多くのエンジニアやミュージシャンに愛用されるメーカーの Universal Audio社。
スタジオで使われるようなハードウェア(ラック)機材、DTM機材などを手掛ける知る人ぞ知るメーカーです。有名な製品には、オーディオインターフェース関連の「Apollo シリーズ」「UADプラグイン」であったり、エフェクターの「UAFXシリーズ」があります。
今回は、そんなUniversal Audio社から発売されている プリアンプ「4-710D」についてまとめてみます。
4-710Dってどんなもの?
Universal Audio の 4-710Dは、4chの「マイクプリアンプ」「コンプレッサー」と8chの「A/Dコンバーター」を搭載したレコーディング機材です。また、「VUメーター」により、視覚的な設定も可能です。名前だけ見ると同社の「710 Twin-Finity」を4chにしたもののように勘違いするかもしれませんが、それは半分しか正解ではないのです。これ1台で非常に幅広い音作りをすることが可能になります。
また、形状は2Uサイズのラック機材になっており。前面に各種コントロール と VUメーター、背面に各種入出力端子が装備されています。
マイクプリ
「マイクプリ」部に関しては、名前の通り、同社の「710 Twin-Finity」を4chにした仕様です。「710 Twin-Finity」に備わっている機能は全て入っています。「トーンブレンド機能」は特記すべき機能で、以下のような様々な音質を得ることができます。
- 原音に忠実で色付けなしのクリアな音が得られ、フラットで幅広いレンジの「100%ソリッドな音」
- 暖かく太く、音圧感が得られる「100%チューブの音」
- 上記「ソリッド」と「チューブ」の特徴を混ぜ合わせた音
また、「48Vファンタム電源」「位相反転」「75Hzのローカット」「VUメーター」などの機能も付いています。「VUメーター」での表示内容は、「出力レベル」「ゲインリダクション」「インプットドライブ」から選択できます。
アナログ端子では、「Hi-Zの入力端子」「XLR(バランス)の入力端子」「XLR(バランス)の出力端子」「SEND端子」「RETURN端子」も備えています。
なお、チューブプリアンプの回路に使用されている真空管は「12AX7」で、音に温かさと丸みを与える効果があります。
コンプレッサー
「コンプレッサー」部に関しては、同社の「1176」タイプのコンプレッサー機能を有しています。これは、各チャンネルに対して1つずつです。もちろん、コンプレッサーを「Off」にすることもできますので、不要な際は無効にすることが可能です。
1176タイプの特徴は、FET回路による「素早いアタック」になります。しかし、本機では「1176」の回路をそのまま組み込んでいるわけではなく、新規で設計がされています。
実際の1176LNでは、以下のような設定値の幅があります。
設定内容 | 設定値 |
アタック(Attack) | 20μs ~ 800μs |
リリース(Release) | 50ms ~ 1100ms |
レシオ(Ratio) |
|
スレショルド(Threshold) | 不明(固定) ※インプットノブで入力信号の大きさをコントロールすることで調整する。 |
本機種:4-710Dでは、以下のような設定値になります。スレショルド(Threshold)、レシオ(Ratio)は固定ですが、「アタック」と「リリース」の値は「FAST」「SLOW」の2択で変更できます。
設定内容 | 設定値 |
アタック(Attack) |
|
リリース(Release) |
|
レシオ(Ratio) | 4:1 |
スレショルド(Threshold) | 10dBu |
この値は、ボーカル、ギター、ベース、ドラム(パーカッション)など、あらゆる楽器に対して、幅広く利用できるものかと思います。
A/Dコンバーター
「A/Dコンバーター」部に関しては、16bitでのコンバートの他、24bitでもコンバートすることが可能です。サンプルレートも44.1kHz から 192kHz の間で、6種類の中から選択することができます。
また、デジタル出力では、「ADATライトパイプ」もしくは「AES/EBU DB-25 コネクタ」の端子が装備されています。「リミッター」の有無も設定できます。リミッターの設定値を以下に記載しておきます。
設定内容 | 設定値 |
アタック(Attack) | 0.075ms(75μs) |
リリース(Release) | 100ms |
レシオ(Ratio) | ∞ |
スレショルド(Threshold) | 17dBu |
なお、このリミッターはクリッピング防止用の用途で用いることを意図しています。
4-710Dの入荷状況って、どう?
「4-710D」は、入荷日未定の状態が続いているようです。
電子機器全般に言えることですが、「ステイホームの影響による需要増加の影響」もありますし、「半導体不足による価格高騰」や「入荷待ちが続く」なんてこともしばしばあります。入荷待ちに関しては、価格高騰に伴って、値上がり前の駆け込み需要も増えていることもあるでしょう。。。
テレビなんかは、1か月待ちなんてこともあるようです。また、家電は時価による変動が激しく、6万円台が4万円台に翌日にはなっていたりと2万位は平気で変わることが多いです。そのため、このことを知っている人は、度々足を運んで安い時に購入するでしょう。そうなると、価格が安いに注文が殺到し、在庫切れで入荷待ちになってしまいます。。。
音楽機材でも、例外ではないです。ミキサー・マイクなどの「配信でも使える機材」、「レコーディング機材」、人気のあるエフェクター・電子ドラムなどの「楽器」などは、この影響を激しく受けています。配信用途では、音楽活動に関わらないところでも、需要が出ているので、余計ですね。。。残念なことに、人気のある機材などは店頭在庫はないことが多く、「入金してから発注」になります。そのため、「入金したのに半年以上、入荷待ち」なんてこともあります。。。
初めに記載しましたが、今回の話題にしている Universal Audio社の場合は 「4-710D」などのハード機材の入荷日が未定です。代理店にも在庫がなく、メーカーからの船便での取り寄せになります。しかし、その船便がいつ出るのか・・・と言うところで、代理店に問い合わせても、分からない状況です。3か月程度で入手できれば良い方という状況のようです。
なお、参考として、オーディオインターフェースの人気機材「Apollo Twin」の場合は、入金しても10か月以上かかるような話もあります。。。手元に届く頃には、もっと良い機材が出ていることも考えられますね。。。
「4-710D」の価格の遷移としては、おおよその代表的な実質販売価格は以下のような感じだったかと思います。
- 2018年7月頃:235,440円(消費税8%込)
- 2020年10月頃:268,000円(消費税10%込)
- 2022年1月頃:313,500円(消費税10%込)
どんどん値が上がり、高額になっていますね。。。今後もまた値上がる可能性もあるでしょうね。。。
商品リンク
まとめ
今回は、Universal Audio社の「4-710D」の概要について記載しました。
ボーカル、ギター、ベース、ドラム(パーカッション)など、あらゆる楽器に対して、利用できる優れものです。
値段が高騰している機材ではありますが、機会があれば、ぜひ試してみると良いとおすすめできる機材の1つです。