動画編集ソフトのDaVinci Resolveでは、ページ毎に役割を設けて、やれることを分けています。
今回は、その中でも編集に関わるカラーページの「トラッカーパレット」について、前編(本記事)と後編(リンク)に分けて、まとめていこうと思います。
なお、ここで紹介する内容は、DaVinci Resolve Studio 18 に基づいた内容になっています。
トラッカーパレットとは
カラーページには、カラー調整できる領域を指定する「ウィンドウ(リンク)」という機能があります。
カラーページのトラッカーパレットは、この「ウィンドウ」で指定した特定のオブジェクトや領域を追跡(トラッキング)することができるツールです。
トラッカーを用いることで、対象が動く場合などに、自身でキーフレームによるアニメートを行う必要がなくなります。
「手軽に対象に対して一貫したカラー調整をしたい」と言った要求を満たすには、ぜひ利用してほしいツールです。
インターフェース
「トラッカー」パレットには、以下のような7つのインターフェースから成っています。
①モード選択ボタン
以下の3つモードを切り替えることができます。
モード | 説明 |
ウィンドウ | 「ウィンドウ(リンク)」を被写体の動きに合わせることができます。 |
スタビライザー | 「手ブレ」などの本来不要な動きが発生している動画の動きを抑制するために、3つの補正モードを利用できます。 |
FX | ResolveFXやOFXのプラグインで使用する位置にトラッキングできます。 |
なお、スタビライザーの補正モードは以下です。
補正モード | 説明 |
遠近 | 「遠近」「パン(左右)」「チルト(上下)」「ズーム」「回転」の解析と安定化を行います。 |
遠近なし | 「パン(左右)」「チルト(上下)」「ズーム」「回転」の解析と安定化を行います。 遠近法分析で不要な動きやノイズ成分が発生する場合に利用すると良いです。 |
縦横のみ | 「パン」「チルト」の解析と安定化を行います。 |
②トラッキングコントロール/チェックボックス
以下のコントロールがあります。
分類 | コントロール | 説明 |
トラッキングコントロール | 1フレームを逆方向にトラッキング | 逆方向に1フレーム分のトラッキングをします。 |
↑ | 逆方向にトラッキング | 現在のフレームから逆方向にトラッキングします。 最初のフレームで停止します。 |
↑ | トラッキングを停止 | トラッキングの処理を停止します。 |
↑ | 順方向&逆方向にトラッキング | 現在のフレームから順方向にトラッキングを開始します。 トラッキングが終了すると、トラッキング開始時のフレームから逆方向にトラッキングします。 |
↑ | 順方向にトラッキング | 現在のフレームから順方向にトラッキングします。 最後のフレームで停止します。 |
↑ | 1フレームを順方向にトラッキング | 順方向に1フレーム分のトラッキングをします。 |
チェックボックス | パン | 横位置のトラッキングを有効にします。 |
↑ | ティルト | 縦位置のトラッキングを有効にします。 |
↑ | ズーム | サイズのトラッキングを有効にします。 |
↑ | 回転 | 回転のトラッキングを有効にします。 |
↑ | 3D | 3D空間の傾斜に関するパラメータ(ピッチ、ヨー)のトラッキングを有効にします。 |
③クリップ/フレームの切り替え
トラッキングしたウィンドウの位置を手動で調整した場合、トラック全体への影響の仕方を設定します。
設定 | 説明 |
クリップ | 行った変更内容が、クリップ全体に影響します。 |
フレーム | 行った変更内容が、設定時のフレームに影響します。 この時、同時にキーフレームが作成され、キーフレーム間は自動補間が成されます。 |
④トラッカーグラフ
グラフの縦軸は位置で、横軸はフレームとしたグラフ上に、分析されたトラッキングのパスが軌跡のカーブで表示されます。(下図参照)
なお、再生ヘッドは、ビューアやキーフレームエディターなどの位置と連動しています。
⑤範囲指定コントロール/ポイントトラッカーコントロール
「範囲指定」コントロールは「⑥」で「クラウドトラッカー」を、「ポイントトラッカー」コントロールは「⑥」で「ポイントトラッカー」を選択した時に表示されます。
トラッキング種類 | コントロール | 説明 |
クラウドトラッカー | 範囲指定 | 有効の場合、トラッキングする際に使用する範囲を手動で変更できます。 その後、範囲指定モードでトラッキングを実行できます。 |
↑ | 挿入 | ビューアに描いた境界ボックスの中にトラッキングポイントを追加します。 |
↑ | ポイントを設定 | トラッキングに使用するトラッキングポイントを1つずつ手動で配置します。 ただし、配置時は、専用ハードウェアの「DaVinci Resolve Advanced Panel」のカーソルを使用します。 |
↑ | 削除 | 境界ボックスの中のトラッキングポイントを全削除します。 |
ポイントトラッカー | トラッキングポイントを追加 | フレーム中央に、新しいトラッキングポイントが作成されます。 作成後は、トラッキングポイントをトラッキング対象にドラッグします。 複数の作成が可能で、全て同時にトラッキングされます。 |
↑ | トラッキングポイントを削除 | 選択済のトラッキングポイントを削除します。 |
⑥トラッキングの種類
以下の2つから選択して利用します。
種類 | 説明 |
クラウドトラッカー | トラッキング可能なポイントをイメージ全体から自動分析します。 最小限の作業で、ウィンドウをすばやくトラッキングしたい場合に便利です。 |
ポイントトラッカー | 1つ以上の「照準線(十字線)」を作成して、特定の被写体をトラッキングします。 「照準線」の数が多いほど、より正確なトラッキングが可能になります。 「細かい部分」や「クラウドトラッカーでトラッキングに失敗する時」に便利です。 |
⑦オプションメニュー
以下のメニューが存在します。
メニュー | 説明 |
アクティブなウィンドウのトラックデータをリセット | 選択しているウィンドウのトラッキングデータを全消去します。 |
選択したトラックデータを消去 | 「④トラッカーグラフ」で範囲選択した部分を消去します。 |
キーフレームを削除 | トラッカーグラフの再生ヘッドの位置のキーフレームを削除します。 |
すべてのトラッキングポイントを消去 | 現在のフレームのPower Windowのトラッキングポイントを消去します。 |
トラックを表示 | トラッキングで作成されたモーションパスが表示されます。 |
トラックデータをコピー | 現在選択しているウィンドウからトラックデータをコピーします。 |
トラックデータをペースト | 現在選択しているウィンドウにトラックデータをペーストします。 |
商品情報
公式HPでは、無料版もダウンロードできます。
無料版は、試用期間のようなものではなく、永続的に無料で使い続けることができます。
また、無料版とは言え、プライベートで利用する場合は十分すぎる機能を有しています。
まとめ
今回は、DaVinci Resolveの「カラーページ」のうち、「トラッカーパレット」の「概要」と「インターフェース」についてまとめてみました。
後編(別記事を作成予定)もありますので、2つの記事がDaVinci Resolveを使用する際のヒントになれば幸いです。