動画編集ソフトのDaVinci Resolveでは、ページ毎に役割を設けて、やれることを分けています。
今回は、その中でもオーディオ編集に関わるFairlightページの「録音機能」についてまとめていこうと思います。
なお、ここで紹介する内容は、DaVinci Resolve Studio 18 に基づいた内容になっています。
Fairlightページでの録音機能
Fairlightページでは、1つ以上のトラックに同時に録音することができます。
ただし、録音を行うには、オーディオインターフェースのようなハードウェアが必要になります。
また、ADR(≒アフレコ)によるテイク管理などを行うことが可能です。
以下では、これらの「単純な録音」「ADR」を行うためのノウハウをまとめていきます。
録音するには・・・
録音をするには、基本的に以下の手順を踏む必要があります。
- 入力のパッチを設定する。
- トラックをアームする。
- 録音するための諸設定を行う。
- 録音する。
以下では、それぞれの手順の補足情報を記載します。
入力のパッチを設定する
手順の1つ目にある「入力パッチ」の設定では、入力する信号と記録するトラックの紐づけを行います。
以下のいずれかで開く「入力/出力のパッチ」ウィンドウで行います。
- メニューの[Fairlight] > [入力/出力のパッチ]
- ミキサーの録音対象のトラックで、[入力] > [入力…]
紐づけを行う手順は以下です。
- ウィンドウ上部のプルダウンメニューで、以下の設定を行う。
- ソース:Audio Inputs
- 送信先:Track Input
- ソース:Audio Inputs
- 「ソース」で、録音したい入力信号(オーディオ入力)を選択する。
- 「送信先」で、録音したいトラックを選択する。
- ウィンドウ下部にある「パッチ」ボタンをクリックする。
- ウィンドウを閉じる
全ての紐づけたい入力とトラックに対し、上記手順(特に手順2~手順4)を行います。
トラックをアームする
「アームする」とは、「録音待機状態にする」ということです。
以下のいずれかの手順を行ってください。
- 録音したいトラックの「トラックヘッダー」にある「R」ボタンを押下する。
- 録音したいトラックの「ミキサーのチャンネルストリップ」にある「R」ボタンを押下する。
録音するための諸設定を行う
必要に応じて、以下のような設定を行います。
- 録音名のプレフィックス
- 録音したクリップ名のプレフィックスを設定します。
- トラックヘッダーに対して開くコンテキストメニューで、「Set Track Record Name」を選択します。
- 録音したクリップ名のプレフィックスを設定します。
- クリップの保存先
- 録音したオーディオクリップの保存先を設定します。
- [プロジェクト設定] > [キャプチャー・再生] > [キャプチャー] > [クリップの保存先]で設定してください。
- 録音したオーディオクリップの保存先を設定します。
録音する
録音を開始するには、以下の手順です。
- 録音を開始地点に、再生ヘッドを移動する。
- トランスポートコントロールの録音(●)ボタンを押下する。
- 録音が開始されます。
- 録音が開始されます。
- トランスポートコントロールの停止(■)ボタンもしくはスペースキーを押下する。
- 録音が停止します。
なお、録音をサポートするための「モニター(音声)出力」を何にするか?については、メニューの[Fairlight] > [入力モニタリングスタイル]で以下から選択できます。
選択肢 | 説明 |
入力 | 録音している入力信号のみが聞こえます。 |
自動 | 録音可能なトラックがある時、再生・停止に依らずに「録音する入力信号」が聞こえ、再生時には各トラックのオーディオデータも聞こえます。 |
録音 | 録音が開始しているときのみ、録音している入力信号が聞こえます。 |
ミュート | 音は何も聞こえません。 |
再生 | 実際に録音している音ではなく、録音した直後の記録された音が聞こえます。 |
オーディオトラックレイヤーを利用したテイク録音
すでに録音している場所を録り直したい場合は、再生ヘッドを録り直したい位置に移動させて録音し直します。
録り直した場合、一見既存のオーディオデータが上書きされるように見えますが、上記のいずれかが「有効」な場合、実際は古いオーディオデータはミュートになっているだけで、上書きされていません。
そのため、録音した複数のテイクは上書きされて消えることはありません。
もちろん、メディアプール内にも存在しています。
また、オーディオ録音時に関しては、既存の録音データの扱いに、以下の2つの設定の有効/無効は関係ありません。
- メニューの[タイムライン] > [オーディオレイヤー編集]
- メニューの[表示] > [オーディオトラックレイヤーを表示]
ADR(アフレコ)
ADRは「自動台詞置換」とも訳され、台詞などの別録り(アフレコや吹き替え)を行うことができる機能のことです。
録音するには
録音を行う際の手順として、以下のステップを踏む必要があります。
- 録音を行うトラックを作成する。
- ガイド音源としたいオーディオを含むトラックを準備する。
- 「設定」パネルにある各種設定を行う。(項目は後述)
- (必要に応じて)「入力/出力のパッチ」でビープ音のパッチを行う。
- 「入力/出力のパッチ」ウィンドウの[ソース] > [System Generator] > [Beeps]と[送信先] > [Audio Output]をパッチします。
- 「入力/出力のパッチ」ウィンドウの[ソース] > [System Generator] > [Beeps]と[送信先] > [Audio Output]をパッチします。
- 以下のいずれかで、キューリストを作成する。
- オプションメニューでインポートする。
- 「リスト」パネル内で、手動で作成する。
- オプションメニューでインポートする。
- 「録音」パネルで、録音(もしくはリハーサル)を行う。(項目は後述)
- 録音が終わったら、「完了」の列のチェックボックスをONにする。
UI
DaVinci Resolveでは、ADRのインターフェースを有しており、「録音」「リスト」「設定」のパネルがあります。
これらのパネルについてまとめます。
リストパネル
再録音する必要があるキューのリストを管理します。
コントロール | 説明 |
キューの編集コントロール | 上部に表示されているエリアで、キューリストで現在選択されているキューの以下の内容を表示します。
|
「新規キュー」ボタン | 新規のキューがキューリストに追加されます。 |
キューリスト | 存在しているキューのリストです。 ADRパネルの右上のオプションメニューの隣にあるボタンにより、フィルタリングできます。 |
キューリストの読み込み… | オプションメニューに存在します。 適切なフォーマットで記載されているキューリストを「.csvファイル」でインポートできます |
キューリストの書き出し… | オプションメニューに存在します。 キューリストを「.csvファイル」でエクスポートします。 |
キューリストを消去 | キューリスト(全キュー)を削除します。 |
なお、不要なキューは、キューに対して開くコンテキストメニューで削除することが可能です。
録音パネル
リストパネルの「キューリスト」の内容をもとに、ADR収録を実行します。
コントロール | 説明 |
録音とリハーサルのコントロール | 上部に表示されているボタン群で、キューリストで現在選択されているキューの録音とリハーサルを行います。
|
テイクリスト | 中央に表示されているエリアで、現在のキューに録音された全テイクが表示されます。 新しいテイクほど、上に表示されています。 |
キューリスト | 下部に表示されているリストで、登録されている全キューの一覧が表示されます。 ADRパネルの右上のオプションメニューの隣にあるボタンにより、フィルタリングできます。 なお、一番右(6列目)に、「完了」の列があり、録音済かどうか?を確認することができます。 |
プリロール中の録音 | オプションメニューにあります。 編集箇所よりも少し前倒しにする「プレロール中」に録音することが可能になります。 |
設定パネル
ADRを行う上で必要な設定を行います。
コントロール | 説明 |
プリロールとポストロール | イン、アウト点の前後に持たせる再生時間を指定します。 録音の準備やタイミングを合わすきっかけにもつながります。 |
録音ソース | 録音したい入力信号を選択します。 |
録音トラック | 録音したいトラックを選択します。 |
ガイドトラック | 録音時のガイドとして、再生したいトラックを選択します。 |
録音ファイル名 | 録音するオーディオファイルのファイル名を設定します。 |
登場人物リスト | 録音するキューに含ませる登場人物の名前を管理するリストです。 「追加」「削除」が可能です。 |
ビープ音 – イン点まで | 録音までの間、ビープ音を鳴らします。 |
ビープ音 – イン点 | イン点での最後のビープ音を有効にします。 |
カウントイン | キューの開始までのカウントダウンを行う画面上のカウンターです。 |
ビデオストリーマー | プリロール中にタレントが見て、録音の準備をするための視覚的なキューです。 |
オンスクリーンキューのテキストスタイル | 表示するテキストのスタイルを設定します。 |
スマートタイムライン | キューリストで選択されている各キューに再生ヘッドが自動的に移動します。 加えて、タイムライン上でそのキューの長さをフレームに収めるためにズームインします。 |
ミキシングコントロール | 「リハーサル」「再生」「録音」のステップにおいて、「ガイドトラック」と「録音しているトラック」の音を「録音している人」と「エンジニア(ミキシングする人等)」に再生するかどうか?を設定します。 |
商品情報
公式HPでは、無料版もダウンロードできます。
無料版は、試用期間のようなものではなく、永続的に無料で使い続けることができます。
また、無料版とは言え、プライベートで利用する場合は十分すぎる機能を有しています。
まとめ
今回は、DaVinci Resolveの「Fairlightページ」のうち、「録音機能」についてまとめてみました。
DaVinci Resolveを使用する際のヒントになれば幸いです。