【DaVinci Resolve】カラーページ~Magic Maskパレット~

動画編集ソフトのDaVinci Resolveでは、ページ毎に役割を設けて、やれることを分けています。

今回は、その中でも編集に関わるカラーページの「Magic Maskパレット」についてまとめていこうと思います。

なお、ここで紹介する内容は、DaVinci Resolve Studio 18 に基づいた内容になっています。

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Magic Maskパレットとは

本パレットは、有料版の「DaVinci Resolve Studio」でのみ、利用できるパレットです。

顔や特定のオブジェクトのような特に細かい範囲に対して、ペイントストロークを利用してマスキングを行うことができます。

ウィンドウと併用している場合は、それぞれが重なり合う部分のみが分離された出力として得られます。

そして、作成したマスクを基に、トラッキングを自動で行うことができます。

そのため、例えば、似たような色の背景とオブジェクトや人物がある映像の中で、トラッキングの対象としたいオブジェクトのみをマスクで抜き出すことができます。

しかし、ぼかし(ソフトネス)がかかるような「半透明のマスクエッジ」には対応していないので、注意が必要です。

インターフェース

「Magic Mask」パレットは、「ツールバー」「ストロークリスト」「マスクのフィネスパネル」の3つのコントロールに分けることができます。

これらをさらに細かく分けると、以下のような⑪個のインターフェースがあります。

上記でいうと、①~⑥が「ツールバー」、⑦が「ストロークリスト」、⑧~⑪が「マスクのフィネスパネル」に相当します。

これら、①~⑪について、以下でまとめます。

以下とは別に、右上にオプションメニューがあり、各種ストローク等の削除などが利用できます。

①マスク切り替え

切り替えできるマスクは、「オブジェクト」と「人物」です。

マスク最適な対象物説明
オブジェクト 人物以外 対象の人物ではない「物」を対象とする場合に最適です。
人物 人物や部位「手」「髪」「靴」などと言った「部位のみ」を対象とする場合に最適です。
詳細は、「②ストロークリストのヘッダー」を確認してください。

②ストロークリストのヘッダー

選んだモードによって、新規で追加される設定があります。

モード追加される設定
オプジェクト
本設定は表示されません。
[人物] > [人物] 新しい専用の設定は追加されません。
[人物] > [部位]識別したい部位を設定するドロップダウンメニューが追加されます。

[人物] > [部位]を選んだ場合に表示されるドロップダウンメニューには以下の項目があります。

項目対象
腕(皮膚露出部) 腕や手の露出部分。
衣服(上) 腰より上の服(露出部は対象外)。
衣服(下) 腰より下の服(露出部は対象外)。
顔(目と眼鏡を含む)と耳。
「髭」がある場合は、対象外となる可能性があるため、ストロークを追加してください。
「首」は、胴体の一部とみなされ、対象外となる可能性があります。
髪の毛のみ。
特徴的な髪の場合は、大きめのマスクを作成するようにしてください。
帽子帽子。
細かいアクセサリーがある場合は、その部分が対象外となる可能性があります。
足(皮膚露出部) 足の露出部分。
靴のみ。
胴体(皮膚露出部)上半身の露出部分。
ただし、「腕」は対象外となります。

③トラッキングコントロール

トラッキングする際に利用する以下のようなコントロールがあります。

コントロール説明
参照フレームに移動
最初にストロークを描いたフレームに、再生ヘッドを移動します。
オブジェクトモードでのみ表示されます。
トラッキング領域の最初のフレームに移動
トラッキングされた範囲の最初のフレームに移動します。
1フレームを逆方向にトラッキング
逆方向に1フレーム分のトラッキングをします。
逆方向にトラッキング
現在のフレームから逆方向にトラッキングします。
最後のフレームになると、停止します。
トラッキングを停止
トラッキングの処理を停止します。
順方向&逆方向にトラッキング
現在のフレームから順方向にトラッキングを開始します。
トラッキングが終了すると、トラッキング開始時のフレームから逆方向にトラッキングします。
順方向にトラッキング
現在のフレームから順方向にトラッキングします。
最後のフレームで停止します。
1フレームを順方向にトラッキング
順方向に1フレーム分のトラッキングをします。
トラッキング領域の最後のフレームに移動
トラッキングされた範囲の最後のフレームに移動します。
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④ストロークツール

「①モード切り替え」で切り替えたモードで、ストロークを描くことができます。

左側の「ストロークツール(+)」で描くと、色が類似している箇所を含めてマスクの対象として選択されます。

右側の「ストロークツール(-)」で描くと、マスクの対象外としたい箇所を明示的に指定できます。

⑤マスクを反転

設定したマスクで分離する際に、マスクを設定した「範囲内」か「範囲外」かの反転を行います。

⑥マスクオーバーレイ

マスクとして設定されている部分を半透明の赤色で表示します。

これを用いて、より明確にマスクの設定を行えます。

⑦ストロークリスト

タイムラインルーラーとともに、マスク生成で利用しているストロークが個々に表示されます。

ストロークは、トラックで表示され、トラックヘッダーでは以下のコントロールがあります。

コントロール説明
有効化/無効化
(部位の場合)
 部位単位での有効/無効を切り替えることができるトグルスイッチです。
有効化/無効化
(ストローク単位)
ストローク毎に、有効/無効を切り替えることができます。
なお、追加(+)のストロークは青で、削除(-)のストロークは赤で、表示されます。
削除
ごみ箱のボタンを押下することで、対象のストロークを削除できます。

