許容ラウドネスの規格。 |
EBU R128 | ヨーロッパの放送における許容ラウドネスの規格。 |
OP-59 | ニュージーランドとオーストラリアの放送における許容ラウドネスの規格。 |
TR-B32 | 日本の放送における許容ラウドネスの規格。 |
AGCOM 219 | イタリアの放送における許容ラウドネスの規格。 |
NETFLIX | Netflixの放送における許容ラウドネスの規格。 |
YOUTUBE | YouTubeの放送における許容ラウドネスの規格。 |
DISNEY 2.0 | Disney+でのステレオ放送における許容ラウドネスの規格。 |
DISNEY 5.1 | Disney+での5.1サラウンド放送における許容ラウドネスの規格。 |
【小ネタ】オーディオレベルを分析(簡易的なラウドネス分析)
以下の手順で、簡易的にラウドネスを分析することができます。
- タイムライン上のオーディオクリップに対してコンテキストメニューを開く。
- 開いたコンテキストメニューで、「オーディオレベルを分析」を選択する。
- 開いた「オーディオレベルを分析」ダイアログの「ラウドネス基準」で、使用するラウドネス規格を選択する。
- 「分析」ボタンを押下する。
分析結果では、「トゥルーピーク」および「クリップ全体のLUFS値」が表示されます。
【小ネタ】ラウドネスモニタリングの可視化
トラックの高さを伸ばした場合、メインバス(通常:Bus1)のトラックヘッダーには「Loudness History」のコントロールと分析結果の軌跡が表示されます。(下図参照)
この時のチェックボックスは以下のような内容を示し、有効(表示)/無効(非表示)を切り替えることができます。
項目 | 説明 |
Integrated | 現在のミックスの平均的なラウドネス分析を「太い線」で表示します。 なお、この線は、ラウドネス値の許容範囲のレベルに従い、「赤」「黄」「青」に変化します。 |
Momentary | 再生ヘッドから後ろの400msの区間で測定されたラウドネスを「細い緑線」で表示します。 |
Short Term | 再生ヘッドから後ろの3sの区間で測定されたラウドネスを「細い青線」で表示します。 |
商品情報
公式HPでは、無料版もダウンロードできます。
無料版は、試用期間のようなものではなく、永続的に無料で使い続けることができます。
また、無料版とは言え、プライベートで利用する場合は十分すぎる機能を有しています。
まとめ
今回は、DaVinci Resolveの「Fairlightページ」のうち、「メーター」についてまとめてみました。
DaVinci Resolveを使用する際のヒントになれば幸いです。