今回は私がおすすめしたいソフトウェア音源~前編~です。バンドの曲でよく使う「ボーカル」「ギター」「ベース」「ドラム」について記載します。その他の「ストリングス」「ブラス」「鍵盤」「シンセ」「ループ音源」「総合音源」については以下で記載していますので、参考にしてください。
DTMを行う上で使用する音を得るためには、以下の2つの方法があります。
- オーディオインターフェースを使用してレコーディングする方法。
- ソフトウェア音源を使用して、打ち込みを行う方法
皆が録音だけで済むとは到底思えません。レコーディングスタジオのような録音環境、楽器やインターフェースの機材、費用などなど。プロで活動していない限り、個人に準備するのは難しいでしょう。そのため、DTMをする人は何らかの形で使用するものになってくると思いますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
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ソフトウェア音源とは
ソフトウェア音源は、実際のハードウェアの音を再現しているソフトウェアのことです。再現の方法には実機の音の波形分析して作成するものや、録音した実機の音を鍵盤やノートに割り当てているものなどがあります。もちろん録音しているものは、複数のオーディオデータが含まれるため、ソフトウェア音源の総容量も50GB以上のものが多いです。また、再現している楽器の種類も、以下のように多岐にわたります。
- ボーカル(本記事で紹介)
- ギター(本記事で紹介)
- ベース(本記事で紹介)
- ドラム・パーカッション(本記事で紹介)
- ストリングス(弦楽器)(後編で紹介)
- ブラス(管楽器)(後編で紹介)
- 鍵盤(ピアノ、オルガン 他)(後編で紹介)
- シンセサイザー(後編で紹介)
- ループ音源(後編で紹介)
例えば、ボーカルに関しては、初音ミクのようなボーカロイドが有名でしょう。また、ループ音源とは、繰り返し再生させることが目的の音源のことです。
ボーカルのおすすめ音源
Vocaloid(YAMAHA / Crypton)
言わずと知れた通称「ボカロ」のボーカル音源です。元々は、ヤマハが開発した技術、製品の総称です。しかし一般的には、Crypton社製の初音ミクなどのボーカルの方が最も有名になっているのではないでしょうか?なお、ボーカロイドについては、Web上での販売が主になってきており、パッケージ版がなくなってきています。このことは、留意しておかなければなりません。
Vocaloid Editorは、Cubaseで使用することを想定した「VOCALOID4.5 Editor for Cubase」も同梱しています。ただし、機能的はVocaloid4時点とほぼ同じです。以前までとの製品の差異はVOCALOID5のボイスバンクを利用できることです。また、Piaproでしか使用できないようなパラメータが存在します。また、最新の初音ミクの音源は、2020/08現在で Piaproにしか対応していません。
要求するリソースは、ボイスバンクによって異なりますが、おおよそ メモリ:2~4GB、HDD:10GB~25GBを要求しています。
おすすめ品
ギターのおすすめ音源
Electri6ity(Vir2)
Native Instruments のKONTACTで動作する8種類(※)のエレクトリックギターを収録したエレキギター音源です。
キースイッチを使用し、スライド、ハンマリング、プリングなどの奏法だけでなく、ストローク方向、複数種類のミュートなど、様々な弾き方を再現可能です。エフェクトも搭載されているので、これだけでも十分使用できます。他のエフェクトを使いたい場合は、クリーンでアンプを通していない音も収録されているので、こちらを使用すると良いでしょう。エレキギターを作りこみたいのであれば、これ一択の音源ではないでしょうか?収録メモリ:4GB、HDD:25GB~30GBを要求しています。
※ストラトキャスター、テレキャスター、P90ピックアップ搭載のギター、レスポール、リッケンバッカー、ダンエレクトロ・リップスティック、ES-335、L4
Hummingbird(Prominy)
Native Instruments のKONTACTで動作するアコースティックギター音源です。制作者が選りすぐった1963年製のHummingbirdをサンプリングした音源になります。ライブラリ容量は約80GB、89,000サンプルを込めます。そのため、非常にリアルで生々しい鳴りを得ることができます。
特徴的なのは、コードのキーとキースイッチを使用して、MIDIを打ち込んでいきます。そのため、Cメジャーコードであれば、C・E・Gと打ち込む必要はなく、Cと付随するキースイッチを入力するだけで済みます。これの弊害としては、楽譜エディタなどでエクスポートしたMIDI情報をそのまま利用することは難しいことが挙げられます。ソロモードにしてシングルノートで行うことは可能ですが、それではHummingbirdを使うメリットはなくなってしまいます。
メモリ:4GB、HDD:41GBの空き容量を要求しています。
Real Guitar(MUSIC LAB)
スチール弦、ナイロン弦、12弦、7弦など様々な種類のサンプリング・サウンドを収録したアコースティックギターの音源です。
最新のReal Guitarでは、1つの画面で、コード弾きや単音弾き(ソロ演奏)も可能になっています。チューニングもいくつかの種類があるので、幅広くカスタマイズすることができます。また、人間味を持たせる「Humanize」という機能もあるので、よりリアルな音色にすることが可能です。
メモリ:2GB以上を要求していますが、非常に動作が軽くて使いやすい音源です。
AmpliTube4(IK Multimedia)
音源というよりは、ギター音源のサポート的なプラグインに相当します。
搭載されているアンプはメーカー公認の実機モデリングで、拡張パッケージも存在します。絵で見てマイクの位置を変えたり、様々なエフェクターを適用することができ、非常にリアルな感覚で様々な音色を作ることができます。加えて、このソフトだけで簡易的にDAWと同様にルーパーやレコーディングの機能も搭載しています。そのため、ギターに関しては、このプラグインだけで完結するかもしれません。しかし、動作は重い傾向があります。
メモリ:4GB(最低2GB)を要求しています。
ベースのおすすめ音源
Trilian(Spectrasonics)
リアルなサンプリングによるアコースティックのベース音源を探しているなら、これ一択だと思います。ウッドベースやフレットレスベースを使いたいなら、これしかありません。もちろん、エレキベースも収録しています。
非常に高音質で生々しい音に加え、コンプ、エコーなど30種類を超えるエフェクトも搭載しています。また、パラメータでは、リリースやノイズ、スライドなどで滑らかに変化する音程変化のスピード、各種フィルタなども調節できます。しかし、ピッチカートやグリッサンドなどのキースイッチを適用することができるライブラリは、限定されているので注意が必要です。そういった点で、様々な表現/カスタマイズを行いたい場合は、あまり向かないかもしれません。この点がデメリットになります。
バージョンアップについては、定期的にリリースされるパッチを当てることで行います。アップグレード版などはないので、買い直しなどはせずに済みます。また、Omnisphere2との連携や、スタンドアローンにも対応しています。これらは、Spectrasonics製品全般に言えることです。
メモリ:8GB(最低4GB)、HDD:64GBを要求しています。
MODO BASS(IK Mulimedia)
カスタマイズに優れたエレキベースの音源を求めるなら、これに一択です。年代ごとのプレシジョンベース、ジャズベースはもちろんのこと、Richenbacker、Music Man、Thunderbirdなどの様々なフォルムのベースを14種類モデリングしています。
また、カスタマイズも多岐にわたり、ベースの自体のセッティングも幅が広いです。弾く位置や弾き方(ピックアップ/指/スラップ)、ミュート具合のカスタマイズは当然です。弦に関しては弦数(4~6)、ゲージの太さ、劣化具合、巻き方なども調整可能です。電装系も、ピックアップの種類、ボリューム、トーンはもちろんのこと、アクティブかパッシブかも選べるため、完全オリジナルのベースを作ることもできます。また、エフェクトは7種類ですが、これとは別にグラフィックEQを搭載しています。アンプについては、GAIN/BASS/MID/TREBLEのコントロールを搭載する他、ソリッドアンプか真空管アンプかの選択、アンプ音とDI音を別々に音量調整なんてこともできます。
もちろんスタンドアローンにも対応していて、使い勝手も良いのです。しかし、デメリットとして音質の面があります。決して悪くはないのですが、あくまでモデリング音源なので、前述のTRILIANの音質と比べてしまうとやはり劣っているかもしれません。
メモリ:8GB(最低4GB)を要求しています。
ドラム・パーカッションのおすすめ音源
BFD3(FXpansion)
実際にドラムの経験がある人には、これがおすすめです。
音は一番生音に近いと思います。ですが、曲になじませるためには、ヘッドの張り具合やマイキングなど様々な部分で調整をした方が良いと思います。拡張音源(BFD Expansions)が豊富にありますが、初期のキットでは落ち着いたような音が多いです。そのため、ロックやメタルなどでは、拡張音源(BFD Expansions)も考慮した方が良いでしょう。また、特にシンバル類はフェーダーで調整するのではなく、マイキングで調整することで音量を変えないといけません。あくまで一例ですが、こういった点で「ドラム」という楽器を知っていないと対応しづらいのが、BFD3とも言えます。
メモリ:8GB(最低4GB)、HDD:55GB(150GB以上のライブラリを独自の方法で圧縮)を要求しています。
頻繁にキャンペーンも行われているので、購入時はタイミングを間違わないようにしましょう。
Superior Drummer 3(TOON TRACK)
BFD3 と Addictive Dramus 2の良い所を上手く取ってきたような存在です。BFD3よりも使いやすくて低音も迫力があるため、初めから調整しないで使えそうな音です。また、Addictive Drums 2よりもリアルで自然な音です。操作するパネルもAddictive Drums 2寄りで、実際のキットが絵で見ることができます。行いたいことも、直感的に実施しやすいです。
メモリ:8GB以上、HDD250GBを要求していますので、相応のスペックは必要です。
Addictive Drums 2(XLN AUDIO)
各キットにおける編集機能や、リズムパターンの作成ツールを搭載しています。他のドラム音源同様に、多数の拡張音源のパックが存在します。
メモリは4GB推奨(最低2GB)を要求しており、HDDは最低700MBを要求しています。実際のキットが絵で見ることができますが、他のドラム音源と比べて動作が軽い特徴があります。要求スペックも今回紹介する中では、一番ハードルが低いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?プロのミュージシャン、バンドでも使われるソフトウェア音源です。今回はバンドの曲でよく使われる音源を紹介しました。参考動画などを視聴するなど、色々見てみると良いと思います。また、こういった音源はセールを良く行うので、セールを狙って買うのが良いでしょう。後半ではより製品ごとに特色が出やすい、音源を紹介していきます。