⑧品質

品質と速度でどちらを優先させるかを設定します。

「速度優先」では、品質を落としても処理を早くするように設定されます。

「品質優先」は、逆で処理速度よりも品質を優先させます。

「品質優先」の方が高スペックの作業環境を要求されますので、マスクを使用する対象の細かさなどと調整すると良いと思います。

⑨リファイン範囲(オブジェクトモード)

ストロークによって作成されるマスクの感度調整をします。

選択したオブジェクトを、「少ないマスク」でかつ「より広く」設定できるように調整します。

基準値:30、最大感度:100、最小感度:1となっています。

⑩スマートリファイン(人物モード)

作成されたマスクの範囲を「拡大」もしくは「縮小」で調整します。

なお、マスクを大きくしても、関係のない背景などが含まれるようなことはなさそうです。

基準値:50、最大拡張量:0、最大収縮量:100となっています。

⑪マットフィネスコントロール

作成されたマスクの微調整を行うパラメータ群です。

内容としては、「クオリファイアーパレット(リンク)」の「マットフィネス」コントロールと重なる箇所も多いです。

そのため、一部パラメータは、「クオリファイアーパレット(リンク)」を参照して下さい。

上記に記載がないものとして、Magic Maskパレットには「モード」「形状」「範囲」「反復」「一貫性」のコントロールがあります。

  • モード

    • 「縮小」「拡大」「オープン」「クローズ」から、修正方法を選択できます。
    • 順に、エッジ部分を広げるかどうか?マスクの穴となる箇所を埋めるかどうかを選択します。
  • 形状

    • 「正方形」「円形」「ひし形」から、エッジ部分に対する拡大/縮小時の処理方法を選択します。
  • 範囲

    • モードで選択した方法の影響度合いを調整します。
  • 反復

    • 上記の「範囲」の影響を繰り返させることで、より際立った変化を付けます。
  • 一貫性

    • 各ストロークをトラッキングした後に不自然な処理がされてしまった場合に行う、スムージングの度合いを調整できます。
    • 値が高いほど滑らかになりますが、PCに要求する性能も多くなります。

使い方

トラッキングのためには、動きに合わせてストロークを動かす必要が出てきます。

その方法として、以下の内容を組み合わせる方法があります。

方法説明
モーショントラッキング
「③トラッキングコントロール」を使用し、トラッキングさせる方法です。
手動キーフレーミング
タイムラインでストロークをドラッグすることで、ドラッグ先にキーフレームが作成されます。
なお、キーフレーム間の補間はありません。
ストロークトラッキングを削除
不要なトラッキングデータを、以下のオプションメニューを利用して削除できます。

  • すべてのストロークを消去

    • ストロークリスト内のストロークデータを全削除します。
  • 現在のフレームですべてのストロークを消去

    • 再生ヘッドの現在位置で存在するトラッキングデータを削除します。
    • ストロークリスト内の全ストロークデータが対象です。
  • イン点からアウト点ですべてのストロークを消去

    • 「I」「O」を利用して設定したストロークタイムラインのイン点-アウト点間のトラッキングデータを全削除します。
  • イン点からアウト点で選択したストロークを消去

    • 「I」「O」を利用して設定したストロークタイムラインのイン点-アウト点間のトラッキングデータを削除します。
    • 削除対象は、ストロークリスト内で選択されたストロークのみです。
  • 選択したトラックデータを消去

    • 削除したいストロークトラック上のフレーム範囲を囲むようにドラッグしてから押下することで、囲まれた範囲のトラッキングデータを削除します。

一例として、上記を組み合わせて対象物にマスキングする手順を以下に記載します。

  1. 再生ヘッドをトラッキング開始位置に合わせる。
  2. 「④ストロークツール」を利用して、ビューア上でストロークを追加する。

    • 複数追加した場合は、最終的にトラッキングする対象のストロークのみを有効にしてください。
  3. 「③トラッキングコントロール」を利用して、トラッキングを行う。
  4. トラッキング結果を確認する。
  5. 必要に応じて「ストロークトラッキングを削除」「手動キーフレーミング」を行ってください。

商品情報

公式HPでは、無料版もダウンロードできます。

無料版は、試用期間のようなものではなく、永続的に無料で使い続けることができます。

また、無料版とは言え、プライベートで利用する場合は十分すぎる機能を有しています。

動画編集に関するプロフェッショナルな編集、カラー、エフェクト、オーディオが1台で可能なポストプロダクション。ライセンス版とUSB版を選べます。

まとめ

今回は、DaVinci Resolveの「カラーページ」のうち、「Magic Maskパレット」についてまとめてみました。

DaVinci Resolveを使用する際のヒントになれば幸いです。

